意識は、放課後に向かっている。

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コラム
教室のドアが開く。

朝のざわめきが、ふっと流れ込む。

いつもと同じ景色。

でも、
四人にとっては、まったく違う朝だった。

席に向かう。

凪は、ゆっくり歩く。

背中に、いくつかの視線を感じる。

悠真。
蓮。

そして、少し離れた場所に陽菜。

誰も、何も言わない。

椅子を引く音。

静かに座る。

教科書を出す。

ページを開く。

文字は見えているのに、頭に入らない。

(放課後……)

その言葉だけが、浮かぶ。

今日、全部が決まる。

そんな予感。

ふと、隣の席から、小さな声。

「凪」
悠真。

凪は、少しだけ顔を向ける。

近い距離。

でも、今はちゃんと見れる。

「今日さ」
声は、低くて落ち着いている。

「逃げないでくれる?」

その言葉。
お願いじゃない。

でも、強制でもない。

凪は、少しだけ息を吸う。

「……逃げないよ」

はっきりと決めた言葉。

悠真の目が、少しだけやわらぐ。

そのとき、
後ろから、軽い声。

「いいね」
蓮。

凪の心が、少しだけ揺れる。

振り向く。

蓮は、やわらかく笑っている。

でも、
その奥に、静かな強さ。

「ちゃんと向き合うなら」

少しだけ間。

「俺も、逃げないよ」

空気が、ピンと張る。

凪の胸が、大きく鳴る。

悠真の視線が、蓮に向く。

言葉はない。

でも、火がついた。

陽菜が、机に肘をつく。

少しだけ笑う。

「なんかさ」
ため息みたいに。

でも、楽しそうに。
「青春って感じじゃん」
軽く言う。

その一言で、空気が少しだけ抜ける。

凪は、小さく笑う。

ほんの少しだけ。

ちゃんと、自分の笑い。

チャイムが鳴る。

授業が始まる。

でも、
誰の心も、ここにはない。

時間は進む。

意識は、放課後に向かっている。

そして、
その時間は、思っているよりも早く訪れる。

放課後。

教室の空気が、少しずつ変わる。

人が減っていく。

ざわめきが、遠ざかる。

凪は、席に座ったまま。

立ち上がらない。

逃げない。

悠真が、席を立つ。

蓮も、立つ。

二人の足音が、ゆっくりと近づく。

陽菜は、少し離れた位置にいる。

でも、ちゃんと見ている。

三人が、揃う。

でも四人の空間。

凪は、顔を上げる。

もう、迷いはない。

簡単でもない。

「……話そう」

凪の口から、言葉が出る。

はじめて。

自分から。

その瞬間。

空気が、完全に変わる。

逃げ場のない時間。

そして、ここから先は
誰かを選ぶ話じゃない。

“自分を選ぶ”時間が、始まる。
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