不急のことばかり
みなさんは、蓮如上人の「白骨の御文章(ごぶんしょう)」をご存じのことと思います。その一番最後に、「たれの人もはやく後生(ごしょう)の一大事を心にかけて、阿弥陀仏をふかくたのみまゐらせて、念仏申すべきものなり」とあります。
蓮如上人は、誰もが早く命の往(ゆ)く先を阿弥陀さまのお浄土であると聞き受けてくださいとお示しくださいました。それは、縁次第では今にも命を終えていかねばならない私たちに、後生の一大事は二の次(つぎ)三の次がない、ただ今私の大問題であるとの仰(おお)せです。
ところが、私たちは健康で元気で人生がうまく運んでいる時には、「命の往く先」にあまり関心がないのかもしれません。「死んだらおしまい」ともよく耳にします。そんな私たちにお釈迦さまは、「世(よ)の人(ひと)、薄俗(はくぞく)にしてともに不急(ふきゅう)の事(じ)を諍(あらそ)ふ」と『無量寿経』にお示しになられました。