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第41回:企業価値評価 ~ 負債・現預金・P/E倍率

第41回:企業価値評価 ~ 負債・現預金・P/E倍率この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 投資や企業価値評価において、よくP/E倍率(株価収益率、もしくはPERとも表記されます)という指標が使われます。この指標は「時価総額(あるいは株式価値)÷純利益」もしくは「株価÷一株当たり利益(EPS)」で算出されるもので、例えば、株価が1000円で、一株当たり利益が100円ならば、P/E倍率は10倍と計算されます。使われる場面としては、一般的には、市場平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断する際に用いられる指標となります。さて、本日は、このP/E倍率の「くせ」について少し言及したいと思います。具体的には、企業の資本構成、つまり、企業のバランスシートにおける有利子負債や現預金の額によって、どのような影響があるか、見ていきたいと思います。結論から申し上げると、同じような収益性を持っている会社同士でも、(バランスシートの資産に対して)有利子負債が多い企業はP/E倍率が「低くなる」傾向があり、現預金が多い企業はP/E倍率が「高くなる」傾向があります。直感的な説明は以下の通りです:まず、「企業価値(Enterprise Value)= 株式価値(Equity Value)+有利子負債-現預金」という計算式が成り立ちますが、この式変形をすると、「株式価値 = 企業価値-有利子負債+現預金」となります。つまり、企業価値が一定とすると、有利子負債が増えると「
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第44回:企業価値評価の主な手法の整理(前編)

第44回:企業価値評価の主な手法の整理(前編) この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 ココナラでは企業価値評価の手法としてよく使われる「DCF法」のテンプレートを提供していますが、数多くご用命頂いている中で、「DCF法以外にはどういった企業価値評価の手法があるのか」、「それぞれの手法で評価する場合にどういった結果になるのか」という疑問も頂戴するようになり、こちらのブログでまとめて参りたいと考えています。※尚、企業価値評価のことを「バリュエーション(する)」という表現を使うこともありますので、本ブログでもそのような記載をする場合もございます。この話題については2本立てで、まずはこちらの「前編」にて、企業価値評価の手法を整理した後、「後編」(第45回)にて各々の評価手法を使った場合にどのような結果になるのか整理して参ります。どうぞ宜しくお願い致します。さて、バリュエーションの手法ですが、一般的には、大きく分けて次の3つあります:①インカム・アプローチ②マーケット・アプローチ③コスト・アプローチ①インカム・アプローチ概要:会社の将来のキャッシュフローや利益、あるいは、配当といったものを勘案したうえで、バリュエーションを行うものです。具体的にはDCF法や配当割引法、あるいは、少し前に紹介したDiscounted Earnings法も含まれます。メリット:最も大きな点としては、会社の将来の収益性も反映できることが挙げられます。特に、足元の業績が何らかの事情により短期的
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第12回:投資をしよう ~ 理論株価の計算(エクセルを使用したツール公開中!)

第12回:投資をしよう ~ 理論株価の計算(エクセルを使用したツール公開中!)この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 これまで第8回~11回までで、企業価値評価や理論株価計算の方法について、その仕組みや考えを説明して参りました。今回は、それらを踏まえて、応用編として、出品中のサービス「企業価値評価・理論株価の計算」エクセルシートの使用方法を紹介したいと思います。【企業価値評価や株式分析・理論株価の計算でよく使われるDCF(Discount Cash Flow)分析を行えるエクセルシートを出品中です】さて、DCF分析には3表(BS/PL/CF)が繋がったものもありますが、本ツールは、シンプルにDCF分析を行いたい場合向けのものとなります。オンラインで主要財務指標がフリーでダウンロードできる「バフェット・コード」のデータを利用して色々な企業の分析にも応用できます。まず、本ツールの主要な構成としては以下の通りとなっています①「財務データ」シート②「DCF分析モデル」シート使い方の作業フローとしては、■手順(1):バフェットコードから財務資料をダウンロード①「バフェットコード」にアクセスします。※Google等のアカウントでログインができます②トップページから分析したい企業等を入力して、該当企業のページを開きます③左サイドに「業績」タブがあるので、業績概要ページを開きます④概要ページの右側に「ダウンロード」とあるので、そこからエクセルデータをダウンロードします※バフェ
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第39回:理論株価計算 ~ DCF法、前提条件の整合性チェック

