第16回:理論株価計算、財務モデルの前提をどのように作るか
この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。
さて、理論株価計算のブログやサービスを提供している中で、時々、どのように財務モデルの前提を作ったらよいか、という問い合わせを頂くこともあります。
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実はこの質問はかなり奥が深く、事業会社のIR(投資家窓口)と機関投資家のやりとりのなかでも、特に”上手なやりとり”の中では、それを意識した会話がなされることが多いと思っています。というのは、機関投資家のファンドマネージャーやアナリストは投資先の企業の分析スプレッドシートを持っており、それを常にアップデートしながら理論株価を見ながら行動していることが多い印象を持っています。機関投資家の取材では、多くの場合、そのスプレッドシートをどのように「動かすか」を意識した質問がなされることが多いです。スプレッドシートの変化は、投資家の理論株価にも影響を及ぼすためです。
また、証券会社の立場でも、M&AやIPOの価格決めにおいて当然、財務モデルの前提は非常に重要になり、何度も修正やアップデートがなされる部分でもあります(ただ、証券会社の立場では、将来予想値等は事業会社に提供頂くことも多いです)。
こうしたプロセスを経験した中で、「財務モデルの前提をどのように作るか」、私なりの考えを本ブログでは紹介したいと思います。
さて、「財務モデルの前提をどのように作るか」、ひとことで言うならば、”数字とストーリーを組み合わせていく”ということになると思います。理系は左脳派、文系は右脳派と言われていますが、財務モデルの前提づくりは、まさに”左脳と右脳の両輪を回転させる”というプロセスだと考えています。
つまり、数字は確かに客観性や正確性をもたらしますが、ストーリーの無い数字は「鉛筆をなめたもの」になるリスクがあります。一方で、ストーリーは数字よりも覚えやすく人の感性に響くものですが、数字に基づかないストーリーは「空物語」になるリスクがあります。そのため、両方のバランスを取る必要が不可欠だと考えます。
では、どのように進めるか。私がよく取っているのは次のようなアプローチ /プロセスです: