私の歴史 〜退職、創作活動編〜#4

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コラム
24歳、俺は会社を辞めた。
広い世界は、あまりにも窮屈すぎた。
ひとつの命として、魂として
やるべき事が多すぎた。
これは、俺のこれからの事。
せっかくの酒の席だし、今までの話で終わらせる気はないよ。

●目次
・行方
・不明
・朗読
・希望
・帰路


・行方

営業部として順調な日々は送っていたんだ。
新社長の直属の部下。
だんだん失敗もしなくなって、
サラリーマンらしくなって、
信頼も厚くなって、
でも、なんでかな。
このまま人並みに上手く行って
人並みにお金を稼いで
人並みの幸福を手にして行く。
それがちょっと怖くなってしまったんだ。
過去の自分の亡霊たちがいじけちゃったかな。
「まさかお前、そのままそこに居るつもりじゃないだろうな?」
って言われてる気がした。
俺は、どこへ向かうのかな。
俺は、どこへ向かうのかな。


・不明

ひとりの時間が必要で
創作を続けなくては自分を保てなかった。
睡眠時間も短くなって、会社じゃずっと眠いし。
ビジネス用の小さな嘘や
社交辞令や
交渉や
意図の読み合い。
そういったものに疲れたんだ。

俺がどんどん、偽物の俺になっていくような気がした。
せっかく安定を手に入れたのに、
わざわざ手離したいなんて、贅沢だよな。
だからこそ、金にはならなくて良いんだ。
狭い世界でも良いんだ。
俺は、俺で居たいよ。
なんて、贅沢だよな。
申し訳ありません、でも、やっぱり
何かやらなくちゃいけない気がしてならない。

俺は、どこへ向かうのかな。

さよなら
黒いコートで夜に逃げて
行方不明。


・朗読

中学生の時からずっと詩を書いてきた。
行方不明の詩を。
そして辿り着いた先は、ポエトリーリーディング。
2018年から始めたポエトリーリーディングに
もっとのめり込む時が来たんだ。
会社を辞めて時間が出来たから
DTMで朗読用の作曲も始めた。
仕事が忙しくて続けられず、ブランクを空けていた絵も
また描き始める事ができた。

2020年4月。時間をかけて創作を開始したんだ。
7月、数曲できたから初の音楽付きでライブをしたんだ。
共演者しかいないものの、拍手喝采が起きた。
その時、俺が始まるのを感じた。
10代のような火薬を両手にかかえて、
決定的な始まりを感じた。

俺は、どこへ向かうのかな。


・希望

25歳、会社を辞めたら辞めたで
仕事全般において嫌なイメージや
恐怖感が付きまとうようになってしまった。
働きたいとは思うものの、どうしても怖い。
年老いた母親の年金や、派遣業によって
生活をさせてもらってる残念な男になっちまった。
まったく、最悪だよな。
安心は永遠じゃない。
死に損ないに世界からかけられた、僅かな情けだ。
またすぐ、俺は戻らなくてはならないよな。

それでも、こんな俺に
こんな俺にもだ。
この空白の時間に
たくさんの友達ができたんだ。
例えば、あなたとか。
これは奇跡か、何かのバグか。

どうでもいい事なんだけどさ、
俺、ずっと寂しかった。
ずっと独りだった。
「俺は独りでも平気だから。」
ってそんな訳あるか。
ずっと、味方がいなかった。
ずっと、それが欲しかった。

とても特別な希望に想うんだ。
例えば、あなたとか。

俺は、どこへ向かうのかな。


・帰路

これからの事は、わからない。
わからないけど
初めて希望ってやつに触った気がするよ。
体温があって、ふわふわしていて
傷付けてしまう事も出来るものなんだね。
まだ扱い方がいまいちわからないんだけど
大切なものだって事は、俺にもわかったよ。

だって俺は、笑いたかっただけなんだ。
心から、笑いたかっただけなんだ。
子供みたいに、笑いたかっただけなんだ。
大人にはなれなかったから
せめて素直に笑いたかっただけなんだ。
それを共有していけたら幸せだね。

てか、
そろそろ終電だな。
それに、お互いちょっと飲みすぎだぞ。
俺は関係なくて悪いんだけど、
明日も早いんだろ。大丈夫か。

いっしょに帰ろう。
どこまでも行くんじゃくて、
どこまでも帰るんだ。
あの時、出掛けたからには
帰らなくちゃな。
旅先に帰る場所を築かなくちゃな。
ふらふらでも、ちゃんと歩かなくちゃな。

なんて、ほんと
めんどくせえ酔っ払いだよな。
今日は長話に付き合ってくれてありがとう。

大好きだぜ。
例えば、あなたとか。
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