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ありがとう

 吉華の過去作です。こっちにはまだ載せてなかったみたいなので。  *****あふれるほどの、愛を。 抱えきれないくらいの、幸せを。 たくさん、たくさん、私にくれた。 愛された私は、本当に幸福な毎日を送っていて。 生涯を共にしたいと思えるくらいの人とも、巡り合えて。 ひと月後には、最愛の人に嫁ぐ事が決まっていた。 だから、どうしても伝えたかった。 感謝の気持ちを。二人への愛を。 今まで私を育ててくれた、貴方と貴女に。 でも、私は『ありがとう』の一言すら……自分の言葉で、自分の音で伝えられない。 生まれた時から、私は言葉を話す事が出来なかったから。 自分の声を持たずに、生まれてきたから。  *** 「ねえ、音声合成ソフトって知ってる?」  とある昼下がりの午後、式の打ち合わせをしていた時に、彼がそんな事を言い始めた。 『知ってるよ。文章打ち込んだら読み上げてくれるってやつでしょ?』  会話用のメモ帳に、さらさらと答えを書いていく。パソコンを使うようになって、そういうソフトがあるって知って……これなら、私の声の代わりになってくれるかもって期待して使ってみた事もあるけど。  でも、ただ文章を読み上げるだけでは足りないのだと気づいてしまったのだ。私が両親に伝えたい気持ちは簡単な一文や二文じゃ到底足りない、いっそ一曲を情感たっぷりに歌うくらいのボリュームでなければ無理だって。 『でも、何でいきなり?』 「最近動画サイト見てて、見つけたんだけど……」  そう言った彼は、自分のスマホを操作してある動画を見つけると、私に見せてくれた。 『ソフトが、歌ってる?』 「うん。その動画みたいにさ……音声
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【1分ショート朗読】失恋ももたろう デタラメ昔話

おはようございます。ブログを閲覧していただきありがとうございます。ショート朗読始めました。語り手、作者本人、北条むつき+αです。当チャンネルは作者北条むつきのチャンネルなので、声優さんに混じり作者本人も登場させてください。期待はずれだったら、ごめんなさい。1分のショート朗読なので、サクッと聞けます。・朗読動画をご用意しております。・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。・ショート朗読はこちら⏬◉失恋桃太郎作者:北条むつき朗読:北条むつき(+α) むかーしのことじゃった。鬼が村を荒らした事件があった。 桃から生まれた桃太郎は、村で暴れた鬼を退治すべく、動物を連れて、鬼ヶ島にやってきた。「鬼! いるなら出てこーい!」桃太郎は叫ぶ。すると大きな鬼が現れた。「なに? あんた?」鬼を見た瞬間、桃太郎は驚愕した。鬼は大女で、しかも超絶美女だった。一目惚れした桃太郎は言った。「何故、村で暴れた! 一目惚れしたから許すが、理由が知りたい」鬼は答えた。「彼氏が浮気したからよ」桃太郎は聞き返す。「俺の嫁さ、なってくれ!」鬼は言う。「帰って! タイプじゃない!」桃太郎はフラれ村へ帰りグレた。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ここまで本文を読んでいただき、ありがとうございます。いかがでしたか? 動画内容もしくは、小説がよければ、いいねを押してください。励みになり大変喜びます。◉youtubeを運営しております。
その他動画も多数ご用意しております。
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【ショートショート】失礼なキャンプ男

Sはビジネス相談会の会場に来ていた。 幸いなことに、混み合っている様子はない。 受付の女性に声をかける。「相談希望なんですが」 「はい、ありがとうございます。事業計画などに関するご相談は1番ブース、具体的な商品やサービスなどに関するご相談は2番ブース、それ以外は3番ブースになります。混み具合によっては、少しお待ちいただくかもしれません。相談料のお支払いはこちらで先におこなうことになっております。ご相談開始後の返金対応はおこなっておりませんので、ご了承ください」 「わかりました」 支払いを終えるとSは2番ブースへと向かう。 2番ブースには誰もおらず、すぐに案内された。 相談に乗ってくれるのはどうやら女性らしい。 「はじめまして。よろしくお願いします」
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【ショートショート】パンをひとつだけ

