「研究の背景が長くなる…」どこまで書けばいい?背景は“研究目的までの道筋”です

「研究の背景が長くなる…」どこまで書けばいい?背景は“研究目的までの道筋”です

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学び
看護研究の研究計画書を書いていると、

「研究の背景って、どこまで書けばいいの?」

と迷うことがあります。

テーマに関係することを調べていると、書けることはどんどん増えていきます。

社会的な問題。

医療の現状。

患者さんの特徴。

看護師の役割。

先行研究。

自分が臨床で感じている問題。

全部大切なように思えて、気付けば研究背景だけでかなり長くなっている。

でも、読み返してみると、

「それで、なぜこの研究をするんだっけ?」

が、なかなか出てこない。

今回は、そんな「研究背景が長くなってしまう問題」について考えてみます。

研究背景は「知っていることを書く場所」ではありません


研究テーマについて調べ始めると、いろいろな情報が見つかります。

例えば、

「高齢化が進んでいる」

「医療が高度化している」

「看護師には質の高い看護が求められている」

「患者のニーズが多様化している」

どれも間違いではありません。

でも、

今回の研究と本当に関係しているでしょうか。

研究背景は、

そのテーマについて知っていることを全部紹介する場所

ではありません。

医学書院の研究計画書チェックリストでも、背景では「何が分かっていて、何が分かっていないか」、研究の位置づけや重要性を論理的に示し、そこから研究目的へつながることが重視されています。

私は、

「なぜ、この研究をする必要があるのかを説明する場所」

と考えると整理しやすいと思います。

背景は研究目的までの「道筋」


例えば旅行をするとき、

目的地までの道が分からなければ困ります。

研究背景も少し似ています。

読者を、

「なるほど。だから、この研究をするのね」

というところまで連れていく役割があります。

イメージとしては、

現在どんな状況なのか


何が問題なのか


先行研究では何が分かっているのか


まだ何が分かっていないのか


だから今回の研究が必要


研究目的

です。

実際、研究背景では既存研究を整理し、未解明な点を明確にしたうえで目的につなげる構成が基本になります。

この流れが見えていれば、多少文章が長くても理解できます。

逆に、たくさん書いてあっても、

研究目的につながっていなければ、読者は迷子になります。

最初から話を大きくしすぎていませんか?


看護研究では、冒頭がとても大きな話になることがあります。

例えば、

日本では高齢化が進んでいる。高齢者人口は今後も増加すると予測されている。医療技術の発展に伴い……

と始まる。

もちろん、高齢化が直接関係する研究なら必要です。

でも、今回調べたいことが、

「新人看護師が器械出し業務を習得するときの困難」

だったとしたらどうでしょう。

高齢化から説明しなくても、研究の必要性は示せるかもしれません。

「研究らしい文章にしよう」とすると、必要以上に大きな話から始めてしまう

ことがあります。

「この一文がなくても研究目的につながる?」と考える


背景が長くなったときにおすすめなのが、

一文ずつ、

「この文章がなくても、研究目的まで話はつながる?」

と考えてみることです。

なくても全く困らない。


削れる可能性があります。

この説明がないと、なぜ研究が必要なのか分からない。


残した方がよいでしょう。

文章の長さだけで削るのではなく、

研究目的までの道筋に必要か

で判断します。

先行研究は「たくさん紹介する」ために使わない


研究背景では先行研究が重要です。

でも、

Aらは〇〇と報告している。

Bらは△△と報告している。

Cらは□□と報告している。

Dらは……

と続いていくと、

だんだん文献紹介になってしまいます。

大切なのは、

何本読んだかではありません。

先行研究から、

どこまで分かっているのか。

そして、

何がまだ分かっていないのか。

そこを整理することです。

「分かっていること」だけで終わらない


例えば、

「新人看護師は〇〇に困難を感じることが報告されている」

「Aらも〇〇を報告している」

「Bらも同様の結果を示している」

と書いたとします。

ここで終わると、

読者は、

「もう分かっているなら、今回なぜ研究するの?」

と思うかもしれません。

そこで必要になるのが、

「しかし……」

です。

例えば、

「新人看護師が感じる困難については報告されている。しかし、器械出し業務の習得過程に焦点を当てた検討は十分ではない」

とすれば、

今回の研究が入る場所が見えてきます。

「まだ分かっていないこと」が研究につながります


研究背景で重要なのは、

既に分かっていることだけではありません。

むしろ、

「まだ分かっていないこと」

を見つけることが重要です。

先行研究では〇〇まで分かっている。

しかし△△については十分に検討されていない。

だから△△を調べる必要がある。

この流れができれば、

研究目的はかなり自然に出てきます。

研究目的は背景や文献レビューの論理的な帰結として提示されることが望まれます。

「先行研究がない」は、そのまま研究の必要性になる?


