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米国連邦政府の気候変動関連調達方針

2022年11月上旬、アメリカホワイトハウスは連邦政府の調達方針として、サプライヤーに対して、CDPを通じた気候変動関連情報とSBTの設定を要求することを決定しました。新たな調達ルールにおいては、年間契約額750万ドル以上の全ての連邦政府請負業者等にScope1,2排出量の報告を義務付け、年間契約額5,000万ドル以上の請負業者にはScope3の関連カテゴリーまたはバリューチェーン全体で発生する排出量、気候変動リスク、および科学的根拠に基づく排出量削減目標を開示することが義務付けられることとなります。米国政府は世界最大のモノとサービスの購入者であり、その規模は2021年の実績ベースで年間およそ6,300億ドルにも及びます。今回の米国政府によるルール設定により、米国企業は市場だけでなく政府からの機構返送の要求事項を満たす必要が出てきたため、より一層、脱炭素に向けた開示が必要となってくるものと考えられます。
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TNFD開示フレームワーク案の公開

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は2021年に発足した、企業が自然生態系全体に与える影響および企業や金融機関が受ける財務的影響、およびそれらへの対応についての開示を促す枠組みです。 この枠組みが制定された背景には、生物多様性をはじめとした自然資本の喪失による社会経済的損失が企業の財務リスクにつながる可能性があるという、市場および経済界の懸念があり、ネイチャーポジティブ(水、大気、資源、生物等の状態を回復させること)に向けた取り組み及び開示が必要であるというステークホルダーの考え方があります。 基本的な開示の枠組みはTCFDと共通している部分が多く、自然資本や生物多様性に対する企業のガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標の4つの柱が採用される予定となっています。一方でTNFDの枠組みにおいては、自社が外部環境から受ける財務的インパクトの評価だけでなく、自社が外部環境に与える影響を評価しなければならないとしています。 すでに環境省においても、各国専門家チームで構成されるTNFDフォーラムに参加するなどTNFDの議論に積極的に参画しており、国内企業や金融機関における導入に積極的に貢献していくことが公表されています。国内企業において既に導入をしている又は検討を進めている企業はわずかではありますが、今後TCFDのように市場およびステークホルダーからの開示要求が強まることが予想されます。 以上のような動向に備えるため、企業はネイチャーポジティブに向けた事業戦略の見直しや関連するKPIの策定、開示の準備等を検討することが望まれます。
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SECによる気候変動関連情報開示の義務化案

2021年3月、SEC(米証券取引委員会)は上場企業に対して年次報告書(10-K)における気候変動リスクの開示を求めるルール案を提案しました。 この提案の中で企業はTCFD提言に示されているガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標といった枠組みに基づき、気候変動リスク・機会及び財務的インパクトを評価、開示することが求められています。特に、関連する指標としてScope1,2の開示は義務化すること、Scope3については重要な指標であり目標設定が行われている場合、開示が求められています。またScope1,2については第三者検証の必要性についても言及されています。 米国の上場企業はSECに提出する10-Kを作成し、CFOはそれに署名することになっていますが、今回のルール案はその10-Kにおける気候変動リスクの開示を求めるものです。つまり法的拘束力を持った提出書類に気候変動関連の開示を行ったうえで、CFOはその記載内容に責任を持たなければならなくなる可能性が出てくるということです 日本企業も自社には関係のない話で終わらせるのではなく、グローバルなサステナビリティ基準が金融市場でスタンダード化されつつある状況から、数年後には同様のルールが国内市場においても提案される可能性があることを念頭に置くべきであると考えます。経営が気候変動関連指標の開示内容に責任を持てる十分な体制を整え、より精度の高いGHG排出量算定が行える仕組みづくりを検討することが望まれます。 
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IPCC AR6第3作業部会報告書公表と企業への影響

