ドイツ語翻訳~メルヒェンの国からの依頼~「アウグストゥス」第五話

記事
コラム
アウグストゥスは、名付け親の好意で、母親の願いを現実化されてしまいました。
名付け親が母親に「願い事を一つかなえてあげよう」と言ったからです。

母親は、子どもに願います。「この子がみんなに好かれますように」と。
言ったそばから、母親は「もしかして、とんでもない間違いをしてしまったのではないか?」とゾクリとします。

ちょっと想像してみてください。
あなたは、子どもを産みました。まだ小さいその子のために、願い事を一つかなえてあげると言われたら、あなたは何を願いますか?
あなたの腕の中で安心して眠っている子に、あなたはなんと願いますか?

そして、想像してください。
あなたは子どもです。子どもとして、あなたは親から願い事をされるとします。どんな願いをしてほしいですか?どんな願いをしてくれていたら、今のこの状況をよりよくできると思いますか?

メルヒェンのお約束。願い事をしたら、その願い事のために苦しむ羽目になる。
「いっそ、こんな願いなどしなければよかった」という事態に陥るのです。

大金持ちになるように、と願えば、そのお金で苦しむことになる。
愛を望めば命を取られる。
権力を望めば、その権力のせいで、賢ければ賢いという理由で孤独になる。
そして健康や長寿を願えば、「自分が死ねばよかった」と思わされるか「お前が死ねばよかったのに」と人から思われるようになるのです。
よい仲間に恵まれますように、と願えば、その仲間を切らねばならない事態に遭遇する。
「幸せになりますように」という願いならば、無害だろうと思うかもしれませんが、幸せを感じるためにはどん底の不幸を味わわされることになる。
じゃ、平凡でいいです、と願うとしましょう。そうしたら、他人の非凡さを妬み、自分の平凡さを嘆くことになるのです。

というわけで、私が考えた攻略法は・・・「自分が自分でよかったと思えますように」です。
どんなに孤独になったとしても、不幸のどん底にあろうと、お金がなくて、頼る人もいない、健康にも自信がなく、知能もそこそこ、人から愛されることもなければ憎まれることもなく、社会において自分はなんと無意味で無力なのかと嘆いたりする。人の善意を素直に受け取れず、無神経で鈍感な人の態度に傷つき、そんな自分の平凡さを恥じる・・・でも、私が私でよかったぁって思える瞬間がたくさんあるなら、どんな状況でも耐えられる気がしませんか?
だって、少なくとも私がここにいて、ここにいる私が私のことを大好きでいられるんですから。

みなさんも、もし、妖精さんや小人さんから「願い事を一つかなえてあげよう」と言われたら、なんてお願いするか、今のうちから考えておいた方がいいですよ。いざという時に、間違わないためにも!
・・・とっさに「金くれ」と言いそうな自分がいる(笑)

退院した悪徳ホストは、二人にお礼を言うために、書いてあった連絡先の住所に向かいます。

昔ながらの建物が並ぶ商店街。その一つが、女の子の一人の実家のおせんべい屋さん(いや、なんでもいいんだけど・・・ドラマの絵面的になんか伝統的なお店がいいような気がした)でした。
摺りガラス張りの引き戸をカラカラと開けますと、おじいさんが一人、囲炉裏でおせんべいを焼いています。

その横で、女の子たちが、何か言い合いをしていました。
二人は、「アウグストゥス」の日本語訳に取り組んでいたのです。

問題になっていたのは、„Ich wünsche dir, daß alle Menschen dich liebhaben müssen.“
全体のカギとなる、母親の願いでした。「私はお前に願います、すべての人がお前を好きになってしまうように」。

この部分を、しっくりくるように自然な日本語にしようとしているのでした。「この子がみんなから愛されますように」とするのがいいか「みんなから好かれますように」にした方がいいのか、それとも「みんなから可愛がられますように」とするべきなのか。どれも間違いじゃない。だけど、ニュアンスが違ってきてしまうのです。

liebhabenという単語の解釈が判断つかないのでした。lieben「愛する」という単語があるにも関わらず、なぜここでそのliebenではなく、liebhabenを使う必要があったのか。

「もうAI翻訳でいいじゃん!」と一人は投げやりに言いました。
その発言にもう一人は怒り出しました。「そんなんじゃ、ヘッセの魂は響かないよ!」と。

お客に気づいて「いらっしゃい」と声をかける女の子。それが悪徳ホストだと気づいて、「退院できたんだね!よかった」と喜びます。
今までの険悪な雰囲気は吹き飛び、二人の女の子たちは悪徳ホストの無事を喜ぶのでした。
つづく
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら