絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのブログから「#院内研究」タグの検索結果

28 件中 1 - 28 件表示
カバー画像

アンケートに未回答があったらどうする?看護研究で知っておきたい欠損データの考え方

アンケート調査をしていると、「回収できたけれど、一部の質問が空欄になっている」ということがあります。例えば、年齢は書いてある。経験年数も書いてある。でも、最後の質問だけ未回答。あるいは、途中から回答がなくなっている。そんなとき、このアンケートは全部使えないのでしょうか?今回は、看護研究でよく出てくる「欠損データ」の考え方についてお話しします。「回収できた」=「すべて分析できる」ではありません例えば、100人からアンケートを回収できたとします。でも、その100人全員が、すべての項目に回答しているとは限りません。ある質問には98人。別の質問には95人。さらに別の質問には90人。ということもあります。つまり、回収数と、実際に分析に使える人数は同じとは限りません。ここは意外と見落としやすいポイントです。欠損データとは?簡単にいうと、本来あるはずのデータが抜けている状態です。例えば、「経験年数を教えてください」という質問に回答がない。5段階評価のうち、1項目だけ空欄になっている。自由記述欄が未記入。こうしたものが欠損データになります。ただし、自由記述欄が任意回答であれば、未記入だからといって必ずしも問題とは限りません。どの項目が必須なのかによっても考え方は変わります。1項目空欄だから、全部除外?ここは研究によって判断が変わります。例えば、20項目あるアンケートのうち、1項目だけ未回答だったとします。その1項目が、今回の分析には使わない項目だった場合。他の19項目まで全部使えないとする必要はないかもしれません。一方で、分析に必要な重要項目が未回答なら、その分析には使用できないことがあります
0
カバー画像

「考察」は結果を書き直す場所ではありません|伝わる考察の書き方

論文を書いていると、「考察には何を書けばいいのでしょうか?」という質問をよくいただきます。実際に添削をしていると、結果をそのまま書き直している自分の感想になっている文献を並べただけになっているというケースは少なくありません。考察は、結果をもう一度書く場所ではなく、結果の意味を考える場所です。今回は、考察を書くときに意識したいポイントをご紹介します。考察は「結果の説明」ではありません例えば、結果で「A群はB群より有意に高かった。」と書いたとします。考察で、「A群はB群より高い結果となりました。」と書くだけでは、結果を繰り返しているだけです。読み手が知りたいのは、「なぜ、そのような結果になったのか」ということです。「なぜ?」を考えることが考察です考察では、結果の背景や理由を考えていきます。例えば、対象者の経験年数が影響したのではないか教育環境の違いが関係したのではないか先行研究でも同様の傾向が報告されているこのように、結果から一歩踏み込んで考えることが考察になります。もちろん、推測だけで書くのではなく、結果や文献を根拠に考えることが大切です。文献と比較すると考察が深まります考察を書くときは、先行研究との比較が欠かせません。例えば、同じ結果だった異なる結果だった新しい視点が得られたなどを整理すると、今回の研究の特徴が見えてきます。考察は、「自分の研究だけを見る」のではなく、他の研究と比べながら意味を考えることでもあります。研究の限界を書くことも大切です考察では、研究の限界について触れることも重要です。例えば、対象者数が少なかった単施設での調査だった特定の時期だけの調査だったなどです。
0
カバー画像

「結論」は結果の要約でいい?研究目的に答えるための“最後の一文”

研究論文を書いていて、考察まで何とか書き終わった。残るのは、「結論」です。ここまで来ると、「結果を短くまとめればいいかな」「考察の最後を少し言い換えればいいかな」と思うことがあります。でも、いざ書いてみると、結果をもう一度並べただけになってしまう。あるいは反対に、最後だから立派にまとめようとして、研究で調べていないことまで広がってしまう。結論は短い部分ですが、意外と難しいところです。今回は、研究論文の「結論」には何を書けばよいのかを考えてみます。結論は「結果を短くしたもの」?例えば、研究結果として、Aが最も高かったBは経験年数によって有意差があったCとDには正の相関がみられたという3つの結果があったとします。結論に、「Aが最も高く、Bは経験年数によって有意差がみられ、CとDには正の相関がみられた」と書く。間違いではありません。でも、これでは、結果を短く書き直しただけとも言えます。結論でもう一度考えたいのが、「そもそも、この研究は何を明らかにするために行ったの?」ということです。結論は「研究目的への答え」と考える私は、結論を書くとき、研究目的に対する答えと考えると分かりやすいと思っています。例えば研究目的が、「新人看護師の〇〇と職務満足度との関連を明らかにする」だったとします。その場合、結論で一番伝えたいのは、年齢で有意差があったことでも、平均値がいくつだったことでもなく、「〇〇と職務満足度には、どのような関係があったのか」です。研究目的に書いた問いに、研究の最後で答える。とても単純ですが、これが結論の軸になります。研究目的と結論を並べてみる結論がまとまらないときは、一度、研究目
0
カバー画像