2022年3月にIPCCより、気候変動緩和に向けた最新の知見がまとめられた第6次評価報告書第3作業部会報告書が一般に公開されました。  この第3作業部会報告書(以下AR6 WG3)では主に気候変動緩和に向けた技術開発状況や政策について言及しており、技術開発における開発費は減少している傾向を示しつつも、現行の政策のみでは世界の平均気温の上昇を産業革命以前の1.5℃に抑えることは難しく、21世紀末時点で約3.2℃の気温上昇になることが予想されるとしています。  すでに公開されているWG1およびWG2で示されたようなGHG排出量の増加に伴う気温上昇シナリオおよび気温上昇に伴う気候変動のリスクの顕在化を踏まえると、各国政府がより強力な政策を実行しない限り、自国のみならず世界全体の気候変動による物理的リスクが顕在化し、世界経済の衰退・脆弱化に繋がりかねない状況になると考えます。 AR6 WG3の公表により、パリ協定で提示された各国のGHG削減目標が気候変動緩和のためには不十分であり、各国はより強力な政策の必要性を認識できることとなったため、政府はより強力な制度設計を進めることになると考えられます。イギリスではいち早く自国企業に対しTCFD提言に沿った開示の義務付けを実施していますが、その他各国においても様々な気候変動緩和に向けた規制が検討されており、各国の企業は自社がどれだけのGHGを排出しており、どれだけの排出量を削減することとするのか、より厳しく求められることになるのではないでしょうか。 日本企業にとってもAR6 WG3の公表による影響は小さくなく、気候変動緩和に向けた政策が加速する
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東証再編とCGコード改訂

昨今、世界ではサステナビリティ経営に向けた動きが加速しており、特に上場企業に向けてはESGに関連した開示を求める圧力がより一層強まりを見せています。イギリスでは段階的にTCFD提言に基づく開示を義務化する法案が提出され、2022年4月からはイギリスの大企業約1,300社がTCFDの枠組みに準じた開示が必須となりました。日本国内も例外ではなく、2021年6月に東京証券取引所は「改訂コーポレートガバナンスコード(以下、改訂CGコード)」を公表し、上場企業はESG情報の開示をより積極的に行うことが必要となりました。特にプライム市場においては、改訂CGコードの補充原則3-1③で示されているように、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示が求められており、会社における気候変動リスクおよび機会の分析およびGHG排出量などKPI・目標の設定が急務となっています。またプライム市場以外の上場企業においてもサステナビリティの取り組みや、TCFD対応は関係のない話ではなく、基本原則としてサステナビリティ情報の適切な開示が求められている以上、自社にとっての重要課題を整理した上で、気候変動関連のリスク・機会、女性管理職者数向上に向けた取り組みなど、ESG関連情報を適切に開示していくことが望まれます。さらに、2021年のG7サミットでTCFD提言に基づく開示を段階的に義務化することに各国が合意したことを契機に、冒頭で触れたイギリスにおける動きをはじめ、アメリカやカナダにおいても上場企業におけるScope1,2の開示が義務化されつつある状況となっており、日本国内においても、全ての上場企業に対してTCFD
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なぜ、人権デューデリジェンスが必要なのか?

企業が人権尊重に取り組む理由として「質の高い持続的な事業活動の実現」「リスクの軽減」「新たな機会の獲得」がある。代表的なリスクとしては、人権課題(不当労働、差別)を理由にしたストライキや訴訟のコスト、NGO など市民社会からの糾弾、地元住民の抗議行動、政府からの操業許可取り消し、投資家の投資引き揚げなどがある。人権デューディリジェンスを通じて全てのリスクおよび人権へのネガティブ・インパクトを取り除くことは困難だが、それらを減らす合理的な努力を行うことが重要だ。また、新たな機会の獲得(メリット)としては、人権尊重を条件とする政府調達への対応やサプライヤー・取引先の拡大、自社に誇りや魅力を感じる優秀な人材の採用や確保が挙げられる。①質の高い持続的な事業活動の実現、企業の社会価値の向上1)人権尊重を担保した事業活動を通じて社会に貢献するとともに、事業の継続性を高める従業員のモチベーション向上2)従業員のやる気が高まり、その生産性が向上。優秀な人材の採用、離職率の低下コーポレート・ブランドの向上3)人権課題の解決に向けてリーダーシップを発揮することにより、企業評価ランキング及びブランド力が向上②リスクの軽減、オペレーション上のリスク4)人権課題を理由にしたストライキにより発生する損失や、NGO などの市民社会からの批判、法的および経済的リスク5)人権課題の訴訟コストの増加、レピュテーション・リスク6)人権侵害の報道によるブランドや企業イメージの低下、お客様からの期待リスク7)取引先より契約条件として人権取り組みに関する情報の要求、消費者による不買運動、政府・投資家からの期待リスク8)法
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数字で見るダイバーシティ&インクルージョン D&I

