睡眠サイクルを戻すためには

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うつ病の療養で誰もが経験するのが「昼夜逆転」だと思います。
しかし一度崩れてしまうと中々元に戻すことが難しいのが、睡眠サイクルです。

何かと疲れやすく、頑張れなくなっているうつ病の人の睡眠サイクルを、どのように戻していくか、を考えてみました。

1.なぜ昼夜逆転してしまうのか

うつ病のほとんどが、朝方気分の落ち込みがひどくなります。
仕事をしている時は、それでも重い頭と体と心を引きずって無理矢理体を起こす。
しかし例えば休職や退職をしたら、動かない身体を無理矢理動かす必要は無くなります。
しんどい朝は横になり続け、段々楽になっていく昼過ぎ~夕方にかけて活動が始まります。

そして人間の「概日リズム(体内時計)」は、だいたい25時間で1日と認識します。

今までが朝6時スタートだったものが、午後1時スタートになれば、その分25時間が後ろ倒しになるので、夜23時に眠っていたものも、朝6時から眠るようになってしまう。

気がつけば、昼過ぎ起床⇒朝方就寝、で、身体がリズムを作ってしまいます。

2.そう簡単には戻らない

うつ病などではなくても、仕事が忙しかったり遅くまで勉強したり、またはよっぴいて遊んで徹夜しちゃった、という経験は誰でもあるでしょう。
本当なら、朝だけど寝たい。
しかしその日のスケジュール上、寝るわけにはいかないから、もうろうとしたまま学校や会社へ出掛けて行きます。

そして1日過ごせば、またいつもの夜就寝⇒朝起床、のリズムに戻せている。

その経験があるので、家族も「昼夜逆転なんて簡単に戻せるんじゃないかなぁ」と、思ってしまいます。

そして中々戻らないのは、もしかしたらうつ病がもっと悪くなっている? 薬が効いていない? などの想像をして、不安を募らせてしまいがちです。

3.うつ病の人特有の「昼夜逆転」の理由

頭では朝起きて夜眠る生活のほうがいいことは、うつ病本人も分っています。
しかし、分かっていても出来ない事情があります。

一つ目は、うつ病です。
うつ病と一口に言っても色んな症状があり、「非定型うつ病」の場合は朝は比較的元気で夕方以降に気分の浮き沈みが大きくなると言われています。(「非」とつくのは、定型うつ病(一般的にイメージされるうつ病)とは違う、という意味です)

しかしほとんどのうつ病の方が、朝が一番辛い、と口をそろえて言います。
ストレスのために夜しっかり眠れていないため、脳の疲労が回復していません。
そして気分の落ち込みが一番強いのも朝方のように見受けます。

二つ目は、起きる理由がないこと。
今一度自分のケースを思い出しましょう。
徹夜明けの翌日、本当ならそのままゴロリと横になりたかったですよね。
でもどーーーーーうしてもそう出来ない事情があった(会社・学校など)。
だから頑張って外出した。

うつ病療養中で昼夜逆転した人には、その「どうしてもそう出来ない事情」が無いのです。
つまり「辛くても昼夜逆転を戻さなければいけない」と考えて自分を叱咤する理由・モチベーションが無い。
なので、いつまでも逆転したまま生活し、いつしかそれが固定されてしまうのです。

三つ目は、周囲の生活音。
当然ながら、周りの人は皆朝起きて活動しています。
家に一人でいれば、公園から子どもの声が聞こえてきたり、ご近所の立ち話の声が聞こえたり、宅配便が届いたり、ポストに郵便物が届いたり、家の前の道路を車が行き交ったり、色んな音が聞こえてきます。

そうした日常の音に囲まれながら、「どうして今自分はここにいるんだろう」と、ふと我に返ってしまいます。
病気を治すために仕事から離れて療養しているのに、何もしていない状況に対して、世間から隔絶してしまったような孤独感と、ずっとこのままなのでは、という焦りを募らせてしまいます。

誰も起きていない夜のほうが、気分が楽なのです。

4.サイクルを戻す「理由」を考えよう

朝起きて夜寝る「昼行型動物」が人間です。
それに家族のほとんどが昼間活動しているのですから、うつ病とはいえずっと逆転したままでいいわけはありません。

しかし、分かっていても出来ないのが人間であり、うつ病です。

昼夜逆転を変えたい、変えて欲しい場合は、朝起きて昼活動する「理由」を考えましょう。
つまり、うつ病のせいで激辛の朝でも「起きよう」と思うためのモチベーションを育てるのです。

たとえば、
・〇曜日に可燃ごみを朝8時までに出す
・午前中に届く宅急便を必ず受け取る
・病院の予約は朝一~午前中にして必ず行く
のような理由を作ってみましょう。
万が一逃したところで、再設定は可能です。

1回で戻ることはないし、1回で来たからその後もずっと出来るわけではないです。
そこは長い目で見ながら、目が覚める時間帯を前倒ししていきましょう。

自分が起きている時にパートナーが寝ていると寂しいものです。
特に夫婦二人の生活で、活動時間がすれ違うと、コミュニケーション不足でそれもストレスの原因となります。

しかし、「どうせ寝てるのだから」と、思考を切り替えて別々の時間を楽しむのも一つの手です。
心配だからと一緒に居過ぎて密着しすぎるのも問題です。

すれ違いが続けば、寂しさを埋めるために相手と同じ時間に起きよう、と思うかもしれません。
それもまた「昼夜逆転を変えるモチベーション」の一つになるでしょう。


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