居場所
結婚式はやらない事になった。
私は親しい人だけを集めて小さな結婚式をやりたかったのだが、テルは
「盛大にやりたいからお金を貯めて子供もいっしょの結婚式をあげる」
と譲らなかった。
【赤ちゃん産めるしその部分はテルの意見を尊重するか…】
実際問題、金銭的に式どころでは無かった。
まず新居を借りるお金も無いのだから…
その頃、祖母の家に引っ越した私の両親は又マンションに戻る事になっていた。
叔父との暮らしを邪魔された祖母の怒りの矛先は父に向けられたのだ。
その結果ほんの数か月でリタイア。
そんな祖母の家に私は5年間も預けられていたなんて…
溺愛しすぎてる叔父との暮らしに割って入れば例え孫であろうが容赦無かった。
そりゃあ何としても自分の本当の居場所を求めるというものだ。
しかし新居を構えられなきゃ居場所もクソもない。
仕方無くテルの両親に頭を下げた。
「2人で頑張ってお金貯めて部屋を借りるので、それまで置いて下さい」
と。
それに対する返事はこうだった。
「近所の目があるからここに住まれちゃ困る…お金は出すから部屋を借りて2人で住みなさい」
【ええーーっ?私がテルの子を産む事をこの両親は恥ているのーー?】
かなりビックリしたが子供さえ産めれば他は我慢出来た。
17歳の私は『結婚・出産』の決定で幸せを手に入れたと思い込んでいた。
ひたすら浮かれていたのだ。
そして幸せへの準備に取り掛かったのだが…
何か…
何かが違っていた…
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