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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第一話

(写真はヘッセがバイトしていたというテュービンゲンの本屋さん。今は二階部分が古書店になっているそうですが、私が行ったときは残念ながら定休日でした。定休日じゃなかったとしても入れなかったでしょう・・・値段が高いものを多く扱っているようです)明けましておめでとうございます。年末年始、私、メルヒェンの国にいたんです。 時差ぼけならぬメルヒェンぼけしておりました。 12月のはじめにドイツ語翻訳のお仕事を頂いたんです。 その依頼してくださった方が、メルヒェンの国の住人だったというわけですね。 何がメルヒェンかというと、頂いたお仕事内容がヘッセのメルヒェン「アウグストゥス」の日本語訳だったということだけではなく・・・依頼人ご本人様が私にとってすでにメルヒェンだったのです!! 殺伐とした現代。日本は?経済は?世界はどうなる?来るのか?大災害!失業者数増加!税金が!財務省が!なーんてユーチューブ動画ばっかり見ていた私にとって、依頼者さんの存在自体がまぶしすぎてもう・・・くらくらしてしまったんです。 みんながスマホを片手に自分の世界に入り込み、お手軽な現実逃避で時間をつぶすだけ。 町を歩けば、他人に無関心、ぶつかっても無反応。 たまに親切な人がいたと思えば、キャッチか宗教の勧誘。 本音を言おうものなら、クレーマーか教養ない人だと思わるだけ。 それなら他人と関わるよりは、スマホ片手に自分の世界にこもっていたくもなりますよ。 さらに、クリスマスにサンタさんが来て枕元にプレゼントを置いてくれる・・・なんてサンタの存在を信じているかいないかという世界ではもはやなく、私は「サンタはいる・・・サンタの正体は
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ステップアップ

今回は今年上半期、NHK連続ドラマ『虎に翼』で主演された伊藤沙莉さんの星よみをします。笑顔がチャーミングな女優さんです。お誕生日は1994年5月4日、出生地は千葉県、出生時間はわからなかったので午後12時を基準として配置図を出しました。牡牛座に太陽と水星がほぼ重なり合っています(黄色のマーカー部分)牡牛座は安定を重んじ、マイペースな印象を与えます。五感が鋭いので、美しいもの、肌触りの良いもの、匂いには敏感です。水星が太陽の近くにいるので自分の思ったことを上手に言葉で表現できる方だと思います。牡羊座火星は(青のマーカー部分)チャレンジ精神旺盛。躊躇せず新しいことに取り組めるのではないでしょうか。双子座に金星があるので(緑のマーカー部分)コミュニケーション能力も高く、情報収集能力に長けています。最新のトレンドは何かちゃんと把握していそうです。蠍座木星は(赤のマーカー部分)深く一つのことを追求できる能力を持っていることをあらわします。自分でこれだと思ったことに集中して力を注いだ方が結果が早く期待できそうです。伊藤沙莉さんのほんの少しの一面を星よみしてみました。マナカードからもメッセージをもらいます。WAAのカードを引きました。ワアは移動、航海、旅の意味があります。新しい船出の時期なのではないでしょうか。今までの場所からステップアップして新境地を切り開くところにきているようです。良き風が後押ししてくれることでしょう。WAAのカードの絵にはたくさんの人が大きな船を漕ぎ動かしている姿が描かれています。あなたにはたくさん協力者がいてこれからのチャレンジを応援してくれることでしょう。
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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第三話

「私は、このメルヒェンをそのまま、この作品がこの瞬間にあなたに語り掛けるように、そのまま、何かの意味を探すのではなく、そのままの絵と音楽に従って、読んでくださればいいと思っています。 だって、それはその中にすでにある、だけど、人によってそれは別の服を着ているからです。もし、私がそれを裸の言葉で語ることができたならば、もちろん、私はもう詩を作ることはしないでしょう」  Hesses Kunstmärchen - Augustus „Ich hoffe, Sie werden auch weiterhin die Märchen einfach so lesen, wie sie im Moment zu Ihnen sprechen, einfach den Bildern und der Musik nach, ohne Suchen nach einem ‘Sinn’. Denn dieser ist wohl darin, aber er nimmt für jeden ein anderes Kleid an, und wenn ich ihn in nackten Worten sagen könnte, würde ich natürlich keine Dichtungen mehr machen. ヘッセは、「アウグストゥス」について、1919年6月にゲオルグ・ラインハルトという人物にあてて手紙でこう書いているそうです。 ヘッセは、魂に直接語り掛ける。そういう文章を書く作家なのだなと私は思ったのです。だから、読む人によって、また読むタイミングで、どんな感想を抱くか
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アウグストゥス 連続ドラマ第十四話

