【超ショートショート】「飲食風俗店」など

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「飲食風俗店」

デリヘルを呼んだら、
くたびれた様子の黒服が先に来て、
「お通しです。」
とAVを置いていった。
(居酒屋かよ。)
そう思いながらも、
女の子を待つ間、暇なので観賞。
すると思いがけず内容が良く、
それで済ませてしまった。
基本的に一回戦が限度の俺。
結局、女の子とは楽しめず……。
(何がお通しだ。
妙なシステムを導入しやがって。)
憂さを晴らそうと、
後日ソープランドへ。
するとパリッとした黒服が、
「前菜です。」
とまたAVを出した。
嫌な予感。
いつ女の子が来るのか尋ねると、
スープとして出されるエロ漫画の後の、
魚料理として出される使用済みパンティの後の、
口直しのシャーベットとして出される官能小説の後に、
肉料理として出されるらしい。
ちなみにその後は、
デザートとしてエロアニメが、
最後に食後のコーヒーとしてグラビア雑誌が出されるんだと。
「面倒臭ぇよ!!」
俺は吐き捨てて、
(今度こそ……!)
と、その足でピンサロへ。
到着するなり、
おばさんの黒服に、
「女の子はすぐ来るよな?」
と尋ねる。
頷くおばさん黒服。
(本当だろうな?)
いぶかしみながらも個室で待つ。
すると少しして、
ちゃんと女の子は来た。
顔は可愛く、
スタイル抜群。
おまけにテクニシャンだった。
ストレスと共に、
全てを吐き出した俺は、
ぼんやりと天井を眺めた。
そんな時、
おばさん黒服の声。
「はい、じゃんじゃん。」
同時に別の女の子が入って来る。
廊下には、
何10人もの女の子が立っていた。
(しまった、わんこそばか。)
気付くのと同時に、
ドアが閉じられた。

「青ちゃん」

「赤ちゃん」だけじゃない。
知られていないだけで、
「青ちゃん」もいる。
どうして普段私たちが、
赤ちゃんしか目にしないのかというと、
信号機と同じ仕組みだからだ。
赤ちゃんは、
ママのお腹の中でしばらく止まる。
青ちゃんは、
ママのお腹の中で止まらずに、
すぐに出ていってしまう。
赤ちゃんは赤子と呼ばれる。
青ちゃんは水子と呼ばれる。

「金儲け」

オダマキっていうインフルエンサーが現れた。
オダマキは美人でお洒落、おまけにユーモアのセンスもいい。
それでいて自分を活かせる場所を理解しており、
イベントやテレビなどには出演せず、
自分のYOUTUBEチャンネルやSNSにしか出演しない。
すぐにファンが増え、一躍人気者になった。
だけど少しして、人気は凋落。
なぜかっていうと、金の汚さが露見したからだ。
怪しい美容グッズの広告塔になったり、
目が飛び出るほど高い会費のオンラインサロンを開いたり。
とにかく、ファンをがっかりさせた。 
増えるのはアンチだけ。
それでもオダマキは、金儲けはやめないんだ。
むしろ大胆になって、
この前なんか、「ほしい物リスト」でファンに買ってもらった物を、
転売していたことが発覚した。
残っていたファンたちも、これには呆れていたよ……。
だけどオダマキの心は痛まない。
だってオダマキは、
私が画像生成AIとかVtuberの技術を応用して作った、
架空のインフルエンサーなんだから。

「決別」

「恥ずかしいから、そろそろ孫の顔を見せてよ。ゆうた君だって子供できたんだってよ?」
たかが町内会の集まりのために、長いこと化粧台とにらめっこしている母が言う。
(あんたに反対されたから、ゆう君とは付き合わなわなかったんだよ。)
私は密かに思うが、母はもちろん露知らず。
「まさかあの子があんなにかっこよくなるなんて、誤算だったねぇ。」
他人事のように呟く。
母の手に握られたリードは、彼女自身へのプレゼントのリボンとなって、今も私を縛り続けている。
だから私は震えながらも、
「リカちゃん人形に子供が育てられると思う?
だから私は子供を作らないの。」
と、遂に言ってやった。
「私はあなたと違って、本気で子供のことを考えてるから。」

読んでいただき、ありがとうございました。
あなたにとって怖い人が今日だけは上機嫌でありますように。

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