「結果はたくさん出た。でも全部書く?」研究目的に戻って結果を整理する

研究でデータを集めて分析すると、いろいろな結果が出てきます。思っていた通りの結果。予想していなかった結果。有意差が出た結果。有意差はないけれど、少し気になる結果。分析していると、「せっかく出した結果だから、全部論文に書きたい」と思うことがあります。特に有意差が出ると、「これは書かなければ!」と思ってしまいます。でも、結果がたくさんあることと、良い研究であることは同じではありません。今回は、研究でたくさんの結果が出たときに、何を中心に書けばよいのかを考えてみます。まず研究目的に戻ってみる結果を整理するときに、私が一番大切だと思うのは、研究目的に戻ることです。例えば、「新人看護師の〇〇と職務満足度との関連を明らかにする」という研究だったとします。ところが分析してみると、年齢。性別。所属部署。経験年数。研修参加回数。夜勤回数。さまざまな項目で違いが出てきた。その中で有意差が出ると、ついそこに注目したくなります。でも、一度、「この結果は研究目的に答えるために必要?」と考えてみます。「分析した結果」と「研究で伝えたい結果」は同じではない研究では、確認のためにさまざまな分析をすることがあります。だからといって、分析したものをすべて同じ重さで本文に書く必要はありません。もちろん、実施した分析を都合よく隠すという意味ではありません。大切なのは、研究目的に答えるために、どの結果を中心に示すのかを整理することです。分析した順番に結果を書くのではなく、研究目的との関係を考えて並べます。有意差が出た=重要、ではありません統計解析をすると、p<.05という結果が出ることがあります。有意差が出ると、どうし
0
カバー画像

「今後の課題」は何を書けばいい?研究の限界との違いを整理します

研究論文を書いていると、最後の方で、「研究の限界」と「今後の課題」を書くことがあります。この2つ、なんとなく似ていませんか?例えば、「対象者が少なかったため、今後は対象者を増やして検討する必要がある」と書く。これでも意味は通じます。でも、「研究の限界」と「今後の課題」は、本来少し役割が違います。昨日の記事では「研究の限界」について書きました。今回はその続きとして、「今後の課題」には何を書けばよいのかを考えてみます。まず「研究の限界」を振り返ってみます研究の限界は、研究の悪かったところを書く場所ではありません。大切なのは、「今回の研究結果を、どこまで解釈してよいのか」を示すことです。例えば、1施設だけで調査した研究なら、「単施設で実施した」という事実だけで終わるのではなく、その施設特有の状況が結果に影響している可能性があり、他施設にも同じ結果が当てはまるとは限らないと考えます。つまり研究の限界では、今回の結果を見るときに、何に注意する必要があるのかを考えます。では「今後の課題」とは?一方、今後の課題は、今回の研究で明らかにできなかったことを、次にどう検討していくのかを示すものです。先ほどの単施設研究なら、研究の限界単施設での調査であるため、施設特性が結果に影響している可能性があり、他施設への一般化には慎重な検討が必要である。今後の課題今後は複数施設を対象として調査を行い、施設特性による違いについて検討する必要がある。となります。似ていますが、見ている方向が少し違います。「限界」は今回、「課題」は次私は、この2つを区別するとき、限界=今回今後の課題=次と考えると分かりやすいと思って
0
カバー画像

「対象者を集めれば研究になる」ではありません|研究対象者の選び方で結果は変わります

研究計画を立てるとき、「対象者は何人くらい集めればいいですか?」という質問を受けることがあります。もちろん、対象者数を考えることは大切です。でも、その前に考えてほしいことがあります。それは、「誰を対象にする研究なのか?」ということです。研究対象者は、単に集めやすい人を集めればよいわけではありません。誰を対象にするかによって、得られる結果も、その結果から言えることも変わります。今回は、研究を始める前に考えておきたい「研究対象者の選び方」についてお話しします。まず「誰について明らかにしたいのか」を考える例えば、「看護師の○○に対する認識を明らかにする」という研究を考えたとします。この場合、「看護師なら誰でもよい」とは限りません。研究目的によっては、新人看護師臨床経験5年以上の看護師特定部署に勤務する看護師管理職特定の看護を経験した看護師など、対象となる人が変わります。まず考えたいのは、研究目的を達成するためには、誰からデータを集める必要があるのかということです。対象者は多ければ多いほど良い?「100人より500人の方が良い研究になりますか?」必ずしも、そうとは限りません。もちろん、研究方法によっては十分な対象者数が必要になります。しかし、研究目的と関係のない人をたくさん集めても、研究の質が高くなるわけではありません。反対に、インタビューなどの質的研究では、一人ひとりから深くデータを集めることもあります。大切なのは、「何人集めたか」だけではなく、「なぜその人たちを対象にしたのか」を説明できることです。「選択基準」を決めておく研究計画書では、どのような人を研究対象者とするのかを明確にし
0
カバー画像

研究計画書は「方法」より「目的」で差がつきます

研究を始めるとき、多くの方が最初に悩むのが「どんな方法で調査しようか」ということではないでしょうか。質問紙調査にするのか、インタビューにするのか、観察法にするのか…。もちろん研究方法は大切ですが、研究指導をしている中で私が感じるのは、**研究計画書の完成度を左右するのは「方法」ではなく「目的」**だということです。今回は、研究計画書を作成するときに意識したいポイントをご紹介します。研究計画書は「設計図」です家を建てるとき、いきなり材料を集めることはありません。まずは設計図を作り、「どんな家を建てるのか」を明確にします。研究も同じです。研究計画書は、研究全体の設計図です。ここが曖昧なまま進めてしまうと、途中で方向性がぶれてしまうことがあります。「方法」から考えない学生や院内研究では、「アンケートを取りたいです。」「インタビューをしたいです。」という相談を受けることがあります。しかし、その前に考えたいのは、「何を明らかにしたいのか」という研究目的です。目的が決まっていない状態で方法を選ぶと、「その方法で本当に目的に答えられるのか?」という問題が生じることがあります。目的が決まると方法も決まります例えば、「手術室看護師の器械受け渡しの評価要因を明らかにしたい。」という目的であれば、観察だけでは十分ではないかもしれません。一方、「看護師の満足度を把握したい。」のであれば、質問紙調査が適している場合もあります。つまり、研究方法は目的に合わせて選ぶものです。研究計画書で確認したい4つのポイント私は研究計画書を見るとき、次の4点を確認しています。・研究目的は明確か・対象者は目的に合っているか
0
カバー画像

