新しい人生の終焉…4

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私は決めた。

…「離婚する」…。

このままでは、不信感しかない、そして、また自分の心を殺して、このまま生きていくのか…。

それで子供たちに「素直になりなさい」と言えるのか…。

子供たちにどんな顔して毎日を送ればいいのか。

親として、妻として…そして一人の女性として…
それは果たして「正解」なのか…。

色んなことを考えての「決断」だった。

私の気持ちは何日経っても変わることはなかった。

旦那が帰ってくる日を待った。
そして、その日は案外すぐ来たのか、そう感じただけなのかはわからない。

そして、子供たちが寝静まった後、旦那に話をした。

「もうあなたを信じることはできない…。」と…

そうすると旦那は
「なんでこれからやり直そうとしているのに、そういうことをいうんだ!」
と言ってきたが、その後に
「じゃあ別れなくてもよかったじゃん」と…。

なにを言っているんだ?この人は?自分の言っていることの意味も今口に出していいことの区別もつかないのか?

私はキレそうにもなったが、「もう別れる」と決めた心には怒りなどはなかった。

そして、私は淡々と続けた。

「離婚するにも証人が必要だから、それはRさんに頼んであるけど、もう一人、あなたの方から出してね、それと慰謝料とか養育費を決めたい」
と一気に話した。

旦那はここまで言って初めて本気だと思ったのか
「どうしたら許してくれるの?」「お前にだって悪いところはあるぞ」などと言ってきたが黙ってただ、反応もせず旦那の言う事を聞いていた。

そうすると段々
「わかった…もう相手とは別れたし、俺にはお前しかいないから、やり直すという前提で離婚しよう」
と言い出した。

なんて都合のいい人だ。こんな人だと本当に思っていなかった。

かといって、子供たちにとっては「父親」である。
前の旦那のように「育児を全くしなかったか」と言われると、それは違う。

そして旦那は後に続けた。
「今まで、子供たちのイベント事に参加できなかったのは申し訳ないと思ってる、だから、これからは誕生日の時とかでいいから子供たちに会わせてほしい」
と言ってきた。

私は「できるわけがない」と思っていたから「それはどうぞ」と許可した。

子供に「罪」はない、そして旦那もそういう気持ちなら、と私なりに気持ちを譲った。

そして離婚の際の証人は「親父に頼む」と言っていた。
それも二人で行こうと…。
それはそうだなと思った、そしてお義父さんにこの人はなんていうんだろう、という気持ちにもなっていた。
正直に言うのか、隠すのか…。

そして、私はその場で「離婚届け」をすでに書いていたものを旦那にだした。

旦那は「もう書いてあるのかよ」と言っていたが、私は微動だにしなかった。

次の日、旦那は午後から出発するとのことで、子供たちを学校やら保育園に出した後、旦那の実家に二人で行くことにした。

その道中の車の中はいつになく、静まり返っていた。

私は、この時間すらもったいないと思い、
「後で慰謝料とか養育費の件、それから今の家はあなたの名義だし、私一人の稼ぎでは、あの家を維持できないし、そもそもあなたがいた家に居たくないから引っ越すことになると思う」
と言った。

あの家には「思い出」がありすぎる…。それは私だけではなく、子供たちもそうだと思った。
あの家にいれば「お父さんが帰ってくる」という思いでいることを考えるだけで胸が苦しくなってくる。

そうこうしている内に旦那の実家に着いた。

私のほうがなぜかドキドキしていた。この人は何ていうんだろう…。

居間にはお義父さんが座っていた。

旦那はお義父さんになんて言って時間を取ってもらったのかまでは聞いていない。たまたまいたのかもしれないが…。

私たち二人はお義父さんの前に座った。

お義父さんは何かを察したのか
「どうした?」と聞いてきた。
そして旦那が「ちょっと話が…」
と言ってから全く話が進まない…。

お義父さんの顔が険しくなるのを私は見逃さなかった。

私はなかなか言い出せない旦那にしびれを切らして

「すみません…。離婚することになりました…」
とだけ言った。

お義父さんは私の方は一切向かず、旦那に
「なんでこうなった」
と普段では聞いたことのない声で旦那に話しかけていた。

旦那は黙ったままうつ向いていた…。

お義父さんは、少し待っていたが深いため息を吐いていた…。

私にとって、旦那のお義父さんは唯一の「味方」でいてくれた。

子供たちにとっても…。

私が旦那の方のお墓参りに行く際も私はお墓と実家にお花やお酒、お供物などをお正月、お盆は必ずしていた。
義母ですらやらないことでも…。
お墓の草むしりも毎年欠かさず…。

そういう姿を見てくれていたのもお義父さんだった。

私はお義父さんには嫌な思いをしてほしくない…

咄嗟にそう思ってしまった。

「少し遊びたいそうです…」

咄嗟に言ってしまった…。
そして、それが精一杯だった。

お義父さんは、わなわなと手が震えていた…。
そして旦那を睨むように見ていた。

それでも旦那は何も言おうとしなかった。

何分くらい経っただろうか…。とてつもなく長い時間に感じた。

旦那が「離婚届け」をお義父さんに出した。

「これに書いてください」
ボソッと…やっと出た言葉が、それだった。

お義父さんは、私に向かって
「悪かったな…。申し訳ない…。もし嫌じゃなかったら孫たちに会わせてほしい…」
と…。

私はなんだか申し訳ない気持ちになった…。

旦那と別れることよりも辛かったかもしれない。

私は「もちろん、子供たちも喜びます」と伝えた。

その場で断るなんてできなかった。

それを聞いて安心したのか、お義父さんは「証人」の欄に記入した。


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