第39回:理論株価計算 ~ DCF法、前提条件の整合性チェックこの度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 理論株価を計算する方法としてDCF法が活用されることが多いですが、DCF法においては前提条件が重要になり、また、ターミナルバリュー(Terminal Value、以下「TV」)はDCFの結果に大きな影響を及ぼすものであることから、TVの計算に使用されるパラメーターが適切であるか、ということを検証することは重要になります。今回は少し深掘りをして、こうした前提条件の整合性の検証を行う方法について、紹介したいと思います。【過去記事紹介】DCF法の概要や計算テンプレートの紹介TVが理論株価評価に及ぼす影響に関する紹介さて、まずは復習となりますが、TVの計算方法においては、①永続成長率法と②Exit Multiple法、という2つがあります(※尚、Taskaruが出品しているテンプレートは基本的には①のアプローチのみを採用しています)各々の計算式は次の通りとなります:①永続成長率法では、【計算式①】②Exit Multiple法(EV/EBITDA倍率ベース)では、 【計算式②】Terminal Value = Terminal Year の EBITDA x EV/EBITDA倍率検算のポイントとしては、(A)永続成長率法から計算されるTVを用いて、Exit Multiple(※②の計算で使用されるEV/EBITDA倍率)を逆算する、とともに、(B)Exit Mu
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第36回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 「NTM」予想値

第36回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 「NTM」予想値この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 以前、類似企業比較分析(Comps分析)について紹介しました。その中で、決算期が異なる会社に対するカレンダライズという調整手法も紹介しました。【類似企業比較分析について紹介した過去記事】今回は、その更に応用編として「NTM」予想値について紹介したいと思います。まず、ファイナンス等の分野での企業業績に関して用いられている概念として、LTMとNTMというものがあります。LTMとは「Last Twelve Months」の頭文字で、過去12カ月(実質的には、過去4四半期)の業績実績となります。図で例示すると、以下の4四半期分の実績値を合計したものになります。これと類似して、NTMとは「Next Twelve Months」の頭文字をとったもので、今後12カ月(実質的には、将来4四半期)の予想値となります。図で示すと、以下の期間の予想値の合計になります。NTMを予想値として参照する便利な点としては、カレンダライズと共通する所ですが、決算期が異なる会社同士の比較にも使えるということです。よくある質問として、「NTMは、1年先/今期予想のFY+1と似ているのではないか」ということですが、FY+1を例えばデータベース等で取得すると、あくまでも「今期」の予想になるので、決算期が異なる会社同士の場合は、違った期の数字が出てきます。また、例えばマルチプルの過去トレンドを取得する際等に
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第21回:株式投資 ~ 相場環境/相場サイクルと理論株価(2022年も宜しくお願い致します)

第21回:株式投資 ~ 相場環境/相場サイクルと理論株価この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。2022年も宜しくお願い致します。さて、年明けからマザーズ指標を中心に株式市場にとっては難しい展開となっています。コーポレート・ファイナンスを用いて理論株価を計算できますが、実際の株価は需給等の”市場の環境”に左右されることが往々にしてあります。つまり、株式投資を念頭に置く場合、「現実の株価が理論株価を下回っていれば、理論的には”割安”になりますが、”割安”だからといって必ずしも上がるとは限らない」ということです。株価が上がるためには、株への需給要因もあるためです。そこで今回は、過去の市場環境の分析の復習と合わせて、株の需給にも影響する「相場のサイクル」についてお話ししたいと思います。さて、浦上邦雄著『相場サイクルの見分け方』によれば、相場には次の4つのサイクルが存在すると言及されています:①「金融相場」、②「業績相場」、③「逆金融相場」、④「逆業績相場」。これらのサイクルは、相場の「四季」のように、① → ② → ③ → ④ → ① …という具合でサイクルがつながっていきます。相場のサイクルとマクロ指標の動きは次のように整理されます。【各サイクルの特徴】①金融相場一言でまとめると、いわゆる「金余り」を背景とする相場サイクルです。コロナ禍の市場においては「不景気の株高」と言われていたことを記憶している方も多いかと思います。不景気の環境においては、政策当局や中央銀行は景
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第45回:企業価値評価の主な手法の整理(後編)