海外のダイバーシティ&インクルージョンの最新事情や統計調査に詳しいボストン コンサルティング グループBCGが、海外と比較した日本企業の多様性戦略の現状について統計調査などから紐解いている。20年以上前からダイバーシティに取り組んできた米国企業でも、インクルージョンの考え方は比較的新しく、この5年ほどで急速に普及したものだ。『女性』『人種』『LGBT』などタテ割りだったダイバーシティ施策にいわば横串を刺し、より包括的な取り組みとして考えるようになっている。BCGでは、社会的平等性や公平性に貢献するための“Good Company”としてのダイバーシティと、競争力・生産性を高めるために、多様性が有効に働くと考える“Strong Company”としてのダイバーシティの2つの考え方があるとしている。人間の半分は女性だから、多様性施策の中でも女性活躍の推進は成果が出やすいものだ。しかし最近では、先天的な特徴(*)による多様性だけでなく、  “Strong Company”としてのダイバーシティに求める、後天的に身に付ける特徴(*)の多様性を取り込むことが重視されている。それが競争力の一層の強化につながることが各国のサーベイでも明らかになっている。“Strong Company”としてのダイバーシティでは、先天的な特徴の多様性にとどまらず、後天的に身に付けた知識・経験、視点、能力を含めることが多い。(*)先天的特徴:民族・人種・性別など        後天的特徴:経験・知識・視点・能力など海外では、IoTやAIなどテクノロジーの進化に対応した人財獲得競争が激化している。日本企業が、イノ
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ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン

実践のための7つのアクション①経営戦略への組み込み・経営トップが、ダイバーシティが経営戦略に不可欠であること(ダイバーシティ・ポリシー)を明確にし、KPI・ロードマップを策定するとともに、自らの責任で取組をリードする。②推進体制の構築・ダイバーシティの取組を全社的・継続的に進めるために、推進体制を構築し、経営トップが実行に責任を持つ。③ガバナンスの改革・構成員のジェンダーや国際性の面を含む多様性の確保により取締役会の監督機能を高め、取締役会がダイバーシティ経営の取組を適切に監督する。④全社的な環境・ルールの整備・属性に関わらず活躍できる人事制度の見直し、働き方改革を実行する。⑤管理職の行動・意識改革・従業員の多様性を活かせるマネージャーを育成する。⑥従業員の行動・意識改革・多様なキャリアパスを構築し、従業員一人ひとりが自律的に行動できるよう、キャリアオーナーシップを育成する。⑦労働市場・資本市場への情報開示と対話・一貫した人材戦略を策定・実行し、その内容・成果を効果的に労働市場に発信する。・投資家に対して企業価値向上に繋がるダイバーシティの方針・取組を適切な媒体を通じ積極的に発信し、対話を行う。
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Ⅲ救済へのアクセス

基本原則29苦情への対処が早期になされ、直接救済を可能とするように、企業は、負の影響を受けた個人及び地域社会のために、実効的な事業レベルの苦情処理メカニズムを確立し、またはこれに参加すべきである。基本原則30産業団体、マルチステークホルダー、及びその他が関わる協働型の取組みで人権に関連する基準の尊重を基礎にするものは、実効的な苦情処理メカニズムを備えているべきである。基本原則31その実効性を確保するために、非司法的苦情処理メカニズムは、国家基盤型及び非国家基盤型を問わず、次の要件を充たすべきである。a)正当性がある:利用者であるステークホルダー・グループから信頼され、苦情プロセスの公正な遂行に対して責任を負う。b)アクセスすることができる:利用者であるステークホルダー・グループすべてに認知されており、アクセスする際に特別の障壁に直面する人々に対し適切な支援を提供する。c)予測可能である:各段階に目安となる所要期間を示した、明確で周知の手続が設けられ、利用可能なプロセス及び結果のタイプについて明確に説明され、履行を監視する手段がある。d)公平である:被害を受けた当事者が、公平で、情報に通じ、互いに相手に対する敬意を保持できる条件のもとで苦情処理プロセスに参加するために必要な情報源、助言及び専門知識への正当なアクセスができるようにする。e)透明性がある:苦情当事者にその進捗情報を継続的に知らせ、またその実効性について信頼を築き、危機にさらされている公共の利益をまもるために、メカニズムのパフォーマンスについて十分な情報を提供する。f)権利に矛盾しない:結果及び救済が、国際的に認められ
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人権デューデリジェンス

