自分を楽しませる工夫
「好き避け」という言葉を初めて聞いたのはいつだったでしょうか。文字通り、相手のことが好きだからこそ、なんとなく避けてしまう行動です。好きだからこそ仲良くなりたいのに、話しかけられても無視したり、素っ気なくしたり、本心とは裏腹に冷たい態度を取ってしまう。そこまでではないにせよ、私も軽度の「好き避け」気質があるな、と思っています。好きだからこそ、遠巻きに見ていたい、というのでしょうか。ちなみに性別問わず発動します。最初にこの言葉を聞いた時に真っ先に思い出したのが、高校時代の国語の先生のことでした。授業の度に毎回素敵なファッションで登場する当時20代半ばの先生は、制服姿の高校生の私には眩しく思えました。3歩先ゆくオネーサン的立ち位置の先生は、当然他の生徒にも大人気で、屈託のないクラスメイト達が授業後に気軽に話しかけているのを、羨ましさ半分で遠巻きに見ているのが私には精一杯。その先生の授業が一番好きな科目となるのに、そう時間はかかりませんでした。ファッションもさることながら、私の心を捉えたのはその先生の授業スタイルだったのです。例えば芥川龍之介の「羅生門」について。簡単にあらすじは以下です。---------------------------------------------------------平安京にある羅生門で雨宿りをしている下人。災害や飢饉で荒れ果てた都のその門には、死人が放置されている。行くあてのない下人はこれから生きていくためには盗人になるしかないと思い詰めていいる。ふと見ると、老婆が一人の女の死体から髪