絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

13 件中 1 - 13 件表示
カバー画像

【超ショートショート】「飲食風俗店」など

「飲食風俗店」 デリヘルを呼んだら、 くたびれた様子の黒服が先に来て、 「お通しです。」 とAVを置いていった。 (居酒屋かよ。) そう思いながらも、 女の子を待つ間、暇なので観賞。 すると思いがけず内容が良く、 それで済ませてしまった。 基本的に一回戦が限度の俺。 結局、女の子とは楽しめず……。 (何がお通しだ。 妙なシステムを導入しやがって。) 憂さを晴らそうと、 後日ソープランドへ。 するとパリッとした黒服が、 「前菜です。」 とまたAVを出した。 嫌な予感。 いつ女の子が来るのか尋ねると、 スープとして出されるエロ漫画の後の、 魚料理として出される使用済みパンティの後の、 口直しのシャーベットとして出される官能小説の後に、 肉料理として出されるらしい。 ちなみにその後は、 デザートとしてエロアニメが、 最後に食後のコーヒーとしてグラビア雑誌が出されるんだと。 「面倒臭ぇよ!!」 俺は吐き捨てて、 (今度こそ……!) と、その足でピンサロへ。 到着するなり、 おばさんの黒服に、 「女の子はすぐ来るよな?」 と尋ねる。 頷くおばさん黒服。 (本当だろうな?) いぶかしみながらも個室で待つ。 すると少しして、 ちゃんと女の子は来た。 顔は可愛く、 スタイル抜群。 おまけにテクニシャンだった。 ストレスと共に、 全てを吐き出した俺は、 ぼんやりと天井を眺めた。 そんな時、 おばさん黒服の声。 「はい、じゃんじゃん。」 同時に別の女の子が入って来る。 廊下には、 何10人もの女の子が立っていた。 (しまった、わんこそばか。) 気付くのと同時に、 ドアが閉じられた。 「青ちゃん」「
0
カバー画像

【シュールな超ショートショート】「誰よりも先に」など

「誰よりも先に」 我が子が初めて話す言葉は「ママ」か「パパ」か。 負けず嫌いの私たち夫婦にとっては重大な問題だった。 我が子に好かれるため、2人して育休を取得しお世話に没頭。 競い合ってミルクを飲ませオムツを替え 夜泣きにも我先にと対応した。 全ては自分の方を呼ぶようにするため。 そして遂にある日、我が子は言葉を話した。 その気配を敏感に感じ取った私たちは、 ベビーベッドの柵に手を置き、 我が子に顔を近づけて最後の追い込みにかかった。 「ママよ!ママ!マ・マ!」 「パパ!パ・パ!パァパ!」 すると我が子は私たちをまじまじと見ながら、 こう言ったのだ。 「『鶏が先か卵が先か』 この人類永遠の謎はこう言い換えられる。 『親が先か子供が先か』 つまり親が先に産まれたのか、 子供が先に産まれたのかは分からない。 加えて『世界5分前仮説』をご存じかな? この世界は今から5分前に作られ、 私たちが過去だと信じているものは 5分前にインプットされた記憶に過ぎない。 という仮説だ。 『鶏が先か卵が先か』 『世界5分前仮説』 この2つの合わせると出る答えは? ……検討もつかないようだから答えよう。 私はこう思っているのだ。 『私たちこそが初めの親子かもしれない』 とね。 つまり私たちは、 『鶏が先か卵が先か』 『親が先か子供が先か』 の当事者であり、 『どちらが先に産まれたか分からない』存在なのだ。 そして……。 これは大変喜ばしい考えなのだが、 ふふっ……なんと…… 私があなた方よりも、 先に産まれた可能性があるのだ。 ふっふっふっ……。 あなた方よりも『先に』……。 ふっふっふっ……。」 我
0
カバー画像