「研究論文は最初から順番に書く?」書きやすいところから進めても大丈夫です

研究論文を書こうとして、Wordを開く。タイトルを書いて、次に「はじめに」。そして、……止まる。こんな経験はないでしょうか。「論文なんだから、最初から順番に書かないと」と思って、背景から一生懸命書こうとする。でも、なかなか文章がまとまらない。気付けば30分、1時間と経っている。研究論文には、背景、目的、方法、結果、考察、結論……と順番があります。でも、書く順番まで、その通りである必要はあるのでしょうか。今回は、研究論文を「どこから書くか」について考えてみます。読む順番と、書く順番は同じでなくてもいい完成した論文は、背景↓研究目的↓研究方法↓結果↓考察↓結論という流れになっています。そのため、書くときも背景から始めなければならないように感じます。でも、「完成したときの順番」と「作るときの順番」は別と考えてもよいと思います。例えば料理でも、完成した料理の上から順番に作るわけではありません。先に下ごしらえをして、別のものを煮て、その間に別の材料を切る。最後に一つの料理になります。論文も少し似ています。背景から書こうとして止まっていませんか?研究論文の最初にあるのが背景です。だから、「まず背景を完成させよう」と思います。ところが背景は、意外と難しいところです。先行研究を整理する。何が分かっているかを示す。何が分かっていないかを示す。研究の必要性につなげる。そして研究目的へつなげる。昨日の記事でも書きましたが、背景は単に知っていることを並べる場所ではなく、研究目的まで読者を連れていく道筋です。だからこそ、最初から完璧に書こうとすると止まりやすいのだと思います。すでに研究が終わっているなら
0
カバー画像

「結果が出てから考察を考える」は遅い?研究前から持っておきたい“考察の種”

研究を進めていると、「結果が出たら、そこから考察を考えよう」と思うことがあります。もちろん、実際の結果を見なければ書けないことはたくさんあります。でも、考察について考え始めるのは、本当に結果が出てからでよいのでしょうか?今回は、研究を始める前から少し考えておきたい「考察の種」について書いてみます。考察は「結果が出た後だけ」の作業ではありません研究では、研究計画を立てる。データを集める。分析する。結果を出す。そして最後に考察を書く。という順番で進むことが多いと思います。そのため、「考察は最後にやるもの」というイメージを持ちやすいかもしれません。でも実際には、研究テーマを考えたり、先行研究を読んだりしている段階から、「なぜこうなるのだろう?」「この要因が関係しているのでは?」と考えているはずです。これも考察につながる大切な材料です。結果を予想することと、結果を決めつけることは違います例えば、「経験年数が長い看護師ほど、○○の得点が高いのではないか」と考えたとします。これは一つの予想です。でも、実際に研究してみると、①予想通り、経験年数が長いほど高かったかもしれません。逆に、②経験年数が短い人の方が高かったという可能性もあります。あるいは、③経験年数による差がなかったという結果になるかもしれません。研究なので、どの結果もあり得ます。ここで大切なのは、「きっと①になる」と決めつけないこと。研究前に結果を決めてしまうのではなく、「①だったら何が考えられる?」「②だったら?」「③だったら?」と考えておく。これが、私が考える「考察の種」です。「有意差がなかったから書くことがない」は避けたい研
0
カバー画像

「回答が集まれば成功」ではありません|アンケート調査で意外と重要な回収率の考え方

看護研究でアンケート調査をするとき、「何人くらい集めればいいですか?」と気になることがあります。100人集まれば十分?50人では少ない?できるだけ多い方がいい?もちろん、回答者数は大切です。でも、もう一つ見ておきたいのが、「何人にお願いして、そのうち何人から回答が得られたのか」ということです。今回は、混同しやすい「回答数」と「回収率」について考えてみます。「100人から回答があった」だけでは分からない例えば、2つのアンケート調査があったとします。Aの研究では、100人にアンケートを配って、80人から回答がありました。Bの研究では、500人に配って、100人から回答がありました。回答者数だけを見ると、Bの研究の方が多くなります。でも回収率を見ると、Aは80%。Bは20%です。同じように「たくさん回答が集まった」と見えても、その意味は少し違います。そのため、回答者数だけでなく、どのくらいの人が回答してくれたのかも確認する必要があります。回答率・回収率とは?簡単に考えると、アンケートを依頼した人のうち、どのくらいから回答が得られたのかを示すものです。例えば、200人に依頼して150人から回答があれば、150 ÷ 200 × 100 = 75%となります。ただし実際の研究では、「配布数」「回収数」「有効回答数」を分けて考えることがあります。150人から返ってきても、すべての回答を分析に使えるとは限らないからです。「回収できた」と「分析できた」は同じではありません例えば、200部を配布して、150部が返ってきたとします。でも、そのうち10部に大きな記入漏れなどがあり、分析対象から除外した
0
カバー画像

その研究、本当にアンケートが必要ですか?研究目的に合った調査方法の選び方

看護研究の相談を受けていると、「アンケートを取ろうと思っています」という話から始まることがあります。もちろん、アンケート調査は看護研究でもよく使われる方法です。たくさんの人からデータを集められますし、結果を数字として整理しやすいという良さもあります。ただ、その前に一度考えてみたいことがあります。「その研究、本当にアンケートでなければいけないでしょうか?」研究方法は、先に決めるものではありません。大切なのは、「何を明らかにしたいのか」です。今回は、研究目的に合った調査方法の考え方についてお話しします。「研究=アンケート」ではありません研究を始めようとすると、「まず質問紙を作らなければ」と思ってしまうことがあります。特に院内研究や卒業研究では、アンケート調査を目にする機会も多いため、研究をするならアンケートというイメージを持っている方もいるかもしれません。でも、研究で使える方法はアンケートだけではありません。例えば、質問紙調査インタビュー観察診療録などの既存データ文献を用いた研究など、知りたいことによってさまざまな方法があります。重要なのは、「どの方法が研究らしいか」ではなく、「どの方法なら研究目的に答えられるか」です。たくさんの人の傾向を知りたいなら質問紙例えば、「看護師が○○についてどの程度困難を感じているのか」「○○に対してどのような認識を持っているのか」など、多くの人の傾向を調べたい場合には質問紙調査が向いていることがあります。同じ質問を多くの対象者に行えるため、「○%の人がこう回答した」「経験年数によって違いがあった」といった形で整理できます。一方で、質問紙には限界もあり
0
カバー画像