第45回:企業価値評価の主な手法の整理(後編) この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。さて、前回ブログ第44回:企業価値評価の主な手法の整理(前編)においては、企業価値評価の手法として、大枠として①インカム・アプローチ、②マーケット・アプローチ、③コスト・アプローチの3つがあり、各々の概要やメリット・デメリットについて紹介しました。今回の「後編」においては、同じ企業でも、各々の手法で算定した場合、どのようになるか、ということについて考察したいと思います。尚、前編で記載の通り、あまりコスト・アプローチは使用したことがないので、後編においては、同じ企業において、DCF法(=インカム・アプローチの代表例)と類似企業比較法/Comps法(=マーケット・アプローチの代表例、ここではPERやEV/EBITDA倍率を用いた手法を念頭に置いています)を採用した場合にフォーカスして考察したいと思います。まず、結論から申し上げると、同じ企業に対して、DCF法とComps法を適用して算出される企業価値を比べると、一般的にはDCF法の結果の方が高くなるという見方・主張があります。この見方における根拠の一つとしては「コントロール・プレミアム」の存在が挙げられます。以下、順を追って説明して参ります。まず、コントロールプレミアムの概念としては、会社の株式を取得する際に、会社の経営権まで取得できる(=会社をコントロールできる)場合に、追加で支払う価格(=プレミアム)を指します。ざっくりなイメ
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第14回:「成長株」はなぜ金利上昇に弱いのか。ターミナル・バリューとの関係性。その1

第14回:「成長株」はなぜ金利上昇に弱いのか。ターミナル・バリューとの関係性。その1この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 前回は理論株価を計算する方法としてDCF法において重要なパーツである「ターミナル・バリュー」についてお話ししました。今回は少し応用編を考えたいと思います。さて、一般的に、いわゆる「成長株」は市場金利の上昇局面の際に株価が上がりにくいということが言われています。その要因として、DCFの考え方に基づくと、「成長株の価値は将来の期待キャッシュ・フローに大きく依存しており、金利が上がるとCAPM等の考え方から割引率が上がってしまうため、将来期待キャッシュ・フローから生み出される価値が低く計算されてしまう」ということが一般的には挙げられています。この説明は広く受け入れられていて、実務でも感覚には合うので、疑問視する人は少ないと思いますが、本当にそうなのか、いくつか簡単な数字を使って検証していきたいと思います。今回と次回にわたって、以下の2つのパートに分解して進めて参りたいと思います。(1)そもそも、成長株の価値(バリュエーション)は、そうではない株と比べて、将来の期待キャッシュフロー(つまり、ターミナル・バリュー)にどれぐらい高く依存しているのか(2)金利変化によって、バリュエーションはどれぐらい変わるのか以下に続きます。【本ブログで取り上げている話題に関連する資料】 理論株価の計算(エクセルを使用したツール公開中!) 以下に続きます。さて、以下の
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第13回:理論株価計算、DCF法のターミナル・バリューは何年で現在価値に割り引くか

第13回:理論株価計算、DCF法のターミナル・バリューは何年で現在価値に割り引くかこの度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。理論株価を計算する方法としてDCF法が活用されることが多いですが(ブログ第8回ご参照)、その計算において重要なパーツとなるのが、ターミナル・バリューとなります。【本ブログで取り上げている資料】 内容が参考になりましたら、ご購入をご検討頂けますと幸いです!さて、簡単な例題事例で考えてみます。【例題事例】1 株あたりのフリー・キャッシュ・フロー(FCF)の予測値が 1 年後 20 円、2 年後 30 円、3 年後 35 円、4 年後 40 円、5 年後 35 円、6 年目以降 30 円で一定とする。1株当たりの企業価値(Enterprise Value、EV)はいくらか。尚、この会社の加重平均資本コスト(WACC)は 10%と推定される。この場合、この会社については6年目以降のキャッシュフローの価値の総和が「ターミナル・バリュー」となります。DCFの手法に基づけば、1年目~5年目は次のように現在価値に割り戻され、1~5年目のFCFの現在価値の総和を計算することが可能です。ここでは118円となります。また、ターミナル・バリュー(以下、TV)として、6年目以降のFCFの価値の総和も次の計算式に当てはめることで求めることができます(尚、6年目以降のFCFは「一定」なので、成長はしない、つまりg=0)。計算式としては、ここでは、TV = 30÷10% =
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第28回:企業価値評価 ~ 類似企業比較分析(Comps分析)【補足:カレンダライズ】

