物語第三話「手紙」

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今はスマホが普及しているので、手紙など書く人は殆ど居ないでしょうね。
メールやラインでのやりとりが簡単でスピーディーですから・・・・・・

このお話は、今の時代には珍しいお話なのでしょうか。

   僕は大林俊彦、今から10年前の高校3年の、卒業間近に起きた体験を
   お話します。
   こんな経験をされた方は少ないでしょうね・・・・・・

   卒業まで残り2週間。なんとも言い様のない、気持ちが不安定な僕。
   進学する大学も決まっているのに。
   きっと仲良しの友達との学生生活の残りが、日に日に少なく
   なっていってるからなのだろう・・・・・・

   その日もいつもと変わりなく登校した僕は、いつもと変わりない友達と
   挨拶を交わしていました。

僕「おはよう」
山田「お~とし! おはよう」

   友達もいつも通り朝の挨拶を返してくる。
   机につくまでは何一ついつも通りだった・・・・・・

僕「あれ? ここは僕の席だよな? 間違いない・・・・・・
  でも なんだ? これ?」

   僕の机に鉛筆書きがあったのです。

僕「大好きなあなたへ? 貴方の笑顔が好きです。貴方の笑い声も好きです。
  貴方の人への優しさにいつも救われます? そんな貴方を見ているだけで
  私は幸せです? え? 誰かのいたずらか?」

   周りを見渡しても、僕を見ている奴はいなかった。

僕「いたずらじゃないのか? 誰なんだ? 机にこんな事を堂々と書く
  奴は? 友達、特に山に見つかったら、思いっきりひやかされるぞ」

   僕は消しゴムで消して何事も無かったように授業を受けていました。

   チャイムの音(キンコンカンコン・・・・・・)

山田「今日も何事も無く終わったな」
僕「そうだな・・・・・・」
   山こと山田洋一が近寄ってきた。
   僕は机の事を一瞬言いかけましたが、口を閉じました。

   そして次の日の朝も。

僕「またか! 大好きなあなたへ、昨日の詩読んでくれた? 
  私の気持ちを伝えたかったの」
   僕は、いらだちを覚えて。

僕「誰だ? 君は誰だ? 当然このクラスの人だよね?」

   そう返事を書いてみた。

   次の日の朝に書かれていた内容は。

僕「大好きなあなたへ、私は H・O。 H・O? イニシャルか? 
  面倒だな! 名乗れよ! H・Oと言う事は? 苗字は「お」で
  始まるんだな?」

   授業が始まっていたましたが、僕の意識は机のH・Oに引き寄せられ
   ていた。

僕「女子で「お」は岡田、小田、大西、奥山、尾瀬、落合この6人だ!
  この中で名前がHで始まるのは? 岡田久子、奥山ひな子 落合裕美
  この3人だ」

   僕はノートに名前を書き出し 名前を見ながら謎解きをはじめだして
   いました。

僕「岡田はクラス一秀才だしこんな事しないな、これは除外。
  奥山は物静かで、どちらかと言えば陰だし、こんな大胆な事するとも
  思えん。
  となると残るは落合か? でもいつも普通に話してるしな?
  わからん! このイニシャルはフェイクか?」

   僕は、机の文字を消しながら、無視する事に決めました。

   次の日の朝、机を見て僕は、驚きました!
   何も書かれていなかったのです。
   それから後も、机には何も書かれることは有りませんでした。
   僕は安堵感と共に、モヤモヤ感も増すばかりで、余計に落ち着かなく
   なっていました。

   そうして何事も無く、最後の登校日がやってきました。
   席に着こうとした僕は、立ち尽くしていました。

   机にはびっしり文字が書かれていたからです。
   気を落ち着かせ、座った僕は目で文字を追いました。
   以前と同様に、大好きな貴方へから始まっていて、最後の一文に
   僕の目は釘付けに。

僕「毎日、貴方の大きな背中を見つめて過ごせて幸せでした? あ!」
   思わす声を出してしまいました。

僕「背中を見つめてって・・・・・・」

   そう後ろの席に座って居た人が、机の文字の犯人、奥山ひな子でした。

僕「奥山だったのか」

   でも僕は振り向く事はしませんでした。
   奥山さんがどんな顔でこちらを見ているのか分からなかったからです。
   鼓動が100mを全力疾走したときよりも激しく脈打っていたことを覚
   えています。
   その後ろからの視線を感じながらも、とうとう一言も話すこと無く卒業
   を迎えました。

   僕は奥山さんを無視する形で卒業してしまった事を後悔していました。

   卒業して数日後一通の手紙が届きました。

僕「奥山ひな子? 彼女からだ」

   手紙に書かれていた内容は。

奥山「大林君、机の件、私だと気がついていたんですよね? 
   あれから貴方の瞳に、私が映ることが一度も無かったのが、淋しかった
   です。
   私は中学の時から友達も少なく、ましてや男子と話しなんて、したこと
   も有りませんでした。
   入学式の時に貴方が私にぶつかって、私の持っていた本が落ちた時に、
   ごめんと言って私に本を手渡してくれた事覚えてますか?」
僕「あ、あのときの子が、奥山さんだったのか?」
奥山「わたしはずっと覚えています。ぶつかると言うアクシデントでしたが
   男子から声を掛けられたのは初めてだったからです。
   私は校舎の隅で、部活で走る貴方を毎日見ていました。
   三年生で同じクラスになったときには胸が熱くなりました。
   貴方の瞳に私が少しでも映るように願ってもいました」
   僕は、彼女に冷たくしてしまった自分が恥ずかしく

僕「ごめんなさい」

   とつぶやいていました。
   手紙は便せん5枚にびっしり文字が書かれていました。
   そして最後に。

奥山「私の想いは貴方には、迷惑な事でしたね。ごめんなさい」
   と締めくくられていました。

   僕は返事を書きました。
   勿論、お詫びの手紙です。便せん5枚にびっしりと。

   あれから10年、九州に移住している奥山さんと文通が続いて
   いました。

   でも今日でその文通も終わりとなります。
   なぜなら明日、彼女は結婚して・・・・・・






   僕の妻となるからです。

僕「今までありがとう、そしてこれからもよろしく ひな子へ 俊彦より」

   どうでしたか? こんな恋愛ドラマも有りかな?


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