基本原則17人権への負の影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかということに責任をもつために、企業は人権デュー・デリジェンスを実行すべきである。そのプロセスは、実際のまたは潜在的な人権への影響を考量評価すること、その結論を取り入れ実行すること、それに対する反応を追跡検証すること、及びどのようにこの影響に対処するかについて知らせることを含むべきである。人権デュー・デリジェンスは、a)企業がその企業活動を通じて引き起こしあるいは助長し、またはその取引関係によって企業の事業、商品またはサービスに直接関係する人権への負の影響を対象とすべきである。b)企業の規模、人権の負の影響についてのリスク、及び事業の性質並びに状況によってその複雑さも異なる。c)企業の事業や事業の状況の進展に伴い、人権リスクが時とともに変りうることを認識したうえで、継続的に行われるべきである。基本原則18人権リスクを測るために、企業は、その活動を通じて、またはその取引関係の結果として関与することになるかもしれない、実際のまたは潜在的な人権への負の影響を特定し評価すべきである。このプロセスでは、以下のことをすべきである。a)内部及び/または独立した外部からの人権に関する専門知識を活用する。b)企業の規模及び事業の性質や状況にふさわしい形で潜在的に影響を受けるグループやその他の関連ステークホルダーとの有意義な協議を組み込む。基本原則19人権への負の影響を防止し、また軽減するために、企業はその影響評価の結論を、関連する全社内部門及びプロセスに組み入れ、適切な措置をとるべきである。a)効果的に組み入れるために
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Ⅱ人権を尊重する企業の責任

1.基盤となる原則原則11企業は人権を尊重すべきである。これは、企業が他者の人権を侵害することを回避し、関与する人権への負の影響に対処すべきことを意味する。原則12人権を尊重する企業の責任は、国際的に認められた人権に拠っているが、それは、最低限、国際人権章典で表明されたもの及び労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関宣言で挙げられた基本的権利に関する原則と理解される。原則13人権を尊重する責任は、企業に次の行為を求める。a)自らの活動を通じて人権に負の影響を引き起こしたり、助長することを回避し、そのような影響が生じた場合にはこれに対処する。b)たとえその影響を助長していない場合であっても、取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める。原則14人権を尊重する企業の責任は、その規模、業種、事業状況、所有形態及び組織構造に関わらず、すべての企業に適用される。しかしながら、企業がその責任を果たすためにとる手段の規模や複雑さは、これらの要素及び企業による人権への負の影響の深刻さに伴い、様々に変わりうる。原則15人権を尊重する責任を果たすために、企業は、その規模及び置かれている状況に適した方針及びプロセスを設けるべきである。それには以下のものを含む。a)人権を尊重する責任を果たすという方針によるコミットメントb)人権への影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかについて責任を持つという人権デュー・ディリジェンス・プロセスc)企業が引き起こし、または助長する人権への負の影響からの是正を可能とする
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ビジネスと人権に関する指導原則

指導原則「国際的に認められた人権」を基準として、国内関係法令の順守義務の上位概念と位置付けたうえで、企業に対し人権課題を「法令遵守における課題」として扱うことを要求している。「デュー・デリジェンス」は「企業の役職員がその立場に相当な注意を払うための意思決定や管理の仕組みやプログラム」であり、経営責任の有無の判断基準を提供するものとし、「人権リスクに関する内部統制」と位置付ける。一般原則として「人権を擁護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「効果的救済にアクセスする被害者の権利」の3つの枠組みを提示している。全ての国家・企業に適用され、すべての企業は規模、業種、活動地域(多国籍企業も含む)、形態、組織構成に関わらず適用される。企業活動の国際化の進展に伴い、自社グループのみならずバリューチェーンによる活動まで責任の境界(バウンダリー)が拡大し、いわゆる「加担の責任」も社会の批判を受ける状況になっている。人権を尊重する事への様々なメリット・企業の社会価値の向上・従業員のモチベーション向上・コーポレート・ブランドの向上・オペレーションリスクの軽減・訴訟リスクの軽減・レピュテーションリスクの軽減・顧客からの期待・投資家からの期待・融資コストの削減・グローバル競争力の向上・事業機会の創出・イノベーションの創出可能性拡大社内または社外の専門家からの助言は、方針の策定や施策の有効性向上を図るうえで有効であるとともに、人権被害に名を借りた過剰と思われる要求に対して、公正な第三者の介入によって適正性・透明性の高い対処ができるという防御の側面もある。
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ビジネスと人権に関する指導原則:人権を尊重する企業の責任 2/2