第28回:企業価値評価 ~ 類似企業比較分析(Comps分析)【補足:カレンダライズ】この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。前回ブログに企業価値評価の手法として「類似企業比較分析(Comps分析)」を取り上げました。今回は、その分析における補足として、このComps分析を更に精緻にやるならば、という前提で、「カレンダライズ(Calendarize)」というプロセスを簡単に紹介したいと思います。大枠のイメージとしては非常にシンプルで、ポイントとしては、会計年度/決算期の違いを調整するというお話です。これは特に売上高や営業利益といった損益計算書項目について影響します。まずは概念を例を用いて説明します:さて、2021年12月末に決算期末を迎える会社Aと、2022年3月末に決算期末を迎える会社Bがあると仮定します。例として、いわゆる「FY+1」として”1期先”の利益を考える場合、Aについては2022年1月~12月末までの利益である一方、Bについては、2022年4月~2023年3月までの利益となります。つまり、Aを基準にして2022年12月末という観点で評価する場合、Bについては2023年1~3月分の「将来の利益」が余計にカウントされることになります。通常は利益は成長するはずだという前提に立ちますので、「将来の利益」が余計にカウントされるということは、即ち、そのまま計算してしまうと、Bについては、その株価マルチプルが下がる(マルチプルは株価÷収益で計算されるため、分母が
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株価が「高い」「安い」はどう見分けるのがいい?

いきなりですが、株価が「高すぎる=(割高)」、「安すぎる=(割安)」かは単純な価格の比較では決まりません。この先、上昇するかを考えたうえで、株価自体の水準を抑えていく必要があります。例えばA社とB社があり、A社の株価=1000円B社の株価=100円という値が付いた銘柄があるとします。単純に価格だけを見ればA社の方が高いと思えますが、その1点だけでは「割高」と判断することは出来ません。A社の業績がよく将来性もあれば1000円でも割安、B社が赤字続きなら100円でも割高という可能性があります。会社の実態を考慮しよう株価の高い、安いと判断するモノサシは、業績や財務状況など様々です。例えば、「利益から図る株価収益率(PER)」「資産から図る株価純資産倍率(PBR)」「経営効率から計る株主資本利益率(ROE)」があります。どの指標を見るかは経営状況や経済状況によって異なるので、それぞれのモノサシについてみていきます!「PER」で利益から考える株価に大きな影響を与える業績の動向。その中の利益を株価水準のモノサシにしたのが株価収益率(PER)です。PERは株価が1株当たりの利益の何倍まで買われているかを表していて、投資した金額が何年で回収できるかを示しています。PERは数値が低い程、割安と判断できます。「PBR」で資産から考える会社の資産から株価水準を測る方法です。PBRは会社が仮に解散したとき、株主にどれだけ取り分があるかを示した数値です。PBRの数値が低い程、割安ということになり、もし1倍未満ということになれば、株価は底値圏にあるという見方も出来ます。会社が業績を伸ばし、経済状況もいいと
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第40回:意外と奥が深い「負債の節税効果」 ~ 企業価値評価におけるWACCとTax Shieldについて

