絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

42 件中 1 - 42 件表示
カバー画像

“赦し”を運んできた君と僕の物語 ― 魂が再会した春

廉清生織のブログの部屋へようこそどうしてこんなにも惹かれるのか理由なんて分からないのに君に出逢ったその瞬間すべてが変わった満開の桜の下ほんの少しだけ怖かったそんな時僕の目の前に君が現れたまるでこの世界に赦しを運ぶように何も聞かずただ静かに笑っていたその瞳はどこか遠くの記憶を知っているよう懐かしくて胸の奥がほどけていった守ることばかり考えていた僕が初めて桜咲き誇る季節舞い降りた天使それが君なら僕はもう逃げない言葉にならない想いに寄り添う一曲野田洋次郎「なみしぐさ」あなたへお届けしますあなたのその想いにもきっと意味がある言葉にならない心をそっと読み解きます好きと不安が渦巻くあなたの想いもとても大切な意味があるそっと寄り添って読み解きますあなたの心の苦しみを解放するための方法を具体的にそっと読み解きます
0
カバー画像

好きなのに結ばれない恋 ― ミモザと桜の物語

廉清生織のブログの部屋へようこそ春になるとミモザと桜が同じ空に咲きますあなたはこの二つの花がどんな恋をしているか想像したことがありますか?もしかしたら。。あなたの恋の物語と少し似ているかもしれませんねまだ少し冷たい早春の風のなか黄金色のミモザがそっと花をひらいたそれは春の始まりを告げる小さな勇気の花そこへふわりと舞い降りたのは淡い光をまとった桜桜は知っている恋がどれほど美しくて儚いものかをミモザは知らないまだ始まったばかりのまっすぐな想い「近づいてもいいの?」風に揺れながらミモザはそっと問いかける桜は少しだけ微笑んでこう答えた「私はね。咲いたらすぐ旅に出る花なの」それでもミモザは春の光を信じて咲き続けたほんの少しの時間二つの花は同じ空を見上げたけれどやがて桜は風に乗り静かに空へ散っていくミモザはその姿を見送りながら初めて知る恋は永遠になるためだけに出会うのではないことを心を目覚めさせるために訪れる春もあることをそして桜が去ったあとミモザは前より少しだけ強く咲くようになった次の春にはきっとミモザの花を大切に抱きしめる風が来るそれがあなたの本当の春だから
0
カバー画像

新月と満月を味方にする習慣

廉清生織のブログの部屋へようこそ🌑 新月と満月は特別な日ではなく“ 毎月訪れるチャンス ”です新月は願いをかける日満月は手放す日このリズムは毎月 毎月 繰り返されています天気が悪くても空が見えなくても新月や満月のエネルギーはちゃんと流れています時間を忘れてしまってもその日であれば大丈夫少し遅れてもあなたが“意識した瞬間”から流れは動き出す「できなかった」と後悔して自分を責めてしまうこともあるでも 大切なのは完璧にやることではなく“ 続けること ”新月の日にほんの少しだけ自分の気持ちに向き合う満月の日にほんの少しだけ手放す意識をするそれだけでいいそれだけであなたの中の流れは少しずつ変わっていく恋も同じ一度で大きく変わるのではなく少しずつでも確実に動き出していくだからこそこのリズムをあなたの習慣にしてみてください気づいたときにほんの少しだけ空を見上げてみるそれだけでもいいその小さな積み重ねがやがて大きなご縁を引き寄せますあなたの恋はもう動き始めていますすぐに変わらなくてもいい それでも続けた先にちゃんと未来はあるのだから焦らなくていい あなたのペースでいい  そのまま進んでみてくださいあのときの涙は 終わりじゃなく 次の恋の はじまりだったもし今ひとりでは手放せない想いがあるならなぜその恋が終わらないのか次のご縁がいつ動き出すのかあなたの流れを丁寧に読み解きます無理に前に進まなくていいあなたのペースでいい必要なときにそっと寄り添いますあなたの手相は   過去も未来も      知っています手相に隠されたメッセージをやさしく紐解きます
0
カバー画像

【透視タロット占い】わたしと彼の近未来

こんにちは!透視タロット占い師🌙広瀬可菜です(*'ω'*)今日は、【わたしと彼の近未来/透視*タロット♡あなたと彼の近未来】を占いました✨【わたしと彼の近未来/透視*タロット♡あなたと彼の近未来】近未来の彼は、触らぬ神に祟りなし、唱えていきましょう。実際に口に出して本人に伝える必要はありません。近未来の彼は余裕をなくしています。○○さんのことは心配しているし、気にかけているけど、気持ちに余裕がありません。〇〇さんが自分に少しでも反抗的な態度をとればいらっとするし、自分以外の男を褒めるような発言をすればいらっとするし、自分だけに気持ちと意識を向けてほしいのに、他のことに夢中になっていたらイラっとします。俺が○○さんの王様だ!黙っておれについてくればいいんだ!俺に尽くせばいいんだ!と傲慢で支配的な気持ちの向け方をしやすくなっていました。放っておきましょう。近未来では接触をしないことが一番。〇〇さんを都合のいい女として見ているわけではありません。好きな気持ちがあるから、甘えが出て、八つ当たりが出て、傲慢さと支配欲が出てきます。その気持ちの向け方が2人にとっていいものではないと彼が気づけるまでは、この近未来が出たときに、接触を避けて様子を見るバランスを設けてください。〇〇さんが反応すれば、彼はこのやり方をしていいんだと認識してしまうし、反抗した態度をとれば逆効果。○○さん自身も傷つく可能性と思い悩む瞬間が出てくるので、接触せずに今回の近未来が通り過ぎるのを待つ、越えたら様子をみながら接触する。石を投げて反応を見るぐらいの気持ちでいましょう!本当に石を投げたらだめですよ(゚∀゚)以上が今
0
カバー画像

そのやさしさが、少しだけ苦しかった。

夜の空気は、思っていたより静かだった。さっきまで残っていた夕焼けの色は、もうほとんど消えている。街灯の下。悠真は、少しだけ立ち止まっていた。ポケットの中のスマホ。さっきのやりとりが、まだ残っている。「……ゆうまのおばかさん」小さく、息を吐く。(ほんとだよな)誰にも聞こえない声で、つぶやく。歩き出す。でも。さっきとは、少しだけ違う。前に進んでいる感じがした。――その頃。凪は、もう家の近くまで来ていた。同じ帰り道。でも。今日は、少しだけ長く感じる。歩くたびに、思い出してしまう。「なんかあった?」あの声。やさしかった。でも。そのやさしさが、少しだけ苦しかった。(どうして、そんなふうに聞くの)心の中で、小さくつぶやく。(気づいてるくせに)歩くスピードが、少しだけ落ちる。家の前の角。いつもなら、そのまま曲がる。でも。今日は、足が止まる。振り返る。誰もいない。当然なのに。少しだけ、胸がきゅっとなる。(来るわけ、ないよね)わかってる。わかってるのに。ほんの少しだけ、期待してしまった自分に気づく。凪は、目を伏せる。そのとき。遠くで、足音がした。凪は顔を上げる。夜の中。街灯の明かりの向こう。誰かが、こっちに向かって歩いてくる。心臓が、少しだけ速くなる。でも。その姿がはっきり見えた瞬間。凪は、少しだけ安心して、少しだけ寂しくなった。「……あれ?」聞き慣れた声。クラスメイトの男子だった。柔らかい雰囲気の。いつも、無理に話しかけてこないタイプ。「凪、だよね?」凪は、小さくうなずく。「うん。」その男子は、少しだけ笑った。「こんな時間に珍しいね。」「……ちょっと、遅くなっちゃって。」自然に会話が続く。気を
0
カバー画像

その言葉。自分がずっと求めていたもの。

電話の向こうで、少しだけ息が重なる。沈黙。でも。嫌じゃない。むしろ、少しだけ、近い。陽菜が、ぽつりと。「ねえ」やわらかい声。「今日さ」少し間。「手、つないだじゃん」凪の心臓が、ドクンと鳴る。思い出す。あの夕焼け。あの温度。「……うん」小さく返す。陽菜が、少しだけ笑う。「なんかさ」声が、ほんの少しだけやわらぐ。「安心した」その一言。凪の胸が、ぎゅっとなる。(……安心)その言葉。自分がずっと求めていたもの。でも、今は違う意味で届く。凪は、ゆっくり言う。「わたしも」正直に。「陽菜といると、安心する」電話の向こうで、少しだけ沈黙。それから、小さく笑う声。「それさ」少しだけ意地悪に。「ずるくない?」凪が、少しだけ慌てる。「え、なんで」陽菜が、くすっと笑う。「だって」少し間。「嬉しいじゃん」その言い方、まっすぐすぎて、凪の頬が、少し熱くなる。窓の外。夜の空。でも、今は、少しだけあたたかい。陽菜が、少しだけ声を落とす。「ねえ、凪」呼び方が、少しだけ違う。やわらかい。「無理してるときの凪よりさ」少し間。「今の凪のほうが、好きかも」その言葉。まっすぐ届く。凪は、言葉を失う。嬉しいのか。恥ずかしいのか。少し、わからない。でも、確かに、心が動いている。「……陽菜ってさ」やっと、声が出る。「そういうこと、普通に言うよね」陽菜が、すぐに返す。「言わないと、伝わんないじゃん」少しだけ笑う。その言葉、今日、何度も聞いた気がする。でも、今は、少し違って響く。凪は、ふっと笑う。「……そっか」小さく、でも、ちゃんと。そのとき、陽菜が、ぽつりと。「ねえ」少しだけ声が低くなる。「明日さ」間。「ちょっとだけ、一緒に帰ら
0
カバー画像