【シュールな超ショートショート】「挑発」など

「挑発」その美術館には妙な絵が展示されている。額縁の中に鏡がはまっており、鑑賞者の姿が映るようになっているのだ。作品のタイトルは、「美術館巡りが趣味の意識高い自分」「「だからだ」」ねぇパパ!見えないんだけど!そこで足の爪を切るのやめて!どいてってば!っていうか、なんで映画館のスクリーンの前で爪を切るの!?他の観客の人たちにも迷惑でしょ!?しかも恋愛映画なんだよ?台無しじゃん!そもそもさぁ、私は彼氏とのデート中なんだよ!?ねぇパパ!聞いてるの!?「だからだ」ってなに!?「入れ歯業廃業」ババアは入れ歯を外し、洗浄液に漬けた。そして空っぽの口を開け、頬の内側に小さな小さな棚を立てかけ、そこに置けるサイズのパンを置いた。棚にはパンを掴むトングと乗せるトレーも。舌の根元にはレジを起き、喉チンコの辺りにはレジ打ち係。喉の奥はキッチンで、数人のパン職人を配備した。口が居抜きになった、ということだ。店長はもちろんババア。「ふぁぁ、いらっすぁひ!(さぁ、いらっしゃい!)」「さすがのアメリカンサイズ」やっと、ようやく、遂に、とうとう近づいて来たと思ったら、それは蜃気楼だった。3塁はまだか。「社会勉強」「『タトゥー』という文字を彫ってください」そういうサムい依頼をする奴がいる。キャリア40年の彫り師である私に、(気の利いたギャグだろ?)(こういうメタ的な発想、凄いだろ?)という顔をして、ありふれた戯言を吐きやがるのだ。私はそういう連中を許さない。麻痺毒を盛り手術台に縛りつけ、「やめろ!やめてください!!」そう喚く奴の頭蓋骨を開き、脳の表面に「バカ」と彫ってやるのだ。気の利いたギャグだろ?こういうメタ
0
カバー画像

【超ショートショート】「甘露(利権)」など

「甘露(利権)」 探検隊(マスコミ)は、 鬱蒼と茂る植物たち(芸能事務所や芸能人)を掻き分けて 森(芸能界)の最深部に足を踏み入れた。 途端に、暗幕の内側に入ったかのように辺りが闇に包まれた。 それまで障害物を掻き分けるために 休みなく動かしていた両手が、空を切る。 ヘルメットのライトを点けても、 広がりながら薄くなる円状の光の中には何も現れない。 唯一、頭上に向けた時だけ、 青々とした葉が密集しているのが映る。 少しして、探検隊(マスコミ)は 自分たちが巨大で厚い林冠の下にいることに気が付いた。 林冠が日光を遮り(市場の一部を独占し)、 他の植物たち(芸能事務所や芸能人)が育つのを妨げているのだ。 そして、探検隊(マスコミ)はある仮説を立てた。 ――ひょっとして、 「森の最深部をたった1本の木(ジャニー喜多川)が独占している」 のではないか? 探検隊(マスコミ)は真相を知るために足を速めた。 しばらくすると、ライトの光が壁のような幹を照らした。 手前に、いくつもの果物(ジャニーズアイドル)が垂れ下がっている。 それらは皺ができるほど縮んだり(性加害を受ける)、 皮が張り裂けそうなほど膨らんだり(富と名誉を受け取る)を繰り返している。 ――この木(ジャニー喜多川)は、 果物(ジャニーズアイドル)に栄養を与えるだけではないのか? この仮説は、先に立てたものと同様に正しかった。 しかし、探検隊(マスコミ)がそれ以上踏み込むことはなかった。 その後、探検隊(マスコミ)が持ち帰ったものは情報ではなく、 果物(ジャニーズアイドル)から溢れ出た甘露(利権)だった。 踵を返した探検隊(マスコ
0
カバー画像

