新しい人生の終焉…6

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その日は何もできない、と言われ点滴を打たれたまま気を失ったように寝ていた。

翌朝起きたら、看護師さんが「体調どうですか?」などと言いながら血圧や体温を測ってくれていた。

お腹に違和感はあったものの昨日ほどではない感じがしたので、「もう大丈夫です」というと看護師さんは血相を変えて

「あんた!なんでここのナースセンターの前の病室にいると思ってんの?あんた昨日死にそうだったんだよ?血圧も上60もなかったし!」
と怒られてしまった。

血圧なんて普段測ることもないから、それが異常なのかなんなのかすら分からなかった。

病院のご飯を食べていると、旦那から電話がきた。

「あれ?起きてるの?子供たちのことが全然わからなくて…保育園に何を持たせればいいの?朝ご飯はどうしてたの?」

という電話だった…。

私は「入院している場合ではない、もう帰ろう」
と思った。

過去にもあった…同じことが…。

そして過去にも2日で退院してきている。
医師のいうことも無視して…

私に「休んでいる時間」も「体を治す時間」
もないのだ。

ましてやこれから「離婚しよう」としているのに…。

この弱みに付け込んで離婚がなかったこと、になるのも、すごく嫌だった。
もしかしたら「プライド」だったのかもしれない。

けれど、私は「引き返す」選択肢はなかった。

その電話を切った後、点滴などを変えにきた看護師さんが「午後から診察ありますからね」と言って去っていった。

今日のところはまず保育園や学校に行くとどうにかなるだろう…
子供たちが帰るころには家に帰っていなければ、子供たちも心配するし、ご飯や洗濯や…
などと考えていた。
もう私の中では「今日中に退院」すると決めていた。

旦那がお見舞いとまでは行かなくても、なにか来るのかなと思いきや、全く来る気配はなかった。

そのまま午後になった。

先生が巡回診察にきた。

「あら、少し体調良さそうだけど、手術だから。このままにしておくと今は良くても、また再発するしね」
そういわれた。

がすぐに、先生に私はこういった

「手術はできません…子供を残してきているので、できれば今日の夕方退院したいんです」
と伝えた。先生はビックリした顔をして
「なに言ってるんですか!そのままじゃ退院させられませんよ?」と返されたが、子供のことなどを話した

それでも「いいですよ」とは言われなかったが、「手術は本人の承諾なしではできないので…帰るまで点滴はしていってください」
と最終的には先生が折れてくれた。
隣にいた看護師は、めちゃくちゃ怒っていたような顔をしていたが、仕方ない…。


私は、そのまま旦那に電話をした
「今日帰るから夕方迎えに来て」と…
そうすると旦那は
「あ~良かった!会社からもずっと電話きて荷下ろしの日程がズレたりすると怒られるんだよな」
……。

はぁ…もう溜息しか出てこなかったが、迎えに来てもらわなければならなかったので、我慢した。

旦那は夕方子供たちを迎えに行く前に病院にきた。

もちろん旦那も昨日診断された病名のことは聞いていたはずだが、それに関して何も言ってはこなかった。

とことん「自分中心」なんだろう…。

私はそのまま子供たちを迎えに行こうと言ったら「そうするつもりで来た、お前らを家に届けたら俺はそのまま走る」
と…。

どこに走るのやら…。
と思いつつ私は外を眺めていた。

子供たちは私が病院に行ったことなどは分かっていなかったようだった
無邪気な子供たちの顔を見ていると本当に癒されたが、心の中では
「私はもう病気などと言っていられないんだ!身内もいないし頼れる人もいない」
そう自分に言い聞かせた。

そういう私の気持ちも知らず、旦那は仕事に行った。

それからはいつも通りにしていた。
若干、やっぱり体に違和感はあるものの、なんとかご飯を作り子供たちをお風呂に入れ、洗濯もされていない山積みの洗濯機を回し、次の日に備えた。

会社には連絡はしたものの、長く入院する気持ちがなかったため普通の「休み」にしてもらっていた。
入院したとまでは伝えていなかった。

会社では何事もなかったかのようにしていた。

そして、今まで通りの生活に戻っていった。

離婚のことはもう「提出するだけ」になっていたので、次は私たちのアパートを探さなければならなかった。

それは前回も話した通り、退去費用などは旦那が持つと言っていたので、そのままで自分たちのアパートを探すことにした。

学校に近くて…スーパーはとりあえず私が動けばいいから…

などと不動産屋さんなどから聞いたりしたが、アパートになるとどうしても部屋の数が1ルームだったりする…。

市営団地なども考えて市役所に相談に行ったが、そうやら何かの税金を母親が払っていなかったせいでとてつもない金額の税金が未納になっていて、すぐ払っても確実に入れるわけではないことを言われ諦めた。

そして探していると何か動きを感じ取ったのか、会社の先輩が「どうしたの?」と話しかけてきた。
離婚の話はしたくなかったから、自分のことを友達のように言って「安い貸家か広めのアパートを探している人がいるんですけど、そんなのありませんよね~」と軽い感じで言ってみたら
「あ~私のお客さんに長屋?っていうの?アパートではないけど2DKの家なら空いてるって聞いたよ?」と言われた。
場所も聞いたら学校から15分くらい。
今と大して変わらない距離。

家賃なども教えてくれたが
安かった35000円…。

簡易水洗ではあるが今のボットンよりはとてもいい条件だった。

その大家さんの電話番号と名前を聞いて「ありがとうございます、友達に話してみます」と言った。後でバレてもそれは仕方ない…。

私は確実に動き出していた。
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