やっぱり、凪ってそういうとこあるよね
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コラム
教室の空気が、ゆっくりと沈む。
夕焼けの色が、少しだけ濃くなる。
陽菜の言葉のあと
誰も、すぐには動けなかった。
凪は、陽菜を見る。
今まで知っていた陽菜じゃない。
でも、これも陽菜。
そのことが、ちゃんと伝わってくる。
凪は、小さく息を吸う。
「……陽菜」
名前を呼ぶ。
少しだけ、やさしく。
でも、逃げない声で。
陽菜は、顔を上げない。
視線は、床のまま。
でも、聞いている。
凪は、一歩だけ近づく。
距離を、縮める。
「のけものじゃないよ」
はっきりと、言い切る。
陽菜の肩が、わずかに動く。
凪は、続ける。
「わたしが勝手に、
そういう形にしてただけ」
少し間。
「ちゃんと見てなかった」
その言葉に、
悠真と蓮の視線も、凪に向く。
凪は、陽菜から目をそらさない。
「陽菜がどう思ってたか」
少しだけ声が揺れる。
でも、止めない。
「ちゃんと知ろうとしてなかった」
正直な言葉。
言い訳じゃない。
陽菜が、ゆっくり顔を上げる。
目が、少しだけ赤い。
でも、泣いてはいない。
「……そっか」
小さく。
でも、ちゃんとした声。
陽菜は、少しだけ笑う。
「やっぱり、凪ってそういうとこあるよね」
軽く言う。
でも、責めていない。
いつもの距離感に戻そうとしている。
凪も、少しだけ笑う。
「……ごめん」
素直に。
それ以上、言い訳しない。
そのとき、
悠真が、静かに言う。
「陽菜」
少しだけ間。
「俺も、ごめん」
その一言で、
空気がまた揺れる。
陽菜が、少しだけ驚いた顔をする。
悠真は、続ける。
「ちゃんと見てなかった」
凪と同じ言葉。
でも、意味は少し違う。
陽菜は、ふっと笑う。
「それ、さっき聞いたやつ」
少しだけ、意地悪く。
その声は、やわらかい。
悠真も、少しだけ笑う。
蓮が、静かに口を開く。
「俺も、勝手に“凪だけ”見てた」
その言葉。
空気が、また深くなる。
陽菜は、三人を見る。
それぞれが、それぞれに謝っている。
誰か一人に向けたものじゃない。
「……なにそれ」
小さく笑う。
「みんなで反省会?」
軽く言う。
その一言で、空気がほどける。
陽菜は、ゆっくり息を吐く。
「……いいよ」
「別に、嫌いになったわけじゃないし」
少し間。
「ただ、ちょっと寂しかっただけ」
凪の胸が、少しだけ痛む。
それをちゃんと受け取る。
陽菜は、顔を上げ、
いつもの笑顔に、少しだけ戻る。
「でさ、これからどうするの?」
軽く言う。
その問いで、
また、物語が動き出す。
四人。
もう、誰も外側じゃない。
全員が、同じ場所にいる。
そして、
本当の意味での“選択”が、
ここから始まる。