「英語学習を始めたけれど、どれだけの時間がかかるのか見当がつかない…」という日本語母語話者の方も多いと思いますが、実は、世界的にも基準となっている Foreign Service Institude(米国国務省の外務公務員研修機関)が、言語別に必要とされる授業時間を公表しています。今回は、FSI の数字と学習者体験から「必要な時間のリアルな目安」を紹介します。
Foreign Service Institute(FSI)は、米国務省に属する機関で、外交官などの専門職を養成する教育機関です。1947年に設立され、特に外国語教育で有名で、70年以上にわたる職員教育を通じて、外国語学習に関する膨大な知識と経験を有しています。
アメリカの外交官ですから、英語母語話者が中心です。英語母語話者が外交官の仕事で使えるレベルの外国語能力を身につけるのに必要な授業時間数が言語別にまとめられています。カテゴリー1からカテゴリー4まであります。
カテゴリー1の言語は英語に近い言語。6ヶ月から7ヶ月程度、552 から 690 授業時間で習得可能されています。デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、オランダ語。イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ルーマニア語がこのカテゴリーにリストされています。
カテゴリー2の言語。9ヶ月程度の期間、828 授業時間で習得する言語として、ドイツ語、ハイチ・クレオール語、インドネシア語、マレー語、スワヒリ語がリストされています。
ハイチ・クレオール語とは、フランス語とアフリカの言語が混ざり合って形成された、ハイチの公用語の一つであるクレオール言語です。ハイチの大部分の人々に話されており、文字はラテン文字を使用します。元々はピジン語(異なる言語の話者間の意思疎通のために一時的に作られた簡易な言語)であったものが、クレオール語へと発展し、新しい世代の母語として定着しました。
カテゴリー3の言語。言語的、文化的に英語とはかなり異なる言語で、このリストに入りきらない数多くの言語があると書いてあります。習得期間は約 11ヶ月、授業時間は 1,012 時間とあります。アルバニア語、アルメニア語、アゼルバイジャン語、ベンガル語、ブルガリア語、ビルマ語、チェコ語、エストニア語、フィンランド語、ギリシャ語、ヘブライ語、ヒンディー語等がリストされています。
ラトビア語、リトアニア語、モンゴル語、ネパール語、ポーランド語、ロシア語、タイ語、ベトナム語もこのカテゴリー3の言語です。
最後にカテゴリー4の言語。英語母語話者にとっては「スーパーハード言語」とあります。アラビア語、中国語、日本語、韓国語がリストされています。習得期間は 2 年程度。授業時間は 2,200 時間。アメリカの外交官にとっても日本語を習得するのは、大変なんですね。
日本語母語話者が英語を習得するのもこれと似た現象があるかもしれません。不正確ではありますが、大体の目安にはなります。
これを参考に、私自身の英語学習を振り返ってみました。30 代で二度、ノーベル賞の受賞演説が行われる大学に留学したのですが、大体あの時にこの 2,200 時間を突破したのだろうな、ということなのだろうと思います。
この数字はあながち間違っていません。1ヶ月の語学留学から帰国した人がほとんど英語を話せないのに対し、1年の語学留学から帰国した人なら中身はともかく何かは話せます。
これはどういうことか。
留学中、1日10時間誰かと英語で話していると仮定しましょう。留学先では、授業だけでなく余暇時間に友達と遊んでいる時の使用言語も英語です。1ヶ月で大体300時間。これを7ヶ月続けると2100時間、とアメリカ国務省が提示する2200という数字に近づいてきます。
留学中であっても、1日中一人で引きこもって日本語のサイトばかり見ているという日もあるでしょう。それも計算に入れると、やはり大体10ヶ月程度現地にいて、日本語を解さない現地の人たちと英語で生活をすれば、この2200という数字を突破します。
英語の授業時間数は、日本の中学生が年間140時間、小学5年、6年生がその半分の70時間、小学3年、4年生はさらにその半分の35時間です。
私は大学受験の時浪人して、国公立の外大に入りましたが、予備校時代の英語の授業時間数は300時間程度でした。どうりで英語が話せなかったわけです。
母語とはよく言ったもので、子供は主に母親との会話によって母親の話す言語をまずは理解できるようになります。次に母親の話す言語を話すことができるようになります。サザエさんを見ていればよくわかりますが、2歳のイクラちゃんは日本語を理解できる段階、3歳のタラちゃんは日本語を話せる段階にいます。この年代の子供は睡眠時間が長いですから、1日あたり日本語を聞いたり話したりしている時間は10時間もいかないでしょう。が、彼らも、実際の生活の場面で、しかもお腹が空いたということを伝えられなければ空腹に苦しまなけれないけないまさに「サバイバル言語習得」を毎日繰り返すと、いつしか2200時間のラインを突破してきます。大体この時間を超えたあたりから言葉が話せるようになるのではないでしょうか。それが人間だと2歳ぐらいということになるわけです。
実際にはこの授業時間に加えて、自習時間が必要です。アメリカ国務省のページには "A typical week is 23 hours per week in class and 17 hours of self-study." とありました。週あたり授業時間は23時間、自習時間は17時間が標準となる目安なのですね。
"... the actual time can vary based on several factors, including the language learner’s natural ability, prior language-learning experience, and time spent in the classroom."
もちろん、言語学習者の天性の能力、過去の言語学習経験、過去に受けた授業時間数によってこの数値が変化することは言うまでもありません。
アメリカ国務省のページ、一度覗いてみて下さい。
私の時間では、TOEFL や TOEIC、IELTSや大学受験の英語の問題を実際に解きながら、記憶に残って離れない英語の雑談を双方向で行います。この雑談が心に残るのです。
頭に力を入れて真面目にとったノートよりも、学生時代のたわいもない雑談や経験の方が記憶に残ります。このことを活用して、記憶に残る面白い雑談を双方向で行うこと、ご自身にもたくさん発言していただくこと。これを行うと、ノートを取らなくても勝手に覚えてしまう脳の仕組みを発見してしまいました。
価値ある時間をお届けいたします。