失われた命を数えることは、生きた証を残すこと
ガザの犠牲者が日々増え続けています。僕は毎朝日経新聞を読んでいるのですが、攻撃の範囲は毎日のように広がっており、ついにはガザ北部に続いて南部までも地上戦の可能性が浮上しているとのことです。地上侵攻に踏み切ることで、さらなる人道危機の悪化が心配です。おはようございます。海先輩です。今日は、失われた命を数えることは、生きた証を残すことというお話です。日経新聞に「春秋」というコラムがあるのですが、考えさせられる内容が載っていました。学校の授業で「方丈記」を習いましたよね。鴨長明が書いた日本の三大随筆とも言われる作品です。「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。」この歴史作品を「経験」として読んだという人がいました。それが堀田善衞(ほったよしえ)さんという小説家さんです。堀田さんは名著「方丈記私記」にて、平安末期の乱世の様子と、ご自身がご経験された東京大空襲に焼かれ灰となった街と人の様子を重ねたのでした。鴨長明が生きた平安末期の京都は、うち続く火事、戦乱、飢饉でまさに世の末であり、おびただしい死者が出たそうです。そんな地獄絵図の中をひとり歩く高僧に、鴨長明と堀田さんは注目しました。高僧は毎日のように、路上に捨てられた屍をひとりで弔い、その数を数えたとのこと。その数は、2ヶ月の間で42,300体以上にものぼったそうです。春秋ではこの様子を、今起きているガザの人道危機と重ねていました。ガザでは、イスラエルの攻撃が始まってたった1ヶ月で、1万人の犠牲者が出ています。国際機関の目も行き届かない中、死者を数えて
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