やっと同じとこに立てた感じする

夕焼けの光が、二人の手をやわらかく包む。凪と陽菜。握ったままの手。強くもなく、弱くもなく。ちょうどいい力。その温度が、少しずつ伝わっていく。陽菜が、少しだけ笑う。「……変な感じ」凪も、少しだけ笑う。「うん」短い言葉。でも、どこか安心している声。手を、そっと離す。距離は、さっきより近い。陽菜が、軽く息を吐く。「なんかさ」少しだけ目を細める。「やっと同じとこに立てた感じする」その言葉に、凪の胸がやわらぐ。ずっと、どこかズレていた。でも今は。同じ場所。同じ高さ。そのとき、悠真が、小さく笑う。「それ、俺たちも入っていいやつ?」陽菜が、すぐに返す。「ダメって言ったらどうするの?」少し意地悪に。でも、楽しそうに。悠真は、肩をすくめる。「じゃあ、勝手に入る」そのやりとりに、空気がふっと軽くなる。蓮も、静かに笑う。「それなら、俺も」自然に。でも、ちゃんとそこにいる言い方。四人の距離が、また少しだけ近づく。誰かが外じゃない。誰かが上でも下でもない。ただ、同じ場所にいる。陽菜が、ふと真面目な顔になる。「でもさ」少しだけ間。「これ、簡単じゃないよね」その言葉。現実。凪が、うなずく。「うん」悠真も、ゆっくり言う。「でも、やるしかない」短く。でも、強い。蓮が、続ける。「逃げないって決めたしね」その言葉で、さっき決めた“ルール”が重なる。陽菜が、少しだけ笑う。「じゃあさ」軽く手を振る。「とりあえず今日だけは」少し間。「難しいこと考えない日にしよ」その一言。四人が、少しだけ息を抜く。凪は、窓の外を見る。夕焼けが、少しずつ夜に変わっていく。終わりじゃない。ただの切り替わり。そして、凪は、三人を見る。「……帰ろ
0
カバー画像

意識は、放課後に向かっている。

教室のドアが開く。朝のざわめきが、ふっと流れ込む。いつもと同じ景色。でも、四人にとっては、まったく違う朝だった。席に向かう。凪は、ゆっくり歩く。背中に、いくつかの視線を感じる。悠真。蓮。そして、少し離れた場所に陽菜。誰も、何も言わない。椅子を引く音。静かに座る。教科書を出す。ページを開く。文字は見えているのに、頭に入らない。(放課後……)その言葉だけが、浮かぶ。今日、全部が決まる。そんな予感。ふと、隣の席から、小さな声。「凪」悠真。凪は、少しだけ顔を向ける。近い距離。でも、今はちゃんと見れる。「今日さ」声は、低くて落ち着いている。「逃げないでくれる?」その言葉。お願いじゃない。でも、強制でもない。凪は、少しだけ息を吸う。「……逃げないよ」はっきりと決めた言葉。悠真の目が、少しだけやわらぐ。そのとき、後ろから、軽い声。「いいね」蓮。凪の心が、少しだけ揺れる。振り向く。蓮は、やわらかく笑っている。でも、その奥に、静かな強さ。「ちゃんと向き合うなら」少しだけ間。「俺も、逃げないよ」空気が、ピンと張る。凪の胸が、大きく鳴る。悠真の視線が、蓮に向く。言葉はない。でも、火がついた。陽菜が、机に肘をつく。少しだけ笑う。「なんかさ」ため息みたいに。でも、楽しそうに。「青春って感じじゃん」軽く言う。その一言で、空気が少しだけ抜ける。凪は、小さく笑う。ほんの少しだけ。ちゃんと、自分の笑い。チャイムが鳴る。授業が始まる。でも、誰の心も、ここにはない。時間は進む。意識は、放課後に向かっている。そして、その時間は、思っているよりも早く訪れる。放課後。教室の空気が、少しずつ変わる。人が減っていく。ざわめき
0
カバー画像

好きと安心。二つの感情が、同じ場所で動き始めている。

校門の前。朝の光が、少しだけ揺れる。凪の言葉のあと。「……でもね」その続きが、まだ空気の中に残っている。悠真は、待っている。急かさない。逃がさない距離で。凪は、小さく息を吸う。言わなきゃ。そう思うほど、言葉が重くなる。それでも、ゆっくり口を開く。「悠真のこと」名前を呼ぶ。それだけで、胸が少しだけ痛くなる。「好きだよ」はっきりと、逃げずに言う。悠真の目が、わずかに動く。空気が、一瞬止まる。でも、凪は続ける。止まらない。「でも」少し間。言葉を選ぶ。「一緒にいるとき」視線が、少しだけ揺れる。「無理してた」その一言が、静かに落ちる。悠真の呼吸が、少しだけ変わる。凪は、続ける。「嫌われたくなくて」少しだけ声が震える。「ちゃんとしなきゃって思って」一歩、少しだけ踏み出す。「自分じゃなくなってた」言えた。全部じゃないけど一番大事なところ。空気が、深くなる。重くはない。軽くもない。悠真は、少しだけ下を向く。考えている。逃げずに。それから、ゆっくり顔を上げる。「……そっか」短い言葉。ちゃんと受け止めている声。凪の胸が、少しだけほどける。そのとき、後ろから、軽い足音。「おはよー!」陽菜だ。いつも通りの明るさ。でも、その目は、少しだけ空気を読んでいる。凪と悠真を見る。ほんの一瞬。それだけで、全部を察したような顔。でも、何も言わない。ただ、笑う。「朝から真面目な顔してるじゃん」軽く言う。空気を壊さない程度に。その距離感が、やさしい。少し離れた場所。校門の影。蓮が、静かに見ている。表情は変わらない。視線だけが、少しだけ深い。凪は、まだ気づいていない。物語は、もう止まらない。好きと安心。二つの感情が、同じ
0
カバー画像

まだ誰も気づいていない

校門の前。朝の光が、少しだけ強くなる。凪と悠真。ほんの少しの距離。その距離が、やけに遠く感じる。「……おはよう」さっき交わした言葉の余韻が、まだ残っている。次の言葉が、出ない。凪は、少しだけ指を握る。逃げないと決めたのに。やっぱり、少しだけ怖い。悠真が、ゆっくり口を開く。「昨日のことなんだけど」その声は、落ち着いていた。でも、どこかで、迷っている。凪は、うなずく。「……うん」短い返事。でも、ちゃんと聞く姿勢。悠真は、少しだけ息を吸う。「俺さ」少し間。視線を外さない。「ちゃんと見てるつもりだった」凪の心臓が、少しだけ強く鳴る。「でも」悠真の声が、少しだけ低くなる。「見てなかったかもしれない」その言葉に、凪は少しだけ目を見開く。予想していなかった言葉。悠真は、続ける。「昨日さ」少しだけ苦笑する。「陽菜にも言われたんだよ」一瞬だけ、空気が揺れる。「……ゆうまのおばかさんって」凪の心が、少しだけ揺れる。その言葉。どこか、引っかかる。でも、不思議と、やさしく響いた。悠真は、少しだけ目を細める。「たぶん、俺」少し間。「ちゃんと見てなかった」まっすぐな言葉。逃げていない。そのことが、伝わる。凪は、少しだけ息を止める。胸の奥が、静かに揺れる。(……あ)昨日、感じた違和感。それが、少しだけ形になる。悠真は、続ける。「だから」一歩、少しだけ近づく。距離が、ほんの少し縮まる。「ちゃんと知りたい」その言葉が、静かに落ちる。凪の視線が、揺れる。逃げたくなる。でも、逃げないと決めた。凪は、小さく息を吸う。「……わたしも」声が、少しだけ震える。震えが止まらない。「ちゃんと話したい」言えた。はじめて、ちゃんと
0
カバー画像

……好きって、なんだろ。

スマホの画面を、ゆっくり開く。指先が、少しだけ冷たい。表示された文字。「いいよ。」たった、それだけ。凪は、少しだけ息を止める。短い。でも、その一言がやさしく落ちてくる。(……怒ってない)胸の奥が、少しほどける。そのあとに、もう一行。「ちゃんと話そう。」凪の指が、止まる。その言葉。逃げ道を残してくれているのに、ちゃんと向き合おうとしてくれている。(……やっぱり、ずるい)小さく、笑う。でも、その笑いは、少しだけあたたかい。スマホを胸に置く。天井を見る。さっきまでの迷い。蓮との時間。安心。全部、そこにある。でも、その中で、ひとつだけ、はっきりしてきたものがある。(ちゃんと、向き合いたい)誰かにじゃなくて自分に。そして、悠真に。そのとき、ふと思い出す。蓮の声。「無理してること、あるんじゃない?」凪は、小さく息を吐く。(……あるよ)心の中で答える。ずっと、無理してた。ちゃんとしようとして。嫌われないようにして。自分を押し込めてた。でも、さっきは、違った。(……あの時間を思い出す。)やわらかい空気。自然に笑えた感じ。「……好きって、なんだろ。」ぽつりと、こぼれる。安心すること?ドキドキすること?どっちも、違う気がする。どっちも、ある気もする。凪は、ゆっくりと目を閉じる。胸の奥に、二つの気持ちが静かに揺れている。蓮。悠真。違う形。違う距離。どっちが正しいとかじゃない。どっちが自分にとって本当なのか。そのことに、少しずつ向き合い始めている。スマホが、もう一度震える。凪は、ゆっくり目を開ける。画面を見る。「明日、話せる?」悠真から。短い。逃げられない問い。凪は、少しだけ息を吸う。指を動かす。迷い
0
カバー画像