【シュールな超ショートショート】「若者笑うな来た道だ」など

「若者笑うな来た道だ」 洋楽好きをアイデンティティにしている 男子中学生だけを大量に集め、 (自分は特別な存在ではない) と自覚させるパーティーを開催した男を追っている。 「元はお前もそうだったんだろ?」 と認めさせてやりたいんだ。「活かした犯罪」「応援を要請する。 千手観音にかける手錠が足りないんだ。」 「了解。罪状は?」 「満員電車での無差別同時痴漢だ。」 「了解。」 「まぁいいか」同窓会で再会した初恋の人は、 昔と変わらない無邪気な笑顔で言った。 「半年前にその道のプロによってスルメイカと番わされたんだ。 今度その現場に居合わせた真っ赤な専業主婦と水中に現地集合してちょっとした限界集落に脱糞出産でトドメを刺そうと思うんだけど、この後こっそり抜け出して2人で飲み直さない?」 私は「うん」と言った。 「焦る官僚」そ、総理、 「くにたみ」ではなく「こくみん」です。 「色んな塩」「フラれたときに、何て言われたの?」 なんて聞くなよ 傷口に塩を塗るような真似するな 「フラれたときによぉ、何て言われたんだこの野郎ぅ」 なんて聞くなよ 傷口に粗塩を塗るような真似するな 「フラれたときにぃ~、何て言われたわけぇ~?」 なんて聞くなよ 傷口にピンクソルトを塗るような真似するな 「カタカタカタカタ」霧の立ち込める橋の向こうから渡って来たのは、 間違いなく生き別れたあなただった。 子供の頃砂場に埋めたきり見つからなかった 黄色のショベルカーのおもちゃ。 「ベンチで独り言」戦争中に起こった悲劇を忘れない。 戦争中に起こった喜劇も。 何はともあれ、あれは俺たちの青春だった。 読んでいただきありがと
0
カバー画像

【超ショートショート】「四次元の子宮」など

「四次元の子宮」 もしドラえもんが猫型ロボットではなく 「カンガルー型」ロボットだったら、 母性本能の赴くまま のび太を四次元ポケットに詰め込むだろう。 のび太は四次元空間を彷徨い 宙を漂う「どこでもドア」から脱出を試みるが、 ドアを開けた先には入浴中のしずかちゃんを 仕留め終わったドラえもんがいる。 ドラえもんはお仕置きと称して のび太に「バイバイン」を使い、 無限に増え続けるのび太を 1人残らず四次元の子宮に閉じ込めるのだ。 そして球状の手で腹を撫でる。 内側でポコポコと生まれ続けるのび太に 次のように話しかけながら。 「君のような生まれながらの弱者男性は、 社会ではとても生きていけないよ。 だから安心して居るべき場所に居ればいい。 僕は君がしずかちゃんと結ばれるために 21世紀の未来からやって来たけど、 君は単為生殖できるからパートナーは必要ないよね。 僕以外には。」 「外の人」その人の生活圏には輪郭に沿って壁が立てられていた。 その人は壁の外にも人が住んでいると知っていたが、関わることがないために関心を持たなかった。 ある日、壁に窓が作られた。 向こうには人が立っている。 その人は食い入るように眺め続けた。 恐怖と暴力衝動に目覚めかかっていた。 「知り合い?に会うHSP」飛行船は遠方に一羽の鳥を発見した。 どうやらこちらに近付いて来ているらしい。 少しして目の前まで来た鳥は飛行船に言った。 「久しだね!」 「た、確かに…」 話を合わせたものの、飛行船は鳥を覚えていなかった。 鳥は親密そうに挨拶のキスをした。 飛行船は破裂して落下してしまった。 「人と人の関わり方」今まで
0
カバー画像