元ドイツ語講師は、迷っていました。 元ホストが演奏で悩んでいると知ったからです。女の子二人に見せてあげたいという気持ちが理解できたし、そのために腱鞘炎になるほど頑張っていると分かった今、ヒントになりそうな「アウグストゥス」の部分を教えてあげた方がいいのかどうか、迷っていたのです。 Indessen sollst du sie nicht vergessen und sollst wissen, daß sie noch immer singen und daß auch du sie vielleicht einmal wieder hören kannst, wenn du einst mit einem einsamen und sehnsüchtigen Herzen nach ihnen verlangst. 「お前は忘れないし、知っているはずです。光る天使たちが今でもなお歌っていること、お前は、もう一度またそれを聞けるだろうということを。お前が、いつか孤独な、憧れの心でそれを求めるのならば」元ドイツ語講師はこの「孤独な、憧れの心」という言葉で迷っていたのです。 これは、元ホストがたった一人で向き合い、自力で手を伸ばし、それでも届かない、だから祈る気持ちで・・・という意味なのであり、こればかりは自分でなんとかするしかない、ここで、自分が下手に手を出しても意味はないのではないか・・・と迷っていたのでした。 これは、アウグストゥスの母親の埋葬の後、名付け親のビンスヴァンガーが別れの言葉として言ったのでした。どうか忘れないで欲しい、天使が今でもいつも歌っていて、もう一度本当
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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第四話

ヘッセの、魂に直接響く言葉、依頼人様であるメルヒェンの国の住人さんの言葉でどう膨らんでいくんでしょうね。ヘッセからどんなことを受け取って、どんな日本語にして、どんな人たちに届いて、どんな風に影響を及ぼすのでしょうか? 私は、今回この依頼を通して、これはすばらしいプロジェクトだとしみじみ思いました。 みんながそれぞれの思いを、それぞれの形にしていくこと・・・。「私はこれが好き!」って言えること。これ以上の喜びと幸せはあるでしょうか? 納得できる形で完成することを、心待ちにしています。 そして、完成までの幸せの時間をとことん味わってください!! 他の誰も、この時間を一緒に味わえない、自分だけの特別な秘密の時間です。そして、依頼者様たちのプロジェクト、行動が、誰かのインスピレーションになったりする。 誰かの「やりたい」気持ちが、他の誰かの行動のきっかけになるんです。 それが本当に素晴らしいことだな、と思います。 依頼者様たちの依頼がなければ、私もこんな連続ドラマなんて思いつかなかったもの。 依頼者様たちには、一体どんな音楽が聞こえているのでしょうね。 この音楽が、私の頭の中では最後の場面で鳴っていました。 ↓私のお気に入りの二胡の先生、小林二胡教室の先生です。機会があったら、ぜひ私もオンラインレッスン受けてみたいです!  この動画の中で、先生の周りに金の羽を持った小さな天使が飛び回っているように見えるのです。きっと、みなさんにも見えるはずです♡ いいなと思ったら、ぜひこの動画に「いいね」を押してくださいね! さて、ここで、ヘッセの「アウグストゥス」の内容が気になる方も出てくるのではな
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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第二話

