経営とは、何をやらないかを決めること

経営とは、何をやらないかを決めること

記事
ビジネス・マーケティング
経営では、何をやるかを決めることが大切です。

新しい商品を作る。
新規顧客を開拓する。
採用を強化する。
業務改善を進める。
管理体制を整える。
新しいシステムを導入する。

会社を良くしようとすれば、
やりたいこと、やるべきことはいくらでも出てきます。

しかし、経営で本当に難しいのは、
何をやるかを決めることだけではありません。

それと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが、
何をやらないかを決めること
です。

なぜなら、会社の経営資源には限りがあるからです。
人も、時間も、お金も、現場の余力も、無限ではありません。

何かをやるということは、
その分、別の何かに使えたはずの経営資源を使うということです。

つまり、何かをやることは、別の何かをやめること、
あるいは後回しにすることと表裏一体です。

今回は、経営において「何をやらないか」を決める意味について考えます。

1.やりたいことは、いくらでも増えていく

会社を成長させようとすると、取り組むべきことは次々に出てきます。

売上を伸ばしたい。
利益率を改善したい。
新しい商品を出したい。
新規顧客を増やしたい。
人を採用したい。
業務を効率化したい。
情報発信も強化したい。

どれも間違っていません。
むしろ、会社を良くするためには必要に見えることばかりです。
だからこそ難しいのです。

明らかに不要なことをやめるのは、まだ判断しやすいです。

しかし、実際の経営で迷うのは、
「やった方が良さそうなこと」
「いつか必要になりそうなこと」
「他社もやっていること」
「現場や顧客から求められていること」
がいくつも並んだときです。

そのすべてに手を出すと、会社の力は分散します。

2.何かをやることは、何かをやめることでもある

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経営資源が限られている以上、すべてを同時に進めることはできません。

新商品開発に人を使えば、
その人は既存商品の改善には十分な時間を使えません。

新規顧客の開拓に営業の時間を使えば、
既存顧客への提案が薄くなるかもしれません。

SNS発信や販促に力を入れれば、
その分、商品設計や営業資料の整備が後回しになるかもしれません。

新しいシステムを導入すれば、
導入準備、教育、移行作業に現場の時間を使います。

何かを始めるということは、単に仕事を一つ追加することではありません。

人の時間、管理職の注意力、現場の余力、お金を
そこに振り向けるということです。

その裏側では、別の何かが遅れたり、薄くなったり、止まったりします。

これが経営におけるトレードオフです。

「これもやる」
「あれもやる」
と机上では言えても、実際に動かすと、どこかで必ず無理が出ます。

だから、何をやるかを決めるときには、
同時に何をやらないかを決める必要があります。

3.机上では全部できそうに見える

計画を作っている段階では、
やりたいことを全部できるように見えることがあります。

資料上では、担当者を置ける。
スケジュールも引ける。
会議体も作れる。
KPIも設定できる。
予算も一応つけられる。

しかし、いざ動かしてみると、計画通りには進まないことが多いです。

現場には日々の仕事があります。

顧客対応もあります。
トラブル対応もあります。
突発的な依頼もあります。
既存業務も残っています。
判断待ちや調整も発生します。

さらに、新しい取り組みには、想定以上に時間がかかります。

説明する時間。
確認する時間。
やり直す時間。
関係者と調整する時間。
現場に落とし込む時間。

計画上は一つの施策でも、現場で動かすと多くの仕事に分かれます。
その結果、机上ではできるはずだったことが、実際にはなかなか進まない。

これは、現場の能力が低いからとは限りません。
そもそも、同時に進めようとしていることが多すぎる場合があります。

4.現場は、思い通りには動かない

経営側や管理側から見ると、
「この施策は重要だから進めてほしい」
「これは会社の方針だから対応してほしい」
と考えます。

しかし、現場から見ると、新しい施策は日々の仕事に追加されるものです。
今までの業務が減らないまま、新しい仕事だけが増える。
そうなると、現場では次のようなことが起きます。

 ・優先順位が分からなくなる
 ・重要な仕事が後回しになる
 ・会議や報告が増える
 ・担当者が疲弊する
 ・中途半端な状態で止まる
 ・結局、声の大きい仕事から処理される

