学校へ行けなくなった生徒①

学校へ行けなくなった生徒①

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コラム

最初に笑ったのは、たった一人だった


ユウタが学校へ行けなくなったきっかけは、小さな笑い声だった。

体育の時間、跳び箱で失敗した。

手をつく場所を間違え、体が横に崩れた。

マットに落ちた瞬間、誰かが笑った。

最初は一人だった。

次に二人。

そのうち、クラスの空気が笑っているように感じた。

先生は言った。

「大丈夫、大丈夫。もう一回やってみよう」

ユウタは立ち上がった。

けれど、跳び箱よりも、背中の視線の方が高く見えた。

次の日から、体育のある朝だけお腹が痛くなった。

そのうち、体育のない日も痛くなった。

母親は言った。

「そんなことで?」

ユウタはうなずかなかった。

「そんなこと」は、本人の中ではもう、教室全体の大きさになっていた。
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