【超ショートショート】「タコ口の恋人」など6本

「タコ口の恋人」 恋人が、いつものようにタコ口でキスをせがんできた。 (今だ……!) すかさず、恋人のタコ口を切り取り、細かく刻んでタコ焼きの材料にする。 「なんでキスしないの?」 不満げな恋人。 私はその口に、できたてのタコ焼きを放り込んだ。 「……うま!」 恋人はご機嫌で海に帰った。「常識」橋本環奈がアーノルド・シュワルツェネッガーになるのは常識。 秋、東京都奥多摩町にある田園に植えられた橋本環奈たちは、春から夏にかけて筋骨隆々に育っていく。 秋になってサングラスの形をした花が開くと、食べ頃。 石臼で摺りつぶされ、薫り高い蕎麦粉になる。 通は塩でいただく。「家族のスタメン」玄関で家族のスタメン発表が始まった。監督が「父、斎藤!母、林!」とポジションごとのスタメンを発表し、家族に選ばれた者はリビングに移動する。 そして最後の一枠。 俺は自分の名前が呼ばれるのを祈る。 「飼い犬、関!」監督が言う。 俺じゃない。 はぁ。今年も二軍の家族で調整だ。「仕送り」故郷が恋しくなってグーグルアースに実家の住所を入力した。画面に映る地球が急速に近付いてきて、日本のとある地方が鮮明になっていく。 直後、少し地面が揺れた。 (地震か…?) テレビをつけると、ニュース速報が流れている。 俺は自分の目を疑った。 俺の実家に巨大な赤いピンが刺さっていた。「ほっこり」この前、落とし前としてよぉ、小指を詰めて兄貴に献上したんだよ。 それで昨日兄貴の部屋を掃除してたらよぉ、机の引き出しに俺の小指が入ってたんだよ。 折り紙で作った目とか口をつけて、小さい服まで着せてよぉ、兄貴ったら、マジの「指人形」作ってたん
0
カバー画像

【超ショートショート】「開発」など

「開発」 俺は仲の良い友達とYouTubeを撮っている。 男2人のただの日常。誰も見るわけないと思っていたが、意外にも沢山の視聴者がいる。 さらに意外なのは、視聴者の大半が女性で、俺と友達を「このカップル尊い」と評価していることだ。 最近、BLとして見られることに、俺たちは妙な快感を覚えている。 「やっちゃった同僚」営業先から帰って来たカニバリストの同僚から、強烈なニンニク臭。 「なに?餃子?二郎系?」 そう尋ねると、同僚は気まずそうに、 「先方のステーキをガーリックソースで食っちゃったんだよ。 ごめん。」 と言った。 「勘弁してくれよ。」 俺は肩をすくめた。 「異次元の少子化対策」ナマコの一種は、絶滅を免れるために人間の言葉を習得し、オナホールに擬態した。 「使われた」後、人間の雄に「あなたの子を妊娠した」と嘯けば、世話をさせられる算段だった。 しかし日本政府に目をつけられ、そのナマコは本当に人間の子供を産めるように改造された。 現在、少子化は改善している。 「うん子」本当は妊娠しているのに便秘と勘違いして、知らず知らずの内に子供を便器に産み落としちゃっている女性、意外と多いんです。 「そんなわけないだろう」って? いやいや、そのまま流され、下水道で他の子供たちと合流し、巨大な地下帝国を作った僕が言うんだから間違いありませんよ。 今度、詳しい話をしに行くからね?お母さん。読んでいただきありがとうございました。 あなたのシャワーヘッドが大暴れしませんように。
0
カバー画像

【超ショートショート】「わがままと自殺」など

「わがままと自殺」 僕は辛い人生を歩んで来ました。 まず、父親が酷いやつでした。 母さんの妊娠が発覚した途端、 完全に姿を消しました。 母さんは必死に働き、 僕を育ててくれました。 だけど僕が中学生の頃、 母さんが彼氏を作ってから、 僕の生活はより辛くなりました。 いえ、暴力は受けていません。 母さんの彼氏はいい人だったんです。 ただ、だからこそ、 僕は片想いしてしまいました。 そうです。僕は同性愛者です。 僕は母さんの彼氏が好きになり、 だけど母さんの恋を邪魔したくなかったので、 高校は寮のある学校に進みました。 家庭の事情と、 生まれ持った性質によって、 仕方なく家を出たんです。 そしてこれが、 転落の始まりでした。 「女みたい」という理由から、 虐められるようになったんです。 先生にも相談できず、 退学して家に帰りたかったけど、 例の事情から帰れなくて、 僕はひたすら辛い3年間を過ごしました。 ようやく高校を卒業した後、 大学に行く選択肢はあったものの、 僕は働き始めました。 今まで誰かに与えられた環境は、 全て理不尽なものだったので、 自分自身の手で人生を切り開こうとしたんです。 だけど就職したのは、 家族経営の会社でした。 「よそ者」の社員には発言権がなく、 出世するには、 家族の一員になるしかない。 だから僕は嫌で堪らなかったけど、 その家族の娘と交際し、 婿入りしたんです。 そしてどうにか跡取りになる子供を作り、 会社の上役に登りつめました。 しかし、古くさい経営によって、 徐々に会社は傾き始めており、 僕は危機感のない連中の分まで、 昼夜を問わず働きました。 愛
0
カバー画像