寒い。寒すぎる。羽織のフードも頻繁にめくれあがるし、しっかりとかぶっているニット帽すら飛んでいきそうな強風で実際の気温よりも体感はかなり寒い。自然と下を向いて歩いてしまうからか、いろいろなことを考えてしまう。今日はいい日だった。そう思える日がここ最近、続いている。素直に喜ぶことができればいいのに、性分なのか「これがいつまで続くのだろうか」「いいことが続いた分、先で悪いことが待っているのではないか」と考えてしまう。我ながらもったいないとは思う。勝手にひとり悶々としながら強風に押されて2歩3歩と不規則なステップを踏むと、いつもの道で新しいパン屋を見つけた。オシャレな外観で普段はあまり入らないタイプの路面店。何種類かのパンがあったが、その中にチョコレートで顔が描かれているものがいくつかあった。なんとなくそれが目について、気づいたら吸い寄せられるようにレジ前に立っていた。店主も感じがよく、すぐに試食をすすめてきた。いつもは断るのに、これまたなんとなくすすめられるがままに試食をしてしまった。試食と言いつつも、1カットがとても大きい。頬張ると口の中に珈琲とバターの香りが広がった。「……おいしい」無意識のうちに言葉がこぼれてしまって自分でも驚いた。独り言のようになってしまって感じが悪かったのではないかと恐る恐る店主のほうを見ると、満面の笑みとともに「ありがとうございます!」という言葉が返ってきた。「これと同じものをひとつ、ください」「はい!ありがとうございます」買うつもりはなかったのに、買わずにはいられなかった。店主がパンをトングで取り出そうとしたその瞬間、ピタリと動きを止めた。真面目な顔で
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【ショートショート】引っかかった「他のお仕事」

Yはパソコンの画面を至近距離で睨みながら、キーボードを叩いていた。ひときわ強くEnterキーを叩くと天井を仰ぎ見て、ふーっと大きく息を吐き出す。「あー、疲れた……」自分でビジネスを立ち上げて、もう何年経つだろうか。今ではその界隈でそれなりの地位は築いているはずだし、ここまで来るのに特別大きなトラブルもなかった。一般的に考えれば順調なほうだろう。ただ、ひとりで作業をするのはもう限界かもしれない。嫌だ嫌だと今まで避けてきた外注という選択肢がYの中でいよいよ現実味を帯びてきた。だが、今の自分には直接頼めるようなツテはない。知り合いに頼めば誰か紹介してくれるかもしれないが、紹介となってくると何かと気を遣う。ゼロから自分で探すしかない。自分以外誰もいない部屋で、まるで誰かに聞かせるかのように「はぁー……」とわざとらしいため息をつく。
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ヒイラギの木の下で

 ちょっと自分の同人誌の原稿の締め切りがアレな感じになってきたので急遽受付を休止させて戴いたのですけれども、諸々サービス見直してもっと気軽な感じにしたらいけなくもなくもなくも……と思ったので考えてみますな! とはいえ、始める際にもっときっちり考え多角的に色々想定しておくべきでしたのでそこは反省……何かを始めるときって勢い大事ですけど、勢いだけだと頓挫しちゃうってのを見事に体現してて草生えて森って感じなのです← まぁ、とりまやってみて壁にぶち当たってから修正する、を繰り返すのも大事なのでしょうけども……お金が絡む以上無責任な事は出来ないので、その辺は緊張感を持ってやっていきたい所存です。 そんな前置きはさておき、本日は、以前ツイッターの方でお題を募ってみたら相互さんが素敵なお題を下さったので書いた話です。お題は『男女で身長差(どっちが高いかはおまかせ)、届きそうで届かない距離、赤面、小春日和』でした。 ちなみに、この話で1158字です。 ********************************* 徐々に空気がひんやりしてきた時分。ヒイラギの生け垣を背にして、あの人がまた佇んでいた。 「こんにちは」 「あら、こんにちは。最近の小学校って終わるの遅いのねぇ」 「今日はクラブ活動があったから」 「そうだったの。楽しかった?」 「楽しかった、です」  どきまぎとしながら、おっとりと笑うその人に言葉を返す。この人が何歳で、どこで何をしている人なのかは全く知らないけれど、こちらの話を丁寧に聞いてくれる優しさや、それでいて踏み込み過ぎないでくれる優しさは知っていた。 「寒くないんですか
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