「今、求められているものは物質ではない」という話
マズローの五段階欲求説というのがありますね。五段目 自己実現欲求四段目 承認欲求三段目 所属欲求二段目 安全欲求一段目 生存欲求です。基本的には低次の欲求(下の方の欲求)から順番に満たしていくものとされています。三日間何も食べていない人(=一段目、生存欲求が危うい人)は、今目の前にいる人からどう思われるのかを気にしている場合ではありませんね(=四段目、承認欲求)。今の日本というのは、このうちの二段目までは、当たり前に満たされている社会です。毎日食べるものがあって、雨風を防げて、猛獣に襲われる心配もなく、温かい布団で寝られる。これだけで生存欲求、安全欲求まではクリアしています。ここで注目してほしいのが、これらの欲求(生存欲求と安全欲求)を満たすための手段が、物質的であるということです。一昔前、戦後の日本などは、焼け野原でした。物質的にないものばかりだった。こういう状況では低次の欲求が求められていますから、物質的に世の中を豊かにしていくことが至上命題であり、そこにニーズがありました。パナソニックの創始者である松下幸之助さんは、「水道哲学」というものを唱え、「水道の水のように低価格で大量に、物資を大量供給することこそ産業人の使命である」というような経営哲学をもっていました。まさにこれが求められた時代であったのです。この水道哲学のような考え方によって日本は高度経済成長を遂げ、先進国になることが出来たのです。この頃はまさに作れば作るだけ売れた時代です。しかし今はどうでしょう。どの家庭にもテレビや冷蔵庫、洗濯機やエアコン、車といったものは、当たり前にいきわたっています。物質的に満たされた世
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