第40回:意外と奥が深い「負債の節税効果」 ~ 企業価値評価におけるWACCとTax Shieldについてこの度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 本日は企業価値評価における「Tax Shield」についてです。日本語では「(負債の)節税効果」とよばれ、DCF法等で企業価値評価を行う場合、負債の金利支払いによって税金支払いも減るため、その分、企業価値が上昇するという、あのお話です。良く出てくるところとしては、DCF法の割引率WACCの計算式で出てくる「1-Tax」の部分です。WACCは要するに株主資本コスト(株式調達にかかるコスト)と負債コスト(借入にかかるコスト)について、資本構成で加重平均をとったものですが、なぜ負債コストの方は1-Taxをするのでしょうか。これについて本日は深掘りしていきたいと思います。【関連する過去ブログの紹介】さて、まずは基本のおさらいです。Tax Shieldとは何か、数字を使って確認したいと思います。例えば以下のようなA社とB社があり、同じ営業利益100を挙げていると仮定します。違いとしては資本構成のみで、B社は有利子負債500あるのに対し、A社は有利子負債を持たない会社であると仮定します。ここで有利子負債に対する支払金利が2%、また、法人税30%と仮定して計算すると次の通りになります。さて、両社の「投資家が受け取るキャッシュフロー」に注目すると、多少便宜的な仮定は置いているものの、面白いことに、企業Bの方が、企業Aよりも、3だけ大
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第35回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 発行済み株式総数に対するTreasury Stock Methodを使った調整

第35回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 発行済み株式総数に対するTreasury Stock Methodを使った調整この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 さて、前回に引き続き、投資銀行の実務に関連したトピックを紹介して参ります。【前回の記事】今回は「Treasury Stock Method」についてです。企業価値評価において、最終的には「1株あたり」の株価を算出することが多いと思います。1株あたりの株価を算出するためには、DCF法等によって計算された株式価値総額を発行済み株式総数で割ることによって求められますが、ここで問題になるのが「では、発行済み株式総数はいくらなのか」という点になります。【DCF法については以下ご参考】さて、一般的に、企業価値評価において、「1株あたり」の指標を計算するためには、自己株式を除いた発行済み株式総数を用います。これは、企業の株主還元策として自社株を買い消却する動きが拡大しており、そうした実態に近い投資指標にするためだと言われています。しかしながら、投資銀行では、これに加えて、ストック・オプション等による希薄化も勘案した「完全希薄化後発行済み総数」(Fully diluted shares outstanding)という数値が使われます。ストック・オプションの行使によって発行済み株式数が「増える」ことになります。そのため、1株あたりの指標を計算する際の分母が変化することになります。この分を調整しようということです。尚、こう
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第29回:企業価値評価 ~ Sum-Of-The-Parts分析(ソニー等を事例に解説します)

第29回:企業価値評価 ~ Sum-Of-The-Parts分析(ソニー等を事例に解説します)この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 #本資料で事例として取り上げる企業:ソニー、Zホールディングス(ヤフーとLINEの親会社)、リクルート、ソフトバンク本日は、企業価値評価の1つの手法として「Sum-Of-The-Parts(サム・オブ・ザ・パーツ)分析」を紹介致します。この手法はブログ第27回にて取り上げた類似企業比較分析法の応用編という部分もありますので、合わせて読んでいただけると理解も深まるかと思います。さて、「Sum-Of-The-Parts(サム・オブ・ザ・パーツ)分析」(以下、”SOTP分析”と呼びます)とは、一言で説明すると、「複合的な事業を持つ会社の企業価値評価を行う場合において、各々の事業(パーツ)に分けて評価した後に、その結果を合算する(サム)ことで、その企業の価値を評価しよう」という手法になります。少し違う観点から説明すると、複合的な事業を持つ会社(コングロマリット企業と呼ばれます)については、例えば、類似企業比較分析法の弱点である「類似の企業が見つからない」という点が生じてしまうため、各々の事業を一旦分けて、各事業について類似企業を調査して評価しよう、ということです(要するに、まとまりだと評価が複雑で難しいので、個別に分けることでシンプル化して評価しよう、ということです)。この手法がよく見られる例としては、ソニーグループが挙げられます。ソニ
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第27回:企業価値評価 ~ 類似企業比較分析(Comps分析)