依頼人様は私にとってはメルヒェンの国の住人で、私とはかけ離れた世界で、この世を生きてこられたお方。世界観を壊してしまったらどうしよう・・・こんなの「私のアウグストゥスじゃない」って思われたら悲しい・・・私、メルヒェンを裏切りたくないし、メルヒェンから嫌われたくない。私のようなヒキコモリ人間が、この仕事を受けていいのだろうか・・・とちょっと躊躇したんです。だけど、このメルヒェンのメルヒェンである理由も分からぬどっかの誰かにこのメルヒェンの国からの依頼を取られるのはイヤだったのです・・・誤解しないでいただきたいのですが、依頼者様がメルヒェンの国出身・在住であると気づくのは、私のようなすれっからしにしかできないと言っているだけです・・・。 文芸作品を依頼で日本語にするなんてこと、私、実は未体験。 しかも、ヘッセのメルヒェンはドイツ文学翻訳界の巨匠、高橋健二さんが翻訳をされ出版されており、長く愛され続けているのです。 boみたいな中途半端なやつが手を出していい世界じゃない!! だけど、今回の依頼は、依頼者様の好きな世界観を絵本にするためである。 つまり、私が自分で解釈・分析して「翻訳」作業をする必要はないわけです。 そのまま素直に訳して、原文にある単語の関係性を明らかにする、というところまででいい、ってことなんですね。 一般的に言われている「翻訳作業」の半分くらいでいい、ということなのです。読みやすいように文体を変えたり、言い回し変えたり、読者対象年齢に合わせて使う言葉や表現方法を変えたりする作業まで私はする必要がないわけです。年末、私の住んでいる地域でも雪がちらついたんです。 お休み
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アウグストゥス 第十七話 最終話

なかなか最後の一手が思いつかない二人。 お互いに「アウグストゥス」のどの部分が好きか、どういう時に読むのか、ということを話し合いました。その後、そもそも「どうしてこの本を手にしたのか」という話にまで遡りました。 挿絵の女の子は子どもの頃のことを話しました。 きっかけは、読書感想文でした。ヘッセの「車輪の下」が課題図書でしたが、本を読むのがあまり好きでなかったので、どうしても読めなかった。そこで、同じ作家のものでもっと短い作品はないかと探し「メルヒェン」を手に取った。短編がいくつか収録してあり、一番最初の「アウグストゥス」で感想文を書こうと読み始めたのでした。 読んでみたら、それは絵本ではなかったのにも関わらず、女の子の頭の中にははっきりとその場面が立体映像のように浮かび上がってくるのです。夢中になって読み、その印象を読書感想文に書いた。それが先生にとても褒められた上に、そのイメージを絵に描いたものが、コンクールに出品され、賞をもらったのでした。それ以来、絵を描くのが好きになった。そういう記憶もありこの物語は特別なのでした。 翻訳担当の女の子も自分の思い出を語ります。 父と母が離婚することになり、父の実家で祖父母に預けられていた時のことです。 ある日、学校から帰ると机の上に「メルヒェン」が置かれていました。 寂しい気持ちや不安な気持ち、色々あってふさぎ込んでいましたが、読み進めると夢中になってしまいました。 「メルヒェン」の中には別の作品も載っていましたが、「アウグストゥス」が一番好きでした。「あの時、机の上に本を置いてくれたのって死んだおばあちゃんだったのかなぁ」と、女の子は言
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アウグストゥス 連続ドラマ第十六話

ここで、liebhabenという言葉についてみてみましょう。 ここでは、「好きになる」という訳を一時的に与えておきます。 ドイツ語原文でこのliebhabenが使われているのは、 1、母親の願い「この子が誰からも好かれますように」という部分、 2、願った後、母親が後悔して言うセリフ、「みんながこの子を好きになっても、この子を母親のように好きになってくれる人はいなくなってしまう」。 3、北欧美女がアウグストゥスに告白するところ。「私は嘘をつけません。あなたが好きです」。彼女は、liebhabenもliebenも両方使っている。 4、アウグストゥスの願い「みんなのことを好きになれますように」という部分 5、名付け親がアウグストゥスに「安心しなさい、お前のお母さんはお前のことをちゃんと好きです」と語り掛ける部分。 これらの部分で、liebhabenが使われている。訳にどのように反映させるべきか。それとも反映させるべきではないのか。悩ましい問題です。 どうしてlieben「愛する」という動詞があるのにも関わらず、意味は同じようなliebhabenという別の言葉をあえて使ったのか。さらに、このliebhabenは、セリフの中だけで使われており、テキスト内では一度も登場しない。常に誰かの口から出た言葉なのです。 この謎をどう解いたらいいのでしょうか。 lieben「愛する」という言葉を避けた理由は一体何なんでしょうか。人の口からのみ語られるliebhabenには一体どんな意味があるのでしょうか。 テキストの中でliebという形容詞も単独でいくつか出てきます。 優しい、親切な、大事な、愛おし
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アウグストゥス 連続ドラマ第十五話