これは、現場がやる気がないからではありません。
やることが多すぎて、何に力を集中すべきかが見えにくくなっているのです。

経営の方針を実行に移すには、現場が動ける状態にする必要があります。

そのためには、新しくやることを決めるだけでなく、
何を減らすのか
何を後回しにするのか
何をやらないのか
を決めなければなりません。

5.やらないことを決めるのは、経営資源の使い道を決めること

何をやらないかを決めることは、単なる業務削減ではありません。
経営資源を何に使うかを決める、重要な意思決定です。

会社には限られた資源があります。
 ・人
 ・時間
 ・お金
 ・設備
 ・情報
 ・経営者や管理職の注意力
 ・現場の余力

これらをどこに集中させるのか。
逆に、どこには使わないのか。
それを決めることが、経営判断です。

例えば、既存顧客への深耕を優先するなら、
新規開拓の一部を後回しにする判断が必要かもしれません。

主力商品の利益率改善を優先するなら、
新商品の数をむやみに増やさない判断が必要かもしれません。

業務改善を本気で進めるなら、
日々の会議や報告の一部を減らす必要があるかもしれません。

つまり、やらないことを決めるからこそ、やるべきことに力を集中できます。

6.やらないことを決めるための3つの問い

何をやらないかを決めるときは、次の3つを考えると整理しやすくなります。

① 今、本当に優先すべきことは何か
重要なことはたくさんあります。
しかし、今の会社にとって最も優先すべきことは何か。

売上を伸ばすことなのか。
利益率を改善することなのか。
既存顧客を深掘りすることなのか。
主力商品に集中することなのか。
現場の負担を減らすことなのか。

最初に、会社として力を集中すべき対象を決める必要があります。

② その取り組みによって、何が後回しになるのか
新しいことを始めるときは、得られる効果だけでなく、
後回しになるものも考えます。

誰の時間を使うのか。
どの仕事が遅れるのか。
現場にどれだけ負担がかかるのか。
管理職の注意力をどれだけ使うのか。

「やる価値があるか」だけではなく、
他の何を犠牲にしてでもやるべきか
を考えることが大切です。

③ やめても大きな問題が起きないことは何か
続けている仕事の中には、やめても大きな問題が起きないものがあります。

誰も使っていない資料。
目的が曖昧な会議。
判断に使われていないデータ。
過去の経緯で残っている確認作業。
効果が見えないまま続いている施策。

こうしたものを見直すと、会社の余力が戻ってきます。
やらないことを決めるとは、単に仕事を減らすことではありません。
本当に重要なことに力を使うために、優先度の低いものを手放すことです。

7.まとめ
経営では、何をやるかを決めることが大切です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
会社の経営資源は限られています。
人も、時間も、お金も、現場の余力も、無限ではありません。

何かをやるということは、
別の何かに使えたはずの資源を使うということです。

だからこそ、経営では、
何をやらないかを決めること
が重要になります。

やらないことを決めないまま、やることだけを増やすと、
会社の力は分散します。

机上ではできるように見えても、
実際に動かすと現場は思い通りには動きません。

だからこそ、
 ・今、本当に優先すべきことは何か
 ・その取り組みによって、何が後回しになるのか
 ・やめても大きな問題が起きないことは何か
を整理する必要があります。

やらないことを決めることは、後ろ向きな判断ではありません。
会社の限られた力を、本当に重要なことに集中させるための判断です。

もし、
「やることが増えすぎて、何を優先すべきか分からない」
「重点課題を決めても、なかなか前に進まない」
「事業や施策の優先順位を整理したい」
という場合は、状況整理のお手伝いも可能です。

ブログでは一般的な考え方をお伝えしていますが、実際には会社ごとの事業環境、組織体制、売上構成、現場の余力によって、取るべき判断は変わります。

現状の課題や取り組みをお聞かせいただければ、何を優先し、何を後回しにし、何をやめるべきかを一緒に整理することも可能です。

感覚ではなく、構造で整理する。
それだけで、経営判断はしやすくなります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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