研究論文を書いていて、考察まで何とか書き終わった。
残るのは、
「結論」
です。
ここまで来ると、
「結果を短くまとめればいいかな」
「考察の最後を少し言い換えればいいかな」
と思うことがあります。
でも、いざ書いてみると、
結果をもう一度並べただけになってしまう。
あるいは反対に、
最後だから立派にまとめようとして、研究で調べていないことまで広がってしまう。
結論は短い部分ですが、意外と難しいところです。
今回は、研究論文の「結論」には何を書けばよいのかを考えてみます。
結論は「結果を短くしたもの」?
例えば、研究結果として、
Aが最も高かった
Bは経験年数によって有意差があった
CとDには正の相関がみられた
という3つの結果があったとします。
結論に、
「Aが最も高く、Bは経験年数によって有意差がみられ、CとDには正の相関がみられた」
と書く。
間違いではありません。
でも、これでは、
結果を短く書き直しただけ
とも言えます。
結論でもう一度考えたいのが、
「そもそも、この研究は何を明らかにするために行ったの?」
ということです。
結論は「研究目的への答え」と考える
私は、結論を書くとき、
研究目的に対する答え
と考えると分かりやすいと思っています。
例えば研究目的が、
「新人看護師の〇〇と職務満足度との関連を明らかにする」
だったとします。
その場合、結論で一番伝えたいのは、
年齢で有意差があったことでも、
平均値がいくつだったことでもなく、
「〇〇と職務満足度には、どのような関係があったのか」
です。
研究目的に書いた問いに、
研究の最後で答える。
とても単純ですが、これが結論の軸になります。
研究目的と結論を並べてみる
結論がまとまらないときは、
一度、
研究目的
と
結論
だけを並べてみる方法があります。
例えば、
研究目的
手術室へ異動した看護師が、器械出し業務を習得する過程で感じる困難を明らかにする。
結論
手術室へ異動した看護師は、〇〇や△△に困難を感じており、特に□□の時期にその傾向がみられた。
こう並べると、
目的に対して結論が答えていることが分かります。
逆に、
研究目的と結論を並べたとき、
「この結論、目的とあまり関係ないな」
となる場合は、少し見直した方がよいかもしれません。
結果で示していないことを、結論で急に言わない
結論を書くときに気を付けたいのが、
最後になって話を広げすぎること
です。
例えば結果では、
「AとBに関連がみられた」
としか示していない。
ところが結論では、
「そのため、〇〇という教育プログラムを導入する必要がある」
と突然書く。
教育プログラムそのものを研究していないのであれば、
少し飛躍している可能性があります。
もちろん、考察で実践への示唆を書くことはあります。
ただ、
今回の研究で分かったこと
と、
そこから考えられること
は分けて考える必要があります。
「示唆された」と書けば安全?
研究論文では、
「〇〇であることが示唆された」
という表現をよく使います。
便利な表現です。
ただ、
何でも「示唆された」と書けばよいわけではありません。
例えば、
データから直接言えないことを、
「示唆された」
と書けば問題なくなるわけではありません。
大切なのは表現ではなく、
「その結論を支える結果が本当にあるか」
です。
「示唆された」を使う前に、
「何の結果からそう言える?」
と確認してみるとよいと思います。
「関連がある」と「影響する」は違います
これは結論を書くときに特に注意したいところです。
例えば、
AとBに統計的な関連がみられた。
その結果から、
「AがBに影響を与える」
と結論付ける。
研究デザインによっては、そこまで言えないことがあります。
関連があることと、
原因であることは同じではありません。
結論では、
研究結果を短くまとめようとするあまり、
結果より強い表現になっていないか
も確認します。
「有意差がなかった」研究の結論は?
