山奥シェアハウスに来て2ヶ月が経った頃、
僕は悶々としていた。
何故なら、
ゆっくり過ごすことに飽きてきていたからだ。
最初は、疲れ切った自分を癒すために古民家シェアハウスに来たのだが、
スローペースな生活の中で段々と体力が回復してきていた。
僕は、そろそろ動き出したくてうずうずしていた。
とは言っても、他の場所に移り住むとかいう訳ではなく、
何らかの住み込みの仕事をするつもりだった。
それに、貯金も尽きかけていたので、働くしかなかった。
当時の預金残高は15万円程だった。
進む先が決まらない焦りに加えて、お金がなくなる恐怖がのし掛かってきた。
毎日、indeedの画面を開いては、「あーでもない、こーでもない」とスクロールしていた。
時間をかけた割に、あまりピンとくるものは見つからなかった。
何度か、無理やり仕事を決めようとしてみたが、
途端に無気力が体の中を駆け巡り、それ以上進めることができなかった。
僕の心は、前より自分に対して正直になっており、
嫌なことに力を出せなくなっていた。
前進したい気持ちと、進めない苦しさがぶつかり合って、鬱々としていた。
「何なんだよ俺の人生って…」
何もしないで過ぎる時間に、虚しさを感じた。
この時期は、いつも目覚めが悪かった。
よく嫌な夢を見ていた。
全部、後味の悪い夢だった。
YouTubeや音楽を聴くこともしんどかった。
ファッションにもこだわりがなくなっていった。
何かをしたいのに、何をしていても楽しくなかった。
出口のないトンネルを、永遠と歩いているような気分だった。
いつになったら光が見えるのだろう。
そもそも光なんてあるのか。
ここまで来たのに、なぜ停滞しているのか。
本当に苦しかった。
もういっそ、死にたいと思っていた。
続く。