ちゃんと見ろってことかよ……

夜の道は、少しだけ明るく感じた。街灯の光が、やわらかく続いている。二人の足音が、静かに重なる。凪は、少しだけ顔を上げていた。さっきまでとは違う視線。でも、まだ、どこかで迷っている。蓮が、ふと歩く速度を少しだけゆるめる。凪の歩幅に、自然に合わせる。そのさりげなさに、凪は気づく。何も言わないのに。ちゃんと見てくれている。そのことが、少しだけ嬉しい。「……さ。」凪が、小さく声を出す。蓮が、少しだけ顔を向ける。「うん?」凪は、少し迷う。でも、今なら、言える気がした。「さっきの……」言葉を探す。「ズレてるっていうの。」少しだけ視線を落とす。「なんか、わかる気がする。」蓮は、少しだけ笑う。「そっか。」それだけ。余計なことは言わない。その受け止め方が、やさしい。凪は、続ける。「ちゃんとしなきゃって思うほど」少し間。「うまくいかなくなる感じ。」今まで、はっきり言えなかったもの。蓮は、ゆっくりうなずく。「あるよね。」短い言葉。でも、ちゃんと届く。凪は、少しだけ安心する。そのとき、ふと、胸の奥に浮かぶもの。悠真。あの帰り道。あの言葉。「なんかあった?」同じ言葉だった。でも、違った。何が違ったのか。少しだけ考える。(あ……)気づいた。悠真は、優しかった。でも、“どうすればいいか”までは、見ていなかった。蓮は,理由はわからないのに“今の自分”を見てくれていた。その違いが、少しだけわかる。凪は、立ち止まりそうになる。でも、歩きながら、そっとつぶやく。「……ちゃんと見てくれる人って」少しだけ、声が小さくなる。「違うんだね。」蓮は、少しだけ驚いた顔をする。でも、すぐに、やわらかく笑う。「たまたまだよ。」軽く
0
カバー画像

気づいてたのに、何もしてねえ

夕焼けは、もう少しだけ色を濃くしていた。帰り道。住宅街に入ると、さっきまでの足音が少しだけ響かなくなる。悠真は、凪の後ろ姿を思い出していた。あの距離。ほんの少しなのに、どうしてあんなに遠く感じたのか。(……なんでだよ)歩きながら、何度も考える。何かしたのか。何もしてないのか。わからない。ただ一つだけ、はっきりしている。「いつもと違う」それだけだった。隣で、陽菜が歩いている。少しだけ間をあけて。「ねえ。」陽菜が声をかける。悠真は顔を向ける。「さっきの、気づいてるよね。」悠真は、少しだけ黙る。誤魔化そうとして、やめた。「……ああ。」短く答える。陽菜は、少しだけ笑う。でもその笑顔は、いつもより静かだった。「凪さ。」少し間。「無理してるよ。」その言葉が、ゆっくり落ちてくる。悠真の中に。「……だよな。」自然に出た言葉だった。陽菜は、少しだけ安心したようにうなずく。「たぶんさ。」空を見上げる。夕焼けが、少しだけ淡くなってきている。「言えないんだと思う。」「……何を。」悠真が聞く。陽菜は、少しだけ考える。それから、やわらかく言った。「自分の気持ち。」その言葉に、悠真は何も言えなくなる。頭の中で、凪の顔が浮かぶ。笑っていた。でも。あの笑顔は、少しだけ違った。(気づいてたのに)胸の奥が、少しだけ痛くなる。(気づいてたのに、何もしてねえ)足が、止まりそうになる。でも、止まらない。陽菜が、ふっと横を見る。「悠真。」「ん?」「ちゃんと見てあげなよ。」まっすぐな声だった。「凪のこと。」悠真は、息を飲む。「……見てるよ。」すぐに出た言葉。でも。陽菜は首を少しだけ振る。「ううん。」やさしく。「見てる“つもり
0
カバー画像

勝手に決めるな。俺の気持ち聞いてからにしろよ。

夕方の光が、廊下の床に長く伸びていた。窓から差し込むオレンジ色が、三人の影を静かに並べている。誰も、すぐには言葉を出さなかった。凪は、少しだけ目を伏せた。胸の奥が、落ち着かない。さっきの言葉が、まだ耳に残っている。「勝手に決めるな。 俺の気持ち聞いてからにしろよ。」その言葉を思い出すたび、胸がぎゅっとなる。でも。凪は、小さく息を吸った。そして、少し笑う。「……わたし、先に帰るね。」静かな声だった。でも。その声は、どこか遠かった。悠真の眉が、少しだけ動く。「もう帰るの?」凪はうなずいた。「うん。今日は、ちょっと疲れちゃった。」本当は違う。疲れているのは、体じゃない。心だ。でも。そんなこと、言えるはずがない。凪は、カバンの紐をぎゅっと握る。そして歩き出そうとした。そのときだった。「待てよ。」悠真の声。凪の足が止まる。振り向かない。振り向いたら、きっと顔に出てしまうから。少しだけ、沈黙。夕焼けの光が、さらに濃くなる。悠真は、ゆっくり言った。「また、勝手に決めてる。」凪の胸が、強く揺れる。でも。凪は、笑ったまま言う。「決めてないよ。」「……決めてる。」短い言葉。でも。その声は、まっすぐだった。その空気を、陽菜も感じていた。陽菜は、二人を交互に見る。いつもの空気じゃない。凪の笑顔。どこか、無理をしている。悠真の声。少しだけ、強い。陽菜は、ふっと小さく息をついた。そして、やわらかく言った。「なんかさ。」二人が、陽菜を見る。陽菜は少し笑う。「わたし、邪魔してる?」凪の心臓が跳ねる。「そんなことないよ!」凪は、すぐに言った。少し、早すぎるくらい。でも。陽菜は、わかってしまった。三人の間に流れる
0
カバー画像

ちょっとだけ、話せる?

夜、深くなる。時計の針の音だけが、部屋に響く。凪は、ノートを見つめたまま動かない。「わたしは、どうしたい?」書いたままの一行。答えは、まだないけど、その問いを消したくはなかった。(……逃げないって、こういうことかも)凪は、ゆっくりペンを置く。窓を開ける。少し冷たい風が、部屋に入ってくる。胸の中のもやもやが、少しだけほどける。そのとき、スマホが、ふっと光る。メッセージ。差出人――陽菜。凪の指が、少しだけ止まる。ゆっくり開く。「ねえ、起きてる?」短い一文。いつもの軽さ。でも、今は、少し違って見える。凪は、少しだけ迷ってから打つ。「起きてるよ」すぐに、既読がつく。少し間。それから、「ちょっとだけ、話せる?」その言葉に、凪の胸が、少しだけ強く鳴る。(……来た)逃げないって決めた夜。凪は、小さく息を吸う。「うん」短く返す。すぐに、通話の着信。画面に映る名前。陽菜。凪は、一瞬だけ目を閉じる。それから、通話ボタンを押す。「……もしもし」少しだけ緊張した声。向こう側で、陽菜が小さく笑う。「なんかさ」軽く始める。その奥に、本音がある。「今日の続き、しよっか」その一言で、空気が、少しだけ変わる。そして、止まっていた“関係”が、静かにもう一度、動き出す。
0
カバー画像

これからどうすんの?

