VRで大きなオフィスがいらなくなる…的な近未来VRSF

記事
小説
VRで会議をしよう。テーマ:「テレワークが続いているけど、感想とかを聞きたい」
自宅のPCにチャットの着音が鳴る。
ツールバーのアイコンをクリックすると、チャット欄が開いた。
手元のVRヘッドセットを装着し、
sideのツールバーから「会議を開始」をクリックした。
00000003858413_A01.jpg

VRの視界に電脳空間に構築された会議部屋が拡がった。
曲線で構成されたデザインの白いテーブルと落ち着いた木目調の椅子。
窓からは陽の光が差し込み、インテリアとして配置されたプランタンの葉が床に薄い影をおとしている。
次々に仲間たちのアバターも出現している。
「やあ、おはよう」
「・・昨日ちょっと飲みすぎちゃって・・」
「おはようございます!」
あちこちであいさつが始まる。
「みんな、おはよう!集まったかな?」「ぼちぼち始めるよ!」
主任部長の言葉でみな一斉に声の方を見る。
会場には低く音楽も流れていて、会場の臨場感を伝えている。
唯一の違和感は、下半身だけパジャマであることでの膝の感触と、足裏に触れる
部屋内履きの内側のふわふわ感だけ。
「本日のテーマなんだけど。・・・テレワークがだいぶ長く続いているけど、
みんなどんな感想ですか。・・みたいなところを聞きたくて、集まってもらったんだけど。」
「誰か、・・・・マツとかどう?」
マツと呼ばれたアバターが答える。
「そうっすね、俺なんかは結構順応性高いんで、結構快適っすね!・・・Uberバッカたのんでるのでちょっとデブたんすけど。はは。」
周囲から笑い声。
「業務的には、結構何とかなってます。」と女性のアバターが答える。
「っていうか、通勤時間、私的には読書タイムだったので、最近それなくなっちゃったんで、買ってあるビジネス書溜まってきてます。」
またどっと笑いが起きた。
「でも・・・みんなとリアルでお昼一緒に行ったりとかできなくて、ちょっと寂しいかも」
「言えてる」
「じゃあ今度はVR飲み会とかする?」
「だれかぁ幹事・・・」
皆 いくらかの不便さは感じているようだが、テレワークについておおむね好評のようだ。
私の持っているデバイスは一個前の型なので無理だが、
最新の接触感知センサー内臓型グローブであれば、握手やハグも可能だろう。
仲間との無駄話して、しばらく歓談し解散した。
渋谷の交差点に立つ巨大なオフィスビルに
毎日通勤していた日々が懐かし。
早起きしてちょっとゆうつな日でさえ無理しても毎日通っていた道。
「密を避けて・・・」
久しぶりに、出社してみたくなっている私がいた。

end

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す