ここも少し注意が必要です。

「先行研究がありませんでした。だから研究します」

だけでは、十分ではないことがあります。

なぜ研究されていないのでしょうか。

本当に重要なテーマなのでしょうか。

調べることで、看護実践や教育にどんな意味があるのでしょうか。

先行研究が少ないことは一つの材料ですが、

「研究されていない=研究する価値がある」

とは限りません。

自分の経験だけでも足りないことがあります


反対に、

「臨床で困っているから研究したい」

という出発点もあります。

これは看護研究ではとても大切なきっかけだと思います。

ただ、

「私はこう感じた」

だけで研究背景を終えると、

個人的な経験だけに見えてしまうことがあります。

そこで文献を調べます。

自分が感じた問題は、

他の施設でも起きているのか。

これまでどんな研究が行われているのか。

既に解決方法が分かっているのか。

こうして、

自分の疑問を研究として扱う意味

を確認していきます。

「背景」と「研究目的」を別々に考えすぎない


研究計画書では、

研究背景


研究目的

が別の項目になっていることがあります。

そのため、別々に書くもののように感じます。

でも、この2つはかなり密接につながっています。

背景を読み終えた瞬間に、

読者が、

「じゃあ、〇〇を調べる必要がありますね」

と思う。

そして次の研究目的に、

「本研究では〇〇を明らかにすることを目的とする」

と書いてある。

この流れが理想です。

研究目的は「何を知りたいのか」を簡潔に示すもので、研究疑問への答えを明確にするものとされています。

研究目的が突然出てきたら、背景を見直してみる


例えば背景では、

看護師のストレスについてずっと説明していた。

ところが研究目的になると突然、

「新人看護師の自己効力感を明らかにする」

となった。

読む側は、

「自己効力感はどこから出てきたの?」

となります。

研究者本人の中ではつながっていても、

文章として説明されていなければ読者には伝わりません。

背景を書いたあと、

研究目的を続けて読んでみて、

「この目的が出てくることを予想できるか」

を確認してみます。

研究背景に「結論」まで書かなくていい


背景を丁寧に説明しようとして、

今回の研究で予想される結果や、

「〇〇という支援が必要である」

といったところまで書いてしまうことがあります。

でも、

これから調べることについて、

背景の段階で答えを決める必要はありません。

背景で示したいのは、

「この問いを調べる必要がある」

ところまでです。

その答えを出すのは、

これから行う研究です。

何文字書けばいい?


これは、

一律に〇文字

とは言いにくいです。

学校や施設、投稿先の規定によっても違います。

研究テーマによって必要な説明量も違います。

ですから、

文字数よりも、

研究目的までの道筋が完成しているか

を確認する方が大切です。

短くても、

問題→先行研究→未解明な点→研究の必要性→目的

がつながっていれば、十分に伝わることがあります。

私なら「だから何?」を繰り返します


背景を書いている途中で、

私は、

「だから何?」

と考える方法が分かりやすいと思います。

高齢化が進んでいる。

だから何が問題?

〇〇の患者が増えている。

だから看護では何が問題?

看護師が〇〇に困っている。

それについて先行研究では?

〇〇までは分かっている。

では、何が分かっていない?

△△が分かっていない。

だから?

今回、△△を明らかにする。

ここまで来れば、

背景から目的まで一本の線ができます。

一度「研究目的」から逆算してみる


背景がまとまらないときは、

最初から書こうとしなくてもよいと思います。

まず研究目的を見る。

例えば、

「新人看護師が器械出し業務を習得する過程で感じる困難を明らかにする」

という目的なら、

「なぜ器械出し業務なのか」

「なぜ新人看護師なのか」

「習得過程について何が分かっているのか」

「困難について既に研究されていないか」

「それでも何が分かっていないのか」

と逆算できます。

そうすると、

背景に必要な情報が見えてきます。

研究背景を削ることは、研究を軽くすることではありません


せっかく調べたことを削ると、

「内容が薄くなったかな」

と不安になることがあります。

でも、

不要な情報を減らすことは、

研究の価値を下げることではありません。

むしろ、

研究をする理由が見えやすくなる

ことがあります。

研究背景の役割は、

知識量を見せることではありません。

まとめ


研究背景を書いていると、

つい、

「もっと説明した方がいいかな」

と文章を足したくなります。

でも、

背景で一番大切なのは文章量ではありません。

研究目的まで読者を連れていけるか。

です。

迷ったら、

現在の状況


問題


先行研究で分かっていること


まだ分かっていないこと


今回研究する必要性


研究目的

という流れを確認してみてください。

そして一文ずつ、

「この文章は、研究目的までの道筋に必要?」

と考えてみる。

研究背景は、

たくさん書くための場所ではなく、

「なぜ、この研究をするのか」を納得してもらう場所。

そう考えると、

残す文章と削れる文章が少し見えやすくなると思います。

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