夕焼けの光が、少しずつやわらいでいく。教室の中。さっきまでの重さは、もうない。でも、全部が解決したわけでもない。その“途中”の空気。凪は、三人を見る。悠真。蓮。陽菜。同じ場所に立っている。それだけで、少しだけ安心する。陽菜が、ふっと笑う。「でさ」軽く首をかしげる。「これからどうすんの?」さっきと同じ問い。でも、今は少しだけ、やわらかい。凪は、少しだけ考える。答えは、まだない。逃げないことだけは決めている。「……普通に、過ごしたい」ぽつりと。でも、ちゃんとした声。「みんなと」その一言に、三人の表情が少しだけ変わる。驚き。でも、否定ではない。悠真が、ゆっくりうなずく。「いいと思う」短く。でも、まっすぐに。蓮も、少しだけ笑う。「それが一番むずかしいけどね」やわらかい声。でも、本音。凪も、少しだけ笑う。「うん」そのとき。陽菜が、少しだけ前に出る。「じゃあさ」軽く手を叩く。「ルール決めよ」三人が、少し驚く。陽菜は、にやっと笑う。「重くならないやつね」その言い方。いつもの陽菜に戻りつつある。さっきの本音を知っているから、違って見える。「まず」指を一本立てる。「無理しない」凪の胸が、少しだけ動く。「二つ目、ちゃんと言う」悠真が、少しだけ苦笑する。「それ、俺に言ってる?」陽菜が、笑う。「全員に」空気が、少しだけ軽くなる。「三つ目」少し間。「逃げない」その言葉で。また、空気が少しだけ締まる。でも、怖くはない。さっきより、ちゃんと立てているから。凪は、うなずく。「……いいと思う」自分の言葉で、悠真も、ゆっくりうなずく。「守る」短く。蓮も、少しだけ目を細める。「それなら、やれる」陽菜が、満足そうに笑
0
カバー画像

やっぱり、凪ってそういうとこあるよね

教室の空気が、ゆっくりと沈む。夕焼けの色が、少しだけ濃くなる。陽菜の言葉のあと誰も、すぐには動けなかった。凪は、陽菜を見る。今まで知っていた陽菜じゃない。でも、これも陽菜。そのことが、ちゃんと伝わってくる。凪は、小さく息を吸う。「……陽菜」名前を呼ぶ。少しだけ、やさしく。でも、逃げない声で。陽菜は、顔を上げない。視線は、床のまま。でも、聞いている。凪は、一歩だけ近づく。距離を、縮める。「のけものじゃないよ」はっきりと、言い切る。陽菜の肩が、わずかに動く。凪は、続ける。「わたしが勝手に、  そういう形にしてただけ」少し間。「ちゃんと見てなかった」その言葉に、悠真と蓮の視線も、凪に向く。凪は、陽菜から目をそらさない。「陽菜がどう思ってたか」少しだけ声が揺れる。でも、止めない。「ちゃんと知ろうとしてなかった」正直な言葉。言い訳じゃない。陽菜が、ゆっくり顔を上げる。目が、少しだけ赤い。でも、泣いてはいない。「……そっか」小さく。でも、ちゃんとした声。陽菜は、少しだけ笑う。「やっぱり、凪ってそういうとこあるよね」軽く言う。でも、責めていない。いつもの距離感に戻そうとしている。凪も、少しだけ笑う。「……ごめん」素直に。それ以上、言い訳しない。そのとき、悠真が、静かに言う。「陽菜」少しだけ間。「俺も、ごめん」その一言で、空気がまた揺れる。陽菜が、少しだけ驚いた顔をする。悠真は、続ける。「ちゃんと見てなかった」凪と同じ言葉。でも、意味は少し違う。陽菜は、ふっと笑う。「それ、さっき聞いたやつ」少しだけ、意地悪く。その声は、やわらかい。悠真も、少しだけ笑う。蓮が、静かに口を開く。「俺も、勝手に“凪
0
カバー画像

どんな自分でいたいかが、まだわかってない

夕方の光が、教室の奥まで伸びている。凪の言葉が、まだ空気に残っている。「自分をちゃんと選びたい」その一言で、場の重さが、少しだけ変わった。悠真が、ゆっくり息を吐く。「……そっか」短い。その中に、いろんな感情が混ざっている。納得と。戸惑いと。少しの寂しさ。凪は、それをちゃんと見ている。目をそらさない。もう、逃げないから。蓮が、静かに口を開く。「それってさ」やわらかい声。「今は、どっちも選ばないってこと?」正直な気持ち。責めていない。ただ、確かめている。凪は、少しだけ考える。そして、「……うん」小さく、でもはっきり。「今のままじゃ、選べない」正直な言葉。悠真の指が、少しだけ動く。握る。でも、何も言わない。凪は、続ける。「どっちがいいかじゃなくて」少し間。「どんな自分でいたいかが、まだわかってない」それは逃げじゃない。ちゃんと向き合っているからこそ出た言葉。陽菜が、ふっと笑う。「それ、めっちゃ大事じゃん」軽い言い方。でも、一番核心を突いている。凪は、少しだけ安心したように息を吐く。悠真が、顔を上げる。「じゃあさ」少しだけ前に出る。「その時間、ちゃんと取ろう」凪の目が、揺れる。「無理に今決めなくていい」まっすぐな言葉。「でも」少しだけ間。「俺は、待つ」その一言。押しつけじゃない。凪の胸が、少しだけ熱くなる。そのとき、蓮が、少しだけ笑う。「俺も」短く。でも、はっきり、「急がせるつもりないよ」その言葉に、凪の中で、何かがほどける。比べられていない。選ばされていない。ただ、自分で選べる場所に立っている。陽菜が、腕を組む。少しだけ楽しそうに。「なんかさ」ゆっくり言う。「いい感じにめんどくさいね
0
カバー画像

……わたし・・・自分のままでいたい。

教室の空気が、静かに止まる。夕方の光が、少しだけ長く差し込んでいる。凪は、二人を見ている。悠真。蓮。どちらからも、目をそらさない。逃げないと決めたから。でも、簡単じゃない。胸の奥で、二つの感情が揺れている。好き。安心。どっちも、本当。どっちも、嘘じゃない。凪は、小さく息を吸う。「……ごめん」その一言で、空気がわずかに揺れる。悠真の眉が、少し動く。蓮の視線が、静かに深くなる。凪は、続ける。「どっちかを選ぶって」少し間。「そういうことじゃない気がしてる」言葉にする。まだ曖昧な気持ち。でも、逃げてはいない言葉。悠真が、ゆっくり口を開く。「じゃあ、どういうこと?」責めていない。まっすぐな問い。凪は、少しだけ考える。そして、言葉を探す。「……わたし」小さく、でもはっきり。「自分のままでいたい」教室の空気が、少しだけ変わる。凪は、続ける。「悠真といるとき」少し間。「ちゃんとしなきゃって思ってた」「でも、それって」ゆっくりと「本当のわたしじゃなかった」その言葉に、悠真の表情が揺れる。凪は、蓮を見る。ほんの一瞬。「蓮くんといると」少しだけ、やわらかくなる声。「そのままでいられた」その事実。そこで終わらない。凪は、もう一度悠真を見る。「でも」少し強くなる声。「悠真のこと、ちゃんと好きだよ」教室の空気が、深くなる。嘘じゃない。どっちも、本当。その矛盾が、そのままそこにある。凪は、小さく息を吐く。「だから」少し間。「どっちかを選ぶ前に」ゆっくりと「自分をちゃんと選びたい」その言葉が、静かに落ちる。誰かのためじゃなくて。自分として、どういたいか。それを、決める。悠真は、しばらく黙る。考えている。それか
0
カバー画像

本当の気持ちと向き合う時間が、始まる。

校門の前。凪の言葉の余韻が、まだ残っている。「好きだよ」「でも、無理してた」その二つが、空気の中で重なっている。悠真は、少しだけ黙る。逃げない。でも、すぐにも答えない。その沈黙が、やさしい。凪は、少しだけ息を整える。言ってしまった。戻れないところまで。でも、後悔は、していない。悠真が、ゆっくり口を開く。「……ありがとう」その言葉に、凪は少しだけ驚く。責められると思っていた。でも、違った。悠真は、続ける。「ちゃんと言ってくれて」少しだけ笑う。でも、その笑顔は、どこか不器用だった。「俺、たぶん」少し間。「勝手に思ってた」凪の心が、少しだけ揺れる。「凪は、こうだって」「自分の中の凪。  それに、当てはめていた。」悠真は、視線を落とす。「ちゃんと見てるつもりで」少しだけ苦笑する。「見てなかった」その言葉に、凪の胸が、静かにほどける。責めていない。自分も、同じだったから。「……わたしも」「勝手に決めてた」小さく、こぼれる。「悠真の気持ち。ちゃんと聞く前に。 距離を取ろうとしていた。」二人の間に、静かな理解が生まれる。少しだけ。ほんの少しだけ。そのとき、陽菜が、ふっと息を吐く。「……よかった」ぽつりと、自然に出た言葉。凪と悠真が、同時に陽菜を見る。陽菜は、少しだけ肩をすくめる。「なんかさ」少し笑う。「ちゃんと話してる感じ、初めて見た」その言い方に、やわらかさがある。責めていない。ただ、二人を見ていた言葉。そして、ほんの少しだけ、いたずらっぽく笑って。「ゆうまのおばかさん」軽く言う。でも、その一言は、やさしかった。空気が、ふっと緩む。悠真が、少しだけ苦笑する。「……はいはい」どこか救われた顔
0
カバー画像

昨日のことが、よみがえってくる。

朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。やわらかい光。どこか逃げられない明るさ。凪は、ゆっくりと目を開ける。一瞬だけ、ぼんやり。昨日のことが、よみがえってくる。蓮との帰り道。部屋での時間。悠真からのメッセージ。「……もう朝、・・・か。」小さくつぶやく。胸の奥がざわつく。怖いわけじゃない。でも、落ち着かない。布団の中で、少しだけ体を丸める。(ちゃんと、話そう・・・)昨日、そう決めたんだ。まだどう話すかは、決まっていない。スマホを手に取る。画面を開く。悠真とのやりとり。最後は、自分の「うん」。短い「うん」に全部詰まっている。「……行かなきゃ」小さく言って、体を起こす。制服に着替える。紺のブレザー。赤いリボン。いつもと同じはずなのに、今日は、少しだけ違う気がする。鏡の前に立つ。自分の顔を見る。(ちゃんと……見て)蓮の言葉が浮かぶ。“無理してること、あるんじゃない?”凪は、少しだけ深呼吸する。笑おうとして、やめる。無理に笑わない。そのままでいい。「……いってきます」小さく言って、家を出る。朝の空気は、少し冷たい。そして、どこか澄んでいる。通学路。見慣れた道。今日は、少しだけ遠く感じる。学校が近づく。心臓が、少しだけ速くなる。門が見える。そのとき、校門の前に人影。凪の足が、止まりかける。遠くからでもわかる。悠真。いつもの場所。今日は、待っているように見える。凪の心臓が、大きく震える。(もう……)逃げられない。でも、逃げたくない。一歩、踏み出す。もう一歩。距離が、少しずつ縮まる。悠真が、顔を上げる。目が合う。その瞬間、空気が少しだけ変わる。昨日までとは違う何か。静かな緊張。はりつめた空
0
カバー画像

