ドイツ語翻訳~メルヘンの国からの依頼~「アウグストゥス」第六話

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コラム
Liebe、愛。「アウグストゥス」のテーマの一つには、確かに「愛」というものがある。
だけど、その愛は、もしかしたら、ヘッセは階級、もしくは種類で分けて考えているのではないか?という印象を受けた。

試しに、はっきりとLiebe(名詞)、またはlieben(動詞)と書かれている箇所を抜き出してみましょう。

1、アウグストゥスが子どもの頃、女の子からキスをねだられた時、彼は女の子の指輪と引き換えにキスを与えた。母親がその現場を目撃し、自分の息子が女の子の愛をひどい態度で受け取ったとショックを受けた。
2、金持ちの未亡人がアウグストゥスのパトロンだったが、アウグストゥスが愛していたのは町娘だった。
3、簡単にいつも手に入るので、彼は愛をくだらないものだと思うようになっていった。
4、アウグストゥスの初恋。船上の北欧美女に一目ぼれ。愛を勝ち取ろうとした。
5、北欧美女はアウグストゥスを愛していた、それは彼女にとって初恋である、と告白するシーン。北欧美女は「愛」を連発して使っています。
6、失恋し、自暴自棄になったアウグストゥスは、もう愛を感じる感性を失っていました。
7、自分が求めて勝ち取ったものではない愛を受け取るのにうんざりした。
8、自分を内省、振り返っても愛の痕跡すらないと気づく。
9、名付け親のビンスヴァンガーから彼自身の願いをかなえてもらう。そこで彼に対する愛が燃え始めた。
10、アウグストゥスは人々から暴行を受ける。その人たちはかつてアウグストゥスのことを愛していた人たちだった。
11、アウグストゥスは見かける人たち、子どもたちのことを愛しました。
12、すっかり老いぼれたアウグストゥスにまで、自分の愛を差し出す売春婦。
13、世界をまわり、自分の愛を人々に示そうと決意。
14、死んだ人たちの顔は、看護師の忍耐と愛より美しいと思った。

これらの部分で、明確にLiebeまたはliebenという言葉を使っています。
これらを一つずつ見ると「愛」の種類が違う。というか、視点が違う。自己中心的な愛と自己犠牲的な愛の違い・・・とでもいうのでしょうかね。

北欧美女がターニングポイントだということが明確に分かります。北欧美女は、アウグストゥスを愛している。これが初恋だ。だが、夫のところに留まる方がいいのだ、アウグストゥスの告白は迷惑だと言います。
北欧美女だけが彼の愛を拒絶しました。北欧美女は貴族で、アウグストゥスとは住む世界が違っていた。北欧美女は、夫は貴族で誇りがあり、ちゃんとした人物であるとはっきりアウグストゥスに言い、アウグストゥスのようなどこの馬の骨とも分からない男からの愛をきっぱりと拒絶するのでした。
・・・この物語に出てくる人物の中で、一番正直で強い人間がこの北欧美女だと思います。

9で暖かい魂的な愛がよみがえる。
10、12、アウグストゥスに差し出されていた愛の安っぽさが分かります。
10、魔法が解けた後、手のひらをかえす人たちのひどい態度。それだけのことをアウグストゥスはしているわけですけどね。有名人のスキャンダルと同様、今までちやほやしていた人たちが、一気に手のひら返しをする状況です。

売春婦の「愛」は、リンゴや指輪と引き換えにキスをねだった女の子と同様、愛を売り買い・取引きの対象にしている。
だけど、もちろん、売春婦は愛する夫・子ども・親・家族のために働いているのかもしれない。自分が食べていくためにかもしれない。
そこに「いのち」「生きること」へのひたむさがある、なきゃおかしい。アウグストゥスのようなお金もなければ、若さもない、人も避けて通る放浪者までえり好みせず相手にしようとするわけですから。
指輪とキスを交換した子どもたちとはレベルが違う。

売春婦についてもう一つ言うならば、現代と違い、社会的にも宗教的にも、女性が身を落とすのはかなりハードルが高かった。現代は、そういう意味では女性を商品として品定めしたり、売り買いすることに抵抗を感じない人も多くなっているのではないでしょうか。それは、男性も、女性自身もです。そういう社会なので、そうなるのは、当たり前です。だけど・・・

女の子をランク分けして評価する男性。自分を商品棚に並べるように顔面偏差値だのスタイルだの気にしている女の子。
・・・とりあえず「アウグストゥス」でも読もうか?

11、13、14そのひたむきさ、そして自己犠牲とか、もっと高い視点の愛。自己犠牲を愛とするのはキリスト教的と言えるかもしれません。肉体や物質を低い、精神を高いと分けるのもキリスト教的と言えなくもない。

そういう意味では、キリスト教的な読み方もできるかもしれませんが、私自身がキリスト教嫌いなんで、そういう読み方はしたくないですね・・・神の救いだとか神のお恵みだとか、神の裁きや試練・・・そういう言葉は出てきませんから、ヘッセも別にそこを意識していたというわけではないのかも。

そもそもでメルヒェンの世界に絶対的な唯一神は登場しない。小人、人魚、魔法使いや魔女、自然神のような精霊や妖精、人間以外の存在は登場します。

連続ドラマ続き
いつの間にか、悪徳ホストは手焼きせんべいの手ほどきを受けていました。
おじいさんの厳しい指導が入ります。
その横で、SNSをチェックしていた女の子が嘆きます。
「まただ・・・嫌がらせ」。女の子は、自分たちの絵本プロジェクトの様子をSNSに投稿していました。
ドイツ語翻訳に苦戦している様子をSNSに書き込みはじめた途端に、アンチコメントが投稿されるようになっていたのでした。
「その程度でヘッセを翻訳なんてふざけんな!」という心無い言葉が並んでいたのです。
日に日にアンチコメントはエスカレートしていき、とうとうおせんべい屋さんのウェブサイトまで特定され、嫌がらせコメントが書き込まれるようになってきました。
「誰・・・こんなことする奴!」と怒りに震える二人。
そして、ある日、とうとう実際にお店に落書きの嫌がらせまでされる事態になってしまいます。

そうこうしているうちに、悪徳ホストは、被害者とはいえ事件になってしまったため、逃げるようにホストを辞めることになりました。
それでも、自分を救ってくれたアウグストゥスの話、それを教えてくれた二人の女の子に恩を感じていました。二人の夢を応援したかったのです。それで、昔の知り合いに頼み、アンチコメントをしている人物を特定。
その人物に会いに行きます。
二人に執拗な嫌がらせをしていた犯人は、なんと!!
つづく

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