元ドイツ語講師は、隣に座って絵を描いている女の子のスケッチブックをちらりと覗き見しました。 そして、ぎょっとしました。 女の子はそれに気づいて「どう?最後のシーンの挿絵なんだけど!」と自信満々な顔をして聞きました。 翻訳に夢中になっていた女の子も顔をあげて「見せて」とねだります。挿絵の女の子は、ちょっとテレながら、「じゃーん!!」と描いた絵を見せました。小さな教会のような空間に、火が入った暖炉があります。そして大きな窓があり、そこから月の光がさしていました。 名付け親のおじいさんにもたれかかり、眠るように息絶えるアウグストゥス。 金色の天使が鈴を持って打ち鳴らし、母親の姿をした天使がアウグストゥスの魂を天国に導いているようでした。 翻訳の女の子はじっと見て、「素敵」と言いました。元ホストも手を休めて「いいじゃん、雰囲気ある」と褒めています。 元ドイツ語講師だけが浮かない顔をしていました。 どう感想を言うべきか、分からなかったのです。 全体がキリスト教的なイメージそのものだったのでした。女の子は「じゃ、これで進めていくね!ちゃんと色を付けて・・・」と満足気でした。 元ドイツ語講師は、ヘッセがインドやアジアの宗教にも関心が深く、キリスト教に関しても独自の視点を持っていたことを知っていました。 単純にキリスト教的発想で描いてほしくない、そう感じていたのです。 最後のシーンが思い浮かばなくて悩んでいた女の子が夢中になって描いた絵を、全否定することになってしまう。どう言うべきなのか・・・そもそもこのプロジェクトは女の子二人のもので、自分には関係がない。絵のアドバイスまで頼まれていないのに
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アウグストゥス 連続ドラマ十三話

元ホストをナイフで傷つけた女性客が、不起訴になり、弁護士と共に改めて謝罪とお礼に来ました。元ホストは、警察に「自分にも原因があったから」と女性に有利になる証言をしていたのでした。 女性はすっかり憔悴しており、服装も話し方も、昔のようではありませんでした。 元ホストの方もそれは同じでした。 元ホストは、昔の自分を思い出そうとしました。光る天使の謎がそこにあると感じていたのです。 ホストをしていた時は、女性をお金としか思っていなかった。だけど、自分の演奏には光る天使がいた。今は、お金は自分で働いたバイト代だけ。だけど、光る天使は消失した。 この間に何があったのか、自分で知りたいと思っていたのです。 女性は、あの頃はもっとギラギラして見えた、と言いました。そしてそれと同時に「ここにいないみたいな雰囲気だった」と言いました。「今は、そういうの、無くなっちゃったね」と少し寂しそうな顔をしました。 いつも現実逃避をしていた、ここじゃないどこかを想像してた。周りの人たちのことが大嫌いでした。自分に群がって、お金を落としていく女性たちのことを軽蔑していました。 当時はそういうフラストレーションが、音に乗っていたような気がします。この感覚を再現すれば、もしかしたらうまくいくかも?と希望が見えてきました。 その帰り道、おせんべい屋さんに立ち寄りました。 演奏を聞いてもらうためです。「今日は光る天使を見せてあげられるかもしれない」と意気込んで演奏を始めます。 しかし、ダメでした。二人の女の子は首を振ります。 やっと答えを見つけたと思ったのに、またダメだった。それに苛立ちを感じました。 「光る天使が踊
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アウグストゥス 連続ドラマ第十二話

まだ続きます・・・すみません。「最終回」までしないと、なんかすっきりしないので、しょうがないです。視聴率的には打ち切りになっても全然不思議じゃないんですが(笑) 見逃し配信はコチラ↓いつでも無料です♡ 一度、愛を金やモノで取引した人間は、その落とし前をつけなければならない。それができなければ、あの女の子二人が求める演奏は、できない。 元ホストはそんな風に思い込んでいたのでした。 試しに、以前のように路上で演奏をしてみました。 もうホストではないので、みすぼらしく変装をする必要はありませんでした。 彼が演奏を始めると、途端に人だかりができました。 そして数人の女の子が熱い視線を送っているのに気が付きました。 女の子だけではなく、通りすがりの男性、女性、サラリーマン風の人、様々な人たちが立ち止まって聞いてくれました。 隠れて演奏をするためにみすぼらしい格好をしていた時とは、まるで違いました。 その時は、彼の周りに人だかりができることなんてなかったのでした。立ち止まって聞いてくれたのは、あの二人の女の子だけだったのでした。演奏が終わると、拍手され、小銭だけではなく、お札まで出す人もいました。 何人かの女の子が近づいてきて、「次の予定あるんですか?」と聞いてくるのです。 元ホストはびっくりして首を振ります。そして逃げるようにその場を立ち去りました。 元ホストは、何となく覚えてしまった言葉をぽつりと言いました。 「私から、私を救わなかった魔法を取り去ってください・・・」 彼は、今回の演奏もまた、光の天使が踊っていなかったと感覚で分かっていました。 その頃、おせんべい屋さんでは、挿絵担当の
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アウグストゥス 連続ドラマ第十一話

・・・「原文で味わいたいドイツ語」ですらなくなりました。すみません、なかなか連続ドラマが最終回になりません。どうしよう・・・これ。 元ホストも人知れず問題を抱えていた。 おせんべい屋さんでバイトに励み、髪型や服装も普通の青年のようになっています。もうホストという雰囲気は感じられません。新しいやりがいを感じれば感じるほど、どんどん不安になっていきます。アウグストゥスのようにすべてを失うのではないかと恐れていました。 一度、愛を裏切った人間は、すべてを失わないと再び愛を得ることはできないのではないか、そんな気がしてしまったのでした。今立て直しつつある生活や世界が、一気に崩壊するのではないか・・・? 彼が引っかかっていたのは、アウグストゥスの子どもの頃、女の子からキスをねだられた時のエピソードでした。 アウグストゥスはその女の子にキスをしたくなかったのに、指輪をくれるというのでキスをしてやった。 その後から、アウグストゥスは決定的に何かが変わってしまった。 名付け親の家で聞こえていた音楽が聞こえなくなり、天使を見ることもできなくなってしまいました。 どんなに泣いて頼んでも、ねだって甘えても、ダメなものはダメ。諦めるしかなかったのでした。 それから、アウグストゥスは、どんどんグレていきます。 元ホストには、このエピソードこそがターニングポイントだと思えました。 アウグストゥスは、指輪とキスを交換した。愛してもいない相手に、指輪欲しさのために、愛の行為を与えたのです。 母親はその様子を見ていて「息子が女の子からの愛を冷たくあしらっている」と腹を立てた。 だが、問題はそこじゃない。女の子に
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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第五話

アウグストゥスは、名付け親の好意で、母親の願いを現実化されてしまいました。 名付け親が母親に「願い事を一つかなえてあげよう」と言ったからです。 母親は、子どもに願います。「この子がみんなに好かれますように」と。 言ったそばから、母親は「もしかして、とんでもない間違いをしてしまったのではないか?」とゾクリとします。 ちょっと想像してみてください。 あなたは、子どもを産みました。まだ小さいその子のために、願い事を一つかなえてあげると言われたら、あなたは何を願いますか? あなたの腕の中で安心して眠っている子に、あなたはなんと願いますか? そして、想像してください。 あなたは子どもです。子どもとして、あなたは親から願い事をされるとします。どんな願いをしてほしいですか?どんな願いをしてくれていたら、今のこの状況をよりよくできると思いますか? メルヒェンのお約束。願い事をしたら、その願い事のために苦しむ羽目になる。 「いっそ、こんな願いなどしなければよかった」という事態に陥るのです。 大金持ちになるように、と願えば、そのお金で苦しむことになる。 愛を望めば命を取られる。 権力を望めば、その権力のせいで、賢ければ賢いという理由で孤独になる。 そして健康や長寿を願えば、「自分が死ねばよかった」と思わされるか「お前が死ねばよかったのに」と人から思われるようになるのです。 よい仲間に恵まれますように、と願えば、その仲間を切らねばならない事態に遭遇する。 「幸せになりますように」という願いならば、無害だろうと思うかもしれませんが、幸せを感じるためにはどん底の不幸を味わわされることになる。 じゃ、平凡
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原文で味わいたいドイツ語「アウグストゥス」 連続ドラマ第十話

