新しい人生の幕開け…16

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旦那の次の仕事場はトラックにも乗りながら集団で作業をするというものだったが、順調に進んでいるようだった。

そんな中、私の会社で不穏な空気が流れていた。
それは、私より少し前に入社した女の子だったけど年は私よりも若くて可愛らしい女の子だった。

名前はYさんと呼ぶことにします。

数か月前にYさんから相談を持ち掛けられていた。

それは…
会社の営業部長の「セクハラとストーカー行為」だというのだ。

最初、聞いただけでもゾッとしたけど、真実は分からなかった…。
Yさんの相談内容は
「しつこく電話がくる、二人で食事に行こう、服装のことに関して『もっと胸元を開けて』、仕事中にドライブに行こう」などなど、本当に彼女は怖くなったりしていたようだった。

私や他の人にはもちろん同じことはしてないだろうが、私もその相談を受けてから上司には気を付けてみていた。

うん、確かに面談の時間が長すぎる。

そして私と出先でYさんと相談を受けている間にも頻繁に電話が鳴るようになっていた。電話に出なければ出るまで電話が鳴っている、という状況を目の当たりにした。

私にできることはないか、とYさんに言ったけど「これはどうにもできないし、私も辞めれればいいんだけど…そうもいかなくて…」
と諦め加減だった。

Yさんの家庭事情も複雑だったので、なにも言い返せなかった。

もちろん、そんな話は誰にでもできるわけがないと思っていたし、Yさんも私にしか相談していない、ということだったから私も誰にも相談できなかった。

が、しかし…。

ある朝、私が出社すると営業部長が私を見た途端、呼び出した。

なんだろう、と思い部長の席の前に座った。

「おはようございます…」と挨拶する間も与えないくらいのスピードで
「お前、なにしてんだ…」と私を睨んできた。

私は「え、なにかしましたか?」と恐る恐る聞くと
「お前、余計なことしてんじゃないぞ、もう来なくていい」
と…。

え??どういうこと??
なにがあった?

私が呆気に取られて席に戻ろうとした時、Yさんと目が合った…

!!!!!!!!!!

二ヤリ…。

Yさんは笑っていた。

私は瞬間で察した。

ハメられた!!!!

私は自分の席に座って、どうすればいいかと考えていたら
席が隣の女性営業員がボソッと私にこう言った
「あの子はずる賢いからね、関わらない方がよかったね」
と…。
私は「え?!」と驚きのあまり声が出てしまったが
続けて「あの子、そうやって今まで辞めさせてきたんだよ」
と…。

私は呆然とした。

なんで私なんだろう…
私が彼女になにをしたというのだろう。
いくら考えてもわからなかった。

そして朝礼が終わると同時に「クビ」という名の「自主退社」の手続きを取らされた…。

こう見えても会社にはかなり貢献してきたつもりだった
成績だって全国トップ5に入る成績も納めてきた。

それなのに…なんで…。
こんなことで…。
しかも私は何もしていない。
他にバラしたりもしていない。

…となれば…
彼女が上手いことを上司に言ったとしか考えられなかった。

自分が成績も挙げれていなくて、実力不足なら退社も仕方ないと処理できる。

なんでこんなことで私が辞めなきゃいけないのか…。
本当に腹が立った。
悔しかった。

けれどどこかで冷めている自分もいた。

「所詮、人なんてそんなもんだよな…」と。

営業の人たちが外に出払ったのを見て事務員の人も退職の手続きをした。

全部計算通りだった。

私は自分の私物などを車に押し込み、そのまま家に帰った。

スーツを脱いで、そのままへたり込んだ。

どうしよう。
これからの生活。

退職金はでると聞いていたがいくらでるのかもわからない。
あとは失業保険でしのいで他を探そう。

保険証など子供たちは私の扶養になっていたから、それもやらなきゃな…。

早く仕事探さないと保育園にも居られなくなる。

その夜、旦那が帰ってきた時、話そうかどうしようか迷ったが隠しておくのもどうかと思って話した。

ある程度話したあと旦那は「営業は血も涙もないな」と…。

私は返す言葉もなかった。まさにその通りだったから。

私はパートでも探す、と言ってその晩は寝た。

結局、労いの言葉も慰めの言葉も旦那からはもらえなかった。

そうして無職の朝を迎えた。

なにせ子供たちを保育園に出したらやることもなにもない。
これといった趣味もない。

ハローワークに向かった。
まだ「離職票」は届いてなかったため、とりあえずどんな仕事があるか見に行った。

製造業、土建業、様々な仕事があったが、そもそも子供がいて「仕事を探す」ということ自体がハードルが高かった。
今でもまだ「子供が小さいと…」と採用を断られることも多いと思う。
まして、私は学歴もない…。

夜の居酒屋さんなどは時給はいいけど旦那が何時に帰ってくるかもわからない
夜は家を空けられない…。

選んではいられないが、選ばざる得ない状況。

今までは子供が熱を出した時や参観日など融通が利いた仕事だったからどうにか子供たちにも寂しい思いをさせないようにできたが…。

夜にまだ保育園の子供二人を残して自分が仕事に行くのは、あの母親がフラッシュバックしてきてできなかった

母親の場合は仕事ではなくただの「飲み歩き」だったが、家を空けている時の義兄弟の寂しそうな顔や、色んなことを我慢している様子を間近で見ていたから、それだけは避けたい。

そんなことを思いながらハローワークの紙を見ていた。

それから数日後、なんの噂を聞きつけたのかRさんから電話がきた。
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