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「海の見える部屋」

-1 - 真夜中、薄暗い部屋の中で携帯が着信の明かりで光っている。 私が眠りについて1時間ほど経ったころだ。 枕元にある私の携帯は、ほとんどバイブにしてあるのに、それぐらいで目が覚めるほど眠りが浅い。独り暮らしを始めてから約半年が過ぎた。 3年間結婚生活を経験したが、私と夫の間には違う季節の中にいるかのような風がいつも吹いていた。 住所は変わっても携帯というものがあれば、私が離婚して引越したことなどわざわざ知らせなくても事が済む。 どこにいようが関係ない。良いのか悪いのか便利な世の中になったものだ。 だから友達も時間に関係なく電話してくるから夜中の携帯にも特別驚かなくなってしまった自分がいる。 昔なら夜中にベルが鳴ると、 「今ごろ何…?」って胸騒ぎがするほど一種予測も出来ない不安を感じていたのだけれど。 「これから、行ってもいい?」 耳に馴染んでいた声は年に何回か聞く友達のヒロである。 忘れた頃思い出したようにかけてくる。 「この前、話したのいつだっけ?」 「確か、めずらしく私が風邪をひいたときだったわ」 「もう治った?」 「あたりまえじゃない。あれからもう3ヶ月よ」 「そんなになるのかぁ。ひさしぶりだね。元気?」 「今、こっちは雨降ってるよ。あの時と同じだね」 もちろんこれから家に来る事など出来ないほど遠い所に住んでいるヒロは、 そんな風に冗談めいた言葉で話し掛けてくる。 そんな時に限って、何か胸の中に悩みを抱えている時だ。 私に答えを求めてはいない。でも、話を聞いて欲しい、ただそれだけで安心なのだ。 冗談だか、本気なんだかわからない言葉で夜明けまでのカウントダウンを気にしな
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「手を洗わなくなった子供たち」の話をしよう

とある町に2つの保育園がありました。一つはホメール保育園、もう一つはミカエリ保育園と呼ばれています。ちょうどお昼ご飯の時間です。ご飯の時間だ、手を洗おうホメール保育園では、お昼ご飯の時間になると先生がこう呼びかけます。「お昼ご飯を食べるので、手を洗いましょう〜!」この呼びかけを聞いて、子供たちは手洗い場に向かいました。蛇口を捻り、小さな手を擦り合わせて、汚れを落とします。砂場で遊んでいた子たち、おままごとをしていた子たち。みんな、手についた汚れを水で流します。「みんな偉いね!手を洗えたから、ご飯を食べようね!」先生に褒められて、子供たちは喜びました。「ちゃんと手を洗えた、偉いでしょ!」と子供たちは得意げに言いました。お手手はキレイになったかなミカエリ保育園では、お昼ご飯の時間になると先生がこう呼びかけます。「お昼の時間だよ!みんなキレイなお手手で食べようね!」この呼びかけを聞いて、子供たちは手洗い場に向かいました。蛇口を捻り、石鹸を手に取り一生懸命、泡だてます。砂場で遊んでいた子たち、おままごとをしていた子たち。みんな、手についた汚れを水で流します。「お手手はキレイになったかな?さぁ、ご飯を食べようね」子供たちはキレイになった自分の手を見て、喜びました。「先生、ボクの手キレイでしょ!」と子供たちは得意げに言いました。そして、小学生になったみんなお待ちかね、給食の時間です。小学校の先生は、保育園の先生のように「手を洗う」話はしませんでした。しかし、子供たちは給食の時間を前に、手洗い場に集まりました。みんな、自発的に手を洗い始めたのです。「小学生にもなれば、手を洗うくらい自発的にで
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文字数少ない依頼って、損じゃない?

実際に聞かれたことはないんですけどね。こう考えている方がいるかなあと思い、今日は記事にしてみます。こんばんは。めったにブログを書かない感想屋・こばなです。さて本題。当方の感想サービスは2万字以内を基本料金と定めています。なので一つのご依頼でたとえご作品が1000字であろうと19000字であろうと料金は同じ。…これって不公平じゃない?提供するサービス以上の金銭はいただかない主義なので、これは感想屋が第一に思い浮かべた疑問…というか懸念です。ですが作業しているうちに自然と公平化ができてきました。当方の感想サービス本格コースではwordに直接コメントを書き込んでいます。本文の横にコメントがくる感じですね。そして、2万字(word20ページくらい)のご作品より、5000字(word5ページくらい)のご作品のほうが正直、コメント量が多くなっています。これはメチャクチャ意識してやっているわけではないのですが、短くてコメントが数個しか入れられないのは申し訳ないなって思うと自然と増えていくのです。ご作品が短ければ短いほどコメントで詰め詰めになります笑なのでコメント密度の割合としては、ご作品の文字数が違おうと同じくらいにはできていると思うんですよね。もちろん、リアクションしやすいジャンルのものだとコメント割合が若干増えたり(ラブストーリーとかですね)逆に説明的な箇所が多いと減ったしまったりと、文字数以外の要因もあるのですが……。と、いうことで、結論としましてはご作品の文字数が少なくても損ではありません!むしろ感想コメント詰め詰めワードファイルが欲しい方は短めのご作品のほうがいいかもしれませんね。
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~「Love syosetsu JP」 の考え方~

私たちのプロジェクト「Love syosetsu JP」の全体像になります。端的に意志を書きます。悪意があるものではないので中傷等はやめてください。また、今まで出会った方々、サポートして下さる方々、何より小説家先生方には感謝しておりますし、今後とも宜しくお願い致します!▼①coconalaa.キーワードでオリジナル短編小説の依頼→(月に3名にお願いしております)→メッセージや公募で募集中※はじめはcoconalaで発注しますのでcoconala登録後にメッセージにてご連絡下さい!▼②YouTubea.上記①で執筆した短編小説を動画にする→(月に1本)収益が発生した場合→月に1本の動画の本数を増やす※はじめはcoconalaで発注しますのでcoconala登録後にメッセージにてご連絡下さい!▼③Twittera.小説家を目指す人、小説家の方、興味がある方との輪を作るb.クリエイターとの輪を作るc.企画ややりたい事なども随時アップする※興味のある方は是非coconala登録後にメッセージにてご連絡下さい!▼④notea.無料でオリジナル短編小説をアップb.定期購読でオリジナル短編小説をアップ(小説家先生のリンク先を載せる)→小説家先生とのネットワークを築きたい人向けですまた、今まで執筆した小説を広げたい人は、執筆した小説を私のココナラメッセージに添付して送っていただければ対応可能です!※はじめはcoconalaで発注しますのでcoconala登録後にメッセージにてご連絡下さい!▼⑤Instagrama.「Love syosetsu JP」を広めるツールとして利用b.小説・クリエイタ
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若草ドレスの物語

「お父様は横暴が過ぎるわ!!」ティアナは自室のベッドに両の拳を振り下ろして突っ伏す。当家最後の1人であるメイド、ノエルは脇のテーブルで淡々とお茶を淹れていた。 「舞踏会で結婚相手を探せですって!?私の家のどこに、一体どこに舞踏会に行く余裕があるのよ!」 部屋をぐるりと見渡す。古びた家具、汚れたカーペットやカーテン。ノエルのお陰で掃除は行き届いているものの、いかんせん内装が古すぎるのだ。 そう、令嬢ティアナは貧乏だった。 栄華を誇ったのは2代前までの話。魔法を使えたというご先祖は王宮で重用されたと聞くが、今では当家を含めほとんどの貴族が魔法の力を失ってしまった。 魔力を持たず、ただ浪費だけを繰り返した祖父母、そして世渡りの下手な父母のお陰ですっかり没落した当家には、とにかくお金がない。 「馬車や御者どころか、ドレスの一枚も持っていないのに……舞踏会なんてどの口が言うのよ……」 お金持ちの令嬢ならこんなことで悩んだりしないのに、と思うと悔しくて仕方がない。とはいえ、悔しがっていたところでお金が降ってくるわけもない。 「とにかく、お茶でも飲んで落ち着いてくださいな」 ノエルが淹れるお茶はまるで魔法がかかっているかのように絶品だ。 「……あなたにも申し訳ないわね。うちにはお金がないのに勤め続けてもらって」 感謝の言葉を伝えると、普段は無表情なメイドがかすかに微笑んだ。 「ティアナお嬢様は、着ていくドレスがあったなら舞踏会に行きたいですか?」 ノエルにそんな風に聞かれて、少し悩む。 「私なんかが……気後れしちゃうわ。でも」 きらびやかな舞踏会を思い浮かべてみる。華々しく着飾った貴族たちが
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星の歌姫と失われた音楽3 ファンタジー 短編

遥か昔、世界のあちこちに、ポータルと呼ばれる別の場所への移動を可能にする不思議な扉が存在していました。 ポータルを、行きたい場所へ繋げるには、その場所に合わせた歌やメロディが必要で、その歌を歌ったり、メロディを演奏したりする事で、扉を開くことができるのです。 リアンは魔法の森へ行く為に、まずは最寄りのポータルを目指すことに決めました。 それぞれのポータルには歌と楽器が上手な管理人さんが配置されていて、行き先ごとに決められている歌やメロディを管理しています。 ポータルは日常的に良く利用されており、旅人さんたちは管理人さんに、行きたい場所に合わせて音楽を奏でてもらっていました。それだけでなく、利用する人自身が自分の手持ちの楽器で演奏したり、歌ったりしてポータルを起動させることも良くあります。 例えば、平日の朝には、音楽学校の生徒さん達がヴァイオリンを持って、学校近くのポータルまで移動します。その時は、管理人さんも参加して、ささやかな時間ですが、小さな演奏会が開かれる光景が見られたりもします。 一度など、草笛でポータルを目的地に繋げることに成功した人が居て話題になったこともありました。 ポータルはいつも沢山の人の奏でる音楽が溢れていたので、ここを利用する人達は、自分が頻繁に通う場所の歌やメロディは自然と覚えておりました。 しかし、リアンを含めた多くの人は魔法の森へ行ける歌やメロディが奏でられているのを聞いた事がありません。 なぜなら魔法の森に行こうとするのは、特定の人に限られていたからです。例えば、そこにしか生えていない植物が必要になった薬師さんや、森の管理者さんなど、ごくわずかな人
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こちらで用意しているモチーフについてつらつら

こちらのコミッションで使えるモチーフについて、一応書いておいた方がいいかなーということを書いておきます。先日までのブログでいろいろとモチーフをご紹介していました。詳しくは過去記事をご覧下さい。全4回でご紹介していますが、この記事でご紹介してるモチーフは私が外注で作ってもらったものではなく、自分で作ったものです。Photoshopを持っているのでそれを使って描いたり写真の加工をしたりしたものなんですけど、絵が描けるならなぜイラストのコミッションを受けつかない?って感じですよね。プロフィールで使ってるアイコンも自分で描いたものなので、一応絵が描けるは描けるんですけど、正直依頼を受けて絵を描けるかと言われると非常に難しい部分があり、文字だけのコミッションのご用意となっています。イラスト集は売れないけど小説本は売れているという現実があるので。あと、ポートフォリオをご覧になった方がいるかわからないのですが、ポートフォリオに載せている300字SSの画像データで使用しているモチーフや写真も、自分で描いたり撮ったりしたものです。https://coconala.com/users/2772136/portfoliosポートフォリオはこちら↑中には写真を撮る前に被写体を作ったりもしてるのでなんというかまあまあ手間……そんなわけで、私が使っている画像はすべてクリーンなものですので、安心していただけたらと思います。実はイラストの方でもお仕事いただいたことがあるのですが、ココナラを初める前のお仕事だったのと、公開して良いのかわからないので特にプロフィールには書いてません。もしイラストの方で依頼したいと
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こんぺい糖 ー最終章ー