運用上の原則企業方針によるコミットメント6.人権を尊重する責任を定着させるための基盤として、企業は責任を  果たすためのコミットメントを、以下の要件を満たす企業方針の  ステートメントを通して表明するべきである。(1) 企業の最上層レベルによる承認があること。(2) 内部及び/または外部の適切な専門家により情報提供を受けたこと。(3) 企業の従業員、取引関係者及びその他企業活動・製品もしくはサービス  に直接関係している者に対する人権配慮への期待が明記されていること。(4) 一般に入手可能で,かつ内外問わず全従業員、共同経営/共同出資者及び  その他関係者に周知されていること。(5) 企業全体に定着させるために企業活動方針や手続に反映されていること。人権デューデリジェンス7.企業は、人権への悪影響を特定し、予防し、軽減し、対処方法を  説明するために、人権デューデリジェンスを実施するべきである。  この手続は、現実の、及び潜在的な人権への影響の評価、調査結果の  統合と対処、対応の追跡調査、対処方法の周知を含むべきである。  企業による人権デューデリジェンスは以下の要件を満たすべきである。(1) 人権への悪影響を惹起、または助長するおそれのある企業活動、  取引関係による企業活動、製品もしくはサービスに直接関連し得る人権  への悪影響を含むこと。(2) 複雑さが、企業の規模、人権に対する重大な影響へのリスク、企業活動の  性質や状態に応じて異なること。(3) 人権に関するリスクは企業活動の状態やその変遷により時間とともに変化  する可能性があることを踏まえ、継続的に行うこと。8
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ビジネスと人権に関する指導原則:人権を尊重する企業の責任 1/2

基本原則1.企業は人権を尊重すべきである。それは企業が他者への人権侵害を  回避し、企業が関与した人権への悪影響に対処すべきことを意味する。2.人権を尊重する企業の責任は国際的に承認された人権に拠っているが、  それは少なくとも国際人権章典や国際労働機関(ILO)宣言に  規定されている基本的権利に関する原則等に表明されている人権と  理解される。3.人権を尊重する責任は企業に以下の事項を要求する。(1) 企業活動による人権への悪影響の惹起またはその助長を回避し,  惹起した際には対処すること。(2) 企業活動と直接関連する、または取引関係による製品もしくは  サービスに直接関連する人権への悪影響については,企業が  その惹起に寄与していなくても、回避又は軽減に努めること。4.人権を尊重する企業の責任は、企業の規模、業種、企業活動の状況、  所有者、組織構成に関係なく全ての企業に適用される。ただし、  企業がその責任を果たすためにとる手段の規模や複雑さは,上記の  諸要素や人権への悪影響の重大性により異なり得る。5.企業は,人権を尊重する責任を果たすため、その規模と状況に応じて、  以下を含む企業方針と手続を持つべきである。(1) 人権を尊重する責任を果たすという企業方針によるコミットメント。(2) 人権への影響を特定し、予防し、軽減し、対処方法を説明するための  人権デュー・ディリジェンス手続き。(3) 企業が惹起させ、または寄与したあらゆる人権への悪影響からの救済を  可能とする手続き。
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ビジネスと人権に関する指導原則:一般原則

この指導原則は次の認識に基づいている。(1) 人権及び基本的自由を尊重し、保護し、充足する国家の既存の義務(2) 全ての適用可能な法令の遵守と人権尊重が要求される、専門的な  機能を果たす社会的機関としての企業の役割(3) 権利と義務が、その侵害・違反がなされた場合に、適切かつ実効的な  救済を備えているという要請全ての国家及び多国籍か否かに拘わらず全ての企業に、その規模、業種、所在地、所有者及び組織構造に関係なく適用される。影響を受ける個人や共同体のために具体的な成果を獲得し、それによって社会的に持続可能なグローバリゼーションにも貢献できるよう、ビジネスと人権に関する基準と慣行を推進するという目的に即して、首尾一貫した全体として理解され、個別的、かつ、まとまりとして解釈されるべきである。社会的弱者になるリスクまたは社会的に取り残されるリスクの高いグループや住民に属する個人の権利とニーズ、及び直面する課題に特別な注意を払い、同時に男女が直面する異なるリスクにも相当の注意を払いつつ、差別なく実施されるべきである。これらの指導原則のいずれも、新たな国際法上の義務を創設するものとして解釈されるべきではなく、また、国家が国際法上、人権に関して受け入れた、ないし負っている、いかなる法的義務を限定または弱めるものとして解釈されるべきではない。
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気候変動により脅威にさらされるケニヤの紅茶 Kenyan tea is under threat due to climate change  

