『讃火華』〜絵画とショートストーリー〜

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小説
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寒空の下
彼女は帰路につく
真冬の冷たい空気と
冷たい人間に震えながら
白い息が昇り、それが雲となり
雪を降らせているようだった


家に着いた彼女は
忙しなく暖炉に火をつけ
マグカップを見つめながら
ロッキングチェアに腰掛ける
今日の虚しさがホットミルクの湯気となり
雪を降らせているようだった


やがて暖炉は
無邪気に赤色を放ち
それが彼女の頬へも伝わっていく
はしゃぐ子供の面影にも見えるその炎は
ぱちぱちと
ぱちぱちと
まるで過去のすべてを讃えているようだった

思い出すだけで
思わず微笑んでしまうような記憶を
人の温もりによく似た暖かさが
思い出させてくれた
ちょっと可笑しくて、懐かしい記憶を


ありがとう
いま、生きています


『讃火華』
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