2,000本の原稿を読んできた。
作家希望
“食べていける”ライター希望
コラムニスト・エッセイスト希望
文章を書いて暮らせるだけの収入を得たいを願う人達から、これまで2,000本を軽く超える原稿を「読んでほしい」と渡されてきました。
現役の作家だった頃は多忙で、とてもじゃないけれど人様の原稿を読んでいる時間などなかった。
一方的に(公式サイト等を通じて)送られてくる作品に、当時、目を通したことはほとんどありませんでした。
それどころか
「近道するなよ」
と思っていたところさえある。
なんとかして大手の出版社に“つなげてもらおうとしている”と、わたしを最短距離で向こう岸に渡れる橋扱いにしていやがると、そんなふうに思っていました。
忙しいっていやですね、人をいじわるくさせます。
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現役作家から元作家になって、ようやく落ち着いて人様の原稿に目を通す時間と心の余裕ができて気づいたこと。
うまい人はごまんといる。
唸るくらいうまい人はひとつまみもいない。
文才があるわけではないけど、代えがきかない個性が溢れている人も、ひとつまみもいない。
個性をさがして“文章迷子”になっている人もごまんといる。
ライター向きな人、作家向きな人。
「趣味」でとどめておくと、ちょうどいい人。
起承転結ははちゃめちゃだけど、なんでか、思い出しちゃうワンフレーズをのこす人。
リズムがいい人。文章にテンポのある人。
自分に類まれなる文才があることに、気づいていない人。
“酔っちゃってるんだな、自分の文章に――”な人。
2,000本を超える原稿を読んでいると、いろんな才能に会える。
好きも嫌いも理想も出てくる。そんなのを凌駕する原石もいる。
書
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