Rise in temperature and extreme rainfall events in Kenya in the future will adversely affect tea production.Kenya that is the world’s largest exporter of black tea is under threat    from climate change, according to a recent report.The report, prepared by charity, Christian Aid, cited a peer-reviewed study to put forward the claim and the study has predicted that optimal conditions for growing tea in Kenya will be reduced by a quarter (26.2 per cent) by 2050.将来のケニアの気温上昇と極端な降雨は、紅茶の生産に悪影響を及ぼす。最近の報告によると、世界最大の紅茶の輸出国であるケニアは、気候変動の脅威にさらされている。慈善団体であるクリスチャンエイドによって作成された報告書は、査読された研究を引用しており、調査ではケニアでお茶を栽培するための最適な条件は、2050年までに4分の1(26.2パーセント)減少すると予測している。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~数年前までアフリカ担当セクションにいた
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グローバル・コンパクト「人権」「労働」を考える

グローバル・コンパクトは、グローバリゼーションの進展とともに顕在化してきた負の側面に対して、普遍的な倫理観と誠実性をベースに求められる行動様式であろう。国連にはグローバル・コンパクト事務所が設置され、様々な組織/集団と繋がっているものの定款のような取り決めはなく、参加・不参加も自由だ。「グローバル・コンパクトは組織ではなくネットワークだ。」と言われる所以だろう。グローバリゼーションの恩恵を最も受けているであろう企業がこれに参加し、活動を開示することは、社会的信用を得るうえで必須事項だ。それ故に投資家の視点はESGという形で向けられている。また消費者等も倫理観に立脚しているがらこそ「共感」という行動エンジンが働くのだろう。企業は、社員や取引先といった広範囲な繋がりに影響が及ぶからこそ、その果たす役割が期待される。特段難しいことを要求されるのではない。常に学習し、啓蒙発信し、繋がり続けることが大切なのだろう。ただ企業は営利を追求するのがミッションだ。そのバランスをどう考えるかという事が重要で、今の私に期待されていることと受け止めた。
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原則6 雇用と就業の差別撤廃

企業は、能力や職務に関係のない特徴を理由に、他者とは異なる、もしくは不利な処遇を行ってはならない。例えば、人種、肌の色、性別、宗教、政治的見解、出身国、社会的出自、年齢、障害、HIV/エイズへの感染、労働組合への加入、性的指向などが挙げられる。差別は仕事に関連したさまざまな活動の中で生じる可能性がある。募集、採用・雇用、仕事の割当、評価・報酬・昇進、研修の機会、休息の時間・有給休暇、出産・育児保護、身分の保障、社会保障、安全・労働衛生などが挙げられる。多くの場合、規則や社会慣行が中立を装いつつも実際には疎外をもたらしている間接的差別であり、意識や社会慣行の中に不文律として存在し、放置すれば組織に深く根付いてしまう可能性がある。差別には文化的根源を有するものもありえる。
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原則5 児童労働の実効的な廃止

児童労働を「若年層雇用」や「学生労働」と混同するべきではない。児童労働は、人権侵害を構成する搾取の一形態であり、国際協定によって認識、定義されている。就職または就労の最低年齢先進国:簡単な仕事=13歳、通常の仕事=15歳、危険な仕事=18歳途上国:簡単な仕事=12歳、通常の仕事=14歳、危険な仕事=18歳いかなる場合も、武力紛争、売春、ポルノ制作またはポルノ目的、薬物の生産と密売をはじめとする不正な活動は斡旋・提供も含め児童の使用は認めない。仕事の性質や働く環境の結果として、子どもの健康、安全または道徳に害を及ぼすと予想される労働への児童の使用は認めない。例えそれが取引先によるものであっても企業は責任を負う。
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大坂なおみさんの記者会見拒否、大会棄権と女性アスリートに対するアホな質問

大坂なおみさんが全仏オープンを棄権に関してメンタルヘルスの維持を理由とした報道をうけて「あれ」っと思った。「メンタルヘルスの維持?」女性アスリートはひどい扱いを受けやすい。英紙「テレグラフ」は「ディーバ気取り」だと批判した。同じく英テレビでは「世界のスポーツ界で最も怒りっぽい小生意気な女の子」と断じた。(*「ディーバ」とは、成功して有名になったという意味から派生して、「自分を特別な大物だと思っている女性」と言う意味で使われる。)「もし自分が17歳のマリア・シャラポワなら、あなたはイギリスでグラビアアイドルになっていますよ」と記者からコメントが発信されたことがあった。「シャラポワのスーパーモデル並みの素晴らしい外見におじけづいたことはありませんか」なんてアホな質問もあった。試合直後のコートで「クルっと一回転してウェアを見せてくれませんか?」なんてのもあった。大坂なおみさん自身も3年前、質問の半分は対戦したセリーナ・ウィリアムズについて聞かれ、さらに自分が勝ったにもかかわらず、その勝利について謝る羽目になった。今回の大会で何かがあったかまでは分からないが、これまでの「アホな」質問やコメントを考えると、記者会見の回避とその後の批判を受けての大会棄権には納得している。「ワシントン・ポスト」のコラムニストは記者会見のジェンダー格差を強く指摘した。そう、このような事態には、強い抗議や指摘をしなければ、それはあらゆる差別への助長・加担を意味すると考える。
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原則4 強制労働の排除