トイレで用をたし手を洗っていると、 すぐ側の廊下で女子の話声が聞こえる。 声のトーンや笑い方から、独特の感じ悪さを受けた。 いじめられたころに散々向けられた傲慢な邪気。 手を洗い終えたら、さっとその場から離れようと思っていた。 だが、どうやらその犠牲者は裕子のようだ。 水泳時間の着替えの話や、中学の修学旅行で入浴しなかった話が、 「えー!」「まじ?」など、オーバーな相槌と共に聞こえてきた。 芽衣が廊下に出ても気付く様子もなく、噂話は浅ましく光る好奇の目で続けられた。 「あの子さぁ、体に傷があるっちゃないと? あ、親に殴られとったりして」 「DVの彼氏がおったりしてね。大人しそうやけど、意外と、ね」 「うわ、どっちにしてもヤバいやん」 「あの子が暗いの、そのせいかも」 「坂口君が綺麗な顔してるって言いよったけど、あの性格じゃあねぇ」 「男子ってさぁ、見た目に騙されるよねぇ。」 この時、芽衣の中で沸きあがった怒りは、 人生で一番激しかったかも知れない。 自分が陰口を叩かれるより数倍も強く不愉快だった。 体中の血が騒ぎだし、うぶ毛がぞわっと逆立つ。 芽衣は裕子のご両親も知っている。 穏やかで優しくて、暴力なんか振るう人じゃない。 裕子やその家族まで悪意のある憶測でネタにされ、 怒りと悔しさが膨れ上がって爆発した。 「そんなんじゃない!裕子には傷なんてない! 素敵なアザがあるだけよ!!」 考えるより先に言葉が飛び出してしまった。 渡辺紗英を含む女子たちは、 突然の横やりに驚き、一斉に芽衣を見た。 「それに、裕子のご両親は優しい!勝手に話を作らないで!!」 芽衣はさらに声を荒げた。 「裕
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こんぺい糖 ーその1ー

「そんなとこにおらんで、はよ帰りなっせ!」玄関先にしゃがむ芽衣に、裕子は叫んだ。 腕を組み、仁王立ちになって芽衣を見下ろしている。 「そんなとこにおっても許さんし、邪魔!」 芽衣は膝を抱えて深く俯き、小刻みに震えていた。やがて6月になる。着ている体育着は半袖だが、寒くはない。なのに震えは止まらなかった。6時間目は体育の授業で、その時になぜ裕子が欠席したのかを知る。下品な笑い声をまじえたクラスメイトの雑談は、耳障りで嫌なノイズとなり、芽衣の心臓は忙しくなった。チャイムが鳴るや否や、芽衣は裕子の家に向かって走り出してしまった。玄関に出てきた裕子に矢継ぎ早に繰り返し謝ると、「帰って。」そう低い声で言われてしまった。冷たく、でも熱を持った眼差しは痛く刺さる。( 嫌だ、許して欲しい、また受け入れて欲しい。)その気持ちが溢れてしまい、その場にしゃがみこんだのだった。何か言わなくちゃ。 裕子に嫌われてしまう。 もう嫌われてるかも知れない。 嫌だ、裕子にだけは嫌われたくない。 どうしよう、どうしよう…。頭の中にある適切な言葉を探し回るように、記憶の引き出しを開けてみる。それでも、芽衣の脳裏に浮かぶのは〝ごめんなさい〟ばかり。すでに何度も繰り返し伝えた言葉。 芽衣は父の仕事の都合で、3月にこの街に越してきた。前の高校ではいじめにあっていたので、引っ越しに異論などなく準備も楽しめた。大人しく不器用な芽衣は、幼稚な同級生のターゲットとなってしまい、高校1年生の思い出はモノクロの暗いものばかり。助ける者はいなかった。皆、自分の中の何かに脅されているように、知らんふりを遂行していた。担任すら無関心の支配
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半熟の地球儀

回る廻る世界は廻るリズミカルな詩半分は海半分は大地公転する地球荒野に雨が降り大地は芽差すビックバンが起こる前そこには何もなかったアダムとイブが誕生する前干からびた大地だけがあった地球の核が躍動するとき突然変異が起こり我々は誕生する初めはみな仲間だったトリケラトプスもティラノザウルスもミジンコも半分は絆半分は弱肉強食争いが起き始める各々の正義をかざし信念の旗をかかげ争奪戦となる村には独自の掟が生まれよそ者は入れなくなる過疎化が加速していく千年後にはどうなっているか肩を組み合い酒を交わしているだろうか盃はいただけているだろうか今日も地球儀は回り続ける巨人が現れるその日まで[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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【短編小説】六年後

 高校二年生のゆかりが倒れたのは、十二月も半ばの体育の授業中のことであった。ゆかりは、下腹に堪えきれない苦痛を、突然感じたのだった。 「再発」  そんな言葉が、ゆかりの脳裏をよぎった。  すぐに保健室に運ばれたが、自宅に連絡をとった担任の教師は、救急車を呼んだ。 「やっぱり」  ゆかりは、母親も同じことを思ったのだと確信した。  そして、ゆかりは、六年前と同じ、市内のS総合病院に運ばれた。  六年前、ゆかりがまだ小学生だった頃、やはり、学校で倒れて、このS総合病院にかつぎ込まれたことがあった。その時は、内臓に腫瘍が出来ていて、それの切除手術を受け、二ヶ月ほどで退院した。  もっとも、ゆかりが、その時、腫瘍が出来ていたのを知ったのは、それから、ずいぶん後になってからのことだった。両親は、その腫瘍は良性のものだから、心配ないと話してくれたが、内心、ゆかりは、悪性つまり癌であったと、疑っていた。そして、若い頃、癌が再発した場合、助かる確率が低いことも、ゆかりは、知っていた。  ゆかりは、診断と検査を受け、三階の病室に運ばれた。 「ゆかりちゃん。しばらくだったわね」  ゆかりをベットに運ぶと、看護婦は、そう言った。ゆかりは、看護婦を見た。確かに、見覚えがある。 「私、覚えている。荻野尚子」  ゆかりは、頷いた。 「そうそう、岸谷のおばあちゃんも入院しているのよ」 「ええ。でも、おばあちゃん、六年も、入院しているんですか」  尚子は、クスッと笑った。 「違うわよ。岸谷さん、あの後すぐに退院したんだけど、一月前からまた。よっぽど、縁があるのね」  ゆかりは、岸谷のおばあちゃんのことを思いだ
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【短編小説】読心薬

ある日の夕方、浮かぬ顔をした青年が街中の小さな薬屋を訪れた。 その青年が店に入ると、「あら、この間のお客様ではありませんか。この間の風邪は治りましたか」 と、店主は商売用の笑顔で青年に話しかけてきた。 「ええ」 「今日はどうされました。また、風邪か何か」 「・・・」 「では、便秘か何か。でなければ、歯痛とか頭痛とか」 「・・・」 「さては、痔とか」 だが、いくら店主が尋ねても青年は首を横に振るばかりであった。 「もしかして、お客様。恋患いか何か」 と、店主が冗談混じりに云うと、青年の肩がピクリと動いた。それを見た店主はニャッと笑った。 「いくら何でも、こんな薬屋に恋患いに効くような薬など置いてないとお思いでしょうが、ところが、当店にはとっておきの薬があるんですよ」 と云って、店主は店の奥から黒い薬瓶をを出してきた。 「これなどはいかがでしょう。これを飲めば、人の心を読むことができますのでお客様の悩みもすっきりと解消すると思いますが」 だが、青年はその薬瓶を手にとりながらも、「読心薬」と、疑い深げに店主の顔を見た。 「別に怪しげな薬ではないので副作用などははありません。ただ、お値段の方が少々お高くなっていまして、はい」 と云って店主は、高額の値段を青年に提示した。 いきなり、青年は財布から一万円を数枚出した。 そして、それを店主の目の前に置くと、その薬の瓶を開けその中の錠剤を一粒、口に入れた。すると、店主はいささか慌てながら、 「お客様、いま飲んだからといって、いま効くような薬ではないのです」 と、云った。 ところが、青年には、にわかに店主の心の中が、読めたのだ。 (しめしめ。こ
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白濁した想いは儚い

純度の高い想いは重い想いと衝突の割合は7:3が良い美味しいビールの泡の割合と同じだ重たくなると濁る本来とは違う想いが伝わる純度を高めるとは相手のことを四六時中考えることそうすると自分という存在が薄まる本来とは違う重いが伝わる離れていく殿方月まで追う姫君殿方は神遊びに夢中姫君はお手玉で暇つぶし白濁した想いは事件を起こす多くの兵を犠牲にしわがまま放題にやり尽くすまるでドラゴンが街を崩壊させるが如く暴走モードに突入した姫君は全てを焼き尽くすそのころ殿方は月へ到着うさぎと餅つき大会を行う姫君は竹棒のジェットで月へ第二戦目が始まる純度の高い想いは重い月の重力が地球の重力に追いつく殿方の想いは月姫君の想いは地球衝突することもなく引き続き殿方の宴はつづく[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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【小説】記憶の波、揺らす蒼海(わだつみ)

 常夏の都市、アルフライラ。なかでも「南のリゾート地」とも称される、南東区。ナーディルは、特務局員エージェントの訓練兼、配達部の手伝いで、この地区の海岸近くにある邸宅へと訪れていた。 「ありが、とう」  《手紙》の受取人からサインを貰うと、まだ慣れない、たどたどしい公用語で、ナーディルはお礼の言葉を述べた。  一通り配達が済んだ後、仕事の報告をするために分局へと戻ろうとしたが、ふと、出発前の上司の言葉を思い出す。 「ナーディル、アルフライラの海は綺麗だぞ。ついでに見に行ってくるといい」  そう言うと配達場所から近い、おすすめのビーチの場所を教えてくれた。海を見たことがないことを知り、気を利かせてくれたのだろうか、戻らなければいけない時刻までにはまだ余裕があった。 (海、見てみたいな)  ナーディルは時間を確かめていた懐中時計を元の位置に収める。戦火で眠らせていた好奇心を目覚めさせ、ビーチの方角へと足を向けた。  蒼い空に、蒼い海。そして、白い砂浜。全てが眩しくて、ナーディルは目を細めた。海と砂の境界線では、波が寄せては引いていく。足だけでも浸してみたいと靴を脱ぎ、素足で乾いた砂地を踏むと、炎で炙られた鉄板の上にいるかのように熱かった。 「わっ……!」  あまりの灼熱に、水を求めて思わず走り出す。海の方へ駆け込むと、押し寄せてきた波がナーディルの足を癒した。肌に触れた冷たい水が、するすると熱を冷ましていく。  海の成す自然の色彩(グラデーション)に惹きつけられ、ナーディルは景色に魅入る。遠くの水はより蒼く、近くの水はより透けている……繰り返し押し寄せる波(透明な水)を不思議そうに
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「頑張って建てた橋」の話をしよう