なぜか、少しだけ名残惜しい。

夜の道は、どこまでも続いているように見えた。街灯の光が、やわらかく並んでいる。二人の足音が、ゆっくりと重なる。さっきよりも、少しだけ近い距離。でも、まだ、はっきりとは触れない距離。凪は、ふと気づく。自分が、少しだけ話しやすくなっていることに。無理に言葉を選ばなくてもいい。沈黙も、怖くない。そのことが、不思議だった。「……ねえ。」凪が、小さく声を出す。蓮が、やさしく顔を向ける。「うん?」凪は、少しだけ考える。そのまま、言葉を出す。「蓮くんってさ。」少し間。「いつも、そんな感じなの?」蓮は、少しだけ笑う。「そんな感じって?」凪は、少しだけ視線をそらす。「なんか……」言葉を探す。「ちゃんと見てる感じ。」その言い方に、少しだけ照れが混じる。蓮は、一瞬だけ考える。それから、軽く肩をすくめる。「どうだろ。」「たまたまかも。」軽い言い方。でも、ごまかしているわけでもない。凪は、少しだけ首をかしげる。「たまたま、か。」その言葉を、ゆっくり受け止める。そのとき。ふと。凪の足が、少しだけ止まる。家の前の角。もう、すぐそこだった。「あ……」小さく声が出る。蓮も、足を止める。「ここ?」凪は、うなずく。「うん。」少しだけ、間。さっきまで自然に続いていた時間が、急に終わりに近づく。その感覚に、少しだけ戸惑う。凪は、少しだけ迷う。このまま「またね」でいいのか。それでいいはずなのに、なぜか、少しだけ名残惜しい。「……今日は、ありがとう。」凪が言う。蓮は、やわらかくうなずく。「うん。」それだけ。でも、その一言が、ちょうどいい。凪は、少しだけ笑う。さっきよりも、自然に。「……また、学校で。」少しだけ勇気を出して言
0
カバー画像

その奥で、 まだ名前のついていない感情が、少しずつ形になり始めていた。

夜の空気は、少しだけ冷えていた。街灯の下を、二人で歩く。さっきよりも、距離はほんの少しだけ近い。でも、触れるほどではないそのくらいの距離。凪は、足元を見ながら歩いていた。さっきより、心は落ち着いている。でも、どこかで、まだ揺れている。蓮が、ふと空を見上げる。「今日は、ちょっと寒いね。」凪も、つられて上を見る。夜の空。星は、少しだけ見えていた。「……うん。」小さく答える。その声は、さっきよりやわらかい。少しの間。風が、静かに通り過ぎる。そのとき、凪が、ぽつりと言う。「さっきさ。」蓮が、少しだけ顔を向ける。「うん?」凪は、少しだけ迷う。言っていいのか。今なら、少しだけ言えそうだった。「……なんで、わかったの?」蓮は、一瞬だけ考える。それから、軽く肩をすくめる。「なんとなく。」それだけ。その“なんとなく”が、嘘じゃないことがわかる。「……顔?」凪が聞く。蓮は、少しだけ首を振る。「顔っていうより」少しの間。「空気かな。」凪は、少しだけ目を見開く。「空気……?」自分では気づかなかったもの。でも、言われてみれば、確かにそこにあった気がする。蓮は、続ける。「無理してる人ってさ」少しゆっくりとした声で。「なんか、少しだけズレてるんだよね。」凪は、言葉を失う。ズレてる。その言葉が、静かに胸に落ちる。「……ズレてるんだ。・・・」小さく、つぶやく。蓮は、うなずく。「うん。」「でも」少しだけ、やさしく笑う。「悪いことじゃないよ。」凪が見る。「ちゃんと頑張ってるってことだから。」その言葉に、少しだけ胸が軽くなる。否定されなかった。むしろ、認められた気がした。凪は、少しだけ笑う。「……そっか。」その笑顔は
0
カバー画像

うまく言えない。でも、「……楽。」

夜の道は、静かだった。街灯の光が、やわらかく足元を照らしている。二人で歩く帰り道。さっきまでの空気が、まだ少しだけ残っている。凪は、ふと横を見る。隣にいる男子。見たことはある。でも、ちゃんと話したことは、なかった。少しだけ迷って、口を開く。「……顔は、見るけど」少し間。「ちゃんと話すの、初めてだよね。」男子は、やわらかくうなずく。「うん。」それだけで、余計なことは言わない。その感じが、心地いい。凪は、少しだけ考える。「名前……」少し視線を上げる。「たしか、蓮くん……だったよね。」「うん。」「合ってる。」凪は、小さく息をつく。「よかった。」並んで歩く。夜の空気。さっきまでと同じ道なのに、少し違う。蓮が、静かに言う。「……なにかあった?」やさしい声。凪は、少しだけ間をおく。「……別に、なにもないよ。」小さく笑う。でも、その笑顔は、少しだけ無理をしている。蓮は、少しだけ首をかしげる。「……なんで?」凪が、少し驚いたように見る。蓮は、少しだけ視線を落とす。それから、ゆっくり言う。「なんか」少し間。「無理してること、あるんじゃない?」凪は、言葉を失う。胸の奥を、やさしく触れられた感じ。否定しようとして。でも、うまく言葉が出てこない。少しだけ沈黙。夜の静けさ。蓮は、急かさない。ただ、待っている。凪は、小さく息を吐く。「……ちょっとだけ。」ぽつりと、こぼれる。さっきよりも、少しだけ本音に近い声。蓮は、うなずくだけ。それ以上、聞かない。その距離が、やさしかった。並んで歩く。同じ帰り道。でも、空気が、少し違う。凪は思う。(なんだろう)さっきまで、あんなに苦しかったのに。今は、少しだけ楽だった。何
0
カバー画像

……なんかあった?

夕焼けが、少しずつ色を深めていた。校舎の外に出ると、空気が少しだけ冷たくなる。三人は並んで歩いていた。でも。その並び方は、いつもと少し違う。凪は、ほんの少しだけ前を歩いていた。悠真は、その背中を見ている。陽菜は、その二人の間にある距離を感じていた。足音だけが、静かに続く。しばらくして、陽菜が口を開いた。「今日の実験さ、ちょっと難しかったよね。」明るい声。いつもの陽菜。凪は、少しだけ振り向く。「うん……そうだね。」笑う。でも。やっぱり、どこか遠い。悠真は、その笑顔を見て、目を細める。言葉が出てこない。出そうとして、止まる。何を言えばいいのか、わからない。三人でいるのに。どこか、うまく話せない。沈黙が、少し長くなる。そのとき。凪が、小さく言った。「わたし、こっちだから。」分かれ道だった。いつもの帰り道。でも。今日は、その分かれ道が、少し違って見える。陽菜が笑う。「そっか、じゃあまた明日ね。」「うん。またね。」凪は、軽く手を振る。そのまま、歩き出そうとする。その瞬間。「凪。」悠真が呼ぶ。凪の足が止まる。振り向く。夕焼けの光が、横顔を照らす。悠真は、少しだけ言葉を探してから言った。「……なんかあった?」凪は、一瞬だけ目を揺らす。でも、すぐに笑う。「なにもないよ。」やわらかい声。でも。その言葉は、少しだけ軽かった。悠真は、わかってしまう。なにもないわけがない。でも。それ以上、踏み込めない。言葉が、喉の奥で止まる。そのとき。陽菜が、二人を見ていた。静かに。何も言わずに。でも。確かに感じていた。「なにもない」じゃないことを。凪は、少しだけ視線をそらす。「じゃあ、またね。」今度こそ歩き出す。夕
0
カバー画像

期待させないでほしい。でも、気づいてほしい。

教室は、まだ笑い声の余韻を残していた。凪は自分の席に座ったまま、教科書を開いているふりをしていた。ページは、さっきから一度もめくられていない。奥で、悠真が笑う。その声だけが、やけに輪郭を持って耳に届く。こんなに遠かったっけ。距離は、教室の端と端。たったそれだけなのに。凪は、ペンを握り直した。指先に力が入る。目が合うときはある。廊下で、ふとした瞬間に。名前を呼ばれることも、増えた。でも。あの輪の中に、自分はいない。悠真が、誰かの肩を軽く叩く。自然な仕草。いつもの笑顔。その横顔を見ているだけで、胸の奥が少しずつ冷えていく。私、何を期待してるんだろう。好きになる前は、こんなことで苦しくならなかった。ただ同じクラスの男子。それだけだったのに。チャイムが鳴る。男子たちがばらけていく中、悠真がふとこちらを向いた。一瞬、目が合う。凪は、反射的に視線を落とした。呼ばれなかった。何も言われなかった。それだけなのに、何かを失ったような気持ちになる。帰り道。夕焼けはもう薄くて、空は灰色に近い。凪はひとりで歩く。足音が一定のリズムを刻む。スマホが震えた。画面には、悠真の名前。心臓が、跳ねる。『さっき元気なかった?』たったそれだけ。凪は立ち止まる。どうして。どうしてそんなこと、気づくの。苦しいままでいいと思っていたのに。期待させないでほしい。でも、気づいてほしい。矛盾が、胸の奥で絡まる。『べつに』短く打って、送信ボタンの上で指が止まる。ほんとは、違う。でも。長い文章を送る勇気はない。結局、そのまま送った。すぐに既読がつく。『そっか。ならいいけど』ならいいけど。その一言が、優しいのか、突き放しているのか分
0
カバー画像