「方法」から考え始めていませんか?研究は目的から逆算すると整理しやすいです

研究計画を考えていると、「アンケート調査をしようと思っています」「インタビューをしてみたいです」「このデータをSPSSで分析したいです」と、研究方法から話が始まることがあります。もちろん、どのように調査するかを考えることは大切です。でも、その前に一つ確認したいことがあります。「その方法を使って、何を明らかにしたいのでしょうか?」研究方法は、研究そのものの目的ではありません。今回は、研究計画を考えるときの「順番」についてお話しします。「アンケートをしたい」は研究目的ではありません例えば、「看護師100人にアンケート調査を行う」という計画があったとします。これは研究方法について説明していますが、これだけでは、何を明らかにしたい研究なのかが分かりません。同じアンケート調査でも、看護師の知識を調べたいのか。意識を明らかにしたいのか。経験年数による違いを比較したいのか。何かとの関連を調べたいのか。目的によって、必要な質問も分析方法も変わってきます。まず「何を明らかにしたいのか」を考える研究計画を考えるとき、最初に整理したいのは、「この研究で何を明らかにしたいのか?」です。ここが曖昧なまま研究方法を考え始めると、対象者も、質問項目も、分析方法も、少しずつずれていくことがあります。反対に研究目的がはっきりすると、その後の研究方法も考えやすくなります。目的が決まったら「誰に聞くか」を考える研究目的が決まったら、次に考えるのは対象者です。例えば、「新人看護師が○○についてどのような困難を感じているのかを明らかにする」のであれば、ベテラン看護師だけを対象にしても目的には答えられません。当たり前のよ
0
カバー画像

名前を書かなければ匿名?看護研究で気をつけたい個人情報の扱い

看護研究を進めていると、「名前は書いていないので、個人情報にはならないですよね?」と聞かれることがあります。確かに、氏名は個人を特定する大きな情報の一つです。しかし、名前を消しただけで、必ずしも個人が分からなくなるとは限りません。特に病院や施設など限られた集団を対象とする看護研究では、いくつかの情報を組み合わせることで、「この人では?」と推測できてしまうことがあります。今回は、看護研究で気をつけたい個人情報の扱いについてお話しします。「氏名を書かない=誰か分からない」とは限りません例えば、研究結果の中に、「50代・男性・看護師長・手術室勤務20年以上」と書かれていたとします。全国規模の調査なら、これだけで個人を特定することは難しいかもしれません。しかし、ある一つの病院を対象とした研究だったらどうでしょうか。「あの人では?」と分かってしまう可能性があります。つまり、一つひとつでは個人を特定できない情報でも、組み合わせることで誰なのか推測できることがあるということです。少人数を対象とする研究では特に注意看護研究では、一つの病棟一つの部署特定の職種特定の経験年数など、比較的小さな集団を対象にすることがあります。対象者が少なくなるほど、属性を細かく示すことで個人が推測される可能性も高くなります。例えば、「経験年数25年以上の認定看護師」という情報が、その部署に一人しかいなければ、名前を書いていなくても分かってしまいます。対象者の背景をどこまで示す必要があるのか。研究結果をまとめるときには、この視点も大切です。自由記述にも注意が必要ですアンケートの自由記述やインタビューの内容にも注意が必
0
カバー画像

「結果が思った通りにならない…」研究で大切なのは『正しい結果』ではなく『正しく示すこと』です

研究を進めていると、「仮説と違う結果になってしまいました。」「期待していた有意差が出ませんでした。」そんな不安を感じることはありませんか?卒業研究や院内研究の指導をしていると、このような相談を受けることがよくあります。でも、研究は**「思った通りの結果を出すこと」**が目的ではありません。本当に大切なのは、得られた結果を正しく示すことです。今回は、この考え方についてお話しします。思った結果にならなくても失敗ではありません研究を始めると、「きっとこの結果になるはず」という予想を立てます。しかし、実際の研究では、その通りにならないことも珍しくありません。だからといって、その研究が失敗だったとは言えません。研究は、自分の予想を証明するためではなく、事実を明らかにするために行うものだからです。仮説と違う結果にも価値があります期待とは違う結果が出たとき、「何か間違えたのではないか。」と思ってしまうことがあります。しかし、仮説と異なる結果だからこそ、新しい発見につながる場合もあります。例えば、教育方法に違いがなかった年齢による差は見られなかった経験年数は影響していなかったという結果も、現場にとっては重要な情報です。「違いがなかった」ということも、一つの研究成果なのです。データは事実として受け止めましょう思った結果にならなかったからといって、都合の良いデータだけを使ったり、結果を自分に都合よく解釈したりしてはいけません。研究で最も大切なのは、データに誠実であることです。研究者は、結果を選ぶ人ではなく、結果を正しく伝える人です。結果と考察は分けて考えます結果では、「何が分かったのか」を事実とし
0
カバー画像