大きな川の両側に2つの村がありました。一つは「ガンバリ村」、もう一つは「コウドウ村」と呼ばれています。ガンバリ村の人はリンゴを、コウドウ村の人はイチゴを育てるのが得意でした。それぞれの村では、その果物に誇りを持って生きています。となりの村の果物を食べてみたいとあるガンバリ村の人が言いました。「コウドウ村のイチゴが食べてみたい」周りの村人は驚きました。私たちはリンゴに誇りを持って生きてきた。しかし、イチゴの味を知らない村人たちは、その言葉に関心を持たずにはいられませんでした。コウドウ村に行くための橋を立てよう村人たちは村長に提案しました。「あの大きな川に橋を建てよう」村長は頭を悩ませました。なにせ、ガンバリ村の人たちは橋を建てたことがないのです。村長は考えました。「みんなで頑張れば、橋を建てられるかもしれない」みんなで頑張って橋を建てようガンバリ村の人々は、一致団結して木材を集め始めました。寝る間も惜しんで、アイディアを出し合い、「みんなが考える橋」を形にしようと努力しました。彼らは、少しづつコウドウ村に近づいていったのです。「いい感じなんじゃないか、ちゃんと橋を建てられそうだ」大きな川の反対側で、コウドウ村の人たちはとても驚いた表情を見せていました。試しにみんなで渡ってみよう大きな川の半分くらい、橋ができたところで村長が言いました。「ここで一度、みんなで橋に乗ってみないか」いいんじゃないか。ここで一度、試しに乗って達成感を味わおうじゃないか。大きな川の反対側で、何やらコウドウ村の人たちは大声で叫んでいます。そして、「頑張って建てた橋」は崩れたガンバリ村の人たちは列を成し、村長に
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【詩】銅像にはストールを

町の中心に建っている 走る少女の銅像 走っているのに 止まっている 彼女には心がある 人が作ったものだから 少女は昔からそうだった 作り物になる以前から 動かない足を持つ私に、動く心などなくて良い と そう思いながら本当は 心にせがまれずとも 前へ前へ…… 夢見る少女の目の前を 人々が通り過ぎていく 朝の雪の霞んだ景色に 蜘蛛一匹 真っ赤な色をして 妙に澄んでいる 彼には心がある 生まれてきたものだから 自分に足りない何かを探して ここまで来たのだった 彼は彼女を一目見て感じた 私が求めていたものは、きっとこの娘に違いない と 彼は少女の贈り物に 透明なレースのストールを拵えた それは彼の糸だった ストールを少女の肩に巻きつけて 蜘蛛は少女の胸の中に収まった そして 自らの命を差し出した 赤い蜘蛛は 少女の心臓になる 少女は 長い呪縛から解き放たれる 喜びに震えながら 雪の地を駆け この町に 帰ってくるつもりもない 少女の肩に 雪は降って 透明なストールは 真っ白になっている ◆小説、シナリオ、脚本や 作詞(歌詞作成)のサービスを出品しています。 詩の制作も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。 お気に入り、フォロー、ご依頼をお待ちしております。◆ユーザーページリンクhttps://coconala.com/users/1630449
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寂れた弦のように泣く

光るように生きる街並みが鮮やかに包まれなぜもこうなのかとドス黒い感情をポッケにしまう奥底のはらわた犬の歯型並みにつくビルの谷間に浮かぶ太陽いやらしさと混沌の中まがまがしく微笑む先のことなど考えずなんどもなんども繰り返すまた明日が訪れループアンドループするいくつもの机にいくつもの生徒飛んだり跳ねたりギターとベースとドラムカリスマボーカルが先頭気持ちを華やかにしてくれるパラレルワールドから帰還残酷な日常生活が始まる朝の次に昼昼の次に夜回送列車に乗り込むように無駄な日々が続き当たり前を嫌う列車に揺られながら大事なことを思い出した瞬間を瞬間接着剤で繋ぐ点をてんとうむしが過ぎる生きるために生きるこれからもいつまでも[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪
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千切り絵の富士

時間を切り捨てる大事なことに当てよう思いながらソファで堕落マイペースマイペースローペース呪文を唱える動くことのない手足思考さえもアダルトになり一歩も部屋を出ない脱出ゲームを試みるが抵抗虚しく今はここ晴れた空が遠く見えるパキラも元気がない生命が宿る庭で雨宿り傘などいらないのに無駄にするコト命を削る行為と同意義ぎゅっと心を鷲掴み離してはくれない誤変換を繰り返しようやく辿り着く真実かわからないガラスの板カタカタと叩く今の状況と同じだ一人いなくても何も変わらないのに世界は微動だにしないわかっちゃいるんだ切って貼る切って春を迎える日本一は世界一でしょ誇りなどは普段もたないこんなときに限ってよぎるんだ新幹線から見た景色米粒で絵を完成させて都会に還り散る[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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レベル1のぼく

人の感情は誤魔化せない残像が消えることはなくいつまでもついてくる消すことはできない寂しいのだとてもとてもなにものにも変え難い振り払うことはできない亡霊かのようにつきまとうのだ新しきを学び故きを知りそこから忘れるだが涙は止まらないのだ何故なのだろうどこからやってくるのか記憶の中の消しゴムそれでも消えないただただ辛い文字にすることで少しでも軽くしたいそれを毎日繰り返し繰り返し今に至る懺悔などではないただ悔しいのであるとても辛い記憶に残すことでただただ逃げたいあのときに還りたい新たな一歩を踏み出すことしか報われないのである語彙力を剣に信念を盾にぼくはドラゴンに立ち向かいたいそれは何かと問われれば弱い心をもつ己そのものだぼくはレベル1の勇者剣と盾をもって魔王へと立ち向かう[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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君はいつも大人になりたいという

その名を青春と名づける終わりの会で発表された全員が敵でもぼくだけは味方だという綺麗事そういうことは無しにしよう先生の提案は素晴らしかった純白の世界を目指しているのだと「言葉には力がある」「使い方一つで人を傷つけるのだ」口癖のように言っていたあれから3年後ぼくたちはいまだ教室の中だ卒業できずにいた学生気分のまま浮かれている廊下を走り回り注意されるたわいもない話をして放課後はオレンジ色に染まり頬はピンクになる白い言葉を発しやがて黒に堕ちていく悩み事は脳内を走り回りまた注意される「気にしなくていいんだよ」ここで綺麗事が出るだから悩みなのだぼくたちはまだ水槽の中だ大海に出航できずにいた井戸の底仄暗い感情が漂うわたしたちはいつの日か大人になるならざるを得ないなっても仕方がない手を引かれていくあれから10年後それはまごうことなき大人だ[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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枯れ荻の彼方に【時代歴史小説サンプル/ポートフォリオ】

 中秋の名月が、風にそよぐ枯れ荻を浮き彫りにする。  虫の声は騒がしくもなく、草花の擦れる音が際立つ。  土の湿った匂いが息吹のようにふわりと過ぎていくなかに、一人の男が佇んでいた。襤褸の直垂、腰に太刀を佩く若い偉丈夫だ。ざんばら髪で眉は太く、眼差しは厳しい。腕を組んで、じっと挑むように夜の彼方を睨みつけている。 「豪太」  緩やかな丘の上に立つ彼の静謐を乱さぬよう、密やかに呼びかける者がいる。たおやかな緑の黒髪を揺らす娘が、すすきを掻き分け、ゆっくりと斜面を上がってくる。雪肌は田畑を知らず、男と同じ直垂も鮮やかに藍染めされ、風避けに羽織る布地も上等だ。物憂げな表情と、眉尻の下がった目には情欲を刺激する艶がある。 「豪太」  蠱惑的な低い声にも、彼は頑なに顔を向けなかった。豪太は律令に従い、夜明けには防人の任に就く。気を奮い立たせ、胸の内にある未練を放念しようというのだ。 「豪太、手を貸さぬか」 「貸さぬ」  羽織の下に抱えているものがある娘は、急な勾配に足を取られて不満げに頬を膨らませた。応えた拍子に彼女の表情を目に入れてしまい、豪太は眉間に深い皺を刻んだ。棄てようとした熱が、途端に胸の奥で沸き上がる。よろける娘の腕をがっしりと掴んで、一息に引き上げた。一陣の風が荒び、稲に映る二人の影が重なりあう。 「伊夜、何をしにきた」 「寝屋を抜け出してきた。五平が毎夜、歌を詠みにくる」 「返したのか」 「返さん。私が返し歌を詠んでも、五平は心得違いをして夜這うてくるにきまっておる」 「五平は嫌か?」 「お前のように鹿を狩れぬ。捌いて食わせてもくれぬ」 「俺の鹿を占いに使う女は好かぬ」
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悲しみのクレープ

ぼくはいちごクリームがいいドラえもんの声に似ていたとても可愛い女の子金髪で身長が高く常に寝巻きで街中を歩く気怠そうに言葉を吐く音楽はロックが好き3ピースバンドのボーカルをやっているライブの時は普段とは一転観客と魂の共鳴が起きる心底音楽好きなんだな人は大嫌い話したくも無い友達はぬいぐるみのミィちゃんご飯もいらない咀嚼がめんどくさいんだ寝ることだけが趣味生きがいなんてないぼくなんて誰にも必要とされてないお風呂も3日に1回誰とも会わないからいいでしょ会っても楽しくないよ甘いものは好きなんでかって可愛いじゃんそれだけのこと存在価値があるじゃん必要とされてるでしょぼくはだからいちごクレープになりたいのみんなから愛されたい嫌われたくないぼくはみんなが嫌い必要ないからわがままだよね口元についたクリームを舐めこちらを向いて笑った[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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【超ショートショート】「飲食風俗店」など

「飲食風俗店」 デリヘルを呼んだら、 くたびれた様子の黒服が先に来て、 「お通しです。」 とAVを置いていった。 (居酒屋かよ。) そう思いながらも、 女の子を待つ間、暇なので観賞。 すると思いがけず内容が良く、 それで済ませてしまった。 基本的に一回戦が限度の俺。 結局、女の子とは楽しめず……。 (何がお通しだ。 妙なシステムを導入しやがって。) 憂さを晴らそうと、 後日ソープランドへ。 するとパリッとした黒服が、 「前菜です。」 とまたAVを出した。 嫌な予感。 いつ女の子が来るのか尋ねると、 スープとして出されるエロ漫画の後の、 魚料理として出される使用済みパンティの後の、 口直しのシャーベットとして出される官能小説の後に、 肉料理として出されるらしい。 ちなみにその後は、 デザートとしてエロアニメが、 最後に食後のコーヒーとしてグラビア雑誌が出されるんだと。 「面倒臭ぇよ!!」 俺は吐き捨てて、 (今度こそ……!) と、その足でピンサロへ。 到着するなり、 おばさんの黒服に、 「女の子はすぐ来るよな?」 と尋ねる。 頷くおばさん黒服。 (本当だろうな?) いぶかしみながらも個室で待つ。 すると少しして、 ちゃんと女の子は来た。 顔は可愛く、 スタイル抜群。 おまけにテクニシャンだった。 ストレスと共に、 全てを吐き出した俺は、 ぼんやりと天井を眺めた。 そんな時、 おばさん黒服の声。 「はい、じゃんじゃん。」 同時に別の女の子が入って来る。 廊下には、 何10人もの女の子が立っていた。 (しまった、わんこそばか。) 気付くのと同時に、 ドアが閉じられた。 「青ちゃん」「
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星の歌姫と失われた音楽2 ファンタジー 短編

