リーディングセラピー22 ある森の隙間にて
※まずは深呼吸リラックスして読み進めてください夜が明ける前の、ほの暗い森の隙間で、湿った土と静かに息づく苔の香りに包まれて立ちすくんでいると、すべてがやけに鮮明に思えてくる。
暗闇の中で、自分がどこから来て、どこへ行くべきかという問いかけに、答えがふと浮かんだ気がしたけれど、思考は蜃気楼のように霧散してしまう。
やがて足元でささやかな草木が風に揺れ、何か語りかけているように思えるのだが、それも聞き逃してしまうような、ほんのかすかな囁きだ。
日々の移ろいに流されて、気づけば自分を支えてきた幾つかの価値が、うすぼんやりとした輪郭に変わっている。まるで錆びた硬貨のように、その輝きが薄れ、かつて信じていたものの重さを確かめられない。大事に握りしめてきたものが、本当に自分のものだったのかも分からないまま、ふと手のひらを開けば、そこには何も残っていないのかもしれない、そんな恐れが胸をかすめる。
時折、夜の静寂に沈んだ町の灯りが、まるで星屑のように瞬いている。遠くから聞こえる汽笛の音が夜空を横切り、ささやかな隙間から忍び込んできた月明かりが、あたりの風景を静かに染め上げていく。その柔らかい輝きは、どこか手の届かない場所で、すべてが確かに存在していることを証明しているかのようだ。少し前までは、あの光さえも何もかも手に入れられると思っていたのに、その確信がなぜだかひび割れていく。
ふと、少し遠くで響く風の音に、耳を澄ませる。森の中で風が通り過ぎる音は、誰かの声を思い出させるようで、懐かしい感情が湧き上がる。幼い頃の記憶、母の優しい声、指先に触れたぬくもり。かつての自分は、ただ温もりが心を満たすだ
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