なぜ、人権デューデリジェンスが必要なのか?

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企業が人権尊重に取り組む理由として「質の高い持続的な事業活動の実現」「リスクの軽減」「新たな機会の獲得」がある。代表的なリスクとしては、人権課題(不当労働、差別)を理由にしたストライキや訴訟のコスト、NGO など市民社会からの糾弾、地元住民の抗議行動、政府からの操業許可取り消し、投資家の投資引き揚げなどがある。

人権デューディリジェンスを通じて全てのリスクおよび人権へのネガティブ・インパクトを取り除くことは困難だが、それらを減らす合理的な努力を行うことが重要だ。また、新たな機会の獲得(メリット)としては、人権尊重を条件とする政府調達への対応やサプライヤー・取引先の拡大、自社に誇りや魅力を感じる優秀な人材の採用や確保が挙げられる。

①質の高い持続的な事業活動の実現、企業の社会価値の向上
1)人権尊重を担保した事業活動を通じて社会に貢献するとともに、事業の継続性を高める従業員のモチベーション向上
2)従業員のやる気が高まり、その生産性が向上。優秀な人材の採用、離職率の低下コーポレート・ブランドの向上
3)人権課題の解決に向けてリーダーシップを発揮することにより、企業評価ランキング及びブランド力が向上

②リスクの軽減、オペレーション上のリスク
4)人権課題を理由にしたストライキにより発生する損失や、NGO などの市民社会からの批判、法的および経済的リスク
5)人権課題の訴訟コストの増加、レピュテーション・リスク
6)人権侵害の報道によるブランドや企業イメージの低下、お客様からの期待リスク
7)取引先より契約条件として人権取り組みに関する情報の要求、消費者による不買運動、政府・投資家からの期待リスク
8)法遵守や事業リスクに関する情報を操業許可や投資条件として要求

③新たな機会の獲得、グローバル競争力、金融コストの削減
9)グローバル市場での即戦力となる、多様な人材が成長できる労働環境の確立、事業における機会創出
10)人権尊重を条件とする政府調達への対応、仕入先・取引先の拡大
11)金融機関からの有利な融資条件の獲得

例えば、人権デューディリジェンスに長年取り組んできた米衣料品小売大手のGAPは、1990年代の労働人権問題をきっかけに人権に関するオペレーション上のリスクおよびレピュテーション・リスクの回避に積極的に取り組み、自社の社会価値とコーポレート・ブランドを向上、ステークホルダーからの評価を得ている。
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