強制労働とは、ある者が処罰の脅威の下に強要され、かつ自ら任意に申し出たものではないすべての作業または役務のことを指す。労働者に賃金その他の補償を提供してさえいれば、その労働が強制労働にも強制的労働にも当たらないということではない。当然の権利として労働は自由に提供されるべきであり、かつ労働者は確立された規則によって自由にその職を離れられなければならない。強制労働は基本的人権の侵害に当たるだけでなく、技能や人材を育成したり、将来の労働市場を担う子供たちから教育などの機会を社会から奪ってしまう。よって、強制労働による悪影響は特に子どもをはじめとする個人だけに限られるわけではなく、社会や経済全般に及ぶ。合法的に業務を行う企業は通常こういった方法を採用することはないが、請負業者やサプライヤーなどとの取引関係を通じて強制労働と結びつく恐れがある。強制労働は多くの形態を取りうることを認識する必要がある。・奴隷制度・債務労働または債務による奴隷的拘束・特に虐待的な状態で行われる児童労働・拉致または誘拐・別の者に所有させるための人身取引・労働場所への監禁・強制的な超過勤務や雇用の見返りとして保証の預託を求める搾取的な行為・強制労働につなぎ止めておく手段としての身体的または心理的暴力 (労働者、家族もしくは縁故者に対する脅迫含む)・全面的もしくは部分的な移動の自由の制限・賃金の留保または不払い・食糧、住居その他必需品の剥奪・虚偽の約束による労働・不当な債務・非正規状態にある労働者を当局へ告発するという脅迫
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原則3 結社の自由と団体交渉権の承認

結社の自由とは、すべての使用者と労働者が、制限されずに、また自主的に組織を設立し、自己の選択で加入するか否かを決定する権利を尊重することを意味する。このような組織は、その職業上得ている利益を推進し守る活動を、干渉を受けることなく自由に行う権利を有する。使用者には表現の自由があるが、それを行使することによって労働者の有する労働組合加入の自由決定権を侵害してはならない。また使用者が、従業員による結社の決定を妨げたり労働者や労働者代表を差別したりしてはならない。団体交渉とは、雇用者と労働者が、労使関係、特に労働条件や雇用者と労働者(組織)間の関係調整などに関して、議論と交渉を行う任意のプロセスまたは活動を指す。団体交渉参加者には、雇用者自身もしくは組織のほか労働組合や、これがない場合は、労働者によって指名された代表者などが挙げられる。団体交渉権の重要な部分となるのが「誠実の原則」である。誠実かつ建設的な交渉を通して合意に達するために労使が協力して全力を尽くすこと、不当に交渉を長引かせないことなどが重要である。急速に変化しているグローバル市場において、結社の自由と団体交渉権の行使は、対立ではなく建設的な対話の機会となる。これによって企業とそのステークホルダー、さらには社会全般に利益をもたらし、国による規制よりも柔軟かつ効果的な解決策になる場合がある。
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原則2 人権侵害への非加担

人権の尊重には加担の回避も含まれている。これは企業が自社の直接的な事業活動以外によっても人権の享受を妨げかねないことを示している。企業は「デューディリジェンス」を実施することによってリスクを認識・防止・軽減すれば加担の疑いをかけられるおそれは低下する。加担の疑いは数多くの状況で生じる。・直接的加担:人権侵害に用いられることを知りながら、       企業が財またはサービスを提供する場合・受益的加担:人権侵害に対して積極的な支援をしたり直接的な原因となって       いたりしなくとも、それによって利益を得ている場合・加担の黙認:組織的または継続的な人権侵害に対し、企業が何も言わないか       何も行わない場合企業に求められる視点・進出国または進出予定国の人権状況について検証し、人権侵害に関与する 危険性や現行の状況における自社の潜在的な影響力を認識しているか。・自社の直接雇用やサプライチェーン全体において、 労働者の人権を擁護する明確な方針があるか。・自社の人権方針がきちんと実践されているかをチェックするシステムを 確立しているか。・市民団体を含むステークホルダーグループとの率直な話し合いに 積極的に関与しているか。・自社の警備体制が人権侵害を助長しないようにするための 明白な方針を持っているか。 警備を自社で行っているか否かは関係なく当てはまる。
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原則1:人権擁護の支持と尊重