第27回:企業価値評価 ~ 類似企業比較分析この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。さて、本日は「類似企業比較分析」についてです。英語では、Comparable Companies Analysisと言われることから、Comps("コンプス")分析と呼ばれることが多いです。まず、本題に入る前に少し全体像を整理したいと思います。企業価値評価(バリュエーション)の手法について、大きく3つに分類すると、次のようなアプローチが挙げられます。① インカム・アプローチ:企業の将来の収益やキャッシュフローの予想を指標として企業価値を評価するもの。具体的にはDCF分析(Discounted Cash Flow、まさに文字通りキャッシュフローが登場する分析)が挙げられます。DCF法の詳細についてはブログ第8回に掲載しています。② マーケット・アプローチ:対象企業と同業他社の時価総額を比較したり、類似の買収事例などを参考に企業の価値を評価する手法。③ コスト・アプローチ:対象企業のバランスシートに着目し、純資産をベースに企業価値を評価するもの。例えば、簿価ベースの純資産を基にする簿価純資産法や、資産や負債について時価評価を行ったうえで純資産を計算する時価純資産法などが挙げられます。→ 今回紹介するComps分析は、②マーケット・アプローチに属する手法の一つになります。つまり、概念として、Comps分析においては、市場において実際に取引されている株価や指標等に着目した企業価値評価の手
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第16回:理論株価計算、財務モデルの前提をどのように作るか

第16回:理論株価計算、財務モデルの前提をどのように作るかこの度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。さて、理論株価計算のブログやサービスを提供している中で、時々、どのように財務モデルの前提を作ったらよいか、という問い合わせを頂くこともあります。(以下に続きます)【理論株価の計算:エクセルを使用したツール公開中!】(以下に続きます)実はこの質問はかなり奥が深く、事業会社のIR(投資家窓口)と機関投資家のやりとりのなかでも、特に”上手なやりとり”の中では、それを意識した会話がなされることが多いと思っています。というのは、機関投資家のファンドマネージャーやアナリストは投資先の企業の分析スプレッドシートを持っており、それを常にアップデートしながら理論株価を見ながら行動していることが多い印象を持っています。機関投資家の取材では、多くの場合、そのスプレッドシートをどのように「動かすか」を意識した質問がなされることが多いです。スプレッドシートの変化は、投資家の理論株価にも影響を及ぼすためです。また、証券会社の立場でも、M&AやIPOの価格決めにおいて当然、財務モデルの前提は非常に重要になり、何度も修正やアップデートがなされる部分でもあります(ただ、証券会社の立場では、将来予想値等は事業会社に提供頂くことも多いです)。こうしたプロセスを経験した中で、「財務モデルの前提をどのように作るか」、私なりの考えを本ブログでは紹介したいと思います。さて、「財務モデルの前提をどのように
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第33回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ Mid Year Convention(期央主義)

第33回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ Mid Year Convention(期央主義)この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 さて、本日は、投資銀行の実務に関連して、企業価値評価における「Mid Year Convention(期央主義)」という概念を紹介したいと思います。これは、一般的にコーポレート・ファイナンス等を学んでいると、企業価値評価において将来キャッシュフローを割り引く手法(DCF分析)では、例えば2年目のキャッシュフローを「2(年)」で割り引きます。【ご参考:DCF法に関する解説ブログ】しかしながら、必ずしも「2」では割り引かず、少し調整をした形で「1.5(年)」で割引をすることも多いです。⇒ これを「Mid Year Convention」と呼びます。また、日本語では、「(DCF法における)期央主義」と呼んだりもします。期央主義については、投資銀行等のバリュエーションで多く使われていますが、詳細な解説が多くないと感じており、本日はこのことについて、解説して参りたいと思います。まず、結論から申し上げると、期央主義に基づいて、例えば5年間のフリー・キャッシュ・フロー(FCF)を割り引く場合は、以下のようになります。少し一般化すると、N年のFCFは「N」年で割り引かず、「N-0.5」年で割り引きます。なぜそうなるかと言うと、FCFが、その期の「真ん中」(=”Mid-Year”)で発生するという仮定を置いているためです。この仮定の背景を説明します
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第26回:成長株の企業価値評価(Discounted Earnings法)