有意差がない結果は「失敗」ではありません|看護研究で大切にしたい考え方

統計解析を終えたあと、「有意差が出ませんでした。研究として失敗でしょうか」と相談を受けることがあります。時間をかけてデータを集めたのに、p値が0.05以上だったら、がっかりしてしまう気持ちはよく分かります。しかし、有意差がなかったことも大切な研究結果の一つです。研究の価値は、有意差が出たかどうかだけで決まるものではありません。今回は、有意差が認められなかった結果を、どのように受け止めて考察につなげるかについてお話しします。有意差がない=差がない、ではありませんまず気を付けたいのは、有意差が認められなかったからといって、差がまったく存在しないと証明されたわけではないということです。統計解析で有意差が認められなかった場合は、「差がない」と断定するのではなく、「今回の対象者と研究条件では、統計学的に明確な差を確認できなかった」と考える方が適切です。対象者数やデータのばらつき、測定方法などによって、結果の見え方は変わります。p値だけで結果を判断しない研究結果を見るとき、p値だけに注目してしまうことがあります。しかし、結果を理解するためには、各群の平均値や中央値データのばらつき対象者数実際の差の大きさ信頼区間なども確認することが大切です。例えば、有意差は認められなかったものの、平均値には一定の傾向がみられる場合もあります。ただし、その場合も「差がある」と断定せず、傾向として慎重に示す姿勢が必要です。対象者数は十分だったでしょうか対象者数が少ない研究では、実際に差があったとしても、統計学的に確認しにくい場合があります。反対に、対象者数が非常に多い場合には、わずかな差でも有意差として示される
0
カバー画像

文章を長く書けば伝わる?読みやすい論文は「短く書く勇気」があります

論文を書いていると、「もう少し詳しく説明した方が伝わるかな。」と思って、文章をどんどん長くしてしまうことはありませんか?もちろん、必要な説明は大切です。しかし、長い文章が必ずしも分かりやすい文章とは限りません。実際に論文の添削や研究指導をしていると、「情報は正しいのに読みにくい」と感じる文章によく出会います。今回は、読みやすい論文を書くためのポイントをご紹介します。長い文章は伝わりやすいとは限りません文章が長くなると、途中で主語や述語が分かりにくくなったり、何を一番伝えたいのかが曖昧になったりします。読み手は一文を理解するたびに内容を整理しています。そのため、一文が長すぎると負担が大きくなってしまいます。「1文で1つのこと」を意識する読みやすい文章を書くために、私が意識していることの一つが、「1文で伝える内容は1つ」という考え方です。例えば、「対象者は○○であり、△△を実施し、その結果□□となり、さらに……」と続けるよりも、文章を分けた方が、内容は理解しやすくなります。文章を短くすることは、情報を減らすことではありません。読み手への配慮です。主語と述語を近づける文章の途中に説明を入れすぎると、主語と述語の関係が分かりにくくなります。例えば、「対象者は、○○病院に勤務し、○○年以上の経験を持ち、研究への同意が得られた看護師であり、調査に参加した。」このような文章は、一度で理解するのが難しくなります。必要に応じて文章を分けるだけで、読みやすさは大きく変わります。同じ内容を繰り返していませんか?論文では、同じ内容を少し表現を変えて繰り返してしまうことがあります。書いている本人は気付き
0
カバー画像

研究結果は全部書かなくて大丈夫。「伝える結果」を選びましょう

研究が進み、データの分析が終わると、「結果をどうまとめればいいのだろう。」と悩む方は少なくありません。特にアンケート調査や質問紙調査では、多くのデータが得られるため、「せっかく集めたデータだから全部載せたい。」という気持ちになることもあります。しかし、論文や学会発表では、「すべてを書くこと」よりも、「伝えるべき結果を選ぶこと」が大切です。今回は、読みやすい研究結果のまとめ方についてお話しします。結果は「多いほど良い」わけではありません研究では、分析した結果をすべて掲載したくなることがあります。しかし、結果が多すぎると、読み手は「結局、この研究で何が分かったのだろう?」と迷ってしまいます。研究結果は、研究目的に答えるために必要な情報を伝えることが大切です。研究目的に関係する結果を選びましょう研究には必ず目的があります。そのため、結果も「研究目的に答える内容になっているか」という視点で整理すると、読みやすくなります。例えば、研究目的が「器械受け渡しの評価要因を明らかにすること」であれば、評価要因に関係しない結果を詳しく説明する必要はありません。目的と結果がつながっている研究は、全体に一貫性が生まれます。表と本文を同じ内容にしない論文でよく見かけるのが、表に書いてある内容を、本文でもそのまま繰り返してしまうケースです。例えば、表に平均値や有意差が示されているのであれば、本文では「どの結果が重要なのか」を簡潔に説明するだけで十分です。表と本文には、それぞれ役割があります。図や表は「見せたい結果」を強調するために使います図や表は、すべてのデータを並べる場所ではありません。読み手に「ここを
0
カバー画像

「考察を書いたけど、結果の言い換えになってない?」考察では“なぜ”を一段掘り下げてみる

看護研究の考察を書いていて、「結構書けた」と思ったのに、指導者から、「これは結果をもう一度書いているだけですね」と言われる。そんなことがあります。自分では考察を書いたつもりなのに、結果の言い換えになってしまう。これは看護研究で、意外と起こりやすいことだと思います。例えば、結果A群はB群と比較して〇〇得点が高かった。考察このことから、A群はB群よりも〇〇得点が高いことが分かった。文章は変わっています。でも、言っていることはほとんど同じです。では、ここからどう考察を深めていけばよいのでしょうか。今回は、「結果の言い換え」と「考察」の違いについて考えてみます。まず「結果」は何を書くところ?結果では、今回の研究で実際に得られたことを書きます。例えば、A群の平均値は〇点、B群は〇点だった。A群はB群より有意に高かった。〇〇と△△の間に正の相関が認められた。インタビューから5つのカテゴリーが抽出された。などです。基本的には、今回の研究で得られた事実を示します。ここでは、「なぜそうなったのか」まで無理に説明する必要はありません。考察では「その結果をどう考えるか」を書く一方、考察では、得られた結果をもとに、「なぜ、このような結果になったのか」「この結果には、どのような意味があるのか」を考えていきます。つまり、結果と考察では役割が違います。結果は、「何が分かった?」考察は、「なぜそうなった?」「それは何を意味する?」と考えると、少し整理しやすくなります。結果を言い換えただけになっていませんか?例えば、結果経験年数が長い看護師ほど〇〇得点が高かった。これに対して、考察経験年数の長い看護師は、経験年
0
カバー画像

