IPCC AR6第3作業部会報告書公表と企業への影響

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2022年3月にIPCCより、気候変動緩和に向けた最新の知見がまとめられた第6次評価報告書第3作業部会報告書が一般に公開されました。 

この第3作業部会報告書(以下AR6 WG3)では主に気候変動緩和に向けた技術開発状況や政策について言及しており、技術開発における開発費は減少している傾向を示しつつも、現行の政策のみでは世界の平均気温の上昇を産業革命以前の1.5℃に抑えることは難しく、21世紀末時点で約3.2℃の気温上昇になることが予想されるとしています。 

すでに公開されているWG1およびWG2で示されたようなGHG排出量の増加に伴う気温上昇シナリオおよび気温上昇に伴う気候変動のリスクの顕在化を踏まえると、各国政府がより強力な政策を実行しない限り、自国のみならず世界全体の気候変動による物理的リスクが顕在化し、世界経済の衰退・脆弱化に繋がりかねない状況になると考えます。 

AR6 WG3の公表により、パリ協定で提示された各国のGHG削減目標が気候変動緩和のためには不十分であり、各国はより強力な政策の必要性を認識できることとなったため、政府はより強力な制度設計を進めることになると考えられます。イギリスではいち早く自国企業に対しTCFD提言に沿った開示の義務付けを実施していますが、その他各国においても様々な気候変動緩和に向けた規制が検討されており、各国の企業は自社がどれだけのGHGを排出しており、どれだけの排出量を削減することとするのか、より厳しく求められることになるのではないでしょうか。 

日本企業にとってもAR6 WG3の公表による影響は小さくなく、気候変動緩和に向けた政策が加速することにより、気候変動関連の開示要求が一層強まることも予想されます。気候変動への対応を進めていない企業は、まずは自社における気候変動リスクの分析、GHG排出量算定、およびGHG削減手段などについて検討を進めることが望ましい状況下にあると考えます。 
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