研究をしても、
思ったような有意差が出ないことがあります。
そんなとき、
「結論に書くことがない」
と感じるかもしれません。
でも、
有意差がなかったことも研究結果です。
例えば、
「経験年数による〇〇の違いを明らかにする」
という目的で、
経験年数による有意差がみられなかったのであれば、
それも研究目的に対する一つの答えです。
無理に意味のある差を探す必要はありません。
結論で結果を全部書く必要はありません
昨日の記事では、
「結果はたくさん出た。でも全部書く?」
という話をしました。
結論では、さらに絞ります。
研究結果として必要だった情報でも、
すべてを結論にもう一度書く必要はありません。
研究目的に対する答えとして、
特に重要な結果は何か
を考えます。
結論が結果の章と同じくらい長くなっているなら、
少し情報を整理できるかもしれません。
実践への提言を入れすぎない
看護研究では、
研究結果を臨床や教育へつなげたいと思うことがあります。
これはとても大切です。
例えば、
「今回の結果から、新人看護師への〇〇支援が必要である」
と書く。
ただし、
今回の研究で支援方法の効果まで検証していないのであれば、
「〇〇を実施すれば改善する」
とまで断定するのは難しいかもしれません。
研究結果から言える範囲と、
今後期待されること。
この境界を意識します。
「目的→結果→考察→結論」を一直線にする
ここ数日の記事でも何度か書いていますが、
研究全体は、
研究目的
↓
結果
↓
考察
↓
結論
とつながっています。
例えば、
研究目的
AとBとの関連を明らかにする。
↓
結果
Aが高いほどBも高い傾向がみられた。
↓
考察
〇〇という背景から、AとBが関連している可能性が考えられた。
↓
結論
AとBとの関連が示唆された。
という流れです。
もちろん実際の研究は、ここまで単純ではありません。
でも、
この一本の線が通っているか
を確認するだけでも、論文全体のズレを見つけやすくなります。
結論を書いたら、研究目的をもう一度読む
論文を書いていると、
研究目的を書いたのはかなり前だったりします。
その後、
データを集め、
分析し、
結果を書き、
考察を書く。
その間に、
研究者自身の関心が少しずつ動くこともあります。
だからこそ、
結論を書いたあとに、
もう一度最初の研究目的を読む
ことをおすすめします。
そして、
「私は、この目的にちゃんと答えた?」
と確認してみます。
結論から研究目的を逆算してみる
反対方向から確認する方法もあります。
結論だけを誰かに読んでもらったとして、
「この研究は何を調べた研究だと思う?」
と聞いてみます。
相手が想像した研究目的と、
実際の研究目的が大きく違う。
そんな場合は、
結論の中心が少しズレている可能性があります。
結論には、
その研究が何を明らかにしたのかが凝縮されています。
立派な言葉で締めなくてもいい
論文の最後なので、
何か立派なことを書きたくなることがあります。
「看護の質の向上に寄与する」
「より良い看護実践につながる」
「今後の医療の発展に貢献する」
もちろん、研究内容によっては必要な表現です。
でも、
無理に大きな話にする必要はありません。
小さな研究であっても、
研究目的にきちんと答えて終わる。
それだけでも十分です。
むしろ、
研究で明らかにしていないことまで大きく広げるより、
今回分かったことを正確に示す
方が、研究として誠実だと思います。
私なら「だから何が分かった?」と考えます
結論が結果の繰り返しになってしまったとき、
私は、
「だから、この研究で何が分かったの?」
と考えると整理しやすいと思っています。
数値を全部消してみる。
p値も一度消してみる。
表も見ない。
その状態で、
「この研究から一番伝えたいことは何?」
と考える。
そこで出てきた言葉が、
結論の中心になることがあります。
ただし、結果を超えない
一方で、
分かりやすくまとめようとするあまり、
結果を超えてはいけません。
結論は、
自由に感想を書く場所ではありません。
研究結果という土台の上に書くもの
です。
ですから、
「この結論を支えている結果はどれ?」
と聞かれたときに、
きちんと示せることが大切です。
まとめ
研究論文の結論は、
結果を短く書き直すだけの場所ではありません。
一番大切なのは、
研究目的に対する答えになっているか
です。
結論を書いたら、
研究目的と並べてみる。
そして、
研究目的に答えているか
結果で示していないことを追加していないか
結果より強い表現になっていないか
実践への提言を広げすぎていないか
目的→結果→考察→結論がつながっているか
を確認してみます。
結論は、論文の一番最後にあります。
でも、
最後だからこそ、
一番最初に書いた「研究目的」に戻る。
研究の始まりと終わりがつながると、
論文全体もかなりまとまって見えます。
結論に迷ったら、
「この研究で、結局何が分かった?」
と自分に聞いてみてください。
その答えが、
研究目的に対する答えになっているなら、
結論の軸はかなり見えてくると思います。
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