リアンは星々の歌声を取り戻すための使命を胸に、決意を固めました。 彼女は悩みながらも、失われた歌声を取り戻す方法を探し続けていました。 どうやって歌声を取り戻そうか考えていたある日、ふと魔法の森のお話しを思い出したのです。 昔からの言い伝えによると、魔法の森は神秘的な場所であり、その中に古代の知識や秘密が隠されていると言われていました。 魔法の森について考えているうちに、リアンはその森になら失われた歌声の謎を解く手がかりが隠されているかもしれないと思いつきました。 星々の歌声を取り戻すためには、星々についての歴史や秘密を知る必要があると考えました。 それと共に、魔法の森へ行くには特定の条件がある事も思い出しました。 螺旋状の星座「ラクエル」が特定の位置に見えなければいけません。今の時期であれば、そのラクエルが観測できるはず。 そう考えたリアンは、その星座が今の時期に観測できることを、念のため天文学の本でも確認しておきました。 家族や友人たちに別れを告げるのは辛い事でしたが、リアンは歌姫としての使命と星々の声を取り戻す願いを胸に、旅に出ることを選びました。 リアンは魔法の森へと向かい、その中に隠された失われた歌声の手がかりを見つけ出すための冒険を始めることを決意したのです。
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物語第三話「手紙」

手紙今はスマホが普及しているので、手紙など書く人は殆ど居ないでしょうね。 メールやラインでのやりとりが簡単でスピーディーですから・・・・・・このお話は、今の時代には珍しいお話なのでしょうか。    僕は大林俊彦、今から10年前の高校3年の、卒業間近に起きた体験を   お話します。   こんな経験をされた方は少ないでしょうね・・・・・・   卒業まで残り2週間。なんとも言い様のない、気持ちが不安定な僕。   進学する大学も決まっているのに。   きっと仲良しの友達との学生生活の残りが、日に日に少なく   なっていってるからなのだろう・・・・・・   その日もいつもと変わりなく登校した僕は、いつもと変わりない友達と   挨拶を交わしていました。僕「おはよう」山田「お~とし! おはよう」   友達もいつも通り朝の挨拶を返してくる。   机につくまでは何一ついつも通りだった・・・・・・僕「あれ? ここは僕の席だよな? 間違いない・・・・・・  でも なんだ? これ?」   僕の机に鉛筆書きがあったのです。 僕「大好きなあなたへ? 貴方の笑顔が好きです。貴方の笑い声も好きです。  貴方の人への優しさにいつも救われます? そんな貴方を見ているだけで  私は幸せです? え? 誰かのいたずらか?」   周りを見渡しても、僕を見ている奴はいなかった。 僕「いたずらじゃないのか? 誰なんだ? 机にこんな事を堂々と書く  奴は? 友達、特に山に見つかったら、思いっきりひやかされるぞ」   僕は消しゴムで消して何事も無かったように授業を受けていました。    チャイムの音(キンコンカンコン・・・・・・
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【小説】BARD――世界は囁く(前編)

 それは今日のことか、昨日のことか、明日のことでありましょうか。  とある小さな村に、バードという名の娘が暮らしておりました。  バードは、風や木や虫たち、その他様々なものと話をすることができる娘でした。川の楽しそうな笑い声、土の優しい子守唄、星たちとの秘密の内緒話。他の村人たちが知らないことを、世界の神々の囁き声から知ることができました。  時には神様たちの話を皆に伝えることによって、村人たちを助けることもありました。バードと村人たちは、周りの生き物たちと支えあいながら、毎日を過ごしていたのでした。  ある時、村に一番近い街から、由緒ある家柄の若い男がやってきました。  その若者は珍しいものを集めることが生きがいでした。東に妖しげな仮面ありと聞けば、使いの者にこれを手に入れさせ、西に未知なる島影ありと聞けば、船を出して航海に出かけるのでした。そんな若者が一風変わった娘がいると聞けば、目をつけないはずがございません。そういった訳でございまして、この村に自ら足を運んできたのでございました。  到着してさっそく出会った村人に、若者は娘の居場所を尋ねました。  村人は、不思議な娘バードが住んでいる家の前まで、若者を案内致しました。道の途中でたくさんの村人に会いましたが、彼らは村の外に出たことがない者ばかりでありましたから、大勢の使いの者を引き連れ、色鮮やかな衣を纏う余所者の男を、物珍しげな目で眺めるのでございました。  バードは小さな木造りの家のなかに座っておりました。若者は尋ねます、神々の声を聞くことができる者がいると、風の噂より聞いてやってきた。お前がその娘であろうかと。  バー
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【小説】紅(くれない)に水くくる

「はぁ……やっぱり綺麗だなあ」  様々に色づくもみじと穏やかな川の流れを見て、私はため息をついた。秋の山の暖かい色は、こっちまで気分を上げさせてくれる。それは私の名前が、くれないの葉――つまり、漢字で「もみじ」と書いて「くれは」と読ませるように付けられたので、もみじそのものに親近感を得て育ったせいなのだろうか。  昔から私はもみじが好きだった。夏に育った瑞々しい青い葉が、秋になると赤やオレンジ、黄色に染まるのが不思議だった。それがやがて枝から離れて、ひらひら自然と地面に舞い降りてくることも。子どもの時は落ちてくる葉っぱを空中で捕まえるという遊びを、幼馴染とよくやっていた。  あの頃そんな風に一緒に遊び、名前に「秋」という漢字を持っている、年下の幼馴染……秋水(あきみず)という男の子は、私と違って秋に大した思い入れはないらしいのだけれど。 「ここすごいベストスポット! おじいさんに会えてラッキーだったなあ」  わたしのいる場所は地元の人だけが知る絶景の場所らしく、たまたま道で会ったおじいさんに、こっそりとここへ行く脇道を教えてもらったのだ。 「アキにも教えてあげよっと」  ここには秋水……普段はアキと呼んでいる幼馴染と一緒に来てはいたのだけれど、お互いに他の観光客と話し込んでいた結果、途中ではぐれてしまっていた。まあ、もうふたりとも子どもではないのだし、どこかできっと落ち合えるだろう。そう思って大きく構え、私は今、目の前にある、絵画のような美しい景色を楽しんでいる。  どこか近くにいるはずのアキに、川の水面に落ち葉の赤い色が反射している写真と、自分の居場所をスマートフォンで簡単に
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ほっとひといき300字SS:5

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-人形の部屋- 私は人形と暮らしている。自作の人形が部屋の棚に何人も座っていて、気のせいだろうか、たまに動いたり喋ったりしているような気配を感じるのだ。 人形教室の帰り、友人と喫茶店に入った時にその話をしたことがある。もしかしたら、人形を作っている人はみんなそんな不思議な体験をしているのかも知れないと思ったのだ。 けれども、友人は笑ってそれを否定する。そんな事があったらこわいよと。 少ししょんぼりしながら、自分の家に帰る。すると、どこからともなく声が聞こえた。「おかえり」 部屋を見渡すと、目に入るのは人形ばかり。やはり、私の人形は生きているのかと奇妙に思い、同時に嬉しくなる。 現実なのか幻覚なのか私にはわからなかった。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。もちろん、ブログで300字SSを暇つぶしにご覧いただくだけでも歓迎です。
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『キズ』※ホラー、怪談短編。

 僕の妹の沙耶(さや)は化け物だ。  小学校に上がる前に、僕は確信した。  それは夜中にトイレに行った帰りだったと思う。  仏間に仄かな明かりが灯っていた。  仏壇の前に、まだ四歳の沙耶がいた。  彼女は仏壇にある位牌に向かって、何かを呟いていた。  亡くなった曽祖父、祖父と一緒に会話をしていたのだと思う。 「おじいちゃん。ひいおじいちゃん、私、もうすぐ四歳になります。お兄ちゃんはお母さんと仲が良いのです。うふふふっ、でも、最近はお母さんが私の事ばかりで、お兄ちゃんが私の事をうらやましく思っているみたいだよ」  クスクスクス、と、沙耶は笑い続ける。  沙耶の近くにあった、おはじきが小さく揺れて動いていた。  沙耶は普通の人間が“視えないもの”を“視る事”が出来る。  それは彼女が年齢を重ねる事に顕著になっていった。  沙耶はよく、何も無い壁や路地裏、公園のトイレの陰などで見えない何者かと会話をしていた。 「今夜は大きな怪物が来るね」 「怪物?」  僕は彼女に訊ねる。 「うん。大きな牙と長い爪を持っている。肉食獣みたいな感じなのかな?」  僕の周りでは、電柱や街路樹などに、異様なキズが増えていた。  それは、獣が爪のようなもので付けたようなキズだった。 「沙耶。何か近付いているのか?」 「うん」 「それは危険なのか? 僕達にとって」 「わからない……」  そう言って、妹は首を横に振る。  幼い頃から沙耶の話を聞いている為に、僕もある種の“霊感”のようなものを見に付け始めていた。この世のものじゃない、所謂、霊的な存在、怪異、見えない怪物のようなものの気配を感じ取る事が出来るのだ。
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ほっとひといき300字SS:4

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-弟だったかも知れない妹- 今日は特別な日だ。二十年前に妹が生まれた、僕にとって、そしてきっと妹にとっても記念日。 妹が生まれる前、僕は漠然と、未来のことなど知りもしないのに、年下の兄弟がいると思っていたようだ。名も知らぬ兄弟を探して、見つからないと泣いたこともしばしばだったそう。 物心が付く前に妹が生まれたのだけれど、初めて妹の顔をみた時こう思ったのを何故だかよく覚えている。 弟だ。 おくるみに包まれた妹が男の子に見えたのかも知れないが、妹と紹介されていた筈なのに何故そう思ったのかは未だにわからない。 そんな妹の二十歳の誕生日。この記念日に開けるのは、僕が好きなボルドー産のワイン。妹の生まれ年の物を探したけれど、味はどうだろう。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。もちろん、ブログで300字SSを暇つぶしにご覧いただくだけでも歓迎です。
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『人魚伝説の村』※怪談。ホラー小説。