「ちょっと待て待て」と元ドイツ語講師は割って入りました。 「お前、この文をどう理解してんの?」 es gab nichts Schönes und Herrliches und Beneidenswertes, das sie nicht für dieses Kind ausgedacht und gewünscht und geträumt hätte 「前から素直に訳したよ。dasはSchönes、 Herrliches 、Beneidenswertes美しいこと・すばらしいこと・羨ましがられるようなことを指してる」 女の子はなんの疑問もなく答えました。 「母親には、美しいことも素敵なことも、人から羨ましがられるようなことはなくて、この子の為でなければそういったことを考えもしなかったってことなんじゃないの?」 元ドイツ語講師は、頭を振りました。 「dasは関係代名詞だろ?」 「先行詞はこれ」と言いながら、元ドイツ語講師はnichtsを指さしました。 nichts=nothing つまりこの文は二重否定、二重否定は肯定の意味になる。 女の子ははっと気づき、しばらくショックのあまり絶句していました。その後、頭を抱えながら「うわぁぁぁ」と叫び出しました。 この子のためでなければ、考えも、願いも、夢を見ることもしなかっただろう、美しいこと、すばらしいこと、人から羨ましがられることはなかった!! 挿絵の女の子と、元ホストは二人で声を合わせて「意味が全然分からなくなったんだけど!!」と言いました。 「だから、つまりこれはね。母親がありとあらゆる妄想をしましたってことなんだよ。生まれて
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原文で味わいたいドイツ語「アウグストゥス」連続ドラマ第九話

そこで。挿絵を描く担当の女の子が言う。 「・・・最初から、アウグストゥスは、二つの願い事をする権利を持っていたんじゃないかな?」 ドイツ語講師は鼻で笑います。「どこにそんなことが書いてあるんだよ!原文にそんなこと、一言も書いてないだろ!」 確かに、ビンスヴァンガーさんは「お前にも、何か一つの願いをかなえてやる」と言った。二つとは言ってない。 女の子は、ちょっと自慢気な笑みを浮かべてドイツ語講師を見ました。 「だって、思い出してよ!アウグストゥスが赤ちゃんの時のこと・・・名づけのお祝いで、アウグストゥスはターラー銀貨を二枚もらってる」 ビンスヴァンガーともう一人そこにいたお産婆のオババは、名づけのお祝いだと言って、幼いアウグストゥスにそれぞれターラー銀貨を贈るのです。 テキストにはそのターラー銀貨が「願い事の権利」であるとは一言も書かれていません。しかしです。この名付け親とオババは、小人か妖精の類の人たちと読み取れる。そんな二人がただの銀貨を渡すわけがない。 アウグストゥスが母親の願いのせいで身を滅ぼすことになると、ビンスヴァンガーとオババは、当時からすでに分かっていたのではないか?それで、ターラー銀貨をそれぞれ贈った・・・。いざという時、アウグストゥスを救えるように。 名付け親とオババ、この二人にはすでに分かっていた。 一つの願いは、母親の願いを取り消すために使うことになると。 そして、そうなった時、一つ、彼自身の願いをかなえてあげたいと思ったから、名付け親はもう一枚のターラー銀貨を贈った・・・。 ふ、深い!!一同は声を上げました。 最初から、この母親の願いは失敗すると分かって
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原文で味わいたいドイツ語「アウグストゥス」そして連続ドラマ第八話

タイトル変わって、今回からは原文で味わいたいドイツ語です! 第一話からご覧になりたい方、コチラからどうぞ↓ なんとかこの連ドラを終わらせなければ!!軽い気持ちで妄想書いてたら、終わらなくなってしまった・・・しかも今、着地点が全然見えてねぇ!!Wie wäre es nun, wenn du mir erlaubtest, auch dir noch einen Wunsch zu erfüllen, irgendeinen? さて、どうでしょう。もし君が、私に君にももう一つ願いをかなえることを許したら? ドラマのセリフのようにナチュラルな言葉にするならば「もし、君にも一つ願いをかなえさせてあげると言ったら、どうしますか?」 このセリフは、名付け親のビンスヴァンガーさんが、アウグストゥスが自殺するつもりでいた時にやって来て、言った言葉です。 母親に一つ、願いをかなえさせてあげたけど、それは呪いになってしまったので、代わりにお前の願いを一つかなえてあげよう、と言ったのでした。 einen Wunsch、一つの願い。 この部分、私はとても引っかかったんですよね。 ビンスヴァンガーさんは、一つお前の願いをかなえてやる、だから生き直してくれと伝える。最初は「もう何をしても無理だ」と断ったアウグストゥスでしたが、最終的に自分の願い事を言います。それが・・・ Nimm den alten Zauber von mir, der mir nicht geholfen hat, und gib mir dafür, daß ich die Menschen liebhaben kann! 「私か
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ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第七話