企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである。企業はいかなる場所でも人権を尊重する責任がある。権利の尊重が本質的に意味するところは、他者の権利を侵害しないことで、他者が人権を享受することに悪い影響を与えないということ。企業は事実上、良くも悪くもあらゆる人権に影響を与える可能性がある。従って、あらゆる権利に対する自社の潜在的な影響力を考慮する必要がある。企業は、進出した国の法に沿って事業運営をしなければならないが、その国の国内法が国際基準を満たしていない場合は、国際基準を遵守し人権侵害をしないよう努めなければならない。ただし、国内法が国際基準に真っ向から反するという稀な状況では、国内法を違反することが期待されるわけではなく、他の方法で国際人権基準の精神を支持することが求められる。重要なのは、企業の人権尊重責任が国家の人権保障義務とは別に存在するという事。人権の尊重責任は、常に期待されている基本的な事柄で、企業が人権侵害を行っている場合においては、フィランソロピー活動や他の分野で人権の支持をしたり環境保護の優れた実績を残したりしていても、それを埋め合わせることはできない。自社の事業運営が人権に潜在的に悪影響を及ぼすリスクを判定する際には、①事業によって生じかねない人権課題がないか②方針や慣行が現実的に、もしくは潜在的に人権への影響を及ぼさないか③政府、ビジネスパートナー、サプライヤーとの関係性が人権侵害に関与してしまうリスクがないかを考慮すべきである。企業は、人権尊重の責任を果たしていることを確保・実証する(把握し、見せる)ため、デューデリジェンスを実施しなけれ
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国連グローバル・コンパクトって?

取り敢えずサマリー。1999年1月の世界経済フォーラムの席上で当時のコフィー・アナン国連事務総長が提唱。各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野・10原則から構成される。世界約160カ国で1万3000を超える団体・企業が署名。日本ではグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が事務局。10原則とは? 人権原則1: 企業はその影響の及ぶ範囲内で国際的に宣言されている人権の擁護を    支持し尊重する原則2: 人権侵害に加担しない労働原則3: 組合結成の自由と団体交渉の権利を実効あるものにする原則4: あらゆる形態の強制労働を排除する原則5: 児童労働を実効的に廃止する原則6: 雇用と職業に関する差別を撤廃する環境原則7: 環境問題の予防的なアプローチを支持する原則8: 環境に関して一層の責任を担うためのイニシアチブをとる原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及を促進する腐敗防止原則10: 強要と賄賂を含むあらゆる形態の腐敗を防止するために取り組む
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すばらしい新世界

多くは石油原料を元に、劣悪な労働環境で、安価で大量に作られた洋服を称して一部では’Junk Clothing’と呼ばれています。まさに’Junk Food’のように、必要以上に市場供給され、ほんの短期間のみ購入者のニーズや空腹を満たす為だけに作られた、持続的価値に乏しい商品。同義語として使われる’Fast Fashion’というフレーズは安易な大量消費の負の側面を捉えられていないように思えます。正鵠を得ているのは、それが’junk’であることであって、’fast’であることではない。それは持続的に心を満たしてくれないだけでなく、それを安価且つ大量に製造するため、人類、そして環境へ甚大な負荷がかかります。ある友人は同一のTシャツ3枚を購入してワードローブを一新したので、それらを毎日着用して、洗濯して、取り換えられることを喜んでいました。必ずしも悪いとは言えませんし、恐らくこれは究極に簡潔なワードローブでしょう。しかしながら彼は各々たったの$8だったことを自慢していました。この`驚安価格`は感嘆すべきだと。この価格はオンラインショッピングで返却されたものを、コストをかけてリパックせずに、そのまま捨てることにより実現しています。これはいま時分の異常な問題です。英国の作家オルダス・ハクスリーのディストピア小説「すばらしい新世界」では、指導者ムスタファ・モンドが「古い物ではなく新しいものを好んでほしい」と語る場面があります。この至極諧謔的な物語では、人類が生産・加工・利用されて経済の奴隷のように扱われます。ビンから生産される人類は、幼少期から人工物を好むように加工(調教)されることで個人
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