「考察を書いたけど、結果の言い換えになってない?」考察では“なぜ”を一段掘り下げてみる

「考察を書いたけど、結果の言い換えになってない?」考察では“なぜ”を一段掘り下げてみる

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学び
看護研究の考察を書いていて、

「結構書けた」

と思ったのに、

指導者から、

「これは結果をもう一度書いているだけですね」

と言われる。

そんなことがあります。

自分では考察を書いたつもりなのに、

結果の言い換えになってしまう。

これは看護研究で、意外と起こりやすいことだと思います。

例えば、

結果

A群はB群と比較して〇〇得点が高かった。

考察

このことから、A群はB群よりも〇〇得点が高いことが分かった。

文章は変わっています。

でも、

言っていることはほとんど同じです。

では、

ここからどう考察を深めていけばよいのでしょうか。

今回は、

「結果の言い換え」と「考察」の違い

について考えてみます。

まず「結果」は何を書くところ?


結果では、

今回の研究で実際に得られたことを書きます。

例えば、

A群の平均値は〇点、B群は〇点だった。

A群はB群より有意に高かった。

〇〇と△△の間に正の相関が認められた。

インタビューから5つのカテゴリーが抽出された。

などです。

基本的には、

今回の研究で得られた事実

を示します。

ここでは、

「なぜそうなったのか」

まで無理に説明する必要はありません。

考察では「その結果をどう考えるか」を書く


一方、

考察では、

得られた結果をもとに、

「なぜ、このような結果になったのか」

「この結果には、どのような意味があるのか」

を考えていきます。

つまり、

結果と考察では役割が違います。

結果は、

「何が分かった?」

考察は、

「なぜそうなった?」「それは何を意味する?」

と考えると、少し整理しやすくなります。

結果を言い換えただけになっていませんか?


例えば、

結果

経験年数が長い看護師ほど〇〇得点が高かった。

これに対して、

考察

経験年数の長い看護師は、経験年数の短い看護師より〇〇得点が高いことが示された。

と書いたとします。

間違ったことを書いているわけではありません。

でも、

読者からすると、

「それは結果を見れば分かります」

となります。

ここから、

もう一段進めてみます。

「なぜ?」を一つ足してみる


結果が、

経験年数の長い看護師ほど〇〇得点が高かった

なら、

まず、

「なぜ?」

と考えてみます。

例えば、

経験を重ねることで〇〇を経験する機会が増えるから?

先輩看護師から指導を受ける機会が関係している?

さまざまな患者に対応した経験が影響している?

経験年数ではなく、研修受講経験が関係している?

など、

いくつかの可能性が考えられます。

もちろん、

思いついたことを何でも書けばよいわけではありません。

ここから、

先行研究や研究対象者の特徴などを使って、

妥当な説明を考えていきます。

「なぜ?」だけで終わらせない


例えば、

経験年数の長い看護師ほど〇〇得点が高かった。これは、経験年数の長い看護師ほど多くの経験をしているためだと考える。

これだけだと、

まだ少し弱いかもしれません。

そこで、

「なぜ経験が増えると〇〇得点が高くなるの?」

と、もう一度考えてみます。

経験を積む。


さまざまな状況に対応する。


似た場面に遭遇したときに過去の経験を活用できる。


状況判断がしやすくなる。


その結果、〇〇得点が高くなった可能性がある。

というように、

途中の仕組みを考えてみる

と、少し考察らしくなってきます。

「なぜ?」を何回も繰り返せばよいわけではありません


ただし、

何でも深く掘ればよいわけではありません。

「なぜ?」

「それはなぜ?」

「さらに、なぜ?」

と続けていくと、

研究結果からどんどん離れてしまうことがあります。

大切なのは、

今回の結果から考えられる範囲で説明すること

です。

考察を深めることと、

想像を広げることは少し違います。

先行研究と比べてみる


考察を深めるときに、

先行研究は大切な材料になります。

例えば、

今回の研究では、

A群の方が〇〇得点が高かった。

先行研究でも、

同じような結果が報告されている。

それなら、

「今回の結果は先行研究を支持する結果だった」

と整理できます。

でも、

ここで終わらせず、

なぜ同じ結果になったのか。

対象者に共通する特徴はないか。

どのような背景が影響しているのか。

まで考えてみます。

先行研究と違ったときも考察できます


反対に、

先行研究ではA群が高かった。

でも、

今回の研究では差がなかった。

こうなると、

「先行研究と違うから失敗した」

と感じるかもしれません。

でも、

違ったこと自体も、

考察する材料になります。

対象者の年齢が違う?

施設の特徴が違う?

経験年数が違う?

調査時期が違う?

使用した尺度が違う?

教育体制が違う?

など、

「なぜ今回は違ったのか」

を考えられます。

「先行研究と一致した」で止まっていませんか?


