ビジネスと人権に関する指導原則:人権を尊重する企業の責任 2/2

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運用上の原則
企業方針によるコミットメント
6.人権を尊重する責任を定着させるための基盤として、企業は責任を
  果たすためのコミットメントを、以下の要件を満たす企業方針の
  ステートメントを通して表明するべきである。
(1) 企業の最上層レベルによる承認があること。
(2) 内部及び/または外部の適切な専門家により情報提供を受けたこと。
(3) 企業の従業員、取引関係者及びその他企業活動・製品もしくはサービス
  に直接関係している者に対する人権配慮への期待が明記されていること。
(4) 一般に入手可能で,かつ内外問わず全従業員、共同経営/共同出資者及び
  その他関係者に周知されていること。
(5) 企業全体に定着させるために企業活動方針や手続に反映されていること。

人権デューデリジェンス
7.企業は、人権への悪影響を特定し、予防し、軽減し、対処方法を
  説明するために、人権デューデリジェンスを実施するべきである。
  この手続は、現実の、及び潜在的な人権への影響の評価、調査結果の
  統合と対処、対応の追跡調査、対処方法の周知を含むべきである。
  企業による人権デューデリジェンスは以下の要件を満たすべきである。
(1) 人権への悪影響を惹起、または助長するおそれのある企業活動、
  取引関係による企業活動、製品もしくはサービスに直接関連し得る人権
  への悪影響を含むこと。
(2) 複雑さが、企業の規模、人権に対する重大な影響へのリスク、企業活動の
  性質や状態に応じて異なること。
(3) 人権に関するリスクは企業活動の状態やその変遷により時間とともに変化
  する可能性があることを踏まえ、継続的に行うこと。
8.企業は、人権に関するリスクを測るため、企業活動を通じて、または
  取引関係の結果として企業が関与した、いかなる現実の、または潜在的な
  人権への悪影響も特定し評価すべきである。その手続は以下の事項を
  満たすべきである。
(1) 社内及び/または独立した社外の人権専門家の知見を活用すること。
(2) 企業の規模や業務の性質/状況に応じ、人権への悪影響を潜在的に受ける
  集団やその他の利害関係者との有意義な協議を含むこと。
9.企業は、人権への悪影響を予防、軽減するため、人権への影響評価で得た
  調査結果を全社的に関連する職務部門及び手続に組み込み、適切な措置を
  とるべきである。
(1) 実効的に調査結果を組み込むには以下が必要である。
(i) 対処する責任が、企業内の適切な階層の適切な職務部門に割り振られて
  いること。
(ii) 企業内の意思決定、予算配分、監督手続きが、実効的な対応を可能にして
  いること。
(2) 適切な措置は以下に応じて異なる。
(i) 企業が悪影響を惹起または助長しているか、それとも商取引関係先による
  企業活動、製品またはサービスが悪影響に直接関連していることにより
  関与しているに過ぎないのか。
(ii) 人権への悪影響に対処する場合の企業の影響力の範囲。
10.人権への悪影響について対処されているか検証するため、企業はその
  対応の実効性を追跡調査すべきである。追跡調査は以下を満たすべきで
  ある。
(1) 適切な質的・量的指標に基づいていること。
(2) 人権への悪影響を受けた利害関係者を含む社内外からの意見を活用して
  いること。
11.企業は、人権への悪影響にいかに対処するか明らかにするため、特に
  悪影響を受けた利害関係者、またはその代理人から懸念が表明された
  場合、その対処方法の外部への情報提供を可能にしておくべきである。
  その活動や活動状況が人権への重大な悪影響を引き起こすリスクがある
  企業は、対処方法につき正式な報告をすべきである。
  全ての場合において、対処方法の情報提供は以下の事項を満たすべきで
  ある。
(1) 形式や頻度が、人権への悪影響に応じたもので、想定された情報提供先
  にも入手可能であること。
(2) 人権への悪影響に対する企業の対応の妥当性について,個別案件ごとに
  評価が可能なだけの情報提供がなされること。
(3) 情報提供により、影響を受けた利害関係者、従業員、もしくは商業上の
  秘密へのリスクが伴わないこと。
救済
12.企業が人権への悪影響の惹起または助長を確認した場合、企業は正当な
  手続を通じた救済を提供し、またはそれに協力すべきである。
状況の問題
13.いかなる状況においても、企業は以下のようにすべきである。
(1) どこで活動を行う場合も、適用可能な全ての法令を遵守し、国際的に
  承認された人権を尊重する。
(2) 相反する要請に直面した場合は、国際的に承認された人権の原則を
  尊重する方法を追求する。
(3) いかなる場所で活動を行う場合も,著しい人権侵害を引き起こす、
  または助長するリスクを、法令遵守の問題として扱う。
14.対応策に優先順位をつけなければならない場合、企業は、まず最も
  深刻な、または対応の遅れが救済不能をもたらす可能性のあるものから
  影響を予防、及び軽減するように努めるべきである。
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