「考察が長い=深い」ではありません|削っても伝わる考察の整理方法

看護研究で、「考察がなかなか書けない」という悩みはよくあります。でも、ある程度書けるようになってくると、今度は反対の悩みが出てくることがあります。「考察がどんどん長くなる」という問題です。結果について説明する。先行研究と比較する。理由を考える。臨床への示唆を書く。そうしているうちに、「これも関係ありそう」「この文献も使えそう」「せっかく調べたから、これも書いておこう」と文章が増えていく。気付けば、かなり長い考察になっている。でも、長い考察=深い考察なのでしょうか。今回は、書いた考察をどう整理すればよいのかについて考えてみます。考察が長くなること自体が悪いわけではありません最初に、考察は短ければよいという話ではありません。研究内容によっては、十分な説明が必要です。複数の結果について検討する必要があれば、それなりの文章量にもなります。問題なのは、文章量は増えているのに、何を伝えたいのか分かりにくくなっている状態です。たくさん書いた。文献もたくさん引用した。でも読み終わったとき、「結局、この結果をどう考えたの?」が見えない。これでは、せっかく書いた文章が十分に生きていません。「書くこと」と「残すこと」は別です考察を書いている途中では、私はある程度たくさん書いてもよいと思っています。最初から、「これはいらないかな」と考えすぎると、逆に書けなくなることがあります。思いついたことを書く。関連する先行研究を探す。いろいろな可能性を考える。ここまではよいと思います。その後に必要なのが、「何を残すか」という作業です。つまり、考察を書く作業と考察を整理する作業は、少し分けて考えてもよいと思います。
0
カバー画像

「研究目的に『明らかにする』と書けば大丈夫?」目的文でよくある“広すぎる”問題

看護研究の研究計画書や論文を書いていると、「本研究の目的は、〇〇について明らかにすることである」という文章をよく使います。私自身も使う表現ですし、「明らかにする」という言葉そのものに問題があるわけではありません。ただ、ときどき気になるのが、「明らかにする、と書いたことで研究目的が完成したように見えてしまう」ことです。文章としてはきれいにまとまっている。でも、よく読んでみると、「結局、何を明らかにするの?」が少し曖昧。今回は、そんな研究目的の「広すぎる問題」について考えてみます。「〇〇について明らかにする」だけでは分からないことがあります例えば、「手術室看護師の器械出しについて明らかにする」という研究目的があったとします。一見すると研究目的らしい文章です。でも、少し考えてみると、何を明らかにするのでしょうか。器械出し看護師の、認識?困難?経験?技術?特徴?学習過程?熟練者との違い?いろいろ考えられます。つまり、研究テーマは分かるけれど、研究で答えたいことまでは分からない状態です。「何について」と「何を明らかにする」は少し違います研究テーマを決めると、「〇〇について研究したい」というところまでは比較的考えやすいと思います。でも、「〇〇について、何を知りたいのか」まで絞ると、少し難しくなります。例えば、新人看護師の離職について研究したいだけでは、まだかなり広いです。そこから、「新人看護師が離職を考える要因を明らかにしたい」「離職を考えた新人看護師が、就業を継続した理由を明らかにしたい」「新人看護師の職場適応と離職意向との関連を明らかにしたい」となると、研究の方向がかなり変わります。テ
0
カバー画像

「研究の限界」は弱点を書く場所?論文で“限界”を書く本当の意味

看護研究や卒業研究を書いていると、最後の方で出てくるのが、「研究の限界」です。ここで、「せっかく研究したのに、自分の研究の悪いところを書くの?」と思ったことはないでしょうか。その結果、「対象者が少なかったことが本研究の限界である」「1施設のみの調査であったことが限界である」と書いて終わってしまうことがあります。もちろん、それ自体が間違いというわけではありません。でも、「研究の限界」で本当に伝えたいのは、自分の研究のダメだったところではありません。今回は、研究の限界を書く意味について考えてみます。「研究の限界」=研究の失敗ではありません研究には、ほぼ必ず何らかの限界があります。対象者。研究施設。研究期間。研究方法。測定方法。分析方法。どれだけ丁寧に研究を行っても、すべてを完璧にすることは難しいと思います。だから、限界がある=研究として失敗ではありません。むしろ大切なのは、「この研究には、どのような限界があるのか」を研究者自身が理解していることです。本当に大切なのは「結果をどこまで解釈できるか」研究の限界を書くときに考えたいのが、「この限界によって、研究結果の解釈にどのような影響があるのか?」です。例えば、「対象者が少なかった」とします。これだけでは、単なる反省のようにも見えます。そこで、対象者が少なかった↓今回の対象者だけの特徴が結果に影響している可能性がある↓他の集団にも同じ結果が当てはまるとは限らないというところまで考えてみます。すると、「対象者が少なかった」という事実が、研究結果をどこまで解釈できるのかという話につながってきます。「1施設のみだった」も同じです看護研究では、
0
カバー画像

