新しい人生の幕開け…13

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旦那は翌日ハローワークに行って面接の日どりを決めてきたようだ。

旦那は求人票を私に見せてきた。
……。
「職種/営業・外壁のリフォームのアポイントのルート営業」
「給与/35万以上可」

私はバカにされている気分だったから「やれるやらやれば?」と言った。
旦那は結構浮かれている感じだった。

そして、面接当日、旦那はいつもは作業着だったのだが面接にはスーツで行った。
ネクタイの結び方すらおぼつかない手つきで…。

数時間経ってから旦那が帰ってきた。
「俺、あんな会社の面接は初めてだ!みんなスーツ着てるし現場にも車で送迎だって!」
と息巻いていた。

結果は数日後にきた。
「採用」

旦那はすごく喜んでいた。今までやったことのない職種なことと給料、そして「ラク」な仕事だと思っているし、スーツを着る仕事など初めてらしい。

ウキウキしていた。

仕事初日…
どんよりした顔で帰ってきた。

まず子供たちのことをしてから旦那の話を聞くことにした。

私は二階から降りて旦那のところにいった。
旦那は難しい顔をして、紙を見ていた。

なになに??

「ロープレしてこいって言われた…。」
「あ~そうなのね!営業なら普通だからね」とチクリと言ってやった。

そして旦那が見ていた紙を見ると…。
A4サイズにちょこっとだけ書かれた営業用の挨拶やアポイントを取るための言葉が並べられていた。

「じゃあ、それ読んでみて」というと、ぎこちない言葉で話し始めた。
そして
「会社の人、これ暗記してこいっていうんだよ、いくら見ても覚えれない!」
とダダをこね始めた。
「え、これくらい普通だし逆になんで覚えれないの?少ないくらいだけど」
と言った。
そして何度かロープレをしたがとてもじゃないけど、営業どころか
「人と話す」というコミュニケーションではなかった。
まず、初めてだし、と思いたいが、「お前でも営業できるんだから」という言葉が頭からどうしても離れなかった。

次の日は、今度は現場に行ったらしい。
どこかの場所に車を止めて勝手に「ここの範囲でいってこい」
と言われ車はどこかに行ってしまったという。そして16時までその車は迎えに来なかったという。
お昼ご飯はお弁当を持たせていたが、公園で一人で食べたという

一軒一軒、ピンポンを押してみたが話してもくれない。
と嘆いている。

「うん、そうだろうね、それが当たり前だし、自分だってそうするでしょ」
と言ってやった。
そうすると「じゃあどうすればいいんだよ!」
と半ばキレ気味に話してきた。

私は「話にならん」という感じではいたが、少しのアドバイスはしたつもりだ。

声を明るくする、挨拶は元気に、もぞもぞしないでハッキリと話す…。

もう基本的なことから…。

そして数日たったある日、同期で入社した人が成績を出したというのだ。
「なんでアポ取ってこれるんだ!」となかなか意味不明な怒り方をしていた(笑)

旦那の会社は外壁の「アポ取り」までが仕事。
それからのことは上司の人やその部署の人がやるらしい。

アポまでとは言わないが「話す」ということすらできない自分に腹が立っているらしいが、私の方はもっと腹が立っている。

そして、一か月もしないうちに「出張」の話が舞い込んできた。

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