絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む
有料ブログの投稿方法はこちら

すべてのカテゴリ

164 件中 1 - 60 件表示
カバー画像

鼻/芥川龍之介

青空文庫より「鼻」芥川龍之介朗読しました。禅智内供(ぜんちないぐ)の鼻と云えば、池(いけ)の尾(お)で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇(うわくちびる)の上から顋あごの下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰(ちょうづめ)のような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。  五十歳を越えた内供は、沙弥(しゃみ)の昔から、内道場供奉(ないどうじょうぐぶ)の職に陞(のぼ)った今日(こんにち)まで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論もちろん表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来(とうらい)の浄土(じょうど)を渇仰(かつぎょう)すべき僧侶(そうりょ)の身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧(おそれ)ていた。(青空文庫より一部抜粋)
0
カバー画像

【ショートショート】人間の都合は知りません。

ある日のこと、ポストにチラシが入っていた。 「OPEN記念!猫の手、貸します。猫屋」 まるで子どもが書いたような文字に、本物の猫の手で押したのであろうと思われる肉球のスタンプ。 いたずらかと思ったが、ご丁寧に地図まで描かれている。 これは面白そうだ。 そう思った男は、そのチラシを持って地図が指し示す「猫屋」とやらへと向かった。 そこにはこぢんまりとした昔の駄菓子屋のような佇まいの建物があった。 ガラガラと扉を開けると、奥のほうで何かが動いている。 よくみると猫がペンを持って一生懸命紙に何かを書いていた。 何が何だかわからないまま、男は声をかけた。 「あの……」 「えっ、あ、これはこれは。気づかずに申し訳ない」 「いえ……このチラシが入っていたもので……」 「ああ、ああ。猫の手をご希望ですか?」 「ええと……まぁ……」 「では、この子をどうぞ」 猫は当たり前のように二足歩行をし、別の猫を連れてきた。 「この子は私のように話せはしないんですが、ネズミや虫を捕まえるのは大得意でしてね」 「はぁ……」 「うちはちょっと特殊でしてね。猫の手をお貸しする間、猫のお世話は人間さんのほうにお願いしてます。相性もあるとは思うんですが、仮に相性が合わなくても期限までは返却はできないんです。あとは……」 猫がいろいろと説明しているものの、猫がしゃべっていることのほうが衝撃で話が入ってこない。 結局、よくわからないまま猫の手を借りる契約を交わし、猫を連れ帰った。 確かに借りてきた猫はネズミや虫をよく捕まえてくれた。 だが、数日経って男は自分が何かとんでもないことに巻き込まれているのではないかと急に恐ろ
0
カバー画像

真っ白な空間に、黒が混じるその時まで…

人間の物語、動物の物語、植物の物語。 どんなものにも、物語はある。 明るい物語。暗い物語。勇敢な物語。希望の物語。冒険の物語。光の物語。闇の物語。悲しい物語。 それぞれ、数えきれない物語がある。 この世界は、そんな物語を管理する場所である。 温かみはないが、冷たさもない、真っ白な雰囲気。 そんな世界で、 一人の少女は自分の部屋で休みをとっていた。 少女、レジーは真面目で、人一倍は物語の管理をしている。 主に担当する物語は、悲しい物語。 悲しい。それは、出会いから別れ、見送り、感情、悲哀、涙、そして、闇、災害、絶望、死、救いのない話…… 他の者にとっては、手を出しづらいものだった。 管理する者にも、感情はある。 他の世界の人間ほどではないが、感情がなければ、色がない単とした作業感の形となってしまうからだ。 レジーは、最初に担当されるときは驚いたが、手を付けてしばらくして、慣れていく気がした。 冷酷、と言われることもあったが、人間には悲しみもあるのだ、闇がなければ光もない、と思いながら、悲しみの物語を管理していた。 不満を強いて言うなら、物語の中で、悲しみが繰り返されることだった。特に、血の混じったもの。 平和主義というわけではないが、そんな悲しみを見ていると、流石にこたえる。 だからといって、勝手に踏みにじったり、安々とその物語を消すものではない。 物語を作ってくれたからには、大事にしないといけない。自然を含めた、物語を作った者は、大半は作った物語を大事にしていると信じている。レジーを含めて、この世界の住民、管理者はみんなそう思っている。 だから、レジーは、物語が自然に消滅するま
0 500円
カバー画像

短編小説詰め合わせ ショートショートまとめ11本 波音と朗読3

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ブログを閲覧いただきありがとうございます。 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。 今回ご紹介の朗読動画は、波音の中に流れる朗読詰め合わせ11本です。 良かったら聴いていただけると嬉しいです。・朗読動画もご用意しております。・今回は朗読詰め合わせですから文字の小説はございません。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ここまで本文を読んでいただき、ありがとうございます。いかがでしたか? 動画内容もしくは、小説がよければ、いいねを押してください。励みになり大変喜びます。
0
カバー画像

短編小説詰め合わせ ショートショートまとめ8本 波音と朗読2

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ブログを閲覧いただきありがとうございます。 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。 今回ご紹介の朗読動画は、波音の中に流れる朗読詰め合わせ8本です。 良かったら聴いていただけると嬉しいです。・朗読動画もご用意しております。・今回は朗読詰め合わせですから文字の小説はございません。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ここまで本文を読んでいただき、ありがとうございます。いかがでしたか? 動画内容もしくは、小説がよければ、いいねを押してください。励みになり大変喜びます。
0
カバー画像

ほっとひといき300字SS:16

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-雨の日の虚ろ- 雨が降る夜、彼は修道院に有る部屋の窓からぼんやりと外を眺めている。雲が空を覆い隠している日は、彼の仕事である天体の観察が出来ないのだ。 けれども、虚ろな表情をしている理由はそれだけではないのだろう。 きっと起きているだろうと思って部屋を訪れていた私が、彼にもう寝なくて良いのかと訊ねると、眠くないと返ってきた。それから、少しだけ明るい声で彼はこう言った。「葡萄が熟したら、また一緒に食べようね」 私はにこりと笑って、そうですね。と返す。 視線を窓に移し、ぼやけてよく見えない外を見る。 窓を叩く大粒の雨が、このまま地上の全てを流してしまえば良いのに。そうしたら、きっと私たちは、またみんなで笑い合えるのだろう。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。個人利用限定の低価格プランもあります。