第26回:成長株の企業価値評価(Discounted Earnings法)この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。成長株の企業価値評価や理論株価算出においては、長期の成長を取り込むため、DCF(Discounted Cash Flow)分析が用いられることが多いですが、少々便宜的な方法として、Discounted Earningsという手法もあります。本日はこの手法について紹介したいと思います。【DCF法による理論株価計算に関する過去ブログ】さて、このDiscounted Earningsというバリュエーション手法は、高成長の会社に使われることが多いですが、その他にも、将来財務において、売上や利益が急に大きく増える局面があるケースにも使われます。例えば、直近では「商船三井によるダイビルの子会社化」において使われていることが見られます。ダイビルは商船三井の上場子会社で、「東京・大阪・札幌の都心部に計28棟のオフィスビル・ホテルビル・商業ビルを所有・賃貸」(同社ホームページより引用)している不動産企業ですので、あまり「成長株」というイメージはないかと思います。しかしながら、予測期間中に大幅な増減益を含むことから、この手法が取られたのではないかと考えています。具体的には、ダイビル株式会社『支配株主である株式会社商船三井による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ』に記載のある「将来株式価値の現価分析」と記載の部分が、Discounted
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第15回:「成長株」はなぜ金利上昇に弱いのか。ターミナル・バリューとの関係性。その2

第15回:「成長株」はなぜ金利上昇に弱いのか。ターミナル・バリューとの関係性。その2この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 一般的に、いわゆる「成長株」は市場金利の上昇局面の際に株価が上がりにくいということが言われています。その要因として、DCFの考え方に基づくと、「成長株の価値は将来の期待キャッシュ・フローに大きく依存しており、金利が上がるとCAPM等の考え方から割引率が上がってしまうため、将来期待キャッシュ・フローから生み出される価値が低く計算されてしまう」ということが一般的には挙げられています。 この説明は広く受け入れられていて、実務でも感覚には合うので、疑問視する人は少ないと思いますが、本当にそうなのか、いくつか簡単な数字を使って検証していきたいと思います。前回と今回で、以下の2つのパートに分解して考えてみたいと思います。(1)そもそも、成長株の価値(バリュエーション)は、そうではない株と比べて、将来の期待キャッシュフロー(つまり、ターミナル・バリュー)にどれぐらい高く依存しているのか →前回(第14回)において(1)は説明していますが、要約すると:→成長株では広告宣伝費の投下や戦略的投資の遂行等により、足元のキャッシュフローは少ないケースが多いです。前回(第14回)より、スタート時点のキャッシュ・フローが少額である場合、成長率が高くなればなるほど、ターミナル・バリューが企業価値に占める割合も高くなることを示しました。そのため、成長株の価値(バリュエー
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第37回:理論株価計算、財務モデルの前提をどのように作るか (実務編)

第37回:理論株価計算、財務モデルの前提をどのように作るか (実務編)この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。 以前、理論株価の計算で非常に重要になる財務モデルの作り方について、考え方のフレームワークを紹介しました。今回は続編として、(主に投資銀行業務を念頭に)もう少し実務寄りの話題として、実際にはどのようなアプローチが取られているか紹介したいと思います。【理論株価の計算:エクセルを使用したツール公開中!】【前回のブログ】まず、大きく分けて2つのパターンがあります。1.「マネジメント・ケース」が有るとき一般的に、投資銀行が例えばM&A案件において、買い手側あるいは売り手側のアドバイザーに就任する際、アドバイスを提供する事業会社(つまり、投資銀行にとってのクライアント企業)から、買収対象企業あるいは売却対象事業に関する事業計画を受領することが多いです。これは「マネジメント・ケース」と呼ばれ、多くの事例において5年程度の予想値を含むものとなります。また、予想値についてはクライアント企業が作成したものになります。これに対して、投資銀行において、前提条件等に対して一定程度調整をかけた予想値も同時に作成され、調整の掛け方によって、これらは「ベース・ケース」「強気ケース」「ストレス・ケース」等と呼ばれたりします。調整の程度については、一概に答えはなく、前回ブログ第16回でも言及したように、分析対象のビジネスに詳しい専門家等の意見もクロスチェックとして聞きながら作成す
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