「今後の課題」は何を書けばいい?研究の限界との違いを整理します

「今後の課題」は何を書けばいい?研究の限界との違いを整理します

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研究論文を書いていると、最後の方で、

「研究の限界」


「今後の課題」

を書くことがあります。

この2つ、なんとなく似ていませんか?

例えば、

「対象者が少なかったため、今後は対象者を増やして検討する必要がある」

と書く。

これでも意味は通じます。

でも、

「研究の限界」と「今後の課題」は、本来少し役割が違います。

昨日の記事では「研究の限界」について書きました。

今回はその続きとして、「今後の課題」には何を書けばよいのかを考えてみます。

まず「研究の限界」を振り返ってみます


研究の限界は、

研究の悪かったところを書く場所ではありません。

大切なのは、

「今回の研究結果を、どこまで解釈してよいのか」

を示すことです。

例えば、1施設だけで調査した研究なら、

「単施設で実施した」

という事実だけで終わるのではなく、

その施設特有の状況が結果に影響している可能性があり、他施設にも同じ結果が当てはまるとは限らない

と考えます。

つまり研究の限界では、

今回の結果を見るときに、何に注意する必要があるのか

を考えます。

では「今後の課題」とは?


一方、今後の課題は、

今回の研究で明らかにできなかったことを、次にどう検討していくのか

を示すものです。

先ほどの単施設研究なら、

研究の限界

単施設での調査であるため、施設特性が結果に影響している可能性があり、他施設への一般化には慎重な検討が必要である。

今後の課題

今後は複数施設を対象として調査を行い、施設特性による違いについて検討する必要がある。

となります。

似ていますが、

見ている方向が少し違います。

「限界」は今回、「課題」は次


私は、この2つを区別するとき、

限界=今回

今後の課題=次

と考えると分かりやすいと思っています。

研究の限界では、

「今回の研究には、ここまでしか言えない部分があります」

と示す。

今後の課題では、

「では、その先を明らかにするには何をすればよいか」

を考える。

このように整理すると、書き分けやすくなります。

対象者が少なかった場合


よくある例で考えてみます。

対象者が少なかった場合、

研究の限界

対象者数が少ないため、今回得られた結果が対象者特有の傾向を反映している可能性があり、結果の一般化には限界がある。

今後の課題

今後は対象者数を増やし、同様の傾向がみられるか検証する必要がある。

となります。

ここで大切なのは、

「対象者を増やすこと」そのものが目的にならないこと

です。

なぜ増やす必要があるのか。

何を確かめたいのか。

そこまで考えると、今後の課題が具体的になります。

1施設だけだった場合


単施設研究の場合も同じです。

研究の限界

施設の教育体制や勤務環境など、施設特有の要因が結果に影響している可能性がある。

今後の課題

複数施設を対象として調査し、施設による違いを含めて検討する必要がある。

となります。

単純に、

「今後は多施設で研究する」

だけで終わるより、

多施設で何を確認したいのか

まで書けると、次の研究につながります。

質問紙調査だった場合


例えば、自記式質問紙で、

「自分は○○ができていると思う」

と回答してもらったとします。

研究の限界

自己評価による回答であるため、実際の行動と一致しているとは限らない。

今後の課題

今後は行動観察や他者評価などを組み合わせ、自己評価と実際の行動との関係について検討する必要がある。

このようにすると、

限界 → 次に必要な研究

がつながります。

「今後さらに検討する必要がある」で終わっていませんか?


