昨日の続きが、そこにある。
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コラム
校門の前。
四人の距離が、静かに揃う。
誰も、急がない。
でも、止まってもいない。
蓮が、ゆっくりと歩み寄る。
凪の少し後ろで、止まる。
近すぎない。
でも、遠すぎない。
その距離。
「……おはよ」
やわらかい声。
凪は、少しだけ振り向く。
「……おはよ」
声が、少しだけ落ち着いている。
昨日とは違う。
でも、
まだ、揺れている。
蓮は、凪の顔を一瞬だけ見る。
何も言わない。
けれども
昨日の続きが、そこにある。
悠真が、その様子を見る。
視線が、少しだけ変わる。
(……あいつ)
言葉にはしない。
でも、
確実に、何かを感じている。
陽菜が、ふっと笑う。
「なんかさ」
少しだけ前に出る。
四人の真ん中に入るように。
「朝から濃くない?」
軽い言葉。
でも、
空気を壊さない絶妙な強さ。
凪が、少しだけ笑う。
悠真も、少しだけ肩の力を抜く。
蓮も、目を細める。
その一瞬で、
四人の空気が、少しだけ整う。
でも、終わったわけじゃない。
むしろ、
ここからが、本当の始まり。
悠真が、ゆっくり言う。
「……凪」
名前を呼ぶ。
今度は、迷いがない。
「放課後、時間ある?」
まっすぐな言葉。
凪の心臓が、大きく鳴る。
逃げ場はない。
逃げたくもない。
凪は、少しだけ考える。
ほんの一瞬。
そして
「……うん」
はっきりと、答える。
その一言で。
空気が、また変わる。
悠真の表情が、少しだけ締まる。
覚悟の顔。
そのとき、
蓮が、静かに口を開く。
「俺も、いい?」
やわらかい声。
空気が、一気に張る。
凪の目が、揺れる。
悠真の視線が、蓮に向く。
陽菜が、ほんの少しだけ息を止める。
三人じゃなかった。
四人の物語だった。
選ぶ時間が、もう目の前まで来ている。
朝の光が、少しだけ強くなる。
その中で、
四人は、それぞれの想いを抱えたまま、
同じ場所に立っていた。