人魚の肉を食べると“不老不死”になるという伝説がある。 そして、この村の付近に住まう、人魚自身も“不老不死”である、と。 私は「彼女」に魚だけを食べさせる。 彼女の身体はだんだんと魚で血肉が作られていく 半年ほどして私は彼女を「食べる」。 彼女の身体は「魚」で作られている筈だ。 私は不老不死になるべく「彼女」を食べる。 潮の味が口の中に広がった。 †  大学三年の夏休み、俺は友人の仙波と一緒に、ある漁村へと向かう事にした。  その漁村から出る船から、小さな島に行く事が出来るのだと。  漁村は新幹線に乗ってから、更にバスを乗り継いでやっと目的地に到着出来る場所だった。漁村なだけあって、この辺りにある食堂は魚料理がとても美味しい場所だった。 「飯食うだけでも来たかいがあったな」  食堂の中で仙波(せんば)はそんな事を言う。 「ははっ。そうだな」  俺も笑った。  俺達は食堂のおばちゃんと雑談していた。  大学生活の事。アルバイトでの失敗の事。恋愛での失敗の事。家族間での仲の事など、そんな、プライベートの事を自然に話していた。  おばちゃんは気さくな人だった。  聞き上手で、話を引き出すのが上手かった。 「そういえば、この辺りの人魚伝説の話を聞かせてくれませんか?」  俺はおばちゃんに、此処に来た理由を話した。  この辺りの漁村には、人魚伝説があって、それもとてもおぞましい伝承として伝わっているのだと。  そして、俺は、例の人魚伝説の話を食堂のおばちゃんに話した。 「そうねぇ。あたしが聞かされたのは、そんなに怖いお話じゃないけど、確かにこの辺りには人魚の伝説があるわねぇ」  海の方に
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ほっとひといき300字SS:1

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、これからたまに、自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-乾きと蜜柑- 目が覚めたら喉がカラカラだった。 足下の温もりを感じながらむくりと起き上がる。火照った首筋に触れるとじっとりと汗ばんでいた。乾いたせいだろうか、頭がぼんやりする。けれども飲み物を取りに行くために立ち上がるのは億劫だった。 こたつの上に乗った蜜柑の山に手を伸ばす。一個手に取るとそれは確かに柔らかく、爽やかな香りを放っていた。 黄色い皮を剥いて中に入った房を大雑把に半分もぎ取り、口に詰める。それから噛みしめると、甘酸っぱい汁が喉に滲みた。「こたつで寝てたの?」 初詣から帰ってきた姉さんが呆れたように言う。仕方ないじゃないか、こたつは暖かいんだ。 姉さんもこたつに入り蜜柑を剥く。山が消える頃には乾きも癒えた。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。もちろん、ブログで300字SSを暇つぶしにご覧いただくだけでも歓迎です。
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こんぺい糖 ーその3ー

ある日、芽衣は派手に弁当箱をぶちまけた。 恥ずかしさに真っ赤になり、あわてて散乱した弁当の中身を掻き集める。 手づかみで空になってしまった弁当箱に詰め込み、花柄の巾着袋に戻すとカバンに押し込んだ。 教室から飛び出すまで、周りの様子など見る余裕はない。 汚れた手を目いっぱい力任せに洗っていると、息苦しくなり外の空気が吸いたくなった。ひとり校庭の隅に座る。悲しさと悔しさと不甲斐なさが、すっぽりと芽衣を覆う。 泣きたかったが、泣くともっと自分が情けなくなるような気がした。 先ほどの光景が嫌でも思い出される。皆、笑っていただろうか、呆れていただろうか。その姿を視界に捉えることは怖くて出来なかった。もう無理だ、もう帰りたい。ただただ、逃げ出したい気持ちが強まる。担任に伝える早退の理由を考えている時だった。「お腹すくやろう?」ふいに目の前に売店の菓子パンが差し出された。 驚いた。自分を気に掛けてくれる人など居ないと思っていた。 そっと顔をあげる。 菓子パンの差出人は同じクラスの河野裕子だった。 その日まで、気にはなっていたものの話などしたことはない。 「…いいの?…河野さんは?」 「私はお弁当があるけん。ほら」 チェック柄のハンカチに包まれた弁当を、顔の横にひょいと持ち上げる。その側には、柔らかく優しい眼差しの笑顔。 同年代の人間から、こんなにホッとさせてくれる温かい笑顔を貰ったのは初めてだった。そして、優しい笑顔は強張っている心を解きほぐすことも初めて知った。 芽衣の隣に腰かけた裕子と、昼食をとりながら少しずつ話をした。 裕子の優しい表情は変わらなかった。嬉しさのあまり、何でも話したくな
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こんぺい糖 ーその2ー

そこには上着をまくし上げ、左脇腹を見せる裕子がいた。 下唇を噛み締め、睨みつけるその目には涙が浮かんでいる。 何かを我慢するような苦痛な表情に、芽衣は心臓を掴まれ胸が痛んだ。 そして、強い後悔に圧された。 裕子が見せる脇腹には、手のひらサイズの歪んだハート型のアザ。 芽衣がそれを目にするのは二度目だった。 これほどの怒りを向けられながらも、 ( やっぱり素敵だ。) 芽衣はそこに惹かれていく。 うすい茶色のハートは白い肌に柔らかく描かれているようにも見える。 他の誰にもない特別なマークは、選ばれし者であるかのよう。 意を決してありのままの気持ちを伝えることにした。 どうせ嫌われるのなら、思いを届けた方がいい。 芽衣はまっすぐに裕子の目を見た。「あの日、廊下で渡辺さん達が噂話をしてて。」 渡辺という女子は、裕子と同じ中学を出ている。 「裕子が…、水泳の授業で着替える時、不自然にコソコソと着替えること。 中学の修学旅行の入浴も皆とは入らなかったこと。 何か、おかしい、って。 絶対に何か隠してるって。 勝手に推測して、嫌な感じに話を盛り上げてて。 すごく腹が立った。」 「そんな話放っとけば良かったやん?! 芽衣には関係ないとやけん。」 「…関係なくない。 関係ないことはない。私ね、私、裕子が好き。大切だし、尊敬もしてる。 私が失敗した時に優しくしてくれて、話まで聞いてくれた。 あの時にそのアザも見せてくれて。本当に嬉しかった。」 芽衣は新しいクラスになかなか馴染めなかった。 はじめこそ数人の女子が話しかけてくれたが、 おどおどとした芽衣のもとから、少しずつ人気は消えていった。 不器用な
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赤い薔薇の彼女【恋愛小説】

いつだってその人は、黒いワンピースでやって来る。至ってシンプルな時もあれば、時に総レースのデザインだったり。彼女はゆっくりと店先に並べたバケツの花をひと通り吟味し、そのまま視線を店内の花に移す。僕は視線が合わないだろうかと期待しつつ、彼女の動きを見守る。いや、正確には瞳を奪われている。しかし彼女は、決して誰とも視線を合わすこともなく、店の中に入ってくる。僕は少しがっかりしながら、けれども同じ室内にいることに毎度喜ぶ。彼女がこの花屋にやってくるのは、決まって水曜日。彼女のこの習慣で、僕の水曜日は特別になった。朝の目覚めも良く、いつもより入念に身支度をする。鏡の前でのチェックは怠らない。それでも彼女の姿を見つけると、抜けているところがあるのではないかと不安になる。店に来るときは、柔らかそうな髪をいつも緩くアップにしている。風のある日はおくれ毛がそよぐ様子に、華奢な首元はくすぐったくないのだろうか…と、余計な心配をしてしまう。いつも化粧っけはない。化粧をするのは勿体ないほどに肌が白い。伏し目がちで花を見て回るので、まつ毛の長さがよくわかる。閉じられた口元はわずかに口角があがり、唇はうすく、ほんのりとピンク色だ。きっと、軽く嚙むだけで赤く染まるだろう。彼女が花を愛でながら、レジに向かって徐々に近づいてくる。そこにいる僕は、胸の内が大変なことになる。こんなにも鼓動が速くなることに嫌気が差す。思春期の男子みたいだ、情けない。側まで来た彼女は、ゆっくりと視線を僕に合わせる。速かった鼓動が熱く溶けていく。「いつもので。」彼女の声はやや低く、少しだけハスキーだ。可憐な風貌にミスマッチで、大人びて
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【短編小説】男だけの世界

 S氏は世界的遺伝子工学の権威。  また、S氏はゲイとしても有名な人である。そんな彼の夢は、男だけの世界を造ることであった。  ただ、それを実現するためには是非に開発しなければならないものがあった。それは、男同士で子供を造る装置。そして、S氏は、長年も遺伝子工学の研究の傍ら、男同士で子供を造るための人工子宮なるものの開発をしてきた。その人工子宮、普通は精子と卵子が授精することを、S氏は自分と恋人のケン君の遺伝子を掛け合わすようにして、子供を造ろうと云うものだった。  それがいま、まさに完成しようとしていた。   S氏の研究室には、溢れんばかりの彼のゲイ仲間が詰めかけていた。そして、全員が研究室の中央に置かれた人工子宮のカプセルを注目した。  S氏がカプセルの蓋を開けると、中から玉のような赤ん坊が出てきた。 「F教授、完成おめでとうございます」 「Fちゃん、やったね。これで男だけの世の中にできるわ」 と、世紀の大発明にその場にいた男達はS氏を賞賛した。  ところが、なぜかS氏だけはがっかりとした顔で、その赤ん坊の顔を見ていた。 「どうしたんですか」 と、男達の中の一人が、S氏が抱いている赤ん坊をよく見ると、その子は女の赤ちゃんだった。                               完 《蛇足》  以前、ネット上で公開していた拙作オンライン小説です。
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【短編恋愛小説】女性の生きづらさを考える一助としての小説|『しえん』

    1  色濃い煙草のけむりが漂ってきて、思わず手を払った。中目黒の居酒屋《かがりび》だった。グラスを触っていたせいで水滴がぴっと跳ねた。右隣の席の、煙草を吸っていた男に当たった。私は眉を下げて、笑顔をつくった。 「ごめんなさい。煙がきたから、つい」  眉をひそめていた男は、私の目を見るなり、にっこりと笑った。顔を真っ赤にした、大学生くらいの男だった。だぼっとした服を着ていて、手首にはシルバーが巻かれている。渋谷や中目黒ではよく見る格好だった。二人連れで、友人の方は私に見向きもしなかった。 「こっちこそすみません。……さっきの人、彼氏?」 「いや……そういうのじゃないけど」  雨宮のことだろう。トイレに行くといって、もう十分は経っている。灰皿に残った雨宮の煙草はほとんど焼け落ちていた。 「じゃあ連絡先、交換しません? 何かの縁ってことで」  男は左手で持っていた煙草を、灰皿にぎゅうぎゅうと押しつけた。その視線は、机に置いていた私のスマートフォンに注がれている。対面の友人は、止めるでもなく囃し立てるでもなくただ静観していた。  やっぱりこうなるか。  私はグラスを両手で抱え、いつも通り笑顔をつくって首をかしげた。自分の鞄の中身を強く意識した。 「ごめんなさい、私、今好きな人がいるんです。なので、そういうのはちょっと……」  男は鼻を鳴らした。男の友人も笑ったように見えた。 「違う違う、そういのじゃなくてさ。なんか友達になりたいって思っただけだから。そんなに警戒しないでよ。よかったら相談も乗るしさあ」  見かけによらず、ぐいぐいと来るタイプだった。どうせ年下だろうと侮った。酒で
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人は人の血肉から成る

人は母から生まれるその後に人を形成する要素は人の血肉である人格とは他者である先天的なものではない誰の影響を受けどのような環境に属し何を見て何をたべたか自我などというものはない気づけば誰かなのであるだからこそより多くの映画音楽小説人出会うことが大事である世間的に魅力を感じる人は多くの経験を積んでいるであれば心を動かしにいこう入っていこう世界を見ようふりかえれば己の屍で形成された轍それこそが人格の脱皮であるさなぎのままの人生ほどつまらないものはない多く傷つき血まみれになり綺麗になろう明日からではない今日からはじめよう旅に出かけるタイミングはいまそのときだ[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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なろう!小さな頃からの夢を叶えるために。