論文でよく見かけるのが、

「今後さらに検討する必要がある」

という文章です。

便利な表現なのですが、

これだけだと、

「何を?」

「どうやって?」

が分かりません。

例えば、

「今後さらに検討する必要がある」

よりも、

「今後は対象施設を拡大し、施設特性による違いを検討する必要がある」

の方が具体的です。

さらに、

「どのような方法で」

まで考えられると、

次の研究の方向性が見えてきます。

すべての限界を「今後の課題」にしなくてもいい


ここも大切だと思います。

研究の限界を3つ書いたから、

今後の課題も3つ書かなければならない。

というわけではありません。

例えば、

研究期間の都合で調査期間が短かった。

対象者数が少なかった。

単施設だった。

質問紙だけだった。

と限界をいくつも挙げたとしても、

すべてについて、

「今後は○○する」

と書く必要はありません。

大切なのは、

今回の研究結果から考えて、次に何を明らかにすることが重要なのか

です。

「もっと大規模に研究する」だけが今後の課題ではありません


今後の課題というと、

「対象者を増やす」

「施設を増やす」

「調査期間を長くする」

となりがちです。

もちろん、それが必要な研究もあります。

でも、それだけではありません。

例えば、

今回新しい特徴が見つかった。


なぜその特徴が生じるのかをインタビューで詳しく調べる。

ある行動と結果に関連がみられた。


実際の行動観察を行って検証する。

ある尺度で違いがみられた。


別の対象者でも同じ傾向がみられるか確認する。

このように、

今回の結果から生まれた新しい疑問

も、今後の課題になります。

良い研究は「次の疑問」が生まれることがあります


研究をすると、

すべてが解決するわけではありません。

むしろ、

一つ分かったことで、

新しい疑問が出てくることがあります。

「なぜ、この群だけ違ったのだろう?」

「この結果は経験年数が違っても同じだろうか?」

「本人はこう答えているけれど、実際の行動ではどうだろう?」

こうした疑問は、

研究が不十分だったから生まれるとは限りません。

研究をしたからこそ見えてきた、新しい問い

でもあります。

今後の課題は、

単なる「やり残したこと」ではなく、

次の研究につながる問い

と考えてもよいと思います。

「今後の課題」を大きくしすぎない


一方で、

今後の課題を壮大にしすぎることにも注意が必要です。

例えば、

小規模な院内研究の最後に、

「今後は全国の看護師を対象として調査し、看護の質向上につなげる必要がある」

と書く。

間違いではないかもしれませんが、

今回の研究から少し離れすぎていることがあります。

今後の課題も、

今回の結果から自然につながる範囲

で考える方が説得力があります。

私なら「次に何を知りたい?」と考えます


今後の課題が思いつかないとき、

私は、

「この研究が終わったあと、次に何を知りたい?」

と考えるのが分かりやすいと思います。

対象者を増やすこと自体が目的なのか。

施設を増やすこと自体が目的なのか。

そうではなく、

対象者を増やすことで、

何を確認したいのか。

施設を増やすことで、

何を明らかにしたいのか。

そこまで考える。

すると、

「今後さらに検討する必要がある」

だけではない、具体的な今後の課題が見えてきます。

研究の限界と今後の課題をつなげてみる


迷ったときは、

次の順番で考えてみると整理しやすくなります。

① 今回の研究では何が十分に分からなかった?


② それによって結果を解釈するときに何に注意する?


③ その問題を確認するには、次に何を調べる?

例えば、

単施設だった。


施設特有の結果かもしれない。


他施設でも同じ傾向がみられるか調べる。

この流れなら、

研究の限界と今後の課題が自然につながります。

まとめ


「研究の限界」と「今後の課題」は似ていますが、

役割は少し違います。

簡単に整理すると、

研究の限界
=今回の研究結果をどこまで解釈できるか

今後の課題
=今回分からなかったことを、次にどう明らかにするか

です。

そして、

「対象者が少なかった」


「今後は対象者を増やす」

だけで終わらず、

なぜ増やすのか。
何を確認したいのか。
次に何を明らかにしたいのか。

まで考えてみます。

研究の最後に書く「今後の課題」は、

単なる反省文ではありません。

今回の研究から、次の研究へつなぐ場所

でもあります。

研究が終わったとき、

「まだ分からないことは何だろう?」

と考えてみると、

次の研究テーマが見えてくるかもしれません。

研究を進めていて、

「研究の限界と今後の課題の違いが分からない」

「考察の最後をどうまとめればよいか迷っている」

「結果からどこまで言ってよいのか分からない」

といった場合には、研究目的・結果・考察のつながりを確認しながら、論文全体の整理や文章の見直しをサポートしています。

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