第17回:LBO分析:その1 ~ 概要の紹介 ~

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第17回:Leveraged Buyout (LBO)分析:その1 ~ 概要の紹介 ~

この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。

今回は、M&Aの形態のひとつであるLBO(Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)の略)分析について紹介したいと思います。

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(以下に続きます)

さて、今回は先ず「LBO分析の概要」について、紹介したいと思います。

ひとことで言うと、LBOとは、企業買収の一つの手法で、借入金を活用した企業買収になります(つまり、Leveraged = レバレッジがかかった、Buyout = 買収、ということです)。

横文字で書くと”何かすごそうだな”という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、何か特殊な話ではなく、似たような取引は身近にも見られます:例えば、車のローンであったり、住宅ローン、あるいはFXや株式の信用取引をやったことがある方であれば、いわゆる「レバレッジ」取引になります。

これらに共通していることは、少ない資本(手元現金)で大きな買収(買い物)ができる、という点にあります。企業買収におけるLBO分析も同じようなイメージを持っていただければと思います。

ただ、LBO取引の場合は、金融機関/機関投資家(ファンド)等がより大きな収益を出せるように開発された手法という側面もあるので、事業シナジーを得る目的で事業会社がLBOを用いるケースよりも、投資ファンドが売買益を得る目的でLBOを用いるケースの方が多いと感じています(一部の例外を除く。例えば、事業会社によるLBOは、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収が有名かと思います)。
→ つまり、上述のローンの事例を援用すると、厳密には”自分で住む家のための住宅ローン”ではなく「賃貸用不動産の取得のためのローン」がむしろ近いというイメージです。

こうしたことから、企業買収におけるLBO取引には以下の特徴が挙げられます:
(1)買収対象企業のキャッシュ・フロー(ビジネスモデルや資本、あるいは収益力等)を担保としていること、および、
(2)レバレッジを効かせることによって生じた負債は買収対象企業が返済する

このような特徴があるため、LBOによる買収対象企業としては、”キャッシュ・フロー創出力が強い会社”や”バランスシート上に現預金をたくさん保有している会社”という特徴を有するケースが多いです。
→ 例えば、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収の例において、ボーダフォン日本法人は携帯電話事業者ですが、携帯電話普及率が高い中で、事業としては安定したキャッシュフロー創出力が見込めることはイメージ頂けるかと思います。

次に、大まかなLBO取引のフローとしては以下の通りとなります(ファンドからみた視点)。
1.特別目的会社(SPC)の設立 = 買収”元”企業(主に投資ファンド等が設立します)、いわゆるペーパー・カンパニーです。
2.買収資金の調達(融資先銀行との交渉)、ビジネスプランの作成、実際の買収実施(上場企業を買収する場合は公開買付等になります)
3.買収対象企業と特別目的会社の合併
4.借入金の返済
5.M&Aもしくは上場により持分を売却

1~3の流れは重要なので、図解すると大まかには以下のようになります。
LBO図解.png


少し複雑になってきたと思いますので、本日は一旦ここまでにしたいと思います。次回以降、このような取引の後、負債の返済によって、ファンドがどのように出資金の”価値”を上げていくか、その仕組みについて紹介していきたいと思います。

最後までお読みいただき、誠に有難うございます!

次回以降もどうぞ宜しくお願い致します。

【ディスクレーマー】
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