さっきの「どうしようかな」が、まだ頭の中にある。

夜風が、少しだけ冷たい。四人の足音が、またゆっくりと動き出す。誰も、さっきの言葉を拾わない。聞こえていないわけじゃない。ちゃんと、胸のどこかに残っている。凪は、陽菜の隣を歩く。さっきの「どうしようかな」が、まだ頭の中にある。軽く言ったようで。軽くなかった。凪は、少しだけ迷ってから声をかける。「……陽菜」陽菜が、ちらっと横を見る。「なに?」いつもの調子。でも、少しだけやわらかい。凪は、少しだけ言葉を探す。「さっきのさ」間。「どうしようかなってやつ」陽菜が、ふっと笑う。「あー、あれ?」軽く流すように。でも、完全にはごまかさない。「なんとなく言っただけだよ」そう言って、少しだけ前を見る。でも、その目は、少し遠い。凪は、それ以上踏み込まない。今は、まだその距離。その代わりに。「そっか」それだけ返す。それで、十分だった。その少し後ろ。悠真と蓮が、また並んでいる。さっきより、自然な距離。悠真が、ぽつりと。「……難しいな」小さくつぶやく。蓮が、少しだけ笑う。「楽なほうが珍しいよ」その言い方、どこか達観している。悠真が、少しだけ空を見る。「でも、逃げたくない」短く、強い言葉。蓮も、うなずく。「うん」四人の歩幅が、少しずつ揃っていく。道が、分かれる場所。ここで、それぞれの帰り道になる。自然と、足が止まる。誰も、すぐには別れない。そのとき、陽菜が、ふっと笑う。「じゃあさ」軽く手を振る。「また明日」シンプルな言葉。そんな言葉にも、今の四人には、ちゃんと意味がある。凪が、うなずく。「……うん、また明日」悠真も、少しだけ笑う。「ちゃんと来いよ」陽菜が、すぐに返す。「そっちこそ」そのやりとりに、蓮が少し笑
0
カバー画像

四人の距離が、少しずつ整っていく。

夕焼けの廊下を、四人で歩く。足音が、ゆっくりと重なる。さっきまでの教室とは違う。少しだけ、軽い空気。どこか、ぎこちない。その“ちょうど途中”の感じ。凪は、陽菜の隣を歩いている。さっきまで握っていた手の感触が、まだ残っている。陽菜が、ちらっと横を見る。「……ねえ」小さく声をかける。凪も、そっと視線を向ける。「さっきさ」少しだけ間。「ありがとう」まっすぐじゃない言い方。でも、ちゃんと届く。凪は、少しだけ驚いてから、笑う。「……うん」それだけで、十分だった。その少し後ろを悠真と蓮が並んで歩いている。無言。でも、さっきまでの“張り合う感じ”はない。悠真が、ぽつりと。「……蓮」蓮が、少しだけ目を向ける。「なに?」自然な返し。悠真は、少しだけ考えてから言う。「負けないけど」短く、はっきり。蓮が、少しだけ笑う。「うん」同じトーンで。「俺も」それ以上は言わない。それで十分だった。競い合いじゃない。でも、引かない。四人の距離が、少しずつ整っていく。階段を降りる。外に出ると、空はもうオレンジがきえかけている。風が、少しだけ冷たい。陽菜が、両手を伸ばす。「はー、つかれた」わざとらしく。陽菜らしい、どこか本音。凪が、少しだけ笑う。「わかる」そのやりとりに、悠真と蓮も少しだけ笑う。さっきまでの重さが、少しずつ抜けていく。全部消えたわけじゃないけど、まだ、ちゃんと残っている。凪は、空を見る。今日一日、長かった。でも、無駄じゃない。そのとき、陽菜が、ふと立ち止まる。「ねえ」三人が振り返る。陽菜は、少しだけ真面目な顔。「明日も、ちゃんと来るよね?」その問い。軽くない。逃げないかの確認?凪は、すぐにうなずく。「
0
カバー画像

……それが一番ずるいよ。

夕方の光が、少しだけ濃くなる。凪の言葉のあと。教室は、静かなままだった。誰も、すぐに動かない。そのとき、陽菜が、ふっと笑う。その笑いは、いつもと少し違った。「……ねえ」軽い声。でも、どこか引っかかる。三人が、陽菜を見る。陽菜は、少しだけ首をかしげる。「これさ」少しの間。「わたしだけ、のけものじゃない?」空気が、一瞬で変わる。冗談みたいな言い方。でも、違う。凪の心臓が、強く鳴る。陽菜は、続ける。「なんかさ」少し笑う。でも、その目はまっすぐだった。「三人でちゃんと向き合ってる感じじゃん」少し間。「わたし、外から見てるだけみたい」その言葉。軽く聞こえるのに、重い。悠真が、少しだけ動く。「陽菜……」名前を呼ぶ。でも、続かない。陽菜は、ふっと視線を落とす。ほんの一瞬。それから、また笑う。「……ねえ」今度は、少しだけ低い声。「わたしってさ」少し間。「そんなに魅力ないのかな」凪の胸が、ぎゅっと締まる。陽菜は、続ける。「ねぇ悠真?」ちらっと見る。その言葉で、空気が、深く沈む。「なんかさ」小さく笑う。でも、震えている。「わたしが一番、バカみたいじゃない?」その一言。教室の空気が、完全に止まる。誰も、すぐに返せない。軽く扱えない。無視もできない。凪は、ゆっくり陽菜を見る。今まで見ていた“陽菜”じゃない。ちゃんと、同じ場所に立っている。同じように、揺れている。凪は、小さく息を吸う。「……違うよ」はっきりとした声。陽菜の目が、少しだけ揺れる。凪は、続ける。「陽菜は」少し間。「ちゃんとここにいる」その言葉。ただの慰めじゃない。同じ場所に立っている人への言葉。陽菜は、少しだけ目を伏せる。そして。小さく、息
0
カバー画像

昨日の続きが、そこにある。

校門の前。四人の距離が、静かに揃う。誰も、急がない。でも、止まってもいない。蓮が、ゆっくりと歩み寄る。凪の少し後ろで、止まる。近すぎない。でも、遠すぎない。その距離。「……おはよ」やわらかい声。凪は、少しだけ振り向く。「……おはよ」声が、少しだけ落ち着いている。昨日とは違う。でも、まだ、揺れている。蓮は、凪の顔を一瞬だけ見る。何も言わない。けれども昨日の続きが、そこにある。悠真が、その様子を見る。視線が、少しだけ変わる。(……あいつ)言葉にはしない。でも、確実に、何かを感じている。陽菜が、ふっと笑う。「なんかさ」少しだけ前に出る。四人の真ん中に入るように。「朝から濃くない?」軽い言葉。でも、空気を壊さない絶妙な強さ。凪が、少しだけ笑う。悠真も、少しだけ肩の力を抜く。蓮も、目を細める。その一瞬で、四人の空気が、少しだけ整う。でも、終わったわけじゃない。むしろ、ここからが、本当の始まり。悠真が、ゆっくり言う。「……凪」名前を呼ぶ。今度は、迷いがない。「放課後、時間ある?」まっすぐな言葉。凪の心臓が、大きく鳴る。逃げ場はない。逃げたくもない。凪は、少しだけ考える。ほんの一瞬。そして「……うん」はっきりと、答える。その一言で。空気が、また変わる。悠真の表情が、少しだけ締まる。覚悟の顔。そのとき、蓮が、静かに口を開く。「俺も、いい?」やわらかい声。空気が、一気に張る。凪の目が、揺れる。悠真の視線が、蓮に向く。陽菜が、ほんの少しだけ息を止める。三人じゃなかった。四人の物語だった。選ぶ時間が、もう目の前まで来ている。朝の光が、少しだけ強くなる。その中で、四人は、それぞれの想いを抱えたまま、同
0
カバー画像

