「心と体の健康入門④」~「ストレス・フリー」から「自然治癒力」増強へ~
(2)「ポジティブ・シンキング」と「ネガティブ・フィーリング」のバランス
①ポジティブな思考と行動は「生活習慣」である
「サイモントン療法」~米国で放射線腫瘍医としてがん治療の第一線で活躍していたサイモントンにより開発された、「がん患者と家族・支援者のための心理療法」です。サイモントンは臨床現場で多くの患者さんを治療していく中で、人生に喜びを見出して日常生活を送り、治療にも前向きに取り組んでいる患者と絶望感にさいなまれて治療を受けている患者との間に、病気の経過の質や体調に大きな差があるということに気づいたのです。
そこから、患者や患者を支える方々の心の在り様が治療に大きな影響を与えると考えるようになりました。
サイモントンは心理面での治療が実際に身体面での治療に効果を示しているかどうかを科学的に調べ、1978年にその研究成果を発表しました。それによると、生存可能期間は平均12ヶ月とされていた「末期患者」(医学的に不治と考えられている患者)159名を4年間にわたって治療した結果、63名の人々の平均寿命は癌が判明してから24.4ヶ月でした。また、治療を行った群のうち、死亡した患者の平均寿命は20.3ヶ月で、対照群の約1.5倍以上も生き長らえ、生存している患者の生存期間は普通の身体的治療だけを受けた患者の約2倍でした。がんが消滅した者は22.2%、退縮した者は19.1%、安定している者は27.1%で、「生活の質」の面から見ても、51%の患者ががんの診断以前と同じレベルの生活を維持し、76%の患者は発病以前の生活行動の7~8割を維持しているという状態だったと言います。それまでの臨床の
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