地獄への道…10

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こんな人生、終わってしまいたい。

そうずっと思っていた。

その度に「自分には子どもがいる」と言い聞かせてきた。
私の感情など、どうでもいい。

この子たちが「幸せ」であればそれでいい。
私の役目はこの子たちを自分のような惨めではなく「幸せな人生」を送らせてあげること。

それだけしか「私の価値」は要らないし、価値すらない。

息子が「支援学校」に通えるようになるまで、家にいたが、それを心配した支援学校の校長先生から電話が度々きていた。

「息子くん、どうしてますか?もしよかったら、転校手続きが終わるまで、少し学校にきませんか?」
と言ってくれた。

私は、涙が出るほど嬉しかった。

私は「ありがとうございます。息子は今外で遊んでいます。息子に話してみて、もし希望があればお伺いさせていただきます!」と答えた。

その日の夕方、息子が帰ってきた時、早速聞いてみた。
そしたら息子は
「え!!いいの!?行きたい!」と飛び跳ねて喜んでいた。

私もそれを見てとても嬉しくなった。

翌日、早速学校に電話した。
校長先生に代わってもらい、息子が行きたいと言っていたことを伝えたら
「いつでもお待ちしています!」と言ってくれた。

息子は「明日にでも行きたい!」という感じだったし、この電話で行くことを伝えた。
「学校の都合が良ければ、明日にでも伺いたいのですが…」というと
「もちろんです!明日は学校の方も特別な行事がないので、ぜひ!先生にも話しておきます!」
と言ってくれた。

そのことを息子に伝えると息子は張り切っていた。

まだ、転校できるとは決まっていなかったが、それでも「学校にいく」ということは子ども心に嬉しかったのだろう。

お姉ちゃんや妹も誰も責めたりはしなかったが、本人はやっぱり気にしていたと思う。

翌日、息子と一緒に支援学校に行ってみた。
先生たちはとても親切に、そして笑顔で迎え入れてくれた。

息子もとても嬉しそうに…だけど少し照れくさそうに先生の後を付いていった。

その後ろ姿はとても、楽しそうで安心したような姿だったのを今でも覚えている。

先生たちも息子の目線まで降りて話を聞いてくれたりして
「あ、これが息子にとって必要な支援だ」と改めて痛感した。

体験入学?は余程楽しかったのか、午前中で終わってしまうことがとても名残惜しいようだったが、先生も含め
「息子くん!早く来れるように先生たちも頑張るからね!」と言ってくれた。
息子は元気に「はい!お願いします!」と言っていた。
私は、「お願いします」とはっきり言えて深々と頭を下げれる息子に本当に驚かされた。

もちろん私も先生方に深々とお礼をして家に帰った。
その帰りの車の中は、久しぶりに息子の笑顔が見れた。とても楽しかったようだ。私が先生たちと別室で話をした時間があったが、その間に息子は色んなことを見たり感じたようで、その楽しかったことを車の中で教えてくれた。

「子どもって本当はこうあるべきだよな」とつくづく感じた。
そして改めて「諦めず、この子を支援学校で学ばせたほうが息子の将来のためになる!」と確信した。

それから度々、支援学校に足を運ぶことになる…

そうしている間、とうとう「心理検査」の日がやってきた。

検査までとても長かったような短かったような…

病院まで片道2時間半、とても長かったが、息子は支援学校の経験もあってか前より落ち着いていた。

そして病院の先生は「息子くん!よくきたね!これからたくさん見たり聞いたりするけど頑張ってね!」と声を掛けてもらい、そのまま「検査」をすることに…。
検査にはだいぶ時間がかかるから途中で「休憩10分を挟みます」と言われた。

先生は「お母さんはその間、すぐそこに喫茶店があるから、そこでコーヒーでも飲んでゆっくり待ってくださいね」と言ってくれた。

離れた場所と言っても病院はすぐ目の前にあるので、病院内にいても気が気ではないだろうと、喫茶店に行ってみることにした。

喫茶店は静かでくつろげる場所、というイメージだが私はそもそも
「くつろぐ」ということを知らない。

店内はジャズが流れていて、そんなにお客さんはいなかったと思う。

コーヒーを注文し、ぼーっとしていよう、と思ったがそれも15分も居れず、お店を後にした。

私は病院に戻っても仕方ないと思い車の中で待っていることにした。

1時間くらい経って一度病院に戻ると5分くらいで「休憩」になり、息子は待合室に戻ってきた。
私は何も聞かず「トイレは?行っておいた方がいいよ?」と言いその間息子に自動販売機からジュースを買った。

トイレから出てきた息子はジュースを飲み、一言…
「難しいよ」と笑いながら言ったが、その顔は疲れているように感じた。

私は「もう少しだからね!支援学校に行けるように頑張ろう!」と励ました。

休憩時間が終わり、息子は再度呼ばれて検査室?に入っていった。

「息子、そのままで頑張れ」と心の中で応援した。

私は息子を見届けた後、再度車に戻り、一時間弱で病院へ戻った。

そうすると10分くらいで息子は検査室から出てきた。
検査をしてくれた女性の方は
「息子君、よく頑張りましたよ!お母さん褒めてあげてくださいね!今日はこれで終わりです。受付から次回の予約を取ってください。その時までに検査結果をお出しします」と言われた。

今日は帰りに少し食堂にでも寄って息子にご褒美をあげようと思った。

贅沢はものは食べさせてあげれないが…

少し走ると「ドライブイン」があった。
そこに寄ってご飯にすることにした。

息子は「エビフライ定食」を注文した。
うちでは「外食」はほとんどしないのでとてもワクワクしているようだった。

エビフライ定食は、大人でも「多いかな?」という量だったが、息子は神経を使ったせいか、それともスッキリしたのかペロリとたいらげた。
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