【超ショートショート】「盗撮の喜び」など

「盗撮の喜び」 電車に乗っていると 背後からシャッター音 (盗撮だ!) 私はすぐに気付いた 振り返ると そこにはキモいおっさん すぐに詰め寄り 写真を見せるように言うと キモおじは渋々 スマホの画面をこちらに向けた …… 嘘だろ 最高の映りじゃないか 下着とかは撮られておらず まるで街中のスナップ写真に モデルが映っているようだ 戸惑っていると キモおじは涙ながらに 「SNSにアップした」と自白した 慌ててそいつのアカウントを見ると 89ものいいね。あ、90、91…… い、いや違う だから何だと言うのだ 駄目なものは駄目 「撮りたいなら声かけないと」 説教すると キモおじは嗚咽しながら 「自然な表情が一番綺麗だから」 だって…… それからというもの 同じ時間の同じ電車の同じ車両に 私は乗るようにしている 「下手な歌」3人の下手な歌が終わりやっと俺にマイクが回ってきた  随分待った 永遠のように長かった 他の白けている皆に ようやく俺の美声を届けられる しかしその前に 互いを褒めているお前らに 言っておかなくてはいけない 「俺がボーカルだよな?」 俺はライブ中に急に我を出したギター、ベース、ドラムに言った 「パパの失敗」しまった 洗濯機と間違えた いやぁ、うっかりうっかり いつも嫁がやっているので 逆になってしまった 服を洗濯機に 子供を風呂に入れるんだったな 「喧嘩上等」やつの拳が 俺の頬にクリーンヒット! 野郎 いいパンチ持ってんじゃねぇか すぐに反撃してやるからな 俺には必殺のアッパーがあるんだ だけど、ちょっと待っとけよ お前も俺の頬から 拳を離すんじゃねぇぞ 今俺の頬か
0
カバー画像

【ショートショート】「カメレオン大暴れ」

(そうだ!おふぃすびるに擬態しよう!) 巨大な人食いカメレオンは思った。 人間はなぜかおふぃすびるに入りたがる。 だからおふぃすびるのフリをすれば餌には困らない、という算段だ。 早速実行に移した巨大な人食いカメレオン。 胴体に窓を、口元に自動ドアの模様を浮かべる。 しかし期待とは裏腹に、人間は入って来ない。 (擬態が甘いのかなぁ……?) 首を捻っていると、周囲のおふぃすびるが目にとまった。 「……あっ!」 思わず声を上げるカメレオン。 よく見ると、辺りのおふぃすびるは、どれも自分と同じように擬態した生き物じゃないか! しかも観察すると、実に巧妙なやり口だ。 体に取り込んだ人間を、死なない程度に精力を吸ってから吐き出し、精力が戻った途端、また体に取り込んでいる。 こうしてずっと腹を空かせずに済むというわけだ。 (しかし、どうして人間はあいつらのところに通うんだ?) カメレオンは頬杖ついて目をギョロギョロさせながら考える。 すると、擬態した生き物たちの用意周到さが分かった。 なんとやつらは、じょうげかんけいとかじょうしきとかぎむとかで、人間が自分で来るように仕向けているのだ! 擬態した生き物の口に、いくつもの人間が足元に目線を落としながら入って行く。 カメレオンは無性に腹が立った。 胃の中がムカムカとして仕方がなかった。 そして算段もないのに、近くのおふぃすびるのフリをしているやつを殴りつけた。 (俺はやつらほどは頭が働かない。) (だけど、踏み越えちゃいけない一線だけは、分かる。) カメレオンは緑色の体を現しながら見栄を切るように周囲を睨み、叫んだ。 「俺の餌なんだぞ!」 そして
0
カバー画像