「アンケート項目を増やせば安心?」質問数が多すぎる研究で起こること

アンケートを使った研究を計画していると、「これも聞いておいた方がいいかな」「あとで必要になるかもしれない」と、質問項目がどんどん増えてしまうことがあります。せっかく対象者に回答してもらうのだから、できるだけ多くの情報を集めたい。そう考える気持ちはよく分かります。でも、質問項目は、多ければ多いほど良いわけではありません。今回は、アンケートを作るときに考えたい「質問項目の数」についてお話しします。「とりあえず聞いておこう」が増えていませんか?研究計画を立てている段階では、どんな結果が出るか分かりません。そのため、「念のため、これも聞いておこう」となりやすいものです。例えば、年齢、性別、経験年数、所属部署、役職、資格、研修経験……。さらに研究テーマについても、思いついた質問を追加していく。気がつけば、かなり長いアンケートになっていることがあります。ここで一度、「この質問は、何のために必要なのか?」と考えてみることが大切です。質問が増えるほど回答者の負担も増えます質問を一つ追加するだけなら、それほど大きな負担には感じないかもしれません。しかし、それが10問、20問と増えていけばどうでしょうか。回答する側にとっては、研究者が考えている以上に負担になることがあります。特に看護師を対象とした院内研究などでは、忙しい勤務の中でアンケートに協力してもらうこともあります。回答者への負担を考えることも、研究計画では大切です。後半になるほど回答が雑になることも長いアンケートに答えた経験がある方なら、途中から、「まだあるの?」と思ったことがあるかもしれません。質問数が多すぎると、後半になるにつれて集中力
0
カバー画像

参考文献は最後に探す?それでは遅いかもしれません

卒業研究や院内研究を始めると、「研究テーマが決まったら参考文献を探そう。」と考える方は少なくありません。もちろん、それでも研究は進められます。しかし実際には、参考文献は研究の最後ではなく、最初に読むものです。文献を読むことで、研究の方向性が見え、より良い研究へとつながっていきます。今回は、参考文献を早い段階で読む大切さについてお話しします。参考文献は「答え」を探すためではありません参考文献というと、「引用するための資料」というイメージを持つ方も多いと思います。もちろん引用も大切ですが、それ以上に重要なのは、今まで何が分かっていて、何がまだ分かっていないのかを知ることです。これを確認することで、自分の研究がどこに位置付けられるのかが見えてきます。文献を読むと研究テーマが具体的になります「研究テーマが決まらない。」そんなときこそ、文献を読んでみることをおすすめします。最初は漠然としていたテーマでも、先行研究を読むことで、すでに研究されている内容まだ十分に検討されていない内容自分が取り組めそうな課題が少しずつ整理されていきます。研究テーマは、頭の中だけで考えるより、文献を読みながら育てていくものです。研究方法も学ぶことができます文献には、結果だけでなく、対象者調査方法評価方法統計解析なども詳しく書かれています。「こんな調査方法があるのか。」「この解析方法なら自分の研究にも使えそう。」そんな発見があることも少なくありません。文献は、研究テーマだけではなく、研究方法を学ぶ教材にもなります。最初から全部読まなくても大丈夫です論文を前にすると、「全部読まなければ。」と思ってしまうことがありま
0
カバー画像

研究テーマが決まらない人へ。「良いテーマ」は最初から見つかりません

「研究テーマが決まりません。」卒業研究や院内研究の相談で、とても多く聞く言葉です。「誰もやっていないテーマを探さないといけない。」「面白いテーマじゃないと意味がない。」そんなふうに考えてしまうと、なかなか一歩が踏み出せません。でも実は、良い研究テーマは最初から完成しているものではありません。今回は、研究テーマの考え方についてお話しします。完璧なテーマを探さなくて大丈夫です研究を始めるとき、「これなら絶対に良い研究になる」というテーマを探そうとしてしまう方がいます。しかし、最初から完成されたテーマに出会えることはほとんどありません。多くの研究は、「なぜだろう?」という小さな疑問から始まっています。まずは完璧を目指すよりも、「気になることを書き出してみる」ことが大切です。身近な疑問は立派な研究テーマになります研究テーマは、特別な場所にあるわけではありません。例えば、なぜこのケアは病棟によって違うのだろう。この指導方法は本当に効果があるのだろう。学生はどこでつまずきやすいのだろう。こうした日頃の疑問は、すべて研究の種になります。臨床や教育の現場には、研究につながるヒントがたくさんあります。文献を読むとテーマは育っていきますテーマが決まらないときほど、先行研究を読んでみることをおすすめします。文献を読むことで、すでに分かっていることまだ十分に分かっていないこと自分が取り組めそうなことが少しずつ見えてきます。テーマは、「思いつく」ものではなく、「育てる」ものなのです。一人で悩み続けないことも大切ですテーマが決まらないときは、一人で考え続けても前に進めないことがあります。そんなときは、指導
0
カバー画像

統計解析は難しくても、「検定を選んだ理由」は説明できますか?