なろう!私は小さな頃からの夢を叶えるために、小説を書くことに決めた。しかし、なかなかアイディアが浮かばない。そこで、友人のアドバイスで、自分の経験をベースにした物語を書くことにした。物語は、主人公の私が、ある日突然異世界に転生してしまうというものだ。異世界では、魔法や冒険が日常茶飯事で、主人公は自分の力を使いながら成長していく。しかし、私は普通のサラリーマンであり、冒険や戦闘に慣れていない。どうやって異世界で生き抜くか、自分の頭を使って考えなければならない。物語の舞台は、広大な森に囲まれた小さな村だ。村人たちは、主人公の異世界転生を驚きながらも、彼を助けるために協力してくれる。主人公は、異世界のルールや魔法の使い方を学び、仲間たちと協力しながら、村を守るために戦いを挑んでいく。主人公の心情は、最初は戸惑いと不安でいっぱいだった。しかし、仲間たちとの絆や成長を通じて、自信をつけていく。彼の心の中では、村を守り、仲間たちと共に成長するという強い意志が燃えている。物語は、主人公が次第に強くなり、村を守るために立ち上がる様子を描きながら進行していく。彼は、自分の力だけでなく、仲間たちの力も借りながら、村を守るために奮闘する。そして、最後は大きな戦いに挑み、村を守ることに成功する。この物語を書くことで、私は自分の夢を追いながら、読者に勇気や希望を与えることができるのではないかと思う。異世界転生というテーマを通じて、夢を追いかけることの大切さや、努力が実を結ぶことの素晴らしさを伝えることができるだろう。私は、この小説を通じて、読者の心に響くような物語を作り上げたいと思っている。そして、夢を
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灼熱のたこ焼きを頬張るあの子

スマホを信用しない店主いつか訪れる終焉グランドフィナーレとは名ばかり嘘ばかりつくんだあの時もそうだったいらっしゃいませ女性二人が店主のお店ぼくたちが入店すると他にお客さんは誰もいなかった何にしましょうか何があるんですか後ろの壁にメニューは貼ってます愛想が悪いなと思ったぼくたちは焼酎を頼んだ何か希望の銘柄ありますかほぉなんでもあるのか黒霧島でお願いします割り方はどうしましょうかロックでお願いします奥にいた女性店員がニヤリとした不思議に思ったがやり過ごしたお酒がテーブルへ離陸するぼくたちはお酒の量お酒の濃度手厳しく監査するなんでも鑑定団のようにコップを舐め回すように観察二人は黙ってうなづき次は濃度チェックに入った口に含んだ瞬間に気づく黒霧島と模した水だった無言で乾杯した女性店主二人は何もこちらに気を遣うこともなくお店の奥でたこ焼きを頬張っていた関西特有の熱さに耐えながら悶えながらバンギャ並にヘドバンをしていたこれが美味しいというシグナルなのだ目の前におでんがあったがおでんたちがこちらを拒否する顔で見ていたぼくたちも白旗を上げお会計のときが訪れた店主に告げられた金額が摩訶不思議だった昔のドラゴンボールのOPテーマか今はどうでもええかそんなことよりメニュー表の倍の値段がしたのだなぜかと問いただすとロックにした場合は水割りの倍になりますロックリーの木の葉旋風かますか初めて聞いた制度ここは異世界転生居酒屋ちゃうちゃう耳をひっくり返してもう一度問うた二匹の白夜叉から同じ言葉がブーメランのように帰ってきたおかえりちゃうちゃうなんでやねん漫才をしにきてるんやないカウス師匠に言いつけてやるいやそん
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拷問姫の嘆きごと

地獄の釜が茹で上がる拷問待ちの難民が長蛇の列をなすちょうど地球1周分の距離だ次から次へと釜へ紙切れのように放り込まれていくそんな中毎回耐え切るものがいるお風呂のように釜へ浸かり体を温めたあと剣山の山へまるで頭皮マッサージかのように扱っているすっかり整ったところで血の池を豪快にすするなんだこいつは拷問姫は頭を抱えていた前科一万件の飛び級案件だ地上で残虐の限りを尽くしてきたこのままではわたしの面目が丸潰れだついにあれを使うか姫は巨大牛へあごで合図を出した物理的に潰すしかない巨大牛は鼻息を天へ吹き出しやってやるぞといわんばかりに後ろ足を蹴り出し猛突進していく吹き飛ばされることもなく佇む男にやりとしたかと思うとバックドロップからの腕ひしぎ十字固めを繰り出し猪木ばりに手を振り上げたあっという間に調理され骨を残すこともなく平らげた満足げにおくびをした後極寒地獄で爆睡をし牢へ帰っていった姫は髪の毛をかきむしりながら城へ帰り大号泣し眠りについた男は大笑いしながら明日も平穏な日々が待っていると蔑んだ目で地上を見下ろした[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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【短編小説】除夜の鐘

「次郎、明日は正月だからね。早く寝なさい」  次郎が、風呂から上がると、母親は、そう言って次郎を寝床に追いやった。渋々、次郎が布団の中に入り横になると、除夜の鐘が鳴り始めた。 「一つ、二つ、三つ……」  次郎は目を閉じて、鐘の音を数え始めた。だが、なかなか、眠れない。そうして、とうとう、百八つまで、数えていた。   ゴーン。 「あれ」 次郎は、驚いて目を開けた。次郎は、ちょっと不思議な気がしたが、また、目を閉じて、鐘の音を数え続けた。  …二百…三百…四百…五百…。  …二千…三千…四千…五千…。  どれだけ、時間が経ったのだろう。  鐘の音は、九千百八十で、鳴り止んだ。    ふと、次郎は目を開いた。  なぜか、体が重くなっているような気がした。暗闇ながら、寝床の様子も何か違う。  襖の向こうから、知らない男と女の声が聞こえてきた。 「この除夜の鐘が、親父にとっては最後だな。あと三ヶ月って、医者から言われているからな」 「シィ。あなた、お父さんに聞こえるわよ」  次郎は、言い様の無い寂しさを感じたが、また目を閉じた。                                                                                                  完 《蛇足》  以前、ネット上で公開していた拙作オンライン小説です。
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世界が始まる夜明け

早朝ランニングは気持ち良い誰もいない街中を走るすべての景色がこの瞬間だけはぼくのものだ一人の世界他者とは隔離され悦に浸る心地よさと空白の狭間今日も生きていくのだと自覚する冬は特に良い肌寒さと白い息エモーショナルな気持ちになる新品の朝今日はどんな1日にしようランニングシューズが地面を捉えるたびに口を開く自らを喚起してくれる音楽を聴き速度が上がる地面と足が一体化する唇にリップを塗る時と同じ単体ずつでは意味が成さないものが一体化することで意味を成す朝の匂いが薫るちらほらと人が出てきた会社へ向かうのかはたまたオールの帰りか行きと帰りが交差する街そのど真ん中をぶち抜くさらに速度が上がる笑顔とは裏腹に体力は削られやがて終着地点へまた明日も同じく新品の朝を出迎える[お悩み電話相談]悩み事をどうにもできずに苦しんでいる方は是非一度メッセージからご相談ください!心が辛くてどうしようもないときは、誰かに話すのが一番楽になります。どうぞよろしくお願いいたします♪[ココナラ出品相談]・安売りしなければ商品が売れない・忙しい割に利益があがらない・ランキングに一度も入ったことがない・問い合わせもほとんどない・お気に入り登録もされないとお悩みの方にわたしが今までに行ってきた手法をすべて包み隠さずお伝えします。まずはお気軽にお問い合わせください♫
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星の歌姫と失われた音楽1 ファンタジー 短編

遥か昔、宇宙を照らす星々の民が、その美しい歌声で夜空を彩っていました。星々の歌は、まるで銀河の風に乗って届く響きで、人々の心を満たし、幸福や希望を届けていました。その調べは、宇宙全体に響き渡り、星座が踊るような美しい光景を生み出していました。星々の民は、歌と音楽を通じて、愛と調和に満ちた平和な世界を築いていました。しかし、ある日突然、星々の歌声が途絶えてしまいました。その美しい旋律は消え、闇が宇宙を包み込みました。星々の輝きも失われ、星々の民は深い悲しみに包まれました。失われた音楽の謎は謎のまま、希望の星々は闇に隠れてしまったのです。歌姫のリアンは、幼少の頃から星々の歌声を聞くことができる特別な力を持っていました。彼女はその力で、星々の歌が人々の心にもたらす感情を感じ取り、自身の歌声で喜びや希望を広めてきました。しかし、星々の歌が途絶えた日から、リアンの力も失われてしまいました。彼女は星々の声を取り戻す使命を胸に、旅に出ることを決意します。
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※BL レンズ越しに見る君は

こぽこぽとコーヒーメーカーが音を立てながら、美味しいコーヒーを抽出する。あんまり詳しくないけど、店内にはマスターが好んでいるというクラッシクが流れている。僕にはよく分からないけど、よく店に来るおじいちゃんたちはふんふん頷きながら聞いていたから、まぁいい曲なんだろうなぁって。いつの間にか、その曲を知らないまま鼻歌で奏でたりしちゃうんだけど。喫茶店アーベントは、僕が働くちょっと古い喫茶店。カフェじゃなくて、昔ながらの喫茶店。固めのプリンがちょっとした評判で、もちろん豆から挽くコーヒーだって好評だ。けど、年齢層は少し高め。でも、最近はテイクアウトも始めたんだよね。時代と少しでも寄り添わなきゃ、やってらんないってマスターが言ってた。テイクアウトできるのは、今の所コーヒーだけなんだけど、これでも結構若いお客さん増えたんだよね。 「葵ちゃん」 「おはようございます!いつものですか?」 「うん。テイクアウト出来るかい?」 「大丈夫ですよ!今日は座って行かれないんですね」 「残念なんだけど、これから会議でねぇ」 「そうなんですね。今日も頑張ってください!」 超有名なコーヒーショップみたいに、テイクアウト用のカップに名前と一言を書きながらいつもの様にお話をする。僕は案外こういう時間が好きで、常連さんにはついつい話しかけちゃうんだ。もちろん、このカップを見て来て下さる人も増えた。特に、この常連さんの会社の人は何度もアーベンに来てくれている。「今日は葵ちゃんのボーイフレンドは居ないのかい?」 「ボーイフレンドじゃないですよぉ。いや、お友達って意味ならアレです正解ですけど」 「ははっ、満更でもない感じ
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ダークファンタジー小説『王宮城下町の殺人鬼』 2