【超ショートショート】「影恐怖症」など

「影恐怖症」 影が怖くて、 怖くて怖くて、 それはもう怖くて堪らない女の子がいた。 女の子は、物心がつくのと同時に、 人の影に恐れを抱いた。 そして初めて、 あの黒くて怖いのが、 自分の足元から伸びているのに気付いた時には、 悲鳴を上げ、 小便を撒き散らしながら逃げ回った。 だけどいくら逃げても、 影を撒くことはできない。 だけど撒けないといっても、 怖いものは怖い。 おまけに医者にかかっても、 「分からない」の一点張り。 こうして女の子は、 四六時中走り回るようになった。 影がいなくなる夜を除いて、 飯を食うのも、 服を着替えるのも、 全部走りながら済ませた。 だけどある日、 余りにも怖かったんだろうね。 家から飛び出して、 背後に気を取られていたものだから、 トラックに跳ねられて死んじゃったよ。 葬式では、皆口々に、 「可哀想だけど、 これで楽になれるね。」 って言っていた。 だけど妙なことが起きた。 女の子を火葬して、 遺骨を箸で拾っている時、 両親が気付いたんだ。 女の子の影が、 女の子が生きていた時の形のまま、 そこに残っていることに。 そして両親は思ったんだと。 「遂に追いつかれちゃったんだ。」って。 「長い間違え」めんつゆかと思って、 麦茶を飲んでしまった。 ……意外と飲める! というより、めんつゆより飲みやすい! 今度からこっちにしよう。 麦茶って、 飲む分には丁度良い濃さだな。 麺類のつゆにしたときは物足りないけど。 「少年」「あの2人なんだろ?お前の両親。」 クラスメイトたちの言葉に、 少年は静かに俯く。 するとクラスメイトたちは、 教室の端に視線を向けなが
0
カバー画像

【超ショートショート】「不忍池」など

「不忍池」 上野公園の不忍池を歩いていると、 濛々と茂る草木に囲われて弱まった街灯の光の下に、 一人の女性が立っている。 その脇を抜けながらチラリと見ると、 白いシャツにホットパンツ、 黒いハイヒールを履いている。 髪は金色で長くゴワゴワとしており、表情は分からない。 シャツのボタンは外されて、 中に何も着ていないのか、素肌が覗く。 思わず胸元に視線が移る。 「おい」 声をかけられて体がビクッと跳ねる。 罪を咎める口調だったから、だけではない。 その声は明らかに男のものだったのだ。 恐る恐る視線を上げると、 髭の生えた角張った顎が視界に入り、 次いで顔の全容が見える。 ポカンと開いた目と口。 それを見て、俺も全く同じ表情をする。 「……俊。」 男が俺の名前を呟く。 そこにいたのは、 間違いなく親父だった。 俺たちは数瞬の間目を合わせた後、 慌てて逸らし、各々の足元に落とした。 言葉はない。 俺は硬直した状態で、 必死に知っている親父の姿を浮かべた、 「出世をしなければ人間じゃない」を合い言葉に、 悪い成績を取った兄に手を上げていた、 あの恐ろしい親父の姿を。 俺は初めて自らトラウマを呼び起こし、 現実を塗り潰そうとした。 しかし女装している老人は、 親父の声で話しかけてきた。 「金貸してくれ。」 俺は堪えきれずに走り出した。 これ以上辛い現実を受け止められない。 公園を出て横断歩道を渡ると、 ガードレールに凭れて呼吸を整える。 喉から笛のような音が鳴り、 視界が汗で滲んでいる。 しかし俺は理解してしまった。 親父は男娼をしているのだ。 背後で葉が音を立てて落ちた。 「郵便ポスト
0
13 件中 1 - 13