第35回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 発行済み株式総数に対するTreasury Stock Methodを使った調整

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第35回:企業価値評価の投資銀行実務 ~ 発行済み株式総数に対するTreasury Stock Methodを使った調整

この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。

さて、前回に引き続き、投資銀行の実務に関連したトピックを紹介して参ります。

【前回の記事】

今回は「Treasury Stock Method」についてです。企業価値評価において、最終的には「1株あたり」の株価を算出することが多いと思います。1株あたりの株価を算出するためには、DCF法等によって計算された株式価値総額を発行済み株式総数で割ることによって求められますが、ここで問題になるのが「では、発行済み株式総数はいくらなのか」という点になります。

【DCF法については以下ご参考】

さて、一般的に、企業価値評価において、「1株あたり」の指標を計算するためには、自己株式を除いた発行済み株式総数を用います。これは、企業の株主還元策として自社株を買い消却する動きが拡大しており、そうした実態に近い投資指標にするためだと言われています。

しかしながら、投資銀行では、これに加えて、ストック・オプション等による希薄化も勘案した「完全希薄化後発行済み総数」(Fully diluted shares outstanding)という数値が使われます。ストック・オプションの行使によって発行済み株式数が「増える」ことになります。そのため、1株あたりの指標を計算する際の分母が変化することになります。この分を調整しようということです。尚、こうしたストック・オプションの行使によって増加する株数は「潜在株」と呼ばれます(ストック・オプションの行使だけではなく、例えば転換社債型新株予約権付社債などによって増加する株式数も同じくこのように呼ばれます)。

単純に考えると、元々の自己株式を除く発行済み株式総数が1000株であるとして、ストック・オプションの行使によって増加する潜在株が300株とすると、単純合計して1300株という数字を使えばいいのではないか、と思われるかもしれませんが、投資銀行においては「Treasury Stock Method」という手法で調整がなされます。この手法直接の和訳が見当たりませんでしたが、Treasury Stockというのは”自己株式”という意味です。
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