【詩】ある惑星の歴史美術館にて

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ある惑星の歴史美術館にて出会った作品は
どこかで見たことのあるものだった
素材は、おおかた金属
運転席のついた移動式の箱に、巨大な腕がひとつ
――たしか、つちを、すくう……
呟いていると、手足の長い館長が滑らかなリズムでやってきて
首を振った
――いいえ、あれは天(そら)を穿つためのものなのです
そう言われ、私は思考の葉脈を巡らせた
……夕刻が近づく
太陽は
拓けた天の縁の方へ
バターのように融けていく
裂けた雲は
陽の光で造られた、剣の鍔(つば)となり
くすんだ空色に、緋の色あざやか
平和であるように整えられた地で
もはや使命もなく、物思う姿
……旅行から家路に着いた後
あの作品について調べると
館長の言うようなことはどこにも見当たらなかったのだが
――あれは天を穿つためのものなのです
私の葉脈のなかで、あれは根付き始めている



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