好きって、 ただ想うだけじゃなくて、変わろうとすることでもあるんだ。

校門の前。さっきまでの張りつめた空気が、少しだけやわらいでいる。でも、完全にほどけたわけじゃない。その“途中”の感じ。凪は、まだ悠真を見ている。さっき言った言葉。「好き」「でも、無理してた」その両方が、まだ胸に残っている。悠真が、静かに言う。「……ありがとうって言ったけどさ」少し間。「それだけじゃ、終わりたくない」凪の心臓が、少しだけ強く鳴る。逃げない言葉。「無理してたの、やめてほしいって言ったけど」悠真は、少しだけ息を吸う。「俺も、変わる」まっすぐな言葉。凪の目が、少しだけ揺れる。「ちゃんと見る」短いけど強い思い。「凪が、どんなときに無理してるのか」少し間。「ちゃんと、わかるようになりたい」その言葉が、静かに届く。凪の胸が、じんわりあたたかくなる。(……そんなこと)思ってもみなかった。好きって、ただ想うだけじゃなくて、変わろうとすることでもあるんだ。凪は、小さく息を吐く。少しだけ、笑う。「……ずるい」ぽつりと。悠真が、少しだけ首をかしげる。「なにが?」凪は、少しだけ視線をそらす。でも。また、戻す。「そういうこと、ちゃんと言うとこ」少し照れたように。でも、正直に。悠真は、少しだけ笑う。「言わないと、伝わらないってわかったから」その言葉に、凪の胸がまた揺れる。昨日までとは、違う。確実に、何かが変わっている。そのとき。陽菜が、ふっと笑う。「なんかさ」軽く肩をすくめる。「いい感じじゃん」さらっと言う。でも。その言葉には、ちゃんと意味がある。凪は、少しだけ戸惑う。「……いい感じって」陽菜は、にこっと笑う。「ちゃんと話してる感じ」それだけ。余計なことは言わない。でも。その言葉で、空気が少
0
カバー画像

ちゃんと話そうって思ったのに・・・。うまく言えなくてさ・・・・。

校門の前。朝の光が、少しだけ強くなる。凪と悠真。言葉の続きを、探している空気。でも、その“間”は、昨日とは違う。逃げていない間。「……昨日さ」悠真が、静かに続ける。凪は、うなずく。「うん」短い返事の中にちゃんと受け止める準備がある。悠真は、少しだけ言葉を選ぶ。「ちゃんと話そうって思ったのに・・・。」少し苦笑する。「うまく言えなくてさ・・・・。」凪の胸が、少しだけ揺れる。その言葉。どこか、自分と重なる。「……わたしも」自然に、声が出る。悠真が、少しだけ目を上げる。「うまくできなかった」凪は、視線をそらさない。少し震えているけど。逃げていない。「ちゃんと話したいって思ってるのに」少し間。「どう話したらいいか、わかんなくて」正直な言葉。空気が、静かに整っていく。悠真は、ゆっくりうなずく。「それでいいと思う」その一言が、やわらかく落ちる。「無理にちゃんとしなくていい」凪の目が、少しだけ揺れる。(……あ)昨日の言葉。蓮の言葉。“無理してること、あるんじゃない?”それと、少しだけ重なる。でも。違う。悠真は、今、変わろうとしている。そのことが、伝わる。「……でもさ」悠真が、少しだけ言いづらそうに続ける。凪の心臓が、少しだけ速くなる。「凪がさ」名前を呼ばれる。それだけで、少しだけ緊張が走る。「俺といるとき、無理してるなら」少し間。「それ、やめてほしい」まっすぐな言葉。逃げない言い方。凪は、息を止める。(……そんなこと)思ってもみなかった。でも、胸の奥に、確かにあったもの。それを、言葉にされる。「……してる」小さく、こぼれる。気づいたら、言っていた。悠真の目が、少しだけ動く。でも、否定しない。た
0
カバー画像

無理、してる。今も。

部屋の中は、静かだった。スマホの光だけが、凪の顔を照らしている。「さっき、ごめん。」その一文を、何度も読み返す。短いのに。重い。(どういう意味……)指が、少しだけ震える。怒ってるわけじゃない。責めてるわけでもない。ただ。まっすぐ、こっちを見てる感じ。(ずるいよ……)小さく、つぶやく。あんな言い方をされたあとに。こんなふうに来られると。無視なんて、できない。凪は、ゆっくりと体を起こす。ベッドの上。スマホを両手で持つ。画面の文字を、見つめる。(どうしよう)頭の中で、いくつも言葉が浮かぶ。「気にしてないよ」「大丈夫」「こちらこそ」どれも、しっくりこない。どれも、少しだけ嘘になる気がする。指が、止まる。そのとき。ふと、さっきの帰り道が浮かぶ。蓮の声。「無理してること、あるんじゃない?」凪は、少しだけ目を閉じる。(……そうだ)無理、してる。今も。ちゃんとした返事をしようとして、正しく返そうとして、また、同じことをしている。(わたし……)ゆっくりと、息を吐く。それから、画面を見て、指を動かす。少しずつ、迷いながら。でも、止まらずに――「さっきは、ごめん」一度、止まる。消そうか、迷う。でも、消さない。そのまま続ける。「ちゃんと話さなきゃって思ってたのに」また、止まる。胸が、少しだけ苦しくなる。それでも、指は、動く。――「うまくできなかった」そこまで打って、手が止まる。画面を見つめる。これが、本音。でも、まだ、全部じゃない。凪は、少しだけ迷う。そして、もう一度、指を動かす。――「もう少しだけ、時間ほしい」送る。小さく、息を吐く。画面を閉じる。ベッドに、ゆっくりと倒れる。天井を見つめる。さっきよ
0
カバー画像

好き、なのか? 安心、なのか?

部屋の灯りは、やわらかいままだった。時計の針が、静かに進んでいる。凪は、ベッドに横になったまま、天井を見ていた。さっきの言葉。自分で言った言葉。「……すきかも。」小さく、もう一度つぶやく。その響きに、自分で少しだけ驚く。(ほんとに……?)胸に手を当てる。どくん、と心臓が鳴る。でも、それは、強く跳ねる感じじゃない。やわらかく、あたたかい感じ。(これ……)少しだけ目を閉じる。思い出すのは、蓮の横顔。やさしい距離。無理をしなくていい空気。(……安心、してた)その言葉が、すっと落ちる。好き、なのか。安心、なのか。まだ、はっきりしない。でも、そのどちらも、そこにある気がした。「……でも。」小さく、つぶやく。悠真の顔が浮かぶ。あの帰り道。あの言葉。「勝手に決めるな。」胸が、少しだけ締めつけられる。(あのとき……)ちゃんと聞こうとしてくれていた。逃げようとしていたのは、自分だったのかもしれない。(わたし……)少しだけ、息を吸う。(ちゃんと、向き合ってない)そのことに、気づく。悠真の気持ち。自分の気持ち。どっちも、曖昧なままにしている。「……だめだよね。」ぽつりと、こぼれる。ベッドの上で、少しだけ体を丸める。(ちゃんとしなきゃって思うと、苦しくなるのに)それでも、逃げたままじゃ、いけない気がする。蓮といると、楽だった。でも、それだけで決めていいのかは、わからない。(わたし……)天井を見つめる。白い光が、少しだけにじむ。「……どうしたいんだろう。」答えは、まだ出ない。でも、ひとつだけ、わかることがある。さっきよりも。昨日よりも。自分の気持ちが、少しだけ見えてきている。そのとき、スマホが、小さく震
0
カバー画像

……悠真のおばかさん

夜に変わりかけた空が、まだ少しだけ明るさを残していた。街灯が、ひとつ、またひとつと灯り始める。悠真は、家に向かって歩いていた。足は動いているのに、頭の中は止まらない。凪の後ろ姿。振り返らなかった横顔。「なにもないよ」あの言葉。(なにもないわけ、ないだろ)小さく、息を吐く。気づいていた。ずっと前から。少しずつ、何かがズレていること。でも。見ないようにしていた。見れば、何かが変わる気がして。そのとき。ポケットの中で、スマホが震えた。取り出す。陽菜からのメッセージ。「さっきのさ」短い一文。少し間を置いて、また震える。「ちゃんと考えたほうがいいよ」悠真は、画面を見たまま止まる。返そうとして、指が止まる。何を返せばいいのか、わからない。少しだけ考えて、打つ。「……何を」送る。すぐには既読がつかない。その数秒が、やけに長く感じる。やがて、既読。そして、返信。「わかってるでしょ」その一言。胸の奥が、少しだけ重くなる。画面を見つめたまま、動けない。(わかってるよ)心の中で答える。でも。どうすればいいのかが、わからない。そのとき。もう一度、通知が来る。「ねえ」少し間。「見てる“つもり”じゃだめだよ」昨日、言われた言葉と同じ。でも。文字になると、逃げ場がない。悠真は、目を閉じる。凪の顔が浮かぶ。笑っていた。でも。あの笑顔は、少し苦しかった。そのまま、もう一通。「ほんとさ」少し間があって。「……悠真のおばかさん」画面の中の文字。たったそれだけ。なのに。何も言い返せない。スマホを持つ手に、少しだけ力が入る。(……ああ)小さく、息が漏れる。責められてるわけじゃない。でも。ちゃんと刺さっている。逃げていた
0
カバー画像

それ、ちゃんと守ってくれればいい

教室に、静かな余韻が残る。誰も、すぐには動かない。夕方の光だけが、ゆっくりと色を変えていく。凪は、まだ立っている。まっすぐに。でも、その中で、ひとつだけ、確かに変わったものがある。“迷い方”が、変わった。逃げるための迷いじゃない。向き合うための迷い。悠真が、ふっと息を吐く。「……さ」少しだけ、声がやわらぐ。「今、決めなくていいって言ったけど」凪の目が、ゆっくり動く。悠真を見る。「逃げないって言ったの」少しだけ笑う。「それ、ちゃんと守ってくれればいい」凪の胸が、少しだけ温かくなる。強く縛らない言葉。ちゃんと信じている言葉。凪は、小さくうなずく。「……うん」そのとき、蓮が、一歩だけ前に出る。静かに。でも、はっきりとした足取り。「じゃあさ」やわらかい声。「その時間、ちゃんと一緒に過ごそうよ」凪の心が、少しだけ揺れる。「決めるための時間じゃなくて」少し間。「自分でいられる時間として」その言葉に、凪の呼吸が変わる。(……それ)すっと、胸に入ってくる。悠真も、少しだけ目を細める。反発しない。でも、簡単には譲らない空気。「それ、俺も一緒でいい?」短く真っ直ぐに。蓮が、少しだけ笑う。「もちろん」その一言で、また、空気が揺れる。競い合いじゃないけど、引かない関係。凪は、その二人を見ている。不思議だった。少し前まで、どちらかを選ばなきゃと思っていた。でも今は、“自分をどうするか”を考えている。その中に、二人がいる。そのとき、陽菜が、軽く手を叩く。「はい、ストップ」少しだけ笑いながら。三人が、そっちを見る。「これ以上やるとさ」肩をすくめる。「重すぎて青春じゃなくなるから」その言葉に、ふっと空気がほど
0
カバー画像

もう、恋人同士って感じ?