うわぁ・・・ドイツ語翻訳もお仕事の話も全くそっちのけで、ドラマ展開ばっかり書いちゃってる・・・。ドイツ語翻訳の営業にもならなければ、タロット占いの営業にもならない。しかもお馬鹿丸出し。あはは! だけど、いいんです。 2025年、お正月、毎年恒例の「自分を占ってみよう」大会で、私の仕事を占ったところ、タロットさんはあきらめ顔でこう言いました。 「・・・お前はもういいよ、人の為とか、役に立ちたいとか、誰かに喜んでもらいたいとか、そういうこと考えるな。自分の好きなことだけしてろ」って。 うん、タロットさん、ありがとう。そうするよ!! だけど、そういうからには、宝くじ当てさせて!! 本当は、アウグストゥスの原文をご紹介し、ドイツ語話に展開しようと思っていたんです。 なのに・・・ドラマの続きが気になって(笑) とりあえず、続き。 嫌がらせの犯人は、市内の予備校で英語教師をしている男でした。 「頑張っている女の子たちの邪魔をするな!」と元悪徳ホストは怒りを抑えきれませんでした。 その英語教師はもともと大学のドイツ科講師だった。本採用になるという話があったが、後ろ盾だった教授の生徒へのセクハラとパワハラが発覚、そして失脚。 後ろ盾をなくし居場所を失ったその男は、やむなく予備校の英語教師をしていた。 そんな中、ヘッセのアウグストゥスが好きという純粋な女の子たちのプロジェクトをSNSで目にした。 ヘッセは、彼の専門だった・・・。それで彼のフラストレーションのはけ口となってしまっていたのだった・・・。 元悪徳ホストは、その話を聞き、ふと思い立つ。 女の子二人は、ドイツ語に苦戦している。もし、このド
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ドイツ語翻訳~メルヘンの国からの依頼~「アウグストゥス」第六話

Liebe、愛。「アウグストゥス」のテーマの一つには、確かに「愛」というものがある。 だけど、その愛は、もしかしたら、ヘッセは階級、もしくは種類で分けて考えているのではないか?という印象を受けた。 試しに、はっきりとLiebe(名詞)、またはlieben(動詞)と書かれている箇所を抜き出してみましょう。 1、アウグストゥスが子どもの頃、女の子からキスをねだられた時、彼は女の子の指輪と引き換えにキスを与えた。母親がその現場を目撃し、自分の息子が女の子の愛をひどい態度で受け取ったとショックを受けた。 2、金持ちの未亡人がアウグストゥスのパトロンだったが、アウグストゥスが愛していたのは町娘だった。 3、簡単にいつも手に入るので、彼は愛をくだらないものだと思うようになっていった。 4、アウグストゥスの初恋。船上の北欧美女に一目ぼれ。愛を勝ち取ろうとした。 5、北欧美女はアウグストゥスを愛していた、それは彼女にとって初恋である、と告白するシーン。北欧美女は「愛」を連発して使っています。 6、失恋し、自暴自棄になったアウグストゥスは、もう愛を感じる感性を失っていました。 7、自分が求めて勝ち取ったものではない愛を受け取るのにうんざりした。 8、自分を内省、振り返っても愛の痕跡すらないと気づく。 9、名付け親のビンスヴァンガーから彼自身の願いをかなえてもらう。そこで彼に対する愛が燃え始めた。 10、アウグストゥスは人々から暴行を受ける。その人たちはかつてアウグストゥスのことを愛していた人たちだった。 11、アウグストゥスは見かける人たち、子どもたちのことを愛しました。 12、すっかり老いぼれ
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