二人は館の門を抜け、入り口の扉を開ける。 広間は真っ暗で、鎧や絵画などが飾られている。所々、朽ちており、ろくに手入れがされていない。二階へと続く、階段が見つかった。 階段の上に人影のようなものが、ぼんやりと見える。 柵に手を掛けて二人を見下ろしていた。 辺りにランプなどで明かりは付いていない。 「お前が殺人鬼か?」 ロノウェは訊ねる。 人影はまるで嘲り笑うように、二人を見下ろして笑っていた。 「お前らの相手は俺じゃない」 人影は闇の中から、何かを指差した。 何かが落下してくる。 それは、大量の鴉達だった。鴉の群れが二人へと襲い掛かる。 「ふざけやがって」 ロノウェは地面を剣で切り付けた。 すると。 床が盛り上がり、巨大な二本の腕が生え出てきて、人影へと襲い掛かる。 「貴様…………。俺の家を壊しやがって……」 人影は、何かを空中に放り投げると、跳躍する。 宙に、木片が浮かんでいた。 人影は、木片の上に乗っていた。 外では霧が少し晴れていた。 月明かりに照らされて、その人物の姿が浮かび上がる。 腰まで伸びた金髪に、女性的な服装。胸はビスチェで多い、腰までドレスをひるがえしている。美しき中性的な男、美麗な女装男子、というよりは、異常な性的倒錯を持った狂人といった印象を受けた。服の所々には血がべったりと乾いてこびり付いている。 殺人鬼。 「お前の名は?」 ロノウェは訊ねる。 「貴様が先に名乗れ」 「俺はロノウェという。王宮騎士団に所属している」 「ベレト。それが俺の名だ。お前はゴーレム使いだろう? 石や大地に疑似生命を与える」 「ああ。よく分かったな」 ベレトはシャンデリアの上に飛び移
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【小説】安らぎの場所 -小さな故郷-

 大陸横断鉄道の列車から見える街並みの景色が、少しずつ東方系の色を帯びてきていた。  ――帰ってきたな。  ルーシン ウェイは故郷に近づくにつれ、顔の緊張がほぐれていくのを感じていた。普段は気づかないが、外の世界にいると、やはりどこか身体に力が入ってしまうものなのだということを、自覚させられた。  アルフライラ北東区、イェンルー老街。その近くの小路にある、小さな商店。ここが、ルーシンの実家だった。  ただいま、と暖簾をくぐると、両親と弟がそろって出迎えてくれた。東方人の父とアルフライラ生まれの母は、ここで出会い、結婚して、ルーシンと彼の弟を産んだ。  元気でやってるかと尋ねながら、ルーシンと自分たちの近況を明るく交換しあう母。わいわいと話している様子のそばで黙って茶を飲んでいる父。対照的な両親の性格は、ルーシンと弟のふたりにそれぞれ受け継がれている。自由で大らかな母親の性格はルーシンに、真面目な父親の性格はルーシンの弟によく似ている。  弟は、父親と一緒に商店を経営していた。小さな店ではあるが、真面目で堅実に商売をしているおかげで、評判も上々のようだった。  そろそろ子どもが生まれるんだ、と弟はルーシンに教えてくれた。ついこの間結婚をして身を固めるというのを耳にしたばかりだと思っていたルーシンは、この知らせを聞き、月日が経つのは早いな、と呟いた。男の子が生まれるのか、それとも女の子なのか気になるが、どちらにせよ、弟なら、きっと良い父親になるだろうことは、ルーシンにとっては容易に想像できた。  実家で一休みした後、ルーシンは散歩がてら外を出歩いた。懐かしい食べ物の匂いが漂ってくる
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1万字で30万円ゲットしませんか?

あなたの1万字で30万円ゲットできるチャンスがここにあります。11月15日締切の仙台短編文学賞が応募期間中です。1万字~1万4000字と初心者さんでも応募しやすい長さです。学生さん枠もあります。応募総数も多くありません(下部参照)。年々応募数が減っており、狙い目ですよ♪レーベル研究を終え、選考基準を把握いたしました。書き方・アドバイス/編集・リライトをご提供できます。小説家を目指す方、文章を書くのが好きな方、掲載されたい方何かにチャレンジしたい方、応募されてはいかがでしょうか。第5回 応募264作品→最終候補13作品→入賞5作品第4回 応募374作品→最終候補11作品→入賞6作品第3回 応募477作品→最終候補14作品→入賞5作品第2回 応募324作品→最終候補15作品→入賞6作品第1回 応募576作品→最終候補18作品→入賞5作品
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【サンプル短編小説】雨の土曜日/紫陽花と蕎麦と海老のスープと

3日前、私たちの住む地域も梅雨入りが発表された。発表される前日から毎日雨だ。しとしとと降る雨は割と好き。今日は、そんな雨。そして、梅雨入りをして初めての週末。夫のまこちゃんが昨日雨の中買ってきてくれた新しい珈琲豆を丁寧に煎っている。土曜日の朝のこの時間がとんでもなく愛おしい。私たちは結婚してもうすぐ10年。子供はいない。2人で望まず、2人で暮らすことを選んだ。週末はまこちゃんが料理担当だ。朝は丁寧に入れてくれた珈琲と、今日はホットサンドのようだ。男っぽさもあり、どことなく繊細さもある、彼の料理はそのバランスが絶妙で、とても美味しい。週末が楽しみな一番の理由だ。できたよ。今日はゆりが好きなチェダーチーズで作ってみた。にやりと口元が緩み、エプロン姿のまこちゃんのことを見上げた。ありがと。いただきます。いただきます。ほとんど青に近い薄紫の一輪の紫陽花と、ホットサンドと温かい珈琲。その先にゆっくり珈琲をすする夫。今日も幸せだ。ねぇ、今日少し雨マシそうだから紫陽花園行かない?去年行った、あのお寺の。あ、いいね。行きたいと思ってた。にっとまこちゃんの笑顔が咲いた。朝ご飯をゆっくりと味わい、一緒に後片付けをしようかと提案したが、支度してていいよといつもの返事が返ってきて、私は心を躍らせながらお化粧をし、髪を整えた。鏡の前であれやこれやと洋服を選んでいると、お皿洗いを終えたまこちゃんがひょっこりと鏡に映った。どっちがいいかな。うーん、こっちかな?これ、好き。ふんわりと緩んだ口元を隠すようにハンガーにぶら下がったワンピースを体に合わせた。どことなくリンクするファッションに身を包み、色違いの傘を持
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【サンプル短編小説】小さな優しい輪の中で

あ!あいだのじいさんだよ。あいだのじいさん!いつもの公園で、散歩途中のあいだのじいさんに出会った。あいだのじいさんは、私と娘だけの秘密のあだ名。娘が好きな子ども向け番組に出てくるキャラクターの名前だ。それに似てるというわけでもなく、娘の中でブレイクワードだった"あいだのじいさん"という言葉がしっくりハマってしまったのだ。毎日毎日、私たちは公園で遊び、あいだのじいさんは散歩をしている。お互いの存在を認めざるを得なくなった頃、あいだのじいさんは娘に手を振ってくれるようになり、次第に娘も手を振りかえすようになった。そして少しだけ話をするようにもなり、今ではたまにお家にお邪魔してお茶をいただいたりもする。つぐみちゃん、こんにちは。あいだのじいさんは優しく手を振りながらこちらに向かって歩いてくる。あいだのじいさん!娘は今にも足が絡まりそうなほど危なっかしい走りで向かっていった。こんにちは。今日はいい天気でしたね。私もたわいもない話をする。娘は手に持ったダンゴムシをあいだのじいさんに渡した。白い手袋をしたあいだのじいさんの手のひらでコロコロと転がるダンゴムシを3人で見た。なんとも不思議な、愛おしくて可笑しな時間が流れた。空が少しオレンジ色に染まってきた。そろそろ帰ろうか。あいだのじいさんとダンゴムシと夢中で遊ぶ娘に渋々声をかけた。いつもすんなりうんとは言ってもらえない。まだかえらない。あいだのじいさんは、明日うちに遊びにくるかい?保育園お休みだろ?と聞いてくれた。娘は勢いよく、いく!プリン!と答えた。娘はお家に遊びに行くというより、大好物のプリンをいただきに行くのを楽しみにしているのだ。す
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【サンプル短編小説】すだちをきゅっと絞ったような

梅雨がそろそろ明けるかも、というある日。蒸し暑いがかろうじて扇風機で過ごせるほどの初夏の陽気の中、生ぬるく重たい空気の漂う部屋の中で小さな電子の画面に向かってぽちぽちと文字を刻んでいた。その滑稽なさまは自分が一番よくわかっている。あまりの暑さに冷凍庫のいつのかわからないアイスを取りに行き、何回目かわからない小休憩をする。じっとりと汗を滲ませていた体にアイスの冷たさが伝わる。スピーカーからはAIに支配された音楽がBGM以下の世界線で鳴っている。きゅっと胸が締まるような感覚がして、そのボリュームは勝手に上がった。窓の外の空は、あの時と同じ色をしていた。もう6年くらい前になるだろうか。前の職場の仲が良かったお客さんの、同期の人と付き合うことになった。和歌山の長期出張から高松の長期出張の合間に付き合い、すぐに高松へ行ってしまった。お世辞にもルックスがいいとは言えないが、なんとなく人となりに好感が持てた。だからとは言わないが、遠距離恋愛が楽しみだった。高松までは高速バスで会いに行った。その時は決まってこの曲、このアーティストだ。バスの旅は大好きだった。空と雲と木しか見えない長閑な景色を見ながらお菓子をつまんだり、携帯を触ったり、眠るための本を読んだり。忙しく、何の変わり映えもない毎日の中で、特別な時間が流れるショートトリップだった。高松へは大体彼の仕事中に着くように向かう。高松駅の周辺はとてもきれいに整備されている。だだっ広い芝生の広場を超えた先は、海だ。タリーズコーヒーでアイスカフェラテを頼み、芝生の木陰で休憩する。海沿いの木陰でコーヒー。最高に心地いい。海を眺めながら少し散歩し、彼の
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【短編】害虫駆除 ※虫は出ません

 広い部屋だった。  いや、サイズ的にはそれほどでもないかもしれないが、物がないので広く見える。  横幅一メートル五十センチほどの木製の重厚なテーブルと、上質なことが一目でわかる黒革の椅子。  そして中央にあるローテーブルと、それを挟んで向かい合うように置かれた三人掛けのソファーがふたつ。  この部屋にあるのは、それだけだった。  いや、テーブルの上にはパソコンや書類などが置かれており、人の気配がない、ということはない。  だが、生活感の感じられない部屋だった。  三人掛けソファーのうちひとつ、部屋の出入り口に向かい合う形で置かれた方に、男が座っている。  彼がこの部屋の主なのであろう。  年齢は、三十代の半ばだろうか?  体つきや顔立ちから男性であることは瞭然だが、ツヤのある黒髪は肩甲骨のあたりまで伸ばされている。  グレーのスーツに黒髪が散っている様は、妙に艶めかしい。  そしてもうひとり。  ソファーには座らず、その隣に佇んでいる女性がいる。  黒色の長いスカートに、純白のエプロン。  一昔前によく見た丈の短いフレンチメイドではなく、英国で実際に使用されるようなクラシックタイプのメイド服だ。  髪は後頭部でシニヨンに結い上げられており、ノーメイクかと見紛う程薄くだが、化粧も施している。  美しい顔立ちをしているが、表情がなく、まるで人形のように作り物めいて見える女性だった。  一瞬、彼女の瞳が獲物を見つけた猛禽類の如く鋭く光った。  その瞳の輝きが、彼女がマネキンではなく人間なのだと証明する唯一だった。  男はほんの一瞬彼女に視線を向けたが、なにも言わずに視線を逸らす。
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【小説】melting of snow ‐六花の伝承‐

