教員が研究指導でよく見る「もったいない論文」の特徴

教員が研究指導でよく見る「もったいない論文」の特徴

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学び
卒業研究や看護研究の論文を読んでいると、

「内容は悪くないのに、少し整理すればもっと良くなるのに」

と感じることがあります。

研究テーマや着眼点は良い。
データも集めている。
本人も一生懸命取り組んでいる。

それなのに、論文として読むと伝わりにくい。

このような論文は、決して「ダメな論文」ではありません。
むしろ、少し直せば大きく改善できる**“もったいない論文”**です。

今回は、教員が研究指導でよく見る「もったいない論文」の特徴について紹介します。

① 研究目的がぼんやりしている

最も多いのが、研究目的がはっきりしていない論文です。

例えば、

「看護師の思いを明らかにする」

「患者への関わりについて検討する」

といった目的は、一見すると研究らしく見えます。

しかし、

誰の
どのような場面の
何について
何を明らかにしたいのか

が曖昧だと、論文全体がぼやけてしまいます。

研究目的は、論文の中心です。

目的が曖昧なままだと、方法、結果、考察もすべて曖昧になりやすくなります。

② 背景が長いのに、研究の必要性が伝わらない

背景をたくさん書いているのに、

「結局、なぜこの研究が必要なのか」

が伝わらない論文もあります。

背景では、単に一般的な説明を書くのではなく、

現場でどのような課題があるのか
先行研究では何が分かっているのか
まだ何が十分に分かっていないのか
だから本研究が必要である

という流れが大切です。

背景が長いこと自体が悪いわけではありません。

ただし、研究目的につながらない説明が多いと、読み手は迷ってしまいます。

③ 方法と目的がずれている

研究目的は良いのに、方法が合っていない場合もあります。

例えば、

「看護師の経験を明らかにする」

という目的なのに、選択式アンケートだけで終わってしまう。

「関係性を検討する」

と書いているのに、分析方法が単純集計だけになっている。

このように、目的と方法がずれると、研究としての説得力が弱くなります。

研究方法は、

「この目的を達成するために、この方法を選んだ」

と説明できることが重要です。

④ 結果がただの羅列になっている

結果は、集めたデータをそのまま並べればよいわけではありません。

よくあるのは、

アンケート結果を順番に並べるだけ
インタビュー内容を長く引用するだけ
表を貼って説明が少ない
どの結果が重要なのか分からない

という形です。

結果では、研究目的に対して何が分かったのかを整理して示す必要があります。

「データを出す」だけでなく、読み手が理解しやすいように構造化することが大切です。

⑤ 考察が感想になっている

看護研究で特に多いのが、考察が感想のようになってしまうケースです。

例えば、

「看護師は患者に寄り添うことが大切だと考えられる」

「今後も丁寧な関わりが必要である」

という文章です。

もちろん内容として間違っているわけではありません。

しかし、考察では、

本研究の結果から何が言えるのか
先行研究と比べてどうなのか
なぜその結果になったと考えられるのか
実践にどのような示唆があるのか

を述べる必要があります。

感想ではなく、結果に基づいた解釈を書くことが大切です。

⑥ 先行研究とのつながりが弱い

考察でよく見られるのが、先行研究との比較が少ない論文です。

研究結果だけを見て考察すると、どうしても内容が浅くなりやすくなります。

先行研究と比較することで、

先行研究と同じ傾向だったのか
異なる結果だったのか
本研究ならではの特徴は何か
看護実践にどのような意味があるのか

を説明しやすくなります。

先行研究は、背景だけで使うものではありません。
考察でも重要な役割を持ちます。

⑦ 結論が研究結果を超えている

結論で、研究結果以上のことを書いてしまう論文もあります。

例えば、少人数の研究や一施設での研究なのに、

「看護師全体に必要である」

「すべての医療現場で活用できる」

といった表現にしてしまう場合です。

結論は、研究結果から言える範囲にとどめることが大切です。

言い切りすぎるよりも、

「示唆された」

「可能性がある」

「今後さらに検討が必要である」

といった表現の方が適切な場合もあります。

⑧ 文章表現で損をしている

内容は良いのに、文章表現で損をしている論文もあります。

例えば、

主語が分かりにくい
一文が長すぎる
同じ表現が何度も出てくる
話し言葉に近い
「思う」「感じる」が多い
方法と結果と考察が混在している

といった場合です。

論文では、文章のうまさよりも、正確に伝わることが大切です。

短く、分かりやすく、論理的に書くだけで、印象はかなり変わります。

⑨ 図表があるのに活かせていない

図表を入れているのに、本文で十分に説明されていない論文もあります。

表を見れば分かるだろう、という書き方ではなく、

「この表から何が重要なのか」

を本文で説明する必要があります。

また、図表のタイトルや注釈が不足していると、読み手が内容を理解しにくくなります。

図表は、単なる飾りではありません。
結果を分かりやすく伝えるための道具です。

⑩ 最後の見直しで直せるミスが残っている

もったいない論文で意外と多いのが、最後の確認不足です。

例えば、

誤字脱字
表記ゆれ
図表番号のずれ
参考文献の形式違い
目的と結論の不一致
本文と表の数値の違い

などです。

これらは研究内容そのものの問題ではありません。

しかし、読み手には「確認が甘い」という印象を与えてしまいます。

提出前には、内容だけでなく、形式面も必ず確認しましょう。

もったいない論文は、直せば良くなる

「もったいない論文」は、決して能力が低いという意味ではありません。

むしろ、研究の材料はあるのに、見せ方や整理の仕方で損をしている状態です。

特に多いのは、

目的が曖昧
方法と目的がずれている
結果が整理されていない
考察が感想になっている
結論が言いすぎている

という点です。

これらを見直すだけでも、論文の完成度は大きく変わります。

まとめ

教員が研究指導でよく見る「もったいない論文」には、共通点があります。

研究テーマやデータが悪いのではなく、

「何を明らかにしたいのか」

「結果から何が言えるのか」

「どこまで言ってよいのか」

が整理されていないことが多いです。

論文は、書いた量よりも、論理の流れが大切です。

提出前には、研究目的、方法、結果、考察、結論が一本の線でつながっているかを確認してみてください。

論文の構成や考察の書き方に不安がある方は、提出前に一度チェックしておくことをおすすめします。
必要な方に向けて、論文チェックリストや考察の書き方のポイントも別途まとめていますので、参考にしてみてください。

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