考察でよく見るのが、

本研究の結果は、Aらの報告と一致していた。

という文章です。

もちろん、

先行研究との比較は大切です。

でも、

これだけでは、

「一致していたことを報告した」

ところで止まっています。

そこで、

「なぜ一致したと考えられるのか」

あるいは、

「一致したことから何が考えられるのか」

まで進めてみます。

対象者の特徴を見直してみる


結果の理由を考えるとき、

研究対象者の特徴がヒントになることがあります。

例えば、

平均年齢。

経験年数。

所属部署。

職種。

教育経験。

資格。

勤務施設。

などです。

今回の研究対象者に、

特徴的な背景はなかったでしょうか。

その特徴が、

今回の結果に関係している可能性があります。

研究が行われた「環境」も考えてみる


看護研究では、

施設の特徴も結果に関係することがあります。

例えば、

教育体制。

勤務体制。

病院規模。

患者層。

診療科。

研修制度。

マニュアル。

スタッフ配置。

などです。

同じ看護師を対象にした研究でも、

環境が違えば結果が変わることがあります。

数字だけではなく、現場を思い浮かべてみる


看護研究では、

統計結果だけを見ていると、

考察が進まないことがあります。

そんなとき、

「実際の看護現場では、これはどういうことだろう?」

と考えてみます。

例えば、

「経験年数が長いほど得点が高い」

という結果なら、

実際の臨床場面で、

経験の長い看護師はどのような行動をしているのか。

新人看護師とは何が違うのか。

どんな経験を積んできたのか。

と考えてみる。

すると、

数字だけを見ていたときには気付かなかった説明が見つかることがあります。

ただし「自分の経験」だけで説明しない


看護師として働いていると、

「これは臨床ではこうだから」

と思うことがあります。

その経験は、

考察を考えるきっかけとしてとても大切です。

でも、

「私はそう思うから」

だけでは、

論文の考察としては弱くなることがあります。

自分の経験から仮説を考える。


文献を探す。


今回の結果と照らし合わせる。

という流れにすると、

根拠を持った説明に近づきます。

考察に新しい「結果」を出さない


反対に、

考察を深めようとして、

研究で調べていないことまで、

事実のように書いてしまうことがあります。

例えば、

今回、

研修参加の有無を調べていないのに、

A群では研修参加者が多かったため、得点が高くなったと考えられる。

と断定する。

実際には、

A群の研修参加状況は分かっていません。

この場合は、

結果から言えることを超えています。

「可能性」として考えることはできます


一方で、

先行研究などを根拠に、

〇〇の経験が影響した可能性が考えられる。

と考察することはあります。

ここでは、

分かっていること

と、

推測していること

を分けて書くことが大切です。

「~である」

なのか、

「~の可能性がある」

なのか。

表現によっても意味が変わります。

考察が浅いと感じたら「だから何?」も使ってみる


以前の記事でも使いましたが、

私は、

「だから何?」

も考察を整理するのに使いやすいと思います。

A群の得点が高かった。

だから何?

経験が影響している可能性がある。

だから何?

経験の少ない看護師には、経験を補う教育が必要かもしれない。

だから何?

教育プログラムを検討する際には、〇〇の経験を補える内容が必要かもしれない。

というように、

結果から、

看護実践や教育への意味

へつなげられることがあります。

「なぜ?」と「だから何?」を使い分ける


この2つは、

考察を書くときにかなり便利です。

なぜ?

結果が生じた理由を考える。

だから何?

その結果が持つ意味を考える。

例えば、

経験年数の長い看護師ほど〇〇得点が高かった。

なぜ?

経験によって〇〇を判断する機会が増えた可能性がある。

だから何?

経験の少ない看護師に対して、〇〇を意図的に経験できる教育が必要かもしれない。

こうすると、

結果の言い換えから一歩進みます。

考察を書くときの一つの型


考察がまとまらない場合は、

まず次の順番で考えてみてもよいと思います。

① 今回の結果


② 先行研究との比較


③ なぜこの結果になったのか


④ 対象者・環境などから考えられること


⑤ この結果が持つ意味


⑥ 看護実践・教育などへの示唆

必ずこの順番で書かなければならないわけではありません。

でも、

考察が結果の繰り返しになっているときには、

整理するヒントになります。

すべての結果を同じ深さで考察しなくてもいい


研究をすると、

たくさんの結果が出ることがあります。

それを全部、

同じ分量で考察しようとすると、

論文が非常に長くなります。

そこで、

研究目的にとって重要な結果はどれか

を考えます。

主要な結果は深く考察する。

補足的な結果は簡潔に扱う。

こうした強弱も必要です。

研究目的に戻る


考察を書いているうちに、

いろいろなことを書きたくなります。

そんなときは、

研究目的に戻ります。

今回、

何を明らかにしたかったのか。

その問いに対して、

今回の結果から何が言えるのか。

研究目的と関係のない方向へ、

考察が広がりすぎていないか。

ここを確認します。

私なら考察を書いたあとに一文ずつ確認します


考察を書き終えたら、

一文ずつ、

「これは結果を言い換えただけ?」

と確認してみます。

もし、

結果とほぼ同じことを書いていたら、

その次に、

「なぜ?」

を付けてみる。

さらに、

「だから何?」

を考えてみる。

これだけでも、

考察を見直すきっかけになります。

まとめ


考察を書いているつもりなのに、

結果の言い換えになってしまう。

そんなときは、

結果の後に、

「なぜ?」

を一つ足してみてください。

なぜ、

この結果になったのか。

先行研究ではどうなのか。

対象者の特徴は関係していないか。

環境は影響していないか。

そして、

もう一つ。

「だから何?」

と考えてみる。

この結果には、

どんな意味があるのか。

看護実践や教育に、

何を示しているのか。

考察は、

難しい言葉をたくさん使うことではありません。

結果から一歩先を考えてみること。

まずは、

結果 → なぜ? → だから何?

この3つから始めてみると、

結果の言い換えだった文章が、

少しずつ「考察」に近づいていくと思います。

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