翌朝の教室は、窓からの光がやわらかかった。凪は席に着き、鞄からノートを出す。——いつもと同じ朝。なのに、胸の奥が、少しだけ落ち着かない。「おはよ」悠真の声。「おはよう」短いやりとり。それだけで、心拍が整う。チャイム前のざわめきの中、クラスメイトの男子が、何気なく言った。「なあ」「昨日さ、二人で帰ってたよな」凪は、ほんの一瞬だけ手を止める。「仲いいよね」「もう、恋人同士って感じ?」——その言葉。大きな声じゃない。確認でも、詮索でもない。ただ、机の上にそっと置かれたみたいな言い方だった。凪は、反射的に否定しなかった。悠真も、笑って受け流す。「そう見える?」「うん」「なんか、安心するっていうか」男子は、それだけ言って席に戻る。ざわめきが、元に戻る。——何も、壊れていない。凪は、そっと息を吐く。(……呼ばれた)自分たちが選んだ言葉じゃない。でも、踏みにじられた感じもしない。悠真が、小さく言う。「嫌だった?」凪は、首を振る。「……びっくりはした」「でも」少し考えてから、続ける。「置かれただけ、って感じだった」悠真は、わかる、というようにうなずく。「押しつけられてない」「うん」授業が始まる。黒板の文字を追いながら、凪は思う。——恋人、という言葉は、——もう、遠くない。でも、自分の口で呼ぶまでは、ちゃんと待ちたい。休み時間。凪は、窓の外を見る。雲は、昨日より少し高い。悠真が、隣に来る。「ね」凪が、言う。「いつかさ」「私がその言葉を使ったら」悠真は、遮らない。「そのときは」「ちゃんと、聞いてね」悠真は、少し照れたように笑う。「待つよ」「呼ばれるまで」凪は、胸があたたかくなるのを感じた。——置か
0
カバー画像

片思いって、こんなにも苦しくて美しい──“想うだけ”の恋が教えてくれること

「好きになった人には、もう好きな人がいるみたい」「LINEの返信がいつも遅くて、期待するのがつらい」「会話しても、特別な存在にはなれていない気がする」そんなふうに、どこにもぶつけられない思いを抱えているあなたへ。今日は“片思い”について、少しだけ心をほどけるような話をしたいと思います。■ 片思いとは、「自分の中にある愛の形」片思いとは、一方的な感情でしかない──そう思われがちです。でも、本当にそうでしょうか?相手の気持ちが見えなくても、目が合った日には嬉しくて、些細なLINEの一言に一喜一憂して、名前を見つけただけで心がざわつく。そのすべては、あなたが「誰かを大切に思っている証拠」。つまり、片思いとは、自分の中に育った愛を見つめる旅でもあるのです。■ 報われない恋が与えてくれる“気づき”片思いって、つらいですよね。「この気持ちは伝えていいの?」「嫌われたくない」「私だけが頑張ってるみたい」そんなふうに、思えば思うほど苦しくなることもあるでしょう。でも、片思いだからこそ見える景色もあります。本当の「好き」がどういう気持ちなのか自分が恋に何を求めているのか相手を尊重するって、どういうことかそういった気づきは、決して無駄ではありません。むしろ、自分を深く知る大切な機会になりうるのです。■ 片思いをしているときの“あるある”と向き合い方◎ 相手のちょっとした行動に一喜一憂たとえば、「おはよう」のLINEがきただけで一日中ハッピー。逆に、既読スルーが続くと不安が押し寄せる。そんな気持ち、よく分かります。でも忘れないでください。あなたの価値は、相手の返信スピードでは測れないということを。気
0
カバー画像

この恋の苦しみ、意味があるの?

どんな恋でも、きゅんとする楽しい恋の時間だけではありません。自分には連絡が来ないのに、SNSは更新している遊びに行っているのは女の人?好きなのは私だけ?胸がかきむしられるような切なさ眠れない夜何も手につかない時間そんなものに乱される時間があります。それでも、この恋に意味はあるのでしょうか?はい、あります。恋をすることで、相手のことを見つめ、考えるだけでなく自分を向き合うことができます。成長や強さを持つことができます。どんな気持ちの時も、自分の幸せを追求し、幸せになるための行動をしてください。その先に、自分は愛されるべき存在であること。周りの人から支えられている現状などがわかるかもしれません。たとえ実らなかった恋でもつらい恋でもその恋の先に幸せのある恋愛でありますように。
0
カバー画像

人に言えない恋

相手の方に素直に気持ちを伝えられない恋をしたことはありますか?私はあります。既婚者の方だったり職場の先輩だったりお店のスタッフさんだったりお客さまだったり恋心を隠さないといけないのは、せつないですね。。。でも、余計に止められなくなるのも恋心で。お客さまのことは好きにならない、と思っていても、人と人。好意を持ってしまうこともあります。今日は来てくれるかな、とドキドキしたり連絡をいただけると、女子高生のようにうれしかったりそんなこともありました。うれしいことも、せつない気持ちも、誰かに聞いてもらいたいものです。そんな夜には(お昼間もですが)、恋バナプラン、ご利用ください^^少しでも、心が軽くなりますように。
0
カバー画像

彼には奥さんがいる…

それでも好きになってしまった私の気持ち「いけないことだって、わかってる」そう思っても、心は理屈通りには動いてくれません。彼の言葉に救われた。さりげない優しさに、惹かれてしまった。最初はただの会話の相手だったのに、気がつけば、その人の存在が日常に染み込んでいた――。そして、ある日知ってしまった。彼には家庭があるということを。その瞬間、すべての感情に蓋をしようとしたけれど、心はなかなか切り替えられなくて。罪悪感、切なさ、そしてそれでも消えない“好き”な気持ち。誰にも言えないまま、ひとりで抱えるこの想い。忘れたくても忘れられず、前に進みたくても動けない。そんな自分を、責めたくなってしまうときもあると思います。だけど、どんな形であっても、誰かを大切に思う気持ちは、恥ずかしいことではありません。それがどんなに複雑であっても、心が本気で揺れたことは、確かに“あなたの人生の一部”です。ただ、この先どうしたらいいのか――今のままでいいのか、それとも、少し距離を置くべきなのか。自分の気持ちに正直でいたいけれど、どうしても答えが見つからないときってありますよね。そんなとき、タロットカードは、あなたの中にある“本当の気持ち”をそっと映し出してくれます。彼の気持ちを知りたい。でも同時に、自分がどうしたいのかも知りたい。揺れる想いを静かに見つめる時間は、自分を責めるのではなく、やさしく整えていく時間でもあります。迷いの中にいるなら、カードに聞いてみませんか?
0
カバー画像

雨の物語

物語の終わりに こんな雨の日 似合い過ぎてる若い頃 雨の日に聞いていましたふっと思い出す曲「雨の物語」イルカさん誰もが物語 その1ページには 胸弾ませて 入っていく・・・・********こっちへ就職で出てきて なかなか会えない彼と待ち合わせして 雨の中来る電車 来る電車を 「次は彼が乗っているかな」なんて携帯のない時代なので(笑) 早く会いたいのに 会えなくてどこまで来ているのか もしかしたら 約束を忘れたのかも・・(;'∀')そう電車を見送ってやっと会えた!!嬉しさ(*´ω`*)その時の思い出が蘇りますはぁ 若かったわぁ10代だものねぇ(笑) (18で就職した世の中です) *たまに久保田利伸さんの「雨音」も流れますリピ様も新しいお客様も やっぱり一番多い相談は恋愛です♡聞かせていただくたびに 同じく一緒にキュン~~となります(*'ω'*)切ない時もある(´-ω-`)恋ですからやっと手が届いたら 今度は失う怖さが来るものです セットですから(´-ω-`)変わらないものなど この世にないから・・・・ただこうして 思い出の物語の1ページを 持っているのは 良くも悪くも 大切な事だと思います(*'ω'*)でも不安な事があったら ご参考までにいかがでしょう↓
0
42 件中 1 - 42