「統計解析が苦手です。」研究指導をしていると、この相談を受けることは少なくありません。確かに、統計には専門用語が多く、初めて学ぶ方にとっては難しく感じるものです。しかし、私が学生や院内研究でよくお伝えしているのは、「統計の名前を覚えることより、検定を選んだ理由を説明できることが大切です。」ということです。今回は、研究で意外と見落とされがちな「検定を選ぶ理由」についてお話しします。統計は「有意差を出すため」のものではありません研究では、「p<0.05だったので有意差がありました。」という結果だけに注目してしまうことがあります。もちろん、有意差を確認することは大切です。しかし、本来の統計解析は、研究の疑問に対して、客観的な根拠を示すための手段です。「有意差が出たか」だけではなく、「研究目的に合った解析だったか」という視点も重要になります。まず考えるのは「何を知りたいのか」統計手法は、研究目的によって選びます。例えば、2つのグループを比較したいのか3つ以上のグループを比較したいのか2つの項目に関連があるのか知りたいのか前後で変化したかを確認したいのか目的によって適切な検定は変わります。つまり、最初に決めるのは統計ではなく、研究目的です。SPSSは答えを出してくれますが、理由までは説明してくれません現在ではSPSSなどの統計ソフトを使えば、解析自体は比較的簡単に行えます。しかし、ソフトが結果を出してくれても、「なぜこの検定を使ったのですか?」という質問には答えてくれません。研究発表や論文では、この「選んだ理由」を説明できることが求められます。査読で確認されるポイント論文査読では、統計結
0
カバー画像

「参考文献を増やせば考察は深くなる?」文献を“並べるだけ”になっていませんか

看護研究の考察を書いていると、「もっと文献を使った方がいい」と言われることがあります。そこで文献を探す。関連しそうな論文を見つける。考察に引用する。さらに別の文献も追加する。気付けば、考察の中にたくさんの参考文献が入っている。それなのに、「考察が浅い」と言われてしまう。そんなことがあります。文献もしっかり調べた。引用も増やした。それなのに、なぜ考察が深くならないのでしょうか。今回は、考察における参考文献の使い方について考えてみます。文献が多ければ考察は深くなる?例えば、今回の研究で、「経験年数の長い看護師ほど〇〇得点が高かった」という結果が出たとします。そこで考察に、Aらは、経験年数と〇〇には関連があると報告している。Bらも、経験年数の長い看護師ほど〇〇が高いと報告している。また、Cらは〇〇には臨床経験が影響すると報告している。と書く。文献は3つ使っています。一見すると、しっかり文献を調べた考察に見えます。でも、ここで少し考えてみます。「今回の研究結果について、自分は何を考えた?」この部分が、まだほとんど書かれていません。文献を紹介することと、考察することは少し違うもちろん、先行研究を示すことは大切です。自分の研究結果だけを見て、自由に理由を考えればよいわけではありません。でも、文献をたくさん紹介するだけでは、考察というより、「先行研究の紹介」に近くなることがあります。大切なのは、文献そのものをたくさん見せることではなく、今回の研究結果を考えるために文献を使うことです。主役は「今回の研究結果」考察を書いていると、文献を探すことに一生懸命になって、いつの間にか先行研究が主役になっ
0
カバー画像

良い考察は「結果の言い換え」ではありません

研究で最も悩む部分はどこですか?研究指導をしていると、多くの方が「考察が書けません。」と相談に来られます。実際、研究目的や方法は順調に決まっても、考察になると手が止まってしまう方は少なくありません。その原因の一つが、「結果」と「考察」の違いが曖昧になっていることです。今回は、この2つの違いについてお話しします。結果は「事実」を示すもの結果では、調査や分析によって分かったことを、そのまま客観的に示します。例えば、平均値が高かった有意差が認められた○○群の方が満足度が高かったこれらはすべて「結果」です。ここでは、自分の考えや推測を書く必要はありません。まずは、得られたデータを正確に伝えることが大切です。考察は「意味」を考えるもの一方、考察では、「なぜその結果になったのか」を考えます。例えば、経験年数が長い看護師の満足度が高かった場合、経験を積むことで判断力が向上した可能性チームとの連携が取りやすくなった可能性業務への慣れが影響した可能性など、結果の背景や理由を考えていきます。ここが、結果との大きな違いです。結果を書き直しただけでは考察になりません研究を見ていると、考察の欄に、「A群の方が高かった。」「有意差が認められた。」と結果を書き直しているだけの場合があります。これでは、読み手は「だから何なのか?」が分かりません。考察では、その結果から読み取れる意味や、新たな気づきを示すことが重要です。先行研究と比較してみましょう考察を書くときは、先行研究と比較することも大切です。例えば、「先行研究でも同様の結果が報告されている。」「本研究では異なる結果となった。」このように比較することで、自
0
カバー画像

「研究の背景が長くなる…」どこまで書けばいい?背景は“研究目的までの道筋”です

看護研究の研究計画書を書いていると、「研究の背景って、どこまで書けばいいの?」と迷うことがあります。テーマに関係することを調べていると、書けることはどんどん増えていきます。社会的な問題。医療の現状。患者さんの特徴。看護師の役割。先行研究。自分が臨床で感じている問題。全部大切なように思えて、気付けば研究背景だけでかなり長くなっている。でも、読み返してみると、「それで、なぜこの研究をするんだっけ?」が、なかなか出てこない。今回は、そんな「研究背景が長くなってしまう問題」について考えてみます。研究背景は「知っていることを書く場所」ではありません研究テーマについて調べ始めると、いろいろな情報が見つかります。例えば、「高齢化が進んでいる」「医療が高度化している」「看護師には質の高い看護が求められている」「患者のニーズが多様化している」どれも間違いではありません。でも、今回の研究と本当に関係しているでしょうか。研究背景は、そのテーマについて知っていることを全部紹介する場所ではありません。医学書院の研究計画書チェックリストでも、背景では「何が分かっていて、何が分かっていないか」、研究の位置づけや重要性を論理的に示し、そこから研究目的へつながることが重視されています。私は、「なぜ、この研究をする必要があるのかを説明する場所」と考えると整理しやすいと思います。背景は研究目的までの「道筋」例えば旅行をするとき、目的地までの道が分からなければ困ります。研究背景も少し似ています。読者を、「なるほど。だから、この研究をするのね」というところまで連れていく役割があります。イメージとしては、現在どんな状況な
0
28 件中 1 - 28