原文で味わいたいドイツ語「アウグストゥス」連続ドラマ第九話

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コラム
そこで。挿絵を描く担当の女の子が言う。
「・・・最初から、アウグストゥスは、二つの願い事をする権利を持っていたんじゃないかな?」

ドイツ語講師は鼻で笑います。「どこにそんなことが書いてあるんだよ!原文にそんなこと、一言も書いてないだろ!」

確かに、ビンスヴァンガーさんは「お前にも、何か一つの願いをかなえてやる」と言った。二つとは言ってない。

女の子は、ちょっと自慢気な笑みを浮かべてドイツ語講師を見ました。
「だって、思い出してよ!アウグストゥスが赤ちゃんの時のこと・・・名づけのお祝いで、アウグストゥスはターラー銀貨を二枚もらってる」

ビンスヴァンガーともう一人そこにいたお産婆のオババは、名づけのお祝いだと言って、幼いアウグストゥスにそれぞれターラー銀貨を贈るのです。
テキストにはそのターラー銀貨が「願い事の権利」であるとは一言も書かれていません。しかしです。この名付け親とオババは、小人か妖精の類の人たちと読み取れる。そんな二人がただの銀貨を渡すわけがない。

アウグストゥスが母親の願いのせいで身を滅ぼすことになると、ビンスヴァンガーとオババは、当時からすでに分かっていたのではないか?それで、ターラー銀貨をそれぞれ贈った・・・。いざという時、アウグストゥスを救えるように。

名付け親とオババ、この二人にはすでに分かっていた。
一つの願いは、母親の願いを取り消すために使うことになると。
そして、そうなった時、一つ、彼自身の願いをかなえてあげたいと思ったから、名付け親はもう一枚のターラー銀貨を贈った・・・。

ふ、深い!!一同は声を上げました。
最初から、この母親の願いは失敗すると分かっていた!!
(だったら、最初から母親に願い事させんなよ!というツッコミは置いておいておこう。これはメルヒェンです)

「そういえば、この物語の最初の部分から、この母親がどんなに愚かなのかということが強調して書かれているよね。ただ善良なだけで頭は良くないって感じ」と女の子は言いました。

ほら、ここ・・・と女の子はテキストを広げて指さしました。
weil sie so ganz allein war, so verweilten immer alle ihre Gedanken bei dem erwarteten Kinde, und es gab nichts Schönes und Herrliches und Beneidenswertes, das sie nicht für dieses Kind ausgedacht und gewünscht und geträumt hätte
(妊娠中)彼女はまったくの一人でいたので、生まれてくる子どものことしか考えてなかった。素敵なことも、すばらしいことも、人から羨ましがられるようなこともなかった。子どもの為でなければ、彼女は考えたり、願ったり夢見たりしなかっただろう。

「子どものことを考える以外、何も考えない女で、それ以外、彼女の頭の中には何にも入っていないってことだよね」

さらに、次の段落では
Ein steinernes Haus mit Spiegelscheiben und einem Springbrunnen im Garten schien ihr für den Kleinen gerade gut genug, und was seine Zukunft anging, so mußte er mindestens ein Professor oder König werden.
生まれてくる子が住むところは、鏡のついた石造りの豪邸で、庭に噴水があるの。将来は、王様か学者ね!

「いくら何でも、妄想がひどすぎるよ」と女の子は笑って言いました。

・・・親の願いの大きさにつぶされてしまった子どもは多いと思います。
悪気は全くない。ただただ・・・幸せになってほしいと思っているだけなのに。それが呪いになってしまう・・・。

そして「こんなバカな親でゴメン」と泣く羽目になる。そして子にとっては迷惑でトンチンカンな親の愛を確認させられ、それを受け入れられない自分の小ささに苛立つのです。

深いけど、現世的で狭い親の愛、そしてもっと高く広い視点の愛。ヘッセは明確にこの違いを認識していたはずです。
愚かな人間の愛は、その愚かさで、弱い人間の愛は、その弱さで間違う。
その後に、どうしようもない絶望感、無力感を味わうことになるのです。「消えてなくなってしまいたい」と思うほどに・・・。

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