その研究、本当にアンケートが必要ですか?研究目的に合った調査方法の選び方

その研究、本当にアンケートが必要ですか?研究目的に合った調査方法の選び方

記事
学び
看護研究の相談を受けていると、

「アンケートを取ろうと思っています」

という話から始まることがあります。

もちろん、アンケート調査は看護研究でもよく使われる方法です。

たくさんの人からデータを集められますし、結果を数字として整理しやすいという良さもあります。

ただ、その前に一度考えてみたいことがあります。

「その研究、本当にアンケートでなければいけないでしょうか?」

研究方法は、先に決めるものではありません。

大切なのは、

「何を明らかにしたいのか」

です。

今回は、研究目的に合った調査方法の考え方についてお話しします。

「研究=アンケート」ではありません


研究を始めようとすると、

「まず質問紙を作らなければ」

と思ってしまうことがあります。

特に院内研究や卒業研究では、アンケート調査を目にする機会も多いため、

研究をするならアンケート

というイメージを持っている方もいるかもしれません。

でも、研究で使える方法はアンケートだけではありません。

例えば、

質問紙調査
インタビュー
観察
診療録などの既存データ
文献を用いた研究

など、知りたいことによってさまざまな方法があります。

重要なのは、

「どの方法が研究らしいか」ではなく、「どの方法なら研究目的に答えられるか」

です。

たくさんの人の傾向を知りたいなら質問紙


例えば、

「看護師が○○についてどの程度困難を感じているのか」

「○○に対してどのような認識を持っているのか」

など、多くの人の傾向を調べたい場合には質問紙調査が向いていることがあります。

同じ質問を多くの対象者に行えるため、

「○%の人がこう回答した」

「経験年数によって違いがあった」

といった形で整理できます。

一方で、質問紙には限界もあります。

あらかじめ用意した質問以上のことは、なかなか分かりません。

「なぜ?」を深く知りたいならインタビュー


例えば、

「なぜ新人看護師は○○に困難を感じるのか」

「その経験を本人はどのように捉えているのか」

など、

人の経験や考えを深く知りたい

のであれば、インタビューの方が適している場合があります。

回答に応じて、

「それはどういうことですか?」

「なぜそう感じたのでしょうか?」

と掘り下げることができます。

アンケートでは、

「困難を感じる:とてもそう思う」

で終わってしまうところを、

インタビューなら、

「どんな場面で、なぜ困ったのか」

まで聞くことができます。

実際の行動を知りたいなら「観察」という方法もあります


人が「やっていると思っていること」と、

実際に「やっていること」は、

必ずしも同じとは限りません。

例えば、

「○○を意識していますか?」

という質問に、

「意識している」

と回答したとしても、

実際の行動ではどうでしょうか。

こうした実際の行動そのものを知りたい研究では、観察という方法が選択肢になることもあります。

質問するだけでは分からないことがあります。

すでに存在するデータを使えることもあります


研究のために新しくデータを集めなくても、

すでにあるデータから研究目的に答えられる場合があります。

例えば、

患者数、

処置件数、

インシデント件数、

診療録に記録されている情報などです。

もちろん、研究利用にあたっては倫理的な配慮や適切な手続きが必要です。

ただ、

「研究をする=新しくアンケートを配る」

とは限りません。

研究目的によっては、既存のデータを活用する方が適切なこともあります。

「数字にした方が研究らしい」とは限りません


研究を考えていると、

「数字で示した方が研究として良いのでは?」

と思うこともあるかもしれません。

しかし、

数値化できることと、

研究目的に答えられることは別です。

例えば、

「○○という経験を看護師がどのように捉えているのか」

を明らかにしたいのに、

無理に5段階評価にしてしまうと、

本当に知りたかったことが見えなくなる可能性があります。

反対に、

明確に比較したいことがあるのに、

自由記述だけでは整理しにくい場合もあります。

定量研究と定性研究のどちらが優れている、ということではありません。

研究目的によって選ぶものです。

方法に迷ったら「知りたいこと」を言葉にしてみる


研究方法に迷ったら、

一度、

「私は、この研究で何を知りたいのか?」

をできるだけ具体的に書いてみることをおすすめします。

例えば、

「どのくらいいるのか?」

「違いはあるのか?」

「関連しているのか?」

を知りたいのであれば、量的なデータが必要になるかもしれません。

一方、

「どのように感じているのか?」

「なぜそうするのか?」

「どのような経験をしているのか?」

を知りたいのであれば、インタビューなどが適している可能性があります。

このように、

知りたいことから研究方法を逆算する

と整理しやすくなります。

アンケートを作る前に、一度立ち止まってみる


アンケート調査自体が悪いわけではありません。

むしろ、多くの研究で有効な方法です。

ただ、

「研究だからアンケート」

「みんなやっているからアンケート」

ではなく、

「この研究目的に答えるためにはアンケートが適している」

と説明できることが大切です。

これはアンケートに限りません。

インタビューでも、

観察でも、

統計解析でも同じです。

研究方法には、それぞれ選ぶ理由があります。

まとめ


研究を始めるとき、

いきなりアンケート用紙を作る必要はありません。

まず考えたいのは、

何を明らかにしたいのか。

そのうえで、

多くの人の傾向を知りたいのか。

経験や考えを深く知りたいのか。

実際の行動を知りたいのか。

すでにあるデータから分かるのか。

を考えていきます。

そして、

研究目的
必要なデータ
対象者
データ収集方法
分析方法

とつなげていく。

研究方法は、研究を「それらしく見せる」ために選ぶものではありません。

研究目的に答えるために選ぶものです。

「アンケートを作り始めたけれど、これで本当に知りたいことが分かるのかな?」

そんなときは、一度アンケートから離れて、

「そもそも何を明らかにしたかったんだろう?」

と研究目的に戻ってみると、研究全体が整理できることがあります。

研究目的と方法がうまくつながらない、質問紙・インタビューなどどの方法がよいのか迷っている、といった場合には、研究計画全体を確認しながら整理するサポートも行っています。

看護研究計画書テンプレート
構成整理テンプレート

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す