はじめに 本書は、北方に存在する、とある地域の説話、口承文芸を後世に残すべく制作されたものである。この地域は、一年の大半を雪と氷に覆われている。その様子から、隣接した地域より「雪原の民」「氷の地」などと呼ばれることもある。  その異名に違わず、ここでは「雪」「氷」に関する説話が多く散見されている。雪や氷には(その性質の良し悪しにかかわらず)精霊、妖精が宿っていると信じられ、彼らの存在を口承によって伝え続けてきた。また、単に精霊、妖精と言われる時には、雪(氷)の精霊のことを指すほど、魔力をもつ生物のなかでは身近なものであった。  しかし現代では、様々な要因からこの重要な文化の継承者、いわゆるシャーマンと呼ばれる者が不足している。後継者選抜の厳格さ、少子化による地域語話者の減少や、シャーマンの素質を持つ人の発見が、年々困難になりつつあるのである。  また、伝承者側の高齢化もひとつの課題となっている。現在この地域で確認されている伝承者の最年少年齢は七十八歳。このままでは、地域の貴重な文化遺産が途絶えてしまうだろう。  このことに危機感を覚えた筆者を含め数名の有志によって、十年前よりこの地域で口承されている物語を収集し、書き記すことを始めた。  説話を保持するシャーマンたちの中には、その文芸の性質上か、声で継承していくことに意味があるとし、物語を文字、文章として残すことに抵抗感を示す厳格な者も少なくはない。それでも幾人かのシャーマンたちが、名を伏せることを条件に彼らの話を文章として書き記すことを同意してくれた。この場を借りて彼らに感謝を申し上げる。  前口上はこれくらいにしておいて、こ
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【小説】水中庭園

 水のなか 小さな小さな箱庭に  透明少女は暮らしてた  無色な壁 静かな世界に  小さな少女は暮らしてた  小さな少女 小さな世界を知っていた  硝子の世界を知っていた でも  外側のことは 何にも知らない  だって 硝子の住人は  世界の外のことなんて  興味も何もないのです 澄んだ流れ 穏やかな水  少女の柔らか 触角の髪  ふわり ふわり  水の風が吹いている  ふわり ふわり 撫でていく  無菌にみえる空の上  ひらり ひらり  透明な木の枝 その上にきっと あるのでしょう  茶色い落ち葉の果実たち  ひらり ひらり  ひらり ひらり  水の空気が 揺らすから  あっちへ こっちへ 戸惑った  くるくる くるくる  果物の匂い  あっちへこっちへ 振りまきながら 漂う匂い  少女のもとに  ふわりふわり  ふわりふわり  その匂いを 捉えた  ひゅっと飛び  その落ち葉の果物を抱える 十本の肢で  とげのような 細い細い足は  果物の檻 鍵のない檻になる  もう果実は 水のなか  くるくる くるくる  踊れません 弧を描く水 緩やかに  少女は  あっちへ つつつ――  こっちへ つつつ――  涼やかな濃密度の空のなかを  少女の細やかな触角  時に跳ね上げ 寝かせ撫でさせ  踊り子のよう  鮮やかにひとつ まわったら  お気に入りの舞台裏――岩と木で作られた  そこへといそいそ 入りこんだ 揺れる水面 光の空  陰の内側から見る 晴れ渡る景色  眩しく ただ眩しく  混乱する目の奥が  不快感をすぐに 憧れへと上書きする 天の恵み 大切に食べる少女  現れる青い影 
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ほっとひといき300字SS:9

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-腐乱桜- 桜の木の下には死体が埋まっているらしい。それは都市伝説でしかないけれど、今年のこの桜は妙にきれいだ。 この根元に本当に死体が埋まっているのだろうか。死体から栄養を吸って、花開いているのではないだろうか。 この下に埋まっている死体があるとしたら、今どうなっているのだろう。朽ち果てて骨となっているのか、それとも未だ骨にならず腐乱しているのか。確かめたい衝動に駆られた。 掘り返してみるか。そう思ったけれども、同時に、掘り返したら土の下にあるかも知れない死体が消え去るような気がして、ただ土の表面を撫でることしか出来ない。 掘り返さなければこの下に死体が存在する。それならば、私はこのまま死体と共に桜を楽しもう。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。
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【詩】おとなこども

子どもなんだから 大人のいいつけ まもること やぶったら はり千本をのむ、おしおきひとつ、 人に会ったらあいさつ 「こんにちは」 ふたつ、 チョコやキャンディもらったら にこにこしながら食べること みっつ、 きょうあの子をころばせたこと ごめんなさいって言いなさい……ここだけの話 本当はね、ほんとうは 知らない人に話しかけるのはこわいし あまいものはきらいなの ひみつよ、ひみつ ああ……あの子、わたしのあかいクレヨン、かえしてくれないかな子どもなんだから 大人に言われたら 子どもはみんなまもるのよ 分かっていても分からないふりして 大人におしえてもらったら そしたらいい大人になれるって 知ったかぶりの大人たちが笑うのを見た ほんとの答えはわたしの中にあるんだって わたしは知ってるけど 大人はほんとの答えの紙 みんなどこかの机のなかに おき忘れてきちゃうのかないいこのふりくらいできるわ 子どもなんだもの 大人なのに分からないの? それくらいやっぱり、 知ったかぶりするくらいなら、大人にならなくていいわ、わたし。◆小説、シナリオ、脚本や 作詞(歌詞作成)のサービスを出品しています。 詩の制作も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。 お気に入り、フォロー、ご依頼をお待ちしております。◆ユーザーページリンクhttps://coconala.com/users/1630449
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ほっとひといき300字SS:8

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-江ノ島- 今日は江ノ島の植物園に写真を撮りに来た。 花や温室跡が目的なのだけれど、入り口入ってすぐの所に、貫禄のある茶とら猫が寝そべっていた。私はその姿を写真に収めようと、しゃがみ込んで二眼レフカメラを覗き込んだ。すると、寝そべっていた猫が起き上がり、ずんずんとこちらに向かって歩いてきて、ぴょんと跳ねる。直後、頭の上に重みがかかった。 乗られてしまった。どうしたものかと動けないでいると、わらわらと他の猫もやって来て背中や肩や膝に乗り、くつろぎ始めた。  カメラを地面すぐの所で構えたまま猫にたかられている私を、他の観光客が笑いながら見て、通り過ぎていく。 猫の温もりを感じながら顔が熱くなるのを感じる。 みんな下りて。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。
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【詩】ある惑星の歴史美術館にて

ある惑星の歴史美術館にて出会った作品は どこかで見たことのあるものだった 素材は、おおかた金属 運転席のついた移動式の箱に、巨大な腕がひとつ ――たしか、つちを、すくう…… 呟いていると、手足の長い館長が滑らかなリズムでやってきて 首を振った ――いいえ、あれは天(そら)を穿つためのものなのです そう言われ、私は思考の葉脈を巡らせた ……夕刻が近づく 太陽は 拓けた天の縁の方へ バターのように融けていく 裂けた雲は 陽の光で造られた、剣の鍔(つば)となり くすんだ空色に、緋の色あざやか 平和であるように整えられた地で もはや使命もなく、物思う姿 ……旅行から家路に着いた後 あの作品について調べると 館長の言うようなことはどこにも見当たらなかったのだが ――あれは天を穿つためのものなのです 私の葉脈のなかで、あれは根付き始めている◆小説、シナリオ、脚本や 作詞(歌詞作成)のサービスを出品しています。 詩の制作も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。お気に入り、フォロー、ご依頼をお待ちしております。◆ユーザーページリンクhttps://coconala.com/users/1630449
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【小説】かつて竜になりたかった少女が見た夢

出品しているテキストサービス、小説のサンプルテキストになります。〈プロローグ〉  お嬢さん、また来たのかね。人気のない山道を若い娘一人で行くのは危ないだろうに。一体何故ここへ来るのかい。  ――この湖の景色が、あまりにも綺麗だったから。そしてもう一度、あなたに会いたいと思ったのです。  ……ふむ。確かにここの景色は美しい。しかし、私に会いたいと思うのは、おかしな理由だね。人間にはよく嫌われているから。何せ見ての通り、私は竜だ。私たちは人間に害を及ぼす存在として認識されている。なのにどうして私に会いたいと思うのか……。  そんな風に言われると、思い出してしまうよ。過去に君のような娘が、私に会いに、ここに来た日があったことを。記憶が綻びて、彼女の顔も名前も、はっきりとは思い出せないが、今思うと、本当に君にそっくりだったような気がするよ。ここに来たついでに、お嬢さん。この長生きな竜の話をひとつ聞いていってはくれないか。 〈起〉  あの少女に初めて出会った頃は、今よりも、もっと自然が豊かだった。まだ山の切り崩しも少なかったし、人間の文化の発展も緩やかで、人と自然とが上手く住み分けられていた。とはいえ、文明がこれから発展していく予兆もあったがね。そのことに関して、私自身は、先のことを憂いながらも、時代が進む流れに身を任せるように暮らしていた。人が山を崩して手に入れたとはいえ、葡萄畑は美しく、私のお気に入りでもあった。  あの日、私は湖の底で居眠りをしていたのだが、湖の近くで生き物の気配を感じ、目を覚ました。たとえ眠っていようとも、ここは我が城。どんなに小さな生き物の息遣いでも、竜は感じ取
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数学24点で高校を2年で中退した僕が起業して半年で月収100万円を稼いだヒミツ

みなさんこんにちは。Soraです。この記事では国立の有名大学附属の中高一貫校に在籍していながら、高校2年の末に中退。中卒として社会に放り出された私が起業家として一念発起して独立してからたった半年で月収100万円を稼ぐまでになったお話を物語仕立てでみなさんにお話したいと思います。基本は物語仕立てで進んでいきますが、途中みなさんがビジネスを始める上でかなり大切なエッセンスが散りばめられていますので、そちらも併せて注意して頂けますと幸いです。それではお楽しみください。「数学24点で高校を2年で中退した僕が起業して半年で月収100万円を稼いだヒミツ」※この記事は事実を基にしたフィクションです。実在の人物・団体・出来事とは関係ありません。また、登場人物、団体などは全て架空の名称です。第1章 高校中退忘れもしない、高校2年の終わり。暖かな春が訪れる少し前のまだ肌寒いある日、学校の面談室で私は今までの人生史上最低で、そして最高な選択を迫られていた。「高校を退学するか留年してもう1度高校2年を続けるか」暴力事件を起こした訳でも万引きで補導された訳でもない私がなぜそんな選択に迫られているのか。理由は単純明快。成績が振るわなかったからである。当時私が通っていた学校は国立の某有名大学附属の中高一貫校だったのだが、中高5年間を通して数学の点数が40点を超えることは無く、いつも30点台。ひどい時には24点というスコアを記録したこともある。また、かといって理科や国語が出来るのかといえばこちらも成績も平凡かそれ以下。学校が留年か退学かという選択を迫るのは至極当